少し本好きの下剋上? 〜目的の為に全力でいく〜   作:名無し

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生の加工って刺激が強いよね

「じゃあ、後はお肉ね。そろそろたくさん買って、塩漬けや燻製にしておかなくちゃ」

 

 野菜や果物を買い終えた母さんが市場の奥の方へと入っていく。肉を売っているのは外壁に近い辺りに並んでいるかららしい。

 

「なんでたくさん買うの?」

「冬支度しなくちゃいけないでしょ? この時期は、どの農家でも冬が越せるだけの家畜を残して、他を潰すから、一年で一番肉がたくさん売られる時期なのよ。動物達も冬籠りに向けて栄養を付けるから、脂の乗った美味しい肉が手に入るわ」

「……えーと、冬って、市場もなくなるものなの?」

「当たり前でしょ? 冬に採れる野菜なんてほとんどないじゃない。市場が開かれる回数はぐっと減るわよ」

 

 雪の冷蔵庫ってこういう時に使うんだっけ? さすがに覚えてない。でもあれはたしかいい効果があったような。覚えてないけど。

 昔は冷蔵庫なんて便利なものはないから各々で冬の間の諸々を準備しなければならなかった。それはこっちでも同じだろう。

 

「……冬支度なんて、したことないよ」

「何か言った?」

「ううん」

 

 そりゃそうだろう、とツッコミたいが必要ないので大人しくしておく。手伝わされそうだが、どこまでやらされるだろうか。

 

「……く、臭い」

「肉の匂いよ」

 

 肉屋に近づくにつれ少しずつ異臭が強くなっていく。マインは少しずつ涙目になっていく。

 

 ……早々嗅ぐ機会などないが、この臭いはたしか本物のやつ。

 

 肉屋に辿り着くと、そこにはよくあるベーコンやハムの他に、まだ少し動物の形を残したもも肉が並べられていた。店の奥には血抜きされた動物がぶら下がっていて、現代日本人なら大抵はアウトであろう見た目になっているうさぎや鳥が並んでいる。

 

「……」

「ひぎゃあああぁぁぁ!」

「どうしたの、マイン!?」

 

 マインもその中の一人のようで、見た瞬間に叫んだ。目が完全に見開かれているため、閉じたくても閉じられないのではないだろうか。

 

「マイン!? マイン!?」

 

 母さんが必死に呼びかけて揺さぶるがマインはそれに対して反応していない。

 その時、豚が悲鳴をあげながら解体され始めそうになり、周囲の人々が今か今かと待ちわびている光景が繰り広げられた。

 

「ひぅっ!?」

「……あらら」

 

 小さな悲鳴を上げて、マインはその場で気絶した。そのすぐ後で豚は解体され始めた。

 

 

 

 

 

 倒れたマインを急いで抱えて近くの酒屋へ行き、気付け用かもしれない酒を買ってマインに飲ませる。

 

 気付けとして酒のようなものをマインに飲ませようとする母さんは、現代なら捕まりそうだと思わなくもない。

 ブランデーは気付けとして有名らしいが、実際はどうなんだろうか。今はちゃんとした薬があるので詳しくはない。

 

「ぅえほっ! げほっ! ごほっ!」

 

 無理やりアルコールを飲まされたマインは思いっきり咳き込みながら飛び起きる。

 匂いでもわかる程のアルコールなので、相当キツいだろう。

 

 

「マイン、気が付いた? よかった。気付けが利いたのね」

「こほっ!……母さん?」

 

 ホッとした顔でマインを抱き締める母さん。マインの心の中では激しいツッコミが行われているだろう。

 

「さぁ、マイン。気が付いたなら、お肉を買いに行くわよ」

「ぅえっ!?」

 

 マインがあの光景を見たせいで倒れたという事に気付いていないとはいえ、さすがに可哀想だ。鬼畜と思われていそうだ。

 

「……えぇっと、まだ気持ち悪くて……ここで座ってる。母さん、行ってきて」

「え? でも……」

 

