少し本好きの下剋上? 〜目的の為に全力でいく〜 作:名無し
「トゥーリ、わたしも森に行きたい。一緒に……」
「え!? マインが!? 無理だよ」
今日も一日暇だなと思いつつ色々構想しているとマインがまたなにか言い出した。どう考えても無理だろうと頭の中でバッサリ切る。
……こっちの生活とこの体に慣れてきたな。また、とか普通に考えたな。
「どうして?」
「だって、マインは歩けないでしょ? 門まで歩けないのに、森までなんて絶対に無理だよ。森に着いたら、薪拾ったり、木の実探したりするんだよ? ゆっくり休憩なんてできないんだから。それに、木登りもできないでしょ? 帰りは疲れているのに、重い荷物も背負って歩くんだよ? 門が閉まる時間に間に合うように帰るんだから、いくら疲れても休憩できないよ? ほら、マインには無理でしょ?」
トゥーリに論破されていくマイン。正にその通りなので反論の余地は無い。
「それに、もう冬が近いから、森で採れる物も減ってきてるし……」
冬か……たしかこの世界だと冬支度あるんだよな。まあ前世でも完全になかった訳ではないが。
「何が欲しいの? メリヤの実はもうほとんどないと思うよ?」
トゥーリがマインの求めている物は無いよと首をかしげながら言う。
メリヤの実か……この世界の植物を調べてスイーツを作ってみるのもいいな。色々と手段になるだろう。
「えーとね、『繊維がばらしやすい植物』ってあるかな?」
「え? 何?」
日本語久しぶりに聞いたな。今後使うことはあるだろうか。言霊的な何かに使えないだろうか。……使えないか。
「……ちょっと茎が太めで真っ直ぐな草。茎だけ欲しいの」
パピルス作るんだったか。あれ1から作るとそれなりの作業量と作業時間になるけど、昔の人はよくやってたよな。作り出したことが1番凄いが。
「そうね、ラルフやルッツに協力してみるわ」
「え?」
協力、ルッツかあ。……あの人まで長いなあ。まあ今更だけど。来るべき時まで準備する他ない。
「ラルフのところは鶏を飼っているから、冬を越すための飼料がいっぱいいるでしょ?」
鶏……焼き鳥食べたいな。再現は難しそうだからやる気はないが、マインが再現させないだろうか。
焼き鳥が再現されたら、普通のか、皮が食べたい所だ。
「だから、草を取るのを手伝う代わりに茎が少しもらえないかどうか聞いてみるってこと。でも、草が多い季節は終わったから、それほど多くないよ?」
「それでもいい。ありがとう、トゥーリ」
今話されていたこととは全く関係ない事を延々と考えていたら相談事は終わっていた。ただただ編み続けるだけの作業がそう遠くない所まで来ているだろう。
パピルス自体は本来大きめなのである程度数があればまだ楽に作れる。ただ、ここでマインが手に入れらるのは……。
パピルスは実は食べれるのだが、この世界では食べれる草はあっただろうか。パピルスは焼いて食べるか、生のまま汁を吸うかが出来たらしい。美味しくはないだろうが。まあ食べられるのだからマシだったのだろう。
次の日、早速マインがトゥーリと共にラルフとルッツに頼んでいた。引き受けてくれたことにほっとしていたようだった。紙作りのための第一目標達成といったところか。
「母さん、わたしも井戸まで一緒に行く」
「あら、お手伝いしたいの?」
「ううん。違う」
「草を集めるの」
そう言ってマインが母さんに向けて小さな籠を見せた。あれはトゥーリが前に作ったと言っていたやつではなかろうか。
「そう、頑張りなさい」
