龍ノ忍×蛸ノ忍   作:ゆくゆく

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割とガチめに重いかも。昨日の硬梨菜サンのゲロに触発されて書いたと言えば分かるはず。


ゲロに触発されて
異形なるモノ Route 〜Bad End〜


 「……え、あ……何、これ……」

 

 「茜ー?いるー?」

 

 「あ!…………んぇ?」

 

 「ぁ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆ 数時間前

 

 珍しく秋津茜に呼び出された俺とカッツォ、ペンシルゴン……何だこの取り合わせ、ろくな予感がしない。てか、なんでサンラクはいないんだ…………捕まらないからか。えっと、それで何だっけ……

 

 「クエストの手伝い?」

 

 「はいっ!ノワルリンドさんから言われたんですけど超転身をさらに強化できるらしいんです!でも複数人で挑戦することが条件らしくて、それで皆さんにお願いできないかと!」

 

 「ふぅん……そういうことなら私は全然構わないけど君たちは?」

 

 「俺も大丈夫かな。クラメンの戦力が上がるのはちょうどいいでしょ」

 

 「まぁ、断る理由はないわな」

 

 来たる王国動乱に向けて戦力の拡充はいくらしても過剰ということは無い。それに秋津茜の頼みを断るわけないしな。

 

 「いやにしても茜ちゃんもなかなかにユニークに愛されてるねぇ!それに引き換え……?」

 

 「オイカッツォくんはぁ!?」

 

 「いい加減ユニークネタしつこいんだよ!ていうか葵は言うてそんなユニーク見つけてるわけじゃ……あ」

 

 「んん〜?あれぇ、俺の身体忘れちゃったかなぁ!?」

 

 ほーれ、ほれほれ。全身ユニークだぞ、讃え、崇めよ。

 

 「くぅ、ミスった……!」

 

 「はいはい君たちそのへんで。今日は茜ちゃんがメインなんだから」

 

 「アーサーが最初にやったんだろ……まぁいいや。それで秋津茜、どこ行きゃいいの?」

 

 「えっと、それが分からないんですよ。何でも人数が集まれば勝手に開始される?みたいな感じらしく」

 

 「そんなのもあるんだ。でもそれならパーティー組んで待ってればいいって感じかな?」

 

 「まぁそんなとこだろうな。一応秋津茜がパーティーリーダーの方がいいか」

 

 茜から飛ばされてきたパーティー申請を受けた瞬間……

 

 「なるほど、貴様らか…………良いのだな、秋津茜」

 

 どこからともなくノワリンが湧いてきた。え、何今の。転移魔法?そんなん使えるの?てかなんだよ、なんで今俺の方思いっきり睨んでから言ったんだよ。

 

 「はいっ!ノワルリンドさんお願いします!」

 

 『ユニーククエスト「ヒトを捨てよ、キズナを捨てよ」()が自動で開始されます』

 

 ……

 

 …………

 

 ………………?

 

 「えっと、ノワリン?それで何すればいいの?」

 

 「貴様らには我が用意した迷宮を攻略してもらう。攻略条件は一定数以上の魔物を倒した後に貴様ら3人と秋津茜の合流。秋津茜には最初から超転身を使ってもらう」

 

 ……?なんかノワリンの様子が変というか、NPCっぽいような……?

 

 「疑問はないな……では跳ぶぞ」

 

 が、抱えた疑問をぶつける間もなくノワリンが放った黒い光によって俺たちの視界は塗りつぶされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 ノワルリンドさんの出した黒い光が収まった時私は見たことの無い石造りの部屋の中にいました。

 

 「……あれ、ここは?……ノワルリンドさーん!どこですかー!」

 

 「そう叫ぶな、秋津茜。ここに居る」

 

 「ノワルリンドさん!えっと、ここが迷宮で間違いないんですよね?」

 

 「ああ、そうだ。……さっさと行くぞ、早くアレを使え」

 

 「分かりました!刃隠心得奥義【超転身】!」

 

