少し本好きの下剋上? 〜目的の為に全力でいく〜 作:名無し
あれから三日経ち、ある程度回復した。熱も下がり初め、この世界での食事もした。
日本に比べると味は薄味で旨味も微妙だった。料理に関する技術もそこまで無いのだろう。そこまで不味い訳では無いのが有難い。
魔力関係も出来ることは毎日やるつもりだったので、この三日間も練習はした。中々難しいが一週間程で圧縮もどきは出来るだろう。
「マイン、ラティス、終わった?」
「うん」
マインと同じく返事をし、皿を受け取りにきたトゥーリへ空になった皿を渡す。まだ大人しく寝なければならないので、ベッドへ横になる。
「ちゃんと寝ててね、マイン。ラティスは大人しくしてるんだから」
実は、この三日間寝室から出ていない。
基本ずっとベッドにいて、トイレの時だけベッドの外に出られる。
知っていたとはいえ衝撃的なトイレ。なんと寝室にあるおまるにするのだ。現代人からしたら相当な羞恥プレイである。
……おむつをするよりはなんというか新鮮味がある分マシ……か?
家族全員そうしており、この世界では当たり前のことで、その後中身は窓から放り投げる。その光景は最早面白く感じる。
……せめて肥料にするくらいして欲しくはあるよな。街中にポイは物理的にも精神的にもどうなのだろう?
そんな中でお風呂なんてあるはずもなく、マインはそれについて訴えた後、家族に変な顔をされながらなんとか体を拭いてもらっていた。
ついでに俺もやって貰ったが、何故か変な顔はされなかった。おそらくは、真似っ子かなにかだと思われたのだろう。
臭いはするものの、汗は拭けたので意味は多少あっただろう。
……身代わりマイン、あざっす!
原作を知っているとはいえ、絶対に少しずつ変化していくだろう。頼りすぎないようにしながら進めていくしかない。
ある程度の価値の情報として捉えておけば問題は無い。特に設定云々は有益だ。
たしか今日はマインが家の中を探索するはずだが、手伝いはせず大人しく寝ておく事にする。
魔力を弄り始めた影響か、マインに比べると治りが少しだけ遅い。上手く弄れていれば問題は無いだろうが、始めたばかりだからだろう。
差が大きい訳では無いものの、そのうち、という事もあるだろう。気をつけるようにしなければ。
「マイン、寝てる?」
ドアからひょっこりと顔を出したトゥーリ。トゥーリのひょっこりは可愛いが万人がそうではない。例えば、あの蝶ネクタイの人とか。
そしてマインだけ警戒されている。これは可哀想だが、当たり前だろう。
意識が戻る度にベッドから抜け出し、家の中を彷徨いてはぶっ倒れるのだ。誰だって心配はするし家族なら尚更気にするだろう。
……当の本人は自覚がないんだよな。残念な事に。
昼間は仕事に出かける母親から子守りを頼まれているトゥーリは、本気で心配している。
マインが小柄な事もあり、トゥーリでも暴れたり倒れたりするマインを運ぶことが出来るのが良かったと常々思う。
「いつか絶対に『下剋上』してやる」
「マイン、何て?」
「……ん? 大きくなりたいなって」
本音がダダ漏れである。下克上なんて言う事は無くなる筈だったが、この頃はこんな感じだった。
そんな言葉の意味に気づくはずもなく、トゥーリは困ったように笑った。
「マインが病気しなくなったら、大きくなれるよ。病気ばっかりだから、ご飯も食べられなくて、5歳なのに3歳に間違われることもあるんだから」
これは俺にも適用される。男という事もあり多少は伸びやすいものの、差がでる成長期はまだまだ先なので、似たような体質のマインとはあまり変わらない。
おそらくは一メートルもないだろう。間違われない訳が無い。現代ならば、病院へ行った方がいいかもしれない。
「トゥーリは大きい?」
「あたしは6歳だけど、7~8歳に間違われることが多いから、ちょっと大きい方じゃない?」
「そっか」
一歳差の筈なのにこの差。身食いの大変さがよくわかる。
マインは素っ気ない返事をしているようだが、その顔は完全に諦める気のない顔だ。
「母さん、お仕事に行ったから、お皿洗ってくるね。絶対にベッドから出ちゃダメよ。寝てないと病気治らないし、治らなかったら大きくなれないよ?」
「わかった」
マインは昨夜から良い子を演じているが、トゥーリが外へ行く時間を見計らっているのだろう。
「じゃあ、行ってくるね。いいこで待ってて」
「はぁい」
マインが待ち望んでいた時間がやってくる。
トゥーリは外にあるであろう共用水場へ向かったのだろう。食器の籠を抱えていた筈だ。
そして鍵をかけたのかガチャンという音がして、足音が遠ざかっていく。
完全に聞こえなくなった辺りでマインがそっとベッドから降りる。
寝たふりをしている俺の事は眼中に無いのか、起こさないよう音に気をつける程度でこちらを向く様子も無い。
まだ家族とかそういう頃じゃないとはいえ、もう少し考えようぜ?
