「はははははは!!素材置いて死にさらせぇ!!!」
「……おい、秋津茜。なんだ、あいつは。やたらと荒れているようだが?」
「あはは……葵さんにも色々あるんですよ」
あ゛ー!シャンフロでの戦闘はストレス発散に最高だぁぁぁ!!!あ、お前も素材落としてけぇ!!
出し物を決めた日から数週間が経ち、いよいよ最初の衣装合わせとなった今日。凄まじいストレスが俺に降りかかった。
「青野ぉ!衣装着ようかぁ!!」
昼休みが終わり、午後からの文化祭準備に備えていた俺の元にそれはもうヒラッヒラでキラッキラの服を大量に抱えた
「え、待って。多くない?衣装作るの早すぎるでしょ……」
「衣装作成班がみんな本気出しちゃってさー、他の人のはまだまだだよ」
怖ァ……執念が怖いよ。でも逃げられないよねー。よし、待ってろ。3秒で覚悟を決める。………………よし。
「オーケー、分かった。着てやろうじゃん」
「お、良いねぇ!そういうノリいいのは大歓迎だよ!じゃあまずはコレねー」
メイド服か。コスプレの定番中の定番だな……ねぇ、待って。スカート丈短くない?え、これ着るの?マジで?……あ、早く着ろって?ちくしょう!
〜着替え中〜
「青野ー?もう終わったー?」
………………
「青野?大丈夫?紅音いる?」
「…………だいじょぶ……きがえおわってる……」
「じゃあ早く出てきてよ。他にもまだ服はあるんだから」
………………これは仕事、これは仕事、これは仕事……心を殺せ。大丈夫、大丈夫。シャンフロで無数のサメに包囲網仕掛けられた時よりはマシなはずだ。俺はやれる。……よし!
「…………こ、これでいい……?」
「「「………………」」」
何か言ってよ!黙られるのが一番キツいんだわ!!
「おーい、みなさーん?何も言ってくれないと不安になるんだけど……」
「…………はっ!や、ごめんごめん!思ってた以上に女の子女の子しててビックリしちゃった」
「青野……お前ってやつは最高だぜ……!」
「全くだ。ここまであざと可愛い存在になるとは……」
「不慣れな感じがまたいいな。貴重な照れ顔と相まって普段とのギャップが素晴らしい」
生き恥っ……!!うう、これで接客するってマジでございますか?大丈夫かな、文化祭終わる頃には灰になってそう。というか紅音はいないのかな。いや、見られないに越したことはない。この姿は特に。
「いや、これは思ってた以上の逸材だね!ところで青野、ポーズ取って「お帰りなさいませ、お嬢様」って言ってもらっていい?」
「……それ必要……?」
「何言ってるんだ、必要に決まってるだろ!!」
「そうだそうだ!立ってるだけじゃ接客にならないんだぞ!?」
「大丈夫だ、お前なら出来るって信じてる!」
くぅぅぅ……あながち間違ってるとも言い難いのが悔しいっ……!………………いいよ、わかったよ、やってやるよ!クソゲー時代に相手をおちょくるために鍛えたボイチェン技能の前に悶絶しやがれ!!