 いつものようにノワルリンドさんと合体し竜人の姿になります。

 

 「これでモンスターたちを倒せばいいんですよね!……ってあれ!?制限時間がない!?」

 

 『この空間に限り超転身に制限時間はない。時間は気にせず戦え』

 

 「分かりました!サクサク行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「刃隠心得龍の巻【龍気揚々】!たぁぁああ!!」

 

 黒いトカゲのようなモンスターにトドメをさし、一息着きます。

 

 「結構倒しましたね……ノワルリンドさん!そろそろ合流できるでしょうか!」

 

 『……ああ、そうだな。規定数の魔物は倒している。あとは合流するだけだ』

 

 最初にノワルリンドさんから言われた時は「人を辞める覚悟はあるか?」なんて大袈裟なことを言われましたけど、意外と余裕でした!……えへへ、強くなったら葵さん褒めてくれるでしょうか……

 

 「んー、道は……あれ?これ鏡でしょうか……」

 

 行き止まりの道の先に何故か置いてある鏡。何となく鏡を覗き込むと……

 

 「……え、あ……何、これ……」

 

 超転身でノワルリンドさんと融合した時のような人間らしさの強く残った姿ではない、それこそホラー映画か何かで出てくるような怪物がこちらを覗いていました。

 

 「秋津茜ー?いるー?」

 

 え……今の声は……!に、逃げなきゃ、こんな姿見られたら……

 

 「あ!…………んぇ?」

 

 

 「ぁ…………」

 

 光に照らされた私はどうすることも出来ずにその場に立ち尽くします……って、ダメです!な、何か言わないと!

 

 「あ、葵ちゃーん。茜ちゃん見つかったー?…………え?」

 

 「ん、どしたのペンシルゴン、そんな固まるなんて珍し…………は?」

 

 あぅ……ど、どうしよう、逃げる?説明する?でも何て言えば……

 

 『ア゛、ア゛ノ゛……』

 

 ……!?声が……さっきまでは普通に出せていたのに!

 

 「葵、ペンシルゴン!注意して!ボスかもしれない!」

 

 「……はっ!ごめんごめん、ぼんやりしてた!」

 

 「………………うん?」

 

 

 ………………ああ、そういうこと、だったんですね。ノワルリンドさんがあんなにも大袈裟なことを言った理由、葵さんたちと来た時に「良いのか」と聞いた理由、キズナを捨てよという不穏なクエストの名前。全ての点が繋がり、このクエストの本質が分かります。でもこんなにも辛くて苦しくって泣きたくなるものなんですね…………大切な人たちに自分を分かって貰えないって言うのは……

 

 

 『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッッ!!!』

 

 心からの泣き声は威嚇のための咆哮として、分かってもらいたくて伸ばす手は振るわれる攻撃として、剣を交える度に体力ではない心が削られていきます。

 

 ……私は何をしているんでしょうか。クエストを手伝ってもらっているのに彼らを襲う……もう逃げてしまいましょうか……ここから…………この世界から…………

 

 『ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!』

 

 手を思いっきり振って距離を取りそのまま逃げ出します。1歩を踏み出す事にこぼれ落ちて行く思い出の数々。十分に距離を取った頃には、もう、私の中にはこの世界に留まる理由すらも残っていませんでした。

 

 「…………ログアウトっ……!」

 

 最後まで捨てられなかった1人の少年との思い出。出会い、救われ、笑い合い、愛を交わすまでに至った彼との思い出さえも振り払い…………この世界に別れを告げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 「何だったんだろ、あのモンスター」

 

 「うーん、道中で出てきたやつの親玉っぽさはあったよねぇ」

 

 黒い、爬虫類と人間の合成獣(キメラ)のようなモンスターとの戦いを終え、俺たちは引き続き秋津茜を探していた。にしてもさっきのモンスター……何だったんだ?