 渋る母さんを見てマインはくるりと後ろを振り向き、酒屋のおばさんに頼み込み始めた。

 

「あの、おばさん、ここで待たせてください。迷惑かけないように、じっと座ってます」

「小さいのにしっかりしたお嬢ちゃんだねぇ。酒も買ってもらってるし、いいよ。早く買い物を終わらせておいで。気持ち悪いと言ってる子供を連れ回して、また倒れたら大変だろ?」

 

 酒を買って貰っているからか、笑いながら軽く請け負ってくれた。

 すると隣の雑貨屋のおじさんが、気の毒そうにマインを見て手招いた。

 

「店の中の方に入っていれば、さらっていくような奴もおらんじゃろうし……」

 

 承諾を得たマインは心底ホッとした表情をした。母さんも一応納得したようで俺を連れて肉屋へ戻る。  きっとマインは少し暴走するだろうが、酷い事態になる前に戻れるようにしたい。

 

 

 

 

 

「そ、そんなっ!?」

 

 肉屋での買い物が終わり、預かってくれていた雑貨屋へ向かうと、マインの驚いたような声が聞こえてきた。

 

「マイン、お待たせ。行くわよ」

「母さん、ラティス」

 

 母さんがマインに声を掛けると、マインが突然泣き出した。本についてが理由だった気がする。

 

「どうしたの、マイン? 何かされたの!?」

「ち、違う、違う!」

 

 そう言って店主へ剣呑な目を向ける母さん。普通そうなるが、やられた方はたまったもんではないだろう。

 

「さっきのやつのせいじゃない?」

「そ、そう。この辺が気持ち悪いの。母さん、さっき何飲ませたの? 起きてからずっと変なの」

「……あぁ、気付けの酒が利きすぎたのかもしれないねぇ。家に帰ったら水を飲んでおとなしくしてれば大丈夫よ」

 

 フォローのようなことはしたが、必要は無かっただろう。母さんは納得しているので良かった。

 あれ程のアルコールは体に悪いだろうが、この世界では大丈夫なのかもしれない。

 母さんはマインの腕を引っ張り帰ることを促す。マインは店主二人にニッコリ笑った。

 

「座らせてくれてありがとう」

 

 頭を下げずに笑顔で済ませたが、二人が笑っている以上、この世界ではこれが正しいだろう。

 笑顔で見送ってくれた辺り、仲良くなっていそうではある。

 

「マイン、まだ気持ち悪い?」

「……うん」

 

 マインは行きに比べると極端に口数が減り、返す言葉も少なくなった。おそらくはまた絶望しているのだろう。

 これだけの街に本屋がないのであれば、この世界に本屋が無いのではと過大に考えて。合ってると言えば合ってるとは思うが。

 

 外に出たので少しだけ出来るようになった魔力感知を試してみたが、そもそも魔術具が無いからか感知出来るものは無かった。

 薄く広がっている筈だが、出来ているかは確定出来ないので、早い内に確かめられるようにならないだろうか。

 

 ……てか、広げてるつもりになってるだけで魔力なんて動かせてなかったりして。何それ、泣いていい?

 押し込む感覚は出来てるから出来てる気もするんだがなあ。

 

 あの集合住宅に近づいてきて、マインの方が気になって見るとさっきまでの絶望した顔が何かを決意した顔になっている。

 作るつもりなんだろう。何処まで手伝いに入れるかは分からないが、始めから入らなければいけない。なるべく着いていくようにしよう。

 まだまだ道は長いな。

 




中々主人公が喋らないですね。口にしないだけですが。別人視点をやるべきかどうか……やるとしてもマイン以外は難しそうです。

初めの頃はネタバレは何処まであっていいだろう?

  • ガッツリあっても大丈夫!
  • 半々ぐらい?
  • 分かりづらい程度で……
  • ほぼ無しでオナシャス
  • 勝手にしてもいいのよ?
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