「んん゛……お帰りなさいませ、お嬢様、ご主人様♡(ロリボ)(上目遣い)(潤んだ目)」
くぅぅぅぅ……精神力がゴリゴリ削られていく音が聞こえる……だが、俺の捨て身の攻撃はとてつもないダメージを叩き出したらしい。親指を立てたまま床につっ伏すクラスメイト達。ふふふ、完全勝利だな、これは。
「美香ちゃん、着替え終わりましたよー……え!?伊鈴くん!!?」
「み゛」
喉の奥の方から蛇に食われてる最中の死を覚悟した蛙みたいな声が漏れる。あー、詰んだ。とか、何その執事服、可愛いんですけど!?とか、こいつらいつまで倒れてるんだ?とか様々な思考が浮かび、言葉にはならずに虚空に消えていく。
「えっと……」
「…………み、みにゃいで…………」
何だろうか、女物の服を着ると女の子らしい仕草を取ってしまうものなのだろうか。紅音の驚愕の視線を受けた俺に出来たのは片手でスカートを出来るだけ引っ張りつつ、もう片方の手で体を覆うことだけだった。しかも噛んだし…………ううう、恥ずかしい……今までに受けたのとは違うベクトルの恥ずかしさを感じてる。非常にまずい。演技とかでなくマジで顔赤いのが分かるし、何ならちょっと泣きそう。
「……あ、あの!伊鈴くん、とっても似合ってますよ!!」
「……ほんと……?」
「はいっ!すっごく可愛くて見蕩れちゃいました!!」
「……そ、そっか……そっかぁ……」
……ちょっと落ち着いた。テンパりすぎてたかも。でも普通に考えて彼女に女装してるところ見られたら大なり小なりこんな反応になると思うんだけどなぁ……
「んん゛……紅音もその格好よく似合ってるよ。普段のイメージと違ってカッコよく見える」
「ホントですか!?えへへ、ありがとうございますっ!!……えいっ!」
んん?紅音がいきなり手を握ってきた。どうしたんだろ?
「……ふふふ、今の私は執事ですから!伊鈴くんをエスコートしてあげます!」
ああ、なるほどね。ふふ、そういうことならこっちも……
「ええ、そういうことなら。お願いするわね、私の大切な
でも今の俺の格好メイドだしなぁ……従者同士でエスコートも何も無いんじゃ……
結局この後割とマジで校内連れ回されそうになったため丁重に辞退した。
以下他の服を着た時の反応抜粋。
◆ ナース服
「こんな感じー?」
「きゃああああ!!似合ってるぅぅぅぅ!!!可愛いいぃぃぃい!!!」
「俺……ナース服好きかもしれない」
「というか何であいつあんなに足綺麗なんだ?絶対領域が魅惑的すぎるっ……!」
「女子として負けた気分になるわね……」
◆ サンタコス
「……クリスマスにはまだ早くない?」
「いい!凄くいいよ、青野!!赤い服に白い肌がとっても映えてるよ!!」
「あんな可愛いサンタだったら毎日でも来て欲しいよな……」
「これもう接客担当青野だけでいいんじゃね?」
「紅音ちゃんにトナカイの着ぐるみ着せて隣に立たせたいわ」
◆ セーラー服
「これどこから調達してきたんだ……え、手作り?マジで?」
「はあああああ!!可愛いぃぃぃい!!これはもう現役JKと言っても過言じゃないわ!!」
「セーラー服っていいよな……俺志望校選ぶ時女子の制服がセーラー服の所とここですごい悩んだもん」
「セーラー服は過度な露出はいらないよな。清楚感が出てるのがすごくいいぞ」
「あれ、なんか若干胸ない?詰め物かしら……?」
◆ チャイナ服
「あー、このスリットは良いね。動きやすくて快適だわ」
「良い!すごくいい!!ていうかめちゃくちゃエロい!!!」
「こんな可愛い子がいる店とか絶対貢ぐわ」
「これはっ……!激しくっ……!性癖に刺さるっ……!!」
「ああ、分かった。あれって性別:青野でしょ」
◆ ぶかぶかのワイシャツ一枚
「聞いてないんだけど!?……聞いてないんだけど!!」
「萌え袖!彼シャツ!!可愛い!!!……けどさすがにこれは表には出せないわね……悪いけど青野、それは紅音と2人きりの時にでもやってちょうだい?」
「あ゛ーー、あんな可愛い彼女が欲しい……」
「落ち着け……あれは男、あれは男……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「何この感情……はっ、これが母性!?」
そんなこんなで多少は楽しんでいたとはいえ着せ替え人形にされていた俺は鬱憤を晴らすためモンスター共を