 

 『ユニーククエスト「ヒトを捨てよ、キズナを捨てよ」は強制終了されます。参加者は自動的に転移されます』

 

 「はぁ!?」

 

 「え、何これ!カッツォくん、何かした!?」

 

 「いや、なんで俺!?」

 

 『転移します』

 

 

 

 

 

 

 「いや、何だったんだよ。ていうか秋津茜は?」

 

 「うーん、葵くん。心配なのは分かるけど私たちに聞かれてもなぁ」

 

 ……そりゃそうか。ちょっと落ち着こう。……よし、オーケー。

 

 「にしてもクエスト出してるノワルリンドがいないっていうのもおかしな話だよね。強制終了って言うなら説明の1つや2つくらいあっても……」

 

 「……呼んだか」

 

 「うぉわ!」

 

 「ちょお、ノワリン!強制終了ってどゆこと!?秋津茜は!?」

 

 「ええい、詰め寄るな鬱陶しい!」

 

 「簡単な話だ。秋津茜はある1つの道を選んだと言うだけ。我の出した試練は突破している」

 

 何だ、クリアしてるのか。じゃあ別ルートクリア方法があったってことか?

 

 「ふぅん……それで茜ちゃんは?クリアしたんでしょ?」

 

 「秋津茜なら眠った。戻ってくるかは知らんがな」

 

 眠った……?ああ、ログアウトか。いや、にしても()()秋津茜が、何の連絡もなしにログアウト?そういうクリア方法だったなら良いけどなんか違和感が……

 

 

 

 

 

 

 結局その後ノワリンは消え、俺達もモヤモヤを抱えたままログアウトすることとなった。

 

 翌日

 

 

 「え?紅音が?」

 

 「ええ、そうなのよ。昨日の夜からずっと部屋にこもりっぱなしで……青野くん、何か知ってる?」

 

 「いえ、特には……」

 

 「そうよね……とりあえず学校には連絡してあるから。暇があれば青野くんも会ってあげて。あの子も喜ぶと思うわ」

 

 「あ、はい……」

 

 紅音が引きこもってる?しかも昨日の夜から?…………そんなの原因は1つしかないだろう。昨日のノワリンが出した試練。でもなんで………………まさか。

 

 

 まさか、()()()()()()()()()()()()()()?いや、でも……そう考えると辻褄が合う。ということは、俺のせい、なのか…………?

 

 

 その日は授業なんかろくに聞けなかった。嫌な想像ばかりが頭の中を駆け巡り、その度に自責の念と罪悪感が湧き出てくる。放課後になり、部活をサボって速攻で紅音の家に向かう。

 

 「あの!紅音に会いに来ました!」

 

 「ええ、上がってちょうだい。紅音の部屋はこっちよ、私は下にいるから……紅音をお願い」

 

 本当に原因が昨日のことなら……俺に紅音が救えるのだろうか。紅音の心を傷つけた張本人も張本人。追い討ちをかけることになってもおかしくは無い……

 

 「紅音……いる?伊鈴です。会いに来ました」

 

 ガタンと音がなり誰かがドアの前に近づいてくる気配。

 

 「伊鈴くん、ですか……?」

 

 「あ、ああ……えと、その、大丈夫……?」

 

 聞こえてくる紅音の声は今までにないくらいに憔悴していて、だから俺はそんなありきたりな質問しか出来なくて、だから……

 

 「……ごめんなさい。もう伊鈴くんには…………会いたくないです」

 

 だから、拒絶されることになる。

 

 「…………そっ、か、うん、じゃあ……帰るね……さよなら…………」

 

 アタマが痛い、吐き気がする、全身の感覚が消え失せるような消失感、もう何を言ったのか、どうやって帰ってきたのかも分からない。気づいた時には家のベットに転がっていて、頭を上げれば大きな染みができていた。

 

 「…………ああ、もし、もしも……」

 

 この世界に奇跡というものがあるのならば……

 

 「……戻りたい」

 

 あの日、あの時に。




ifストーリーだからね!まだ書いてないけど次はトゥルーエンド書きます。そっちはちゃんと幸せにするから許して。
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