正義の味方を目指すのは間違っているだろうか?   作:Abc

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第2話

 魔術回路を起動させるスイッチは人それぞれだ。自身の心臓にナイフを突き刺すイメージをする者、性的な興奮や自傷行為による者など、本当に様々だ。

 これは、その者が初めて魔術回路を開いた時に関係するらしい。どんな状況だったか、どんな感情により開いたか、など。

 俺は、喜びだった。今まで追い続けていた理想と同じ力が手に入ったのだ。たとえ、それが与えられたものであったとしても、自分の手にある、そう認識してしまった時には口の端が上がり下がらなくなってしまった。

 

 

 だから、俺のスイッチは歓喜だ。そして、歓喜を覚える方法も同じく、自分の持つ力の認識。目を閉じ座禅を組み、思い浮かべる、自分の貰った力が誰と同じ力なのか、ということを。

 そうして湧き上がる喜びの感情。それとともに自分の肉体が何か別のものに置き換わったような気分にもなる。何も着ていない俺の上半身の右腕に、青緑色の光を放つ線が浮かび上がる。これが魔術回路。魔力を生成する炉であり、神秘のシステムへ繋がる路でもある。これに魔力を通し、その言葉を口にする。

 

「解析、開始《トレース、オン》」

 

 こうして俺は、一年前からしている朝の日課を始めた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 罰が当たったんだと思う。神様やアドバイザーのエイナさん、それにファミリアの団長にだって口酸っぱく言われていた。冒険者は冒険してはいけない、と。これを僕は破った。ダンジョンに潜り始めたばかりの僕を、心配してくれた人達を裏切った。

 今、僕がいるダンジョンの5階層は普通、冒険者になって半月程度の駆け出し中の駆け出しである僕、ベル・クラネル

が来る場所じゃない。でも、この日は調子が良くて、いけるかも、なんて浅はかな理由で降りてきてしまった。その結果が今の状況だ。

 後ろから僕の命を奪うため追いかけている怪物。その怪物は、2m程の筋骨隆々とした肉体に、血走った目をした牛頭が付いている。怪物の名はミノタウロス。通常、15階層から現れる存在。こんな上にいる筈がない。

 ああ、だからこれは罰なんだ。僕はそんな絶対的強者から逃げることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア、ハア・・・・・ハア・・・・・」

 

 ・・・・・あれからどれほど逃げていただろう。でも、それももう終わりだ。僕の後ろには道がない。あるのはただ寄りかかっている岩の壁のみ。そして、目の前には・・・・・

 

「ウオオオオオオオ!!」

 

 咆哮ともに右腕を振り上げているミノタウロス。その姿を冷静に見ていられるのは、僕がもうこれから起こる結末を受け入れているからだろうか。でも、仕方がないじゃないか。ミノタウロスの咆哮には、自分より格下のあいてを硬直させる効果がある。それのせいで僕の体はピクリとも動かない。

 もう、どうしようもないんだ。

 

「ウオオオオオオオオ!!」

 

 でも、やっぱり悔しい。受け入れていても、悔しいんだ。逃げ回って、それで何も出来ないで死ぬことが!

 なら、やることは決まってる。体は動かなくても頭は動く。つまり、僕が攻撃に使えるのは頭だけ。顎を上げる。狙いは僕の顔に向かって放たれているミノタウロスの拳。・・・・・正直に言って、僕の攻撃じゃ傷一つ付かないと思う。そのまま頭を割られて殺される、とも。それでも、このままやられるだけやられて終わるのは嫌だから。

 

「ああああああああああ!!」

 

 思いっきり顎を引く。そして振り下ろされる僕の頭。頭突きだ。これが、これだけが、今この状況で選ぶことができる唯一の攻撃方法。だが、人体のの急所を使うこの攻撃は、僕の残り少ない人生を縮めるだけかもしれない。それでも、何もせずに死ぬことは、僕自身が許せなかった。

 

 そして、僕の振り下ろされた頭は・・・・・・その勢いのまま地面に激突した。

 




 ここで切ろうか迷いましたが、4日間投稿出来ていなかったため時間短縮のため切らせていただきました。続きはできるだけ早く投稿しますので、何卒・・・・
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