少し本好きの下剋上? 〜目的の為に全力でいく〜 作:名無し
昨日はマインが凄かった。大泣きをしていたためか家族も少しそっとしておくような形になっていた。
そんな中で大人しくしていた俺はなんとなく有り難そうに見られた。
……マインと比べればねえ。
今日は熱が下がったので元気と言える程にはなった。頭痛もしないので妙にスッキリしている。
「二人とも、熱は下がったわね」
母が洗い物を終えたばかりの冷たい手で俺とマインのおでこに触る。マインは泣いたおかげで腫れた目にもあてられていた。アイシング代わりにはならないだろうか。
「ねぇ、マインとラティスが元気なら、今日は一緒に買い物行こうか?」
「え? 母さん、お仕事は? わたし、熱下がったのに、仕事休んでいいの?」
「母さんが良いって言うなら行きたい」
無難に返したが、行ってみたいと言っていたら怪しまれただろうか。記憶のほとんど無い頃に行っていたら危なかったかもしれない。
すると首を傾げるマインをみて、母さんが悲しそうに目を伏せた。
「トゥーリもマインの看病ばかりじゃなくて、少しくらい外に行かせてあげないと可哀想だし、昨日はあんたが泣きやまなくてトゥーリが困り果ててたし、マインが寂しがって泣いてるんじゃないかって言ってたから、周りの人達に無理言って休ませてもらったのよ」
殆どマインのせいであり、マインのおかげだ。かなり迷惑ではあるが、優しさが滲み出ている。これで少しは感謝するだろう。
「ご、ごめん、なさい」
「マインが謝ることじゃないでしょ。病気の時は心細いものだからね」
……これは口だけの感謝だろう。多分、頭の中ではどうでもいいと思って本だけだったはずだ。罪悪感はあるだろうけど。
「トゥーリはみんなと一緒に近くの森へ行くけど、病み上がりのマインはまだ無理だからね。母さんと買い物に行こうか?」
「うん!」
「あら、急に元気になったじゃない」
やっぱり母さんといられるのが嬉しいのね、と母さんが嬉しそうに笑っている。
マインも母さんに向けて笑顔を送っている。
「ふふっ、楽しみなんだもん」
誤解を解く気は無いが内心は本があるかもと張り切っていることだろう。
悲しいことに買って貰えるような本なんて無いのだが。
「じゃあ、母さん。行ってきます」
トゥーリが満面の笑みでドアから寝室を覗き込んできた。久しぶりに子守りから解放されるので嬉しいのだろう。
「みんなと一緒に行くんだよ。気を付けてね」
「はーい」
トゥーリは大きな籠を背負って、弾むような足取りで駆けていく。薪拾いをしに行くのだ。ついでに木の実や茸も探しに行くらしい。
この世界には学校なんてものはなく、子供は全員手伝いか仕事をしている。
もう少し歳を重ねると仕事の見習いを始めることになる。それは俺にも当てはまる。特にやりたい仕事はないが、商人見習いが妥当だろう。
マインに着いていくのでその流れで俺も商人見習いをするつもりだ。やらなくても良いなら見習いはしなくてもよかったのだが、これが常識なのでやらない訳にはいかない。
……円滑に進むよう調整していかなければ。
「じゃあ、マイン、ラティス。わたし達も買い物に行きましょうか」
初めてのお出かけであるが、もっふもふになるぐらい着込むことになった。ダメージが少なくなりそうだ。
今の季節は冬らしく、家の中ではそこまで寒くないのだが、外は相当寒いのだろう。
準備が済み、いざ外に出ると猛烈な寒さだった。
寒い上に臭いとか。慣れれば平気そうとかそういう問題じゃないだろ、これ。
階段を降りていくが階数が多い。降りきって数えてみれば7階建ての5階に我が家があるようだった。
急な上に長いので降りきった時にはかなり体力を消耗した。
この体思ったより体力が無いな。安全を期して少しずつつけていくしかないな。不便だ。
「ぜぇ、ぜぇ……。母さん、息、苦しい。ちょっと待って」
「まだ家を出たところなのに、大丈夫?」
「ん。大丈夫。行く」
「ラティスは大丈夫?」
「うん、平気」
集合住宅のすぐ側には共用の井戸があった。小さな広場のようにもなっていて、文字通り井戸端会議がされてそうだ。
普段トゥーリや母さんが使っているのはここだろう。
「母さんは洗濯した?」
「えぇ、もう終わってるわ」
おそらくマインはまだ薄汚れていることを気にしているのだろう。洗剤の改良を考えてそうだ。
一本だけ表通りに繋がっている道を通ると大通りに出た。
