正義の味方を目指すのは間違っているだろうか? 作:Abc
「はあ…。今日は早めに帰ろう…」
ダンジョンへ向かう途中にそんなことを呟いてしまう。でも、ちゃんとした説明は僕が帰ってから、とシロウさんは言ったのだからしょうがないと思う。
それに、シロウさんがちゃんと待っているかどうかも怪しい。なんだかんだ言ってもシロウさんと会ってからまだ半月ほど。さすがにまだシロウさんがどんな行動を取る人なのかは詳しく知らない。
「はあ…」
不安と共に息を吐く。やはりあの場で無理矢理にでも聞き出した方が良かったんじゃないか?そう、考えてしまう。でもシロウさんも頑なに話そうとしなかった。僕が帰ってから、という条件も必死に食い下がってやっと引き出したのだから。いやでもやっぱり……
ゾクッ!
なんだ…今の…。誰かに、見られていたような…。
そう感じ振り向くが、誰もいない。勘違いかな?
「あのー」
ん?
背後から声が聞こえ、そちらへと振り返る。そこには給仕服に身を包んだ可愛らしい銀髪の女性だった。
「えっと、何か?」
「あの、これ、落としましたよ」
彼女の手に目を移す。そこには小さな魔石が。
あれ?昨日全部換金したはず何だけど…
そう思うが、人の善意を疑うのも失礼だろう。
「すみません。ありがとうございます」
素直に感謝を伝え、魔石をしまう。
「冒険者の方ですよね?こんな早くからダンジョンへ向かわれるんですか?」
「ええ、まあ」
少し苦笑いしながら返答する。が、そのときだった。
グゥ~
胃が、食べ物を寄越せ、と声を出した。誰の?もちろん僕のだ。朝食を抜いたのが原因だろう。少し、いや、かなり恥ずかしい。
「ふふ、お腹減ってるんですね」
「はは、まあ…」
「では、これを。たいしたものじゃありませんが」
彼女はそう言って、笑みと一緒に弁当を取り出した。
「そんな悪いですよ!初対面の人にお弁当なんて!それにこれ、あなたの朝ご飯じゃ…」
「気にしないでください。私の方は、お店が始まったらまかないが出ますから」
後ろにある飲食店の方をチラリと見る。彼女はそこの従業員何だろう。
「で、でも…」
「その代わり、今夜の夕食は是非当店で。約束ですよ。……ダメ、ですか?」
上目遣いで僕と目を合わせながらそう言う。
ずるい。そんな風に頼まれて、断れる者はいない。
「わ、分かりました…」
「ふふふ、ありがとうございます」
……これは、やられたかもしれない。何より彼女の小悪魔的な笑顔が、今この図を彼女が作り出したことを雄弁に語っている。
でも、別にいいか。なんだかんだいって元気も出たし。それに、美味しそうなお弁当も貰ったことだし。
よし!今日も頑張れそうだ!
ダンジョンへと足を動かす。溜め息はもう出なかった。
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「シロウさん、神様、ただいま帰りました」
ダンジョン探索を早めに切り上げ、ホームへ帰った。早めに切り上げたのはもちろん、シロウさんから話を聞くためだ。
「おかえりなさい、ベル君」
「おかえり、ベル」
いつものソファーに肩を並べて座っている神様とシロウさん。そしてテーブルにはいつもステータスを記す時に使う紙が置いている。
「まあ、まずは座ってくれベル。話はそれからしよう」
「はい。分かりました」
シロウさん達の向かい側の椅子へと腰を下ろす。
「よし。ではベル、約束通り話すとしよう。俺が今朝、一体何をしていたのかを」
そうして、シロウさんはその口を重そうに開いた。
まっことッ申し訳ありませんでしたァ!スランプ気味になり、2ヶ月も投稿を怠っていました。しかし、HF第三章を見に行き、スランプを脱出したため、投稿を再開出来ました。ですので、今までの分を取り返すため、週に必ず1話は投稿したいと思っています。
もう一度、この小説を待っていた方がいましたら、本当に申し訳ありませんでした。もしこれからも見続けて頂けるのでしたら、何卒よろしくお願いします。