正義の味方を目指すのは間違っているだろうか? 作:Abc
「はあ...はあ...シ、シロウさん...!腕が......!」
「......ああ、ベル、起きていたんだな。そういえばもうダンジョンへ行く時間だったか。いや、それよりもありがとう、ベル」
飛び出た短剣によって、腕は前腕から裂け、恐ろしいほど血が吹き出ている。
その惨状を見たベルは顔を青くしているが、シロウは腕に痛覚なんて無いかのように淡々と言葉を続ける。
「あそこで君が腕を掴んでくれたおかげで集中が解け、なんとか不発で済んだようだ。ありがとう」
「いや...!そんなことより早く傷を...!傷をどうにかしてください!」
致死量レベルの血を流していることを感じさせないほど自然に礼を言うシロウ。そんな危機感の無さに対してベルの語気も強くなる。
「君に慎重さをあれだけ説いておきながら、自分がこんなことになってしまうとは...。本当に恥ずかしい限りだ」
「だから傷を!神様!神様になんとか...!」
「ああ、すまない。そうだったな。早く傷を治さなければな。確かその辺に...」
慌てているベルを尻目に、少しふらつきながらも教会の壁へ歩き出すシロウ。そこに立てかけられているのは、何か液体の入った瓶二本。
「んっと。上手く力が入らないな」
「シロウさん...?なにをしているんですか...?早く、早く神様の所に!」
「落ち着けベル。君の入団時に冷静さを保つ訓練をしただろう?それに、神はアルカナムを使えない。だからヘスティアの所に行ってもダメだ。それよりも...よし、なんとか開けることが出来た」
瓶を開け、その中身を飲むシロウ。そして、次の瞬間
「え...?」
シロウの体にあった腕以外の傷が消えた。その奇跡のような光景にベルは少し固まっている。
「ふう。体は治ったがやはり腕はダメだな。もう一本使うか」
更に、その奇跡のような光景はもう一度起こった。
次は、残っていた瓶の液体を腕に直接振りかけた。すると、ぐちゃぐちゃに裂けていたシロウの右腕は、ゆっくりと元通りになり、傷痕すら残さず治してしまった。
「よし、これでもう大丈夫だな。本当にすまなかった、ベル。そして、本当にありがとう。ダンジョンに行くところだったんだろう?もう心配はいらない。行ってくれていい。君の時間を取って悪かったな」
「え...?えええええええ!?」
そして、唖然としていたベルが正気をとり戻した時には、シロウの体には傷一つ無く、完全に治っていた。
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ちなみに、この後ベルは、帰ってきたときに今回なにをしてなにが起きていたのかを全部説明してもらうことと、シロウは今日1日ホームで安静にしているという条件で、渋々ダンジョンへ向かっていった。
忘れるところでした...すみません。