母さんがマインのことを止めなかったのは、やる気になっているからか、それとも動く体力的な事なのか……。どちらにせよ、拒否はしなかった。
これに参加しても良いのだが、特に参加する理由も無いので家の中で待つことにする。帰ってくるまで体力作り的な事でもしようか。
誰にも見られないなら自由に出来る。と言ってもウォーキングのような事を家でやるだけだから、文字通り歩き回っているだけにはなりそうだが。
「じゃあラティス、少しの間待っててね」
「はーい」
適当な返事にはなってしまったが、この前のトゥーリも同じような感じだったので問題ない。
そして、洗濯物を抱えてマインと共に階段を降りていった。
さて、ここから俺の無双タイム、って訳ではないしそんなの起きようが無いんだけれども。歩きながら考え事ぐらいしか本当にすること無いんだよな。魔力?あれは別。並行ぐらいだよ。
それはともかくとして、今の所はあまり原作と乖離せずにきていると言える。大筋も変わってないし、行動も俺が居るってぐらいだろう。
マインのせいで時代はガッツリ進むとは思うが、果たして何処で何処まで知識を出していいものか。マインに追従するような形が一番いいか。後出しだな。
タイミングが一番面倒とはいえ、それさえクリアすれば天才とか神童程度で済まされるはず。そもそもそれぐらいまで評価をあげなければ青色神官見習いになれないだろう。条件は高い。
そもそも身食いだからこそみたいな所はあるのだ、マインと共に過ごし、あの人に会う為には同等近くまで評価されなければならない。絶対にだ。
ここで青色神官見習いになるのは第2か第3関門ぐらいじゃなかろうか。最初の山場はやはり商人関連だろう。
マインの言っていることを理解し、噛み砕き、誰かにしっかり伝える事が出来るというのは始めの時点では少ない……というか、正確なという条件が付けば当てはまる人は恐らくいない。
ならそこを目指せば良いだろう。翻訳メインになる。いつも一緒にいる上、マイン語を翻訳出来るのだ、理由付けはマインと一緒にされやすいはず。そうすれば神官長の目にも止まりやすいはずだ。
しかし、どこかで応用した何かを発明した方が良いだろうか。これはまだ遅めでも間に合うものの、必須ではないだろうか。切り札になり得るものももう少し欲しい。
今の所は魔力関連が一番の切り札。ただ、あの人に会う為にはそれだけではきっと足りない。何かもう一押し、マインと共に認められる何かが欲しい。
正直、第三部にいくのはかなり辛い。俺の役職が無いのだ。ないなら無いでそのままでも良いのだが、果たして何処まで有効か……。
とにかく、目先にあるのは商人……見習い志望からのなんだ? 翻訳者にでもなればいいのか? 具体的な役職となると今の所は無いな。まあマインに着いていけば問題ない。主人公というのは得てしてそういうものだからな。
「ただいま、ラティス」
「……ただいま」
「おかえり、母さん、マイン」
いつの間にか結構な時間が過ぎていたようで、母さんとマインが帰ってきた。マインの方は少し残念そうだ。それに、言い慣れてないみたいな感覚だ。
「準備できた? じゃあ、行くわよ」
「うん」
「はい」
普段、俺とマインは近所の子守りのばあさんのところに預けられていたらしい。理由は簡単、何時までも仕事を休めるわけでは無いし、トゥーリも森へ行けなくなってしまう。
俺としては理由より子守りをする人がいる事の方が驚きだが。昔はこんなものだったのだろう。現代で言う保育士やらなんやらだ。仕事にしたら割と稼げそう……か?
