『超次元ストーリーブラン・WITHCS』 作:輪廻・ミツラギ
あの日以来、俺はブランと図書館で一緒に過ごすのが楽しみとなり、今までトレーニングと勉学の事ばかりの日記も賑やかになり始めた。だが、これが大きな戦いへと繋がる事はまだ知らなかった。とある日の夜、大家さんに呼ばれ夕食を共にすることになった。大家さんの名前は『藤島ニン』。亡くなった父さんの祖父、つまり俺にとっては曽祖父となる。年は150を超えてるのに未だに現役で宮大工をやってるという元気ぶり。…凄いな、俺のひいお爺さん。
ニン「そういえば、アマト。お前、恋をしたそうじゃな」
アマト「ブフッ!?」
残った7本の歯と歯茎で分厚いローストビーフを噛み切りながらそう言った大家さんもといひい爺さんに驚き緑茶を吹いてしまった。
ニン「なに、言わんでも分かる。最近、妙に気分良く図書館へ行くのをよく見るからな。それで、そのお相手の名前はなんと言う?」
アマト「…彼女の名前は…『ブラン』。」
ニン「……なにっ!?ブランじゃと!?」
ひい爺さんは驚いていた。普段あまり動じないひい爺さんが驚くのは、かなり珍しいみたいだ…
アマト「?……ひい爺さん、ブランの知ってんのか?」
ニン「これ!呼び捨てにするでない!知ってるも何もその方は……」
と、その時。ニュースを流していたテレビが突然切り替わった。…というより、何者かにジャックされた。画面の中には髑髏の面を被った細身の男が映っていた。
ニン「な、なんじゃ!?」
骸骨の面の男『…キハハハハ!!!俺様は革命組織【錠零ノ団】の特攻隊長!!名は【リッパー】だ!』
ニン「【錠零ノ団】…じゃと!?」
アマト「俺も聞いたことある…!最近の犯罪者の中の半分はそいつらの信者だって!」
革命組織【錠零ノ団】。その目的は『女神統治を排除し、条例による統一社会を創る』事。その目的の一貫として各地で【錠零ノ団】の信者による犯罪が、相次いで発生している。
リッパー『この放送は、ルウィー全土に渡ってジャックした!何故そんなことをしたかって?理由は簡単!今から『この国の女神の公開処刑を行う』からなぁ!ヒハハハ!』
ニン「公開処刑…ホワイトハート様の…!?」
アマト「この国の女神の処刑…!?そんな事許せない…!」
リッパー『ヒハハハ!この国の女神の首をあの方に渡せば、俺様も晴れて幹部の仲間入りとなる!せいぜい画面越しに女神サマの首が飛ぶ瞬間を指をくわえて観てるがいいさ!ヒハハハ!!』
そう言い終わると、リッパーの後ろには手錠と足枷で繋がれ、宙づりにされた女神ホワイトハート…いや、自分にとって見覚えのある顔、そして栗色の髪を持った少女が映った。
アマト「っ!……ブラン!!!」
俺は、考えるよりも先に近くにあったバールを手に持ち、ひい爺さんの部屋を飛び出し、夜のルウィーの街に走り駆けた。
ニン「待て!アマト!お主も死んでしまうぞ!」
この時のひい爺さんの静止は、俺には聞こえなかった。
ブラン「クソっ…力が出ねぇ…!」
リッパー「ヒハハッ、そりゃそうさ!この手錠と足枷は女神の力を封印する特注品さ!どんなに力が強くても、それを壊すには女神化するか、それと同じぐらいの力が必要さ!ヒハハハハハ!」
ブラン「テメェ……!」
リッパーは長身のアサシンダガーを舐めながら嘲笑する。
リッパー「さて…そろそろ処刑の時間だ…!テメェら!カメラを回せ!」
信者たち「ハッ!」
信者たちがカメラを回そうとした瞬間、
アマト「彼女を離せ!!!」
俺は隠れ家の扉を蹴破り、リッパーの部下の一人を蹴飛ばした。
リッパー「何っ!?なんだテメェは!折角の放送を邪魔しやがって!」
アマト「俺はアマト!世界を護るヒーローになる男だ!」
ブラン「アマト…なんで来たんだよ……お前が死んでしまう…」
リッパー「ヒーローになるだと?ふざけたガキだ!テメェら!放送は中断だ!このガキを殺してからまとめて公開処刑にしろ!」
信者たち「御意!錠零のままに!」
錠零ノ団の信者たちは剣を抜き、俺に襲いかかってきた。
アマト「やってやる!たぁっ!」
俺は、襲いかかってきた信者たちを持っていたバールで対抗した。まずは縦に振り下ろしてきた剣をバールで、受け止め、腹に蹴りを入れる。
信者「ぐふっ!」
蹴られた信者は近くに並べられていた樽にぶつかり、気絶する。
信者「おのれ!」
次は3人がかりで襲ってきた信者たちをバールを横に思い切り振り、薙ぎ払う。薙ぎ払われた信者たちは壁に激突して気絶した。
リッパー「お前ら!クソっ!役に立たねえ信者だ!俺様が相手してやる!見せてやろう、俺様の力を…!」
すると、リッパーの身体から黒い霧が噴出される。
アマト「なんだ!?」
ブラン「…!気をつけて!アマト!」
