そういう星の元に生まれたんだろうね
悠央高校。この辺の高校の中じゃトップクラスに頭のいい学校。自由な校風や公立校ながら綺麗な校舎と充実した設備が特長であり、また制服のセンスが非常に良いことでも知られている。何が言いたいかって?
「えへへ、伊鈴くん!高校楽しみですね!!」
紅音マジ可愛い、という事だ。中学の頃も良かった。それは認めよう。シンプルなデザインのワイシャツはスポーティな紅音の雰囲気によく似合っていたと言えるだろう。だが、今朝待ち合わせ場所に現れた紅音を見て俺は自分の性癖と言うものを初めて理解した。いや、ひょっとしたらそれは好きな人が着ているから脳内で補正がかかっていたのかもしれないが。そうだとしても若干の照れを含ませつつ上目遣いで制服の感想を聞いてくる・・・・・・ブレザーを身にまとった紅音は最高に可愛かったです!!(この間僅か0.1秒)
「そうだなー、何か高校ってだけでちょっとしたワクワク感があるよな」
ただ何よりも、好きな人と一緒に過ごせる生活が楽しみなんだけどな。中学の頃は酷かったからな・・・・・・高校は平穏な生活を送りたい。
「それもそうなんですけど・・・・・・やっぱり伊鈴くんと一緒に居られるっていうのが一番嬉しいです!」
「んん゛っ・・・・・・そ、そうね。うん」
同じこと考えてるっていう気恥ずかしさと嬉しさが同時に襲ってくる。中学以前の俺からしたらまさかこんな事でこんなふうになってるなんて到底信じられないだろうけど・・・・・・悪くない気分だな。
「伊鈴くんは部活とかって決めましたか?」
「あー、部活かー。紅音は当然陸上部だよねぇ」
「はいっ!伊鈴くんもどうですか?確か足そこそこ速かったですよね?」
「んー、悪くないけど・・・・・・高校の部活ってそんな初心者OKだったりする?」
「部活がすごく活発な所とかは初心者はあまり受け入れてないっていうのもあるらしいですけど、悠央は大丈夫だと思いますよ?」
まぁ、無理強いはしないですけど。そう言って軽く微笑む紅音・・・・・・何か凄い大人に見える。でも陸上か・・・・・・ゲーム時間は減るけどやってもいいかな。
「うん。最終的にどうなるかは分かんないけどとりあえず仮入部はしてみようかな?」
「ホントですか!?やったぁ!!」
ぴょこんぴょこんと跳ね全身で喜びを表現する紅音。溢れ出る小動物感。やっぱりこういう所はまだまだ子供っていうか紅音らしいな。
「・・・・・・あ」
「?どしたの、急に止めて」
「も、もう高校生ですから!こういうのは卒業です!・・・・・・それに少しでも伊鈴くんと似合う女の子になりたいですし・・・・・・」
んえ?最後なんか言った?
「そなの?まぁ、紅音がそうしたいならいいけど・・・・・・俺はああいう紅音のことも大好きだよ?」
ふふふ、俺も成長しているんだよ!2人きりの時くらいはこれくらいは照れ無く言える!!いや、言いすぎた。ちょっと照れくらいで言える。
「ふぇっ・・・・そ、そうですか」
ちょっと変な空気になっちゃった。慣れないことはするもんじゃないということだろうか。ちくしょう。
「あ、見えてきましたよ!」
「お、ホントだ。やー、何回か来たことがあるとはいえやっぱり立派だなぁ」
うお、すげぇ。謎の銅像がある。入試で来た時は気づかなかったな。
「伊鈴くん、写真撮りましょう!写真!!」
「はいはい、撮ってやるから。ほら、もうちょいズレないと邪魔になってるぞー」
「えっ、あ!すいません!!」
いいよいいよと軽く手を振ってくれる初老のおばあさん。良かった、大事にならなくて。
「んじゃまさっさと撮って行くか」
「はいっ!」
・・・・・・ん、撮れたな。ちょっと気恥ずかしいけど。
「あとはあっちでクラス貼りだされてるみたいだなー」
「一緒のクラスだといいですね!」
どうだろうか。悠央はランダムではなく入試の成績でクラスが決められる。もちろんしっかりと紅音に勉強を仕込みはしたが・・・・・・果たしてどうなっているか。
「んー・・・・・・人が多くて見えないです・・・・・・」
ぴょこぴょこと跳ねる紅音。いや、可愛いかよ。・・・・・・んん゛、それはともかくどうするか。俺も紅音と身長ほとんど変わらんしなー・・・・・・
「んー、じゃあまあ見てくるからここで待っててよ」
「そうですね!お願いします!」
「はいはいっと・・・・・・」
はー、こんな所で身長が小さいのが有利になるとは。人混みが一切干渉してこない。でもやっぱりもうちょい欲しいなー。
「んーっと・・・・・・」
ああ、あったあった。Aクラスね。あとは紅音だけど・・・・・・隠岐、隠岐っと・・・・・・
「あっ」
あったわ。同じクラスだ・・・・・・ん、やっぱ嬉しいな。こういう小さいところでも自分がどれだけ紅音の事を思っているのかを実感出来る。んじゃま、さっさと伝えに行くか。
「おーい、紅・・・・音・・・・・・?」
「あの、やめてください!」
「いやいやいや、良いじゃないか!ね?君も僕みたいな優秀な人間と付き合えるのは幸せだろう?」
何だあいつ。なんかすごいムカつく。いや、紅音に言いよってるって言うのもあるんだけど・・・・・・何てーの?すっごい甘やかされて育った世間知らずのお坊ちゃんという概念を擬人化したみたいな・・・・・・いや、とにかくムカつくわ。
「あー、紅音どうした?」
「あ!伊鈴くん!」
俺が声をかけるがいなやこちらに走りよってきて俺の背中に隠れる。・・・・・・すごいな、ここまでしょたいめんのやつを拒絶してる紅音始めて見たぞ。
「おお、どうしたんだい、紅音!ほら、そんな所に居ないで僕の胸に飛び込んでおいで!!」
うわぁ・・・・・・
「ヘイヘイ、紅音さん?誰あの痛々しい男。知り合い?」
「違います!伊鈴くんを待ってたら急に声をかけてきて・・・・・・その、すっごく困ってます!」
ほーん。なるほどなるほど。要するにあの男は人の彼女にナンパ仕掛けたと。しかもこんな公衆の面前で。
「あのー、あなたどちら様で?」
「何だ君は!私のことを知らないのかい!?「あー、そっすn」よし、それなら教えてあげよう!!」
ちょいちょいちょい、待てや。
「僕は長谷川グループの御曹司、長谷川忠彦さ!!君みたいな田舎者でも長谷川グループの名前くらいは知ってるだろう?さぁ、分かったら大人しく紅音を渡してもらおうか!!」