お見苦しい点は多々あると思いますが、暖かい目で見守っていただければ幸いです。
第0話
3月
獣の咆哮 水の戯れ 風の行方 火の燻り 太陽の彼方へ
15歳の誕生日を迎えた朝。
俺はこの5つの単語を口にして目を覚ました・・・らしい。
自分では全く覚えていないが、朝いつまで経っても姿を現さない息子に業を煮やし、怒鳴り込んで来た母親が言うのだから間違いはないだろう。
今にして思えばその瞬間からだ。
この身体に異変が起きたのは。
1つは生活のリズムが激変したこと。
元々、規則正しいとまでは言えないが、自分なりに一定の生活リズムを保って生活してきた。就寝時間や起床時間なども大体は一定で起床時に誰かの世話になることはなかった。
しかし、その日を境にそれまで就寝していた時間になっても全く眠気が襲って来ない。夜も更ければ更けるほどに身体は活動的になっていく。そうなれば、当然就寝時間も遅くなり、起床するためには人の手を借りなければならない。
2つ目に太陽の光に弱くなったこと。
日中に差す太陽の光を浴びていると、どうにも身体がだるくなり、気まで滅入ってしまう。それが原因であろうか、それまでサマースポーツやウインタースポーツに精を出していたのが嘘のように家に引き篭るようになった。息子の堕落振りに我慢出来なくなった母親に家から叩き出されることも屡々であった。
3つ目は五感が異常に鋭敏になったことだ。
その中でも嗅覚と聴覚。そして視覚が群を抜いていた。元来、そのどれもが可もなく不可もなくと言う感じであったが、それが今ではどうだ。
嗅覚は意識すれば数キロ先の自宅の今日の夕食の献立が解るまでに発達。
聴覚もまた数キロ離れた先で1円玉が落ちた音さえも聞き取れるようになった。
視覚に関してもまた同様に数キロ離れた先に飛んでいる蝿さえも認識出来る程であった。
それに伴い、動体視力も大きく向上したようで自宅近くのバッティングセンターで試してみると、店舗の最高時速のゲージでホームランを量産し、自分のゲージに人の群れが出来上がってしまった。周囲の喧騒を他所に別のことに驚いている自分がいた。
140キロ以上で向かってくる野球ボールの縫い目どころではなくそこに書かれた小さな小さな文字までもがハッキリと認識できてしまうのだ。
異常発達は五感だけには留まらず、更には腕力や脚力等といった肉体的な部分にも影響が及び、もはや発達ではなく進化を遂げたと言っても過言ではなかった。
自分の身体にこれだけ奇妙なことが起これば流石に心配になる。
両親にこれまで身体に起こった異常を相談すると、2人も息子の変化に気が付いていた様子で街で最も大きな総合病院で検査を受けることとなった。
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結果は異常なし。
血液も脳も内臓も何一つ。
病院から自宅に戻る車内では両親の安堵した声が印象的であったが、後部座席の窓から外を眺めていた自分にはその景色が止まって見えていた。
自宅に着くと母親から適齢による成長期と加齢による老化という相反する2つの診断を下され、父親もそれに流石と言わんばかりに何度も頷き、母親に拍手を送っていた。
15歳にして加齢に老化とは正気かと思いつつも愛する息子が何事もなかったことを喜び、はしゃぐ両親に何も言わずに自室へ戻った。
初投稿でした。
見切り発車のためストックもまだないです。
設定もかなり無理があるような気がします。
更新頻度はだいぶ遅くなると思いますが、原作9巻くらいまでは書きたいなと思ってます。
タグは随時追加していきたいと思います。