正に外国といった街並みで、石畳の道に荷馬車やロバのような動物が行き交い、両脇には店が並んでいた。
マインはそんな街並みを見て目を輝かせていた。
「母さん、どのお店に行くの?」
「まぁ、マイン。何を言っているの? わたし達が行くのは市場よ? お店にはほとんど用がないもの」
ここにあるしっかりとした店はお金がある人が使うものらしく、貧しい庶民は市場の立つ日に買い物をするらしい。
本屋は無いはずだがマインはそれを知らず、懸命に探している。
「あ、お城?」
「あっちは神殿よ? マインもラティスも7つになれば、洗礼式で行くことになるわ」
白っぽい石造りでどこか威厳のある雰囲気が漂う建物はなんと神殿らしい。
あれが本物の神殿か。なんとなく感慨深いな。
「母さん、あの壁は?」
「城壁よ。中には領主様のいらっしゃるお城やお貴族様のお屋敷なんかがあるわ。まぁ、わたし達にはあまり関係ないところね」
「ふぅん」
「へー」
あの奥にあるのが貴族街なのだろう。パッと見ただの高い石の壁だが、何か仕組みがあっただろうか。無かったとは思うが。
「じゃあ、あっちの壁は?」
「あれは外壁。街を守る壁よ。この道を真っ直ぐ行ったところにある門で、父さんが仕事をしているでしょ?」
「……父さんが?」
門番の仕事は大変そうだが、誰も通らなければ多少楽になるのだろうか。気になる所だ。
そういえばこの街は結局大きいのだろうか。この領の中では一番だろうが、国的にはどうなのだろうか。どうでもいいことだけれど。
「マイン、ラティス、市場に行きましょう。いいものがなくなってしまうわ」
「うん」
「はーい」
市場へ向かいつつ、マインと同じように周りを確認する。
店についている看板はイラストばかりで記号らしきものすら見当たらない。
分かりやすいものの、店名で名指し出来なくて不便なことは無いのだろうか。
「マイン、ラティス、人が多いから、母さんから離れちゃダメよ」
「……ぅん」
「はい」
マインが少し絶望しかけた顔をしているうちに市場へ着いた。
露店がぎっちりと並び、多くの人が行き交っている。少し前までの日本の屋台ぐらいはあるのではないだろうか。最近は減ってしまったが。
「母さん、あれ! 何か『書いて』ある!」
何かある度マインが聞いてくれるので助かるが、少しは落ち着けないのだろうか。今回は初めての文字なのでしょうがない気もするが。
かなり興奮しているのか、マインの顔が紅潮している。倒れないように本気で願う。
「あぁ、値段よ。いくらで買えるかわかるようになっているのよ」
「なんて書いてあるの!?」
いきなり元気になったマインに母さんが驚いているが、しっかりと答えてくれている。
その後手当り次第になんて書いてあるか聞いていき、知っている数字と書いてあるものが繋がったようで、ついに読めるようになった。
「じゃあ、これは30リオン?」
マインは自分の読んだ数字があっているか聞き、反応を見つめる。
本来数字なんて知らない筈で読める訳がないのだが、しっかり正解したマインに母さんが目を瞬いた。
「こんなにすぐに覚えてしまうなんてすごいわ、マイン」
「んふ~」
マインが喜んでいるところ悪い気もするが、一応マインへのアピールとして俺も適当に読むことにする。
「……じゃあこれは20リオン?」
「あら、ラティスも覚えたの? 二人とも凄いわね」
「ラティスも? ……以外と普通なのかな?」
息子も読めることに驚いている母さんの傍で、マインが認識を改めようとしている。
……失敗ではないよな? まあその内正しく変わるだろ。
なんとも難しいですね。なるべく原作と同じように進めるつもりですが、辛い所は多そう。
初めの頃はネタバレは何処まであっていいだろう?
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ガッツリあっても大丈夫!
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半々ぐらい?
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分かりづらい程度で……
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ほぼ無しでオナシャス
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勝手にしてもいいのよ?