「ここにあれば、話は早かったんだけど……」
この部屋は本棚は勿論無い上に、ベッドに木の箱に籠程度しか目立ったものはない。
横にある籠には木や藁で作られた子供用のおもちゃがあるものの、流石に遊ぶ気にはなれない。
「ぃやぁ……」
マインが本気で嫌そうな声を出した。この三日間も嫌そうな顔をする場面があったので、そのせいだろう。
この家は土足の習慣なので小さな砂が足の裏に引っ付く。
マインは靴を取られているので、その状態になっているのだろう。これぐらいは慣れなければならない。
「くっ、高すぎ……」
寝室のドアノブはそれなりの高さ、背伸びをしてようやくといった場所にあるので、回すのは困難だろう。
「ふんぬぅ……」
踏み台として木箱を移動させようとしているのだろうが、俺達レベルだと力が無さ過ぎてビクともしない。
「マジで早く大きくならなきゃできないことが多すぎるよ、これ」
次は親の布団を丸めて踏み台にし始めた。自分の布団が汚れるのが嫌なのだろう。
……序盤こんなだったっけ? いや、こんなだったか。
「へわっ!?」
大声を突然出してどうしたのかと顔を向けると後ろ向きに転がり始めていた。
……何してるんだろ、ほんと。
「うわわわっ!」
そしてそのまま転がっていった。布団からも出て床に頭を打った。
「いったぁ……」
痛そうではあるが自業自得だし、ドアは確かに空いたので問題ないだろう。
「やった。開いた!」
予想通り何事も無かったかのように飛び上がって喜んだ。そしてドアを開け放ったが、両親の布団がそれに巻き込まれて移動した。
そこまで詳しく見えないものの、あの辺だけ床が綺麗になっている。両親が可哀想だ。
そのままマインは台所の方へ行ってしまう。絶望して倒れないことを祈る。
この家の構造はそこまで難しくない。そもそも部屋数も寝室、台所、物置の三つ程だ。
活字すら殆どなく、たしか市場にあるぐらいの筈だ。
平民は文字を読むことすら出来ないため、文字を使う事も無い。学ぶ事が無いからだ。
現代知識があるとはいえ、別言語なので文字を覚えるのは少し苦労するだろう。
転生ものにしては恵まれていない方かもしれないが、これぐらいが普通な気もする。
ガチャンという音や足音がするので探索はしているのだろうが、残念な事に一向に見つからない筈だ。
「……ない。全然ないっ! 一つもない! 何なの、この家!?」
マインの叫びが聞こえてきた。心の底から思っていることだろう。
本どころか活字もない。本なんて無いと考えてもなんら不思議はない。
「マイン! なんで寝てないの!? 靴もないのにベッドから降りちゃダメでしょ!」
トゥーリが丁度帰ってきたようで、ベッドに居らず台所にいるマインを叱る。
声はあまり聞こえないが、マインが泣いている事がわかる。直ぐにこちらに運ばれるだろうが、今日はとにかく泣いて意識は本にだけ向けられているだろう。
出来ることなら教えてあげたいが、変な事をしてあの人に会えなくなるのは避けなければならない。
当面はサポートに回るが、マインはかなり可哀想である。挫けず頑張ってほしい。
とりあえず、寝たふりは続行してご飯時に起きたことにしよう。それまでは魔力弄りだ。マインは気づかないだろうから。
……神への祈りって、今からでも少しぐらいは意味あるか? やっておくに越したことはないだろうし、祈りは捧げておこう。
手伝いはしません。寝たふりです。
マインもですが、ラティスも中々酷いですね。
初めの頃はネタバレは何処まであっていいだろう?
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ガッツリあっても大丈夫!
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半々ぐらい?
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分かりづらい程度で……
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ほぼ無しでオナシャス
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勝手にしてもいいのよ?