アマト「気をつけてって…!何も見えない…!」
リッパー「ヒャッハー!」
突然、背後から斬り裂かれる。
アマト「ぐっ!?なんで背後から…!」
リッパー「コッチだよ!」
今度は真横から斬り裂かれる…。
アマト「ぐあっ!?一瞬で周られた…!」
リッパー「ヒハハハハハ!これが俺様のスキル『解体黒霧』(ファントムザ・リッパー)だ!この霧は俺様と一体化し、何処でも自在に現れることができる!そしてこの霧は女神程の力でないと払うことができねぇぞ!ほぉら!未熟なガキは斬り裂かれるだけだ!」
アマト「ぐああぁぁぁ!!」
全身に斬撃が襲いかかり、俺は膝をついた。
ブラン「アマト…!クソ…私が動ければ…!」
リッパー「ヒハハハハハ!!!確か、ヒーローに憧れるガキだったな!大した事ねぇじゃねぇか!」
アマト「ぐっ……!まだだ…!」
リッパー「まだ、立つのかぁ?だったらくたばれ!」
リッパーは、霧と同化して、バールを持ってた俺の右腕の肩をえぐる。
アマト「ぐっ……!!がぁぁぁ!!」
リッパー「ヒハハハハハ!これでお前は満足に戦えねぇ!ガキはすっこんでな!…さてと、信者らがやられちまったんじゃ、放送できねえな。まあ、首を落とした後に放送すればいいかぁ!」
アマト「や…めろ……!」
リッパー「ガキは大人しく見てろ!」
俺は立つのもやっとの両足に力を入れ、走りブランの前に立つ。
リッパー「あ"ぁ!?邪魔だ!そこをどきやがれ!」
アマト「どかねぇ!俺は……!ヒーローになるんだ…!その為の一歩として…!必ず、絶対に…!『好きになった人を護る』んだ!」
ブラン「…アマト………」
リッパー「ふざけやがって!ガキだから躊躇してたが、面倒くせえ!テメェから始末してやる!」
俺の首に刃が迫った。その時、眩い光が俺を包み込んだ。
リッパー「な…!?眩しい…!」
アマト「ここは…」
気がつくと俺は真っ白な空間にいた。
???「どうやら気がついたようだ。」
突然、光の玉が現れ、俺に話しかけてきた。
アマト「貴方は……誰でしょうか…?」
???「我が名は『ゼウス』。神だ。」
アマト「ゼウス…?もしかして、古い書物等に載っていた全能神の…」
ゼウス「あぁ。と、言ってもこの姿は精神体だ。本体はこの世界に干渉できぬからな」
アマト「本体…干渉…どういう事をでしょうか…」
俺はいつの間にか敬語で話していた。
ゼウス「うむ、なるべく簡潔に説明する。我はこことは違う世界の神だ。我ら神の決まり事で、自分の担当する世界と異なる世界に干渉する場合は、自身の精神のみしか行けない決まりなのだ。本体ごと行くと神同士の争いに発展しかねない。」
アマト「な、なるほど…それで、そのゼウス様は何故、俺に…?」
ゼウス「貴殿は、ヒーローになりたい。そう願っているな?」
アマト「え、えぇ。」
ゼウス「本来、神が個々の人間の願いを叶えるのはあまり良い事ではないが…その夢、叶えてやろう。」
アマト「っ!本当ですか!?」
ゼウス「あぁ。一人の神の生死の危機だからな。ただし、一つだけ条件がある。この力を与えると貴殿は擬似的な不老不死となる。」
アマト「擬似的な不老不死…?」
ゼウス「流石に命に関わるキズを負えば死となるが、それ以外では死ななくなる。即ち、この身体のまま長い年月を過ごすかもしれない。貴殿にはその覚悟と強い精神があるか?」
アマト「…そんなの決まってる。俺はヒーローになるんだ。そんな100年1000年生きれる程度で狂う精神なんかじゃねぇ!」
ゼウス「…よくぞ言った。では…」
ゼウスの精神は俺の懐に入った一枚の絵を取り出した。それは俺の理想のヒーロー像。ホワイトハートのような姿と力強さを持ったヒーロー。
ゼウス「これを…こう!」
ゼウスは俺の絵を一つの結晶のような形に変えた。
ゼウス「これで貴殿は、ヒーローに変身する。勿論、変身には掛け声が必要。その掛け声は…分かって……ず……」
再び、眩い光が輝き、俺は元の場所へ戻るそして……!
アマト(掛け声…そんなのとっくに決まってる!!行くぜ!)「チェンジ!スイッチオン!!!」
掛け声と同時に結晶を前に出す。すると赤と青のオーラが俺の身体を包み込んだ。
リッパー「な…!?何がおきてんだぁ!?」
ブラン「アマ…ト……!?」
オーラが消えるとそこには変身したアマトがいた。黒い髪は輝く水色に、赤く輝く瞳にホワイトハートを思わせる白いボディスーツ、青く輝く右腕と赤く燃え盛る左腕を持ち、下半身には真紅のマントをなびかせていた。
リッパー「な…なんなんだ、テメェは!」
アマト?「俺の名前は……!」
俺はリッパーを指差し、
ウィズクス「『ライジング-ウィズクス』!!!それが俺の名前だ!!!覚えておけ!」
続く。