「母さんは仕事に行ってくるけど、マインはここでおとなしくしていてちょうだい」
「うん」
「ラティスはいつも通りおとなしくね」
「わかった」
「ゲルダ、よろしくね」
「はいはい。おいで、マイン、ラティス」
ここには俺達みたいな子供が何人か預けられていた。基本的には歩くことが出来るようになったばかりぐらい。
そしてここでは3歳を超えて体力がついてくると、兄や姉に連れられて森に行ったり、家のお手伝いをして留守番できるようになる。
そこから導き出されるのは、俺達はこの子達と同じぐらいで、留守番出来るかも怪しいということだ。よく体調崩すから仕方ない。
隣ではマインが愕然とした表情で固まっている。体調をよく崩していることを忘れているのだろうか。
そんなマインの前で、床に落ちているおもちゃを口に入れようとしている男の子がいた。またその隣、俺の前では、小さな女の子が男の子にぶたれて泣き始めた。
「こら、汚いっ! ばっちぃから口に入れちゃダメ!」
「あらあら」
「いきなりぶっちゃダメでしょ。どうしてそんなことしたの?」
「まぁまぁ」
マインが何故か周りの子の面倒を見始める。ゲルダばあさんはあらあらまぁまぁしか言っていない。何とも言えないカオス空間の出来上がりだ。
なんで手伝わないのかって? マインがやるからいいかなって。
そしてゲルダばあさんとマインと一緒に子供たちを寝かしつける。ぼーっと突っ立っていたら手伝えと言われた。解せぬ。
さて、これからどうしたものか。マインは難しい顔をしたり、首を傾げたり忙しそうなので放置するとして。
特にする事はないので、適当に歩き回ろうか。しかしあまり音をたてたら子供たちを起こしてしまうかもしれない。
うーむ、なら魔力の方をやろう。マインはまだ感知なんて出来ないはずなのでわからないだろう。そもそも外に出す気はないし。
そんな感じで黙々と動かしていると、いつの間にか夕方になっていた。
「マイン、ラティス、迎えに来たよ」
「トゥーリィ~!」
トゥーリ達が森の帰りに迎えに来たことに凄く喜んでいるマイン。それはそうだろう。現代からすれば劣悪極まりない環境となっていた。
まず子守りが子守りでは無かった。危険がないようにするだけで後は放置。おもらししたら濡れた布で拭いて放置。部屋の中は汚物臭い。
とはいえ、俺達にはどうしようもない事も事実なので耐えるしかなかった。マインはトゥーリ達が来るまでずっと耐えていたのだ。日本の常識しか殆ど無い中でよくやったものだ。きっと相当苦痛だっただろう。
俺は最早無の境地で魔力を弄っていたので考えなかった。あれは辛い。硫黄臭の方がまだいい。
「どうしたの、マイン? 久し振りに預けられたから、寂しかった?」
「マインももうちょっと体力があれば一緒に森へ行けるのにな」
「マインもラティスも春には行けるようになればいいな」
マインはトゥーリに頭をポンポンされ、ラルフとルッツに慰められた。体力無いって大変だよな。
「そうそう、約束してた草の茎、採ってきたぞ」
籠の中にある茎をガシッと掴み、ラルフがマインに見せる。するとマインの顔が一気に笑顔になる。ゲルダばあさんのことがとんでいったのだろう。
「いっぱいだね。嬉しい! あのね、わたしも今日は井戸のところで草をちょっと集めたんだよ」
マインが胸を張ってドヤると、3人がマインの頭を撫でた。その上、ルッツから「よく頑張ったな」の生暖かい笑顔で褒められていた。
納得のいかない顔をしつつも、マインはトゥーリに取ってきてもらった小さい籠の中の草と、三人が採ってきてくれた茎の束を交換する。
パピルス作り始めるんだろうな。そして、挫折するんだろうな。……仮にこの茎で絶対作るとして、真面目にやったらどれだけ時間がかかる事か……小さ過ぎる。実際に使うのは数メートルはある草の茎なのに。まあ頑張れ、マイン。
次回、パピルスもどきを作る。どう考えたって挫折します、ありがとうございました。
実際のパピルスはパピルスを使っているのでこのそこら辺の草とも言えるようなものは使いません。多分。処理が多い上に時間も掛かるので、当時はとても高価だったそう。
うーん、パピルス。でも確かに量産出来る紙なので素晴らしい発明ではあると思うんですけどね。現代に慣れちゃうとね。
初めの頃はネタバレは何処まであっていいだろう?
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ガッツリあっても大丈夫!
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半々ぐらい?
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分かりづらい程度で……
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ほぼ無しでオナシャス
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勝手にしてもいいのよ?