正義の味方を目指すのは間違っているだろうか?   作:Abc

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第8話

「では、約束通り話すとしよう。俺が今朝、一体何をしていたのかを」

 

 そうして、シロウさんは重そうに口を開いた。

 

「取り敢えず、最初にこれを見て欲しい」

 

「はい」

 

 裏返されていた紙を渡される。

 

「これは…ステータス…?」

 

「ああ、俺のステータスだ。そのステータスの魔法の欄を見てくれ」

 

 指示された通り、紙の下方へと目を移す。

 

「えっと…『製造魔法』…?」

 

「それが俺の魔法だ。ベルにも何度か見せているだろう?」

 

 そうだ。僕は何回か、シロウさんが魔法を使うところを見ている。トレース・オン、という言葉に呼応し剣が生み出されるところを。でも、おかしい。だってこれ…

 

「でも、シロウさん、これ、詠唱が書かれてないですよ?『自己詠唱』とだけ…」

 

「それを説明させてもらう。朝の出来事とも繋がっているのでな」

 

 シロウさんは一度間を置き、また口を開いた。

 

「まず、魔法には詠唱が必要だ。これはベルも分かっているだろう?」

 

「はい、もちろんそれは」

 

「だが、これにも例外がある。それが速攻魔法というものだ」

 

「速攻魔法ですか?」

 

「ああ、詠唱が必要無く、魔法名のみで発動する魔法だ。名前の通り、速さに特化した効果のものが多い。威力は控えめだがな」

 

「じゃあ、シロウさんの魔法もそれと同じ種類の魔法なんですか?」

 

「それが、違う」

 

 首をすくめ、自分自身も解らない、といった風にシロウさんは首を横に振る。

 

「俺も最初はベルと同じ結論になった。だが、『自己詠唱』これがあることで、速攻魔法とは別物だということが分かった」

 

 渋い顔をして更に言葉を紡ぐ。

 

「この『自己詠唱』という特性は、自分で詠唱を決められる、というものだった」

 

「自分でですか!?」

 

 さすがにまだ駆け出しの自分でもそれが大変なことだというのが分かった。魔法自体が持つ特性としては、それは異常過ぎるからだ。

 

「そして、この魔法は詠唱の長さによって威力、効果が変わる魔法だった。長ければ長いほど強く、短ければ短いほど弱く、といったようにな。さらに、こんな不安定な特性を持った魔法だからか、詠唱が長い場合は制御が難しくなるというデメリットまである……ここまで言えばもう察してもらえたか?」

 

 ……ああ、ここまで言われて理解出来ないほど僕の頭は悪くない。だから僕は、これから告げられるであろう事を前にして、

 

「……はい」

 

 としか返事が出来なかった。

 

「ではこれ以上の細かい説明は省き、結論だけ言わせてもらおう」

 

 今日一番の悲痛な表情を浮かべ、シロウさんは重苦しくこう言い放った。

 

「俺は……この魔法が発現してから約一年間、一度も長文詠唱の制御に成功したことがない……」

 

 

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