ハイスクールD×D Yto   作:今日から禁煙

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梅雨に入ってジメジメして嫌な時期になりました。

第12話です。


第12話

薄れゆく意識の中で

あの日と同じような声が聞こえた

その声に俺は身を委ねた

 

―〇●〇―

 

彼が魔方陣の中に消えていく。

 

彼の姿を目にした時は驚きと同時に戸惑った。

 

何故ここに居るのか。

どうやって冥界まで来たのか。

私の顔など見たくないのではないか。

 

聞きたいことは山ほどあった。

 

でも、それ以上にこんな私の姿を彼に見られたくなかった。

 

彼に謝罪も出来ず、一生を賭けたゲームに挑んで無様に敗れ去り、着せ替え人形のように着飾った格好をさせられ、他の男の物になる自分を彼だけには見られたくなかった。

 

そんな私に彼は話がしたいと言った。

いつもの優しい笑顔ではなく、少し表情が固かったのは私が彼にしたしまったことへの答えなのだろう。

 

私は思わず彼から顔を逸らしてしまった。

 

私に歩み寄ろうとする彼がライザーに止められる。

 

式に参加していた悪魔達の視線が彼とライザーに集まる。

ライザーが何かを叫んでいたが、私は彼のことが気になり聞いていなかった。

 

ライザーの言葉に彼の表情が怒りに染まっていく。

 

お兄様の声が聞こえたのはその時だった。

 

お兄様は彼の前に立つ。異様な光景だった。人間である彼に冥界の頂点に立つお兄様が声を掛けているのは。

 

お兄様との会話の中で、彼が私の学友だと知るとライザーや他の悪魔達が騒ぎ始めた。

 

私はどうしたらいいのか分からずに、周囲を見渡してるいると、彼が私の姿を見て可愛いと言った。

 

恥ずかしくなり、顔を真っ赤にして伏せていると、ライザーの叫び声とお兄様の笑い声が聞こえ、彼も奇声を発してしゃがみ込んでいた。

 

会場中が笑いに包まれる中、彼とお兄様が対峙していた。

 

お兄様から発せられる空気が一瞬にして変わる。

普段の飄々とした表情から冥界を統べる魔王の表情になる。

 

彼の表情も変わっており、臆することなくお兄様の目を見据える。

 

私が固唾を飲んで二人の様子を窺っていると、お兄様が妖しく笑みを浮かべ、壇上に上がって彼とライザーの決闘を行うと宣言した。

 

ライザーがお兄様に抗議するも受け入れられずに渋々納得している。

 

彼がライザーと争う理由などどこにもない。

 

何より彼がこれ以上傷付く姿は見たくなかった。

 

ライザーはフェニックス家の中でも才児として有名であり、その実力は折り紙つきだ。

 

フェニックス一族特有の不死の力はどんな傷もたちどころに癒し、炎と風を操る。その炎は太陽に匹敵するほどの温度であり、全てを焼き尽くす。加えてライザーの性格は冷徹で残忍なところがあり、敵と定めた者を徹底的に叩きのめす。

 

そんなライザーと彼がやり合えば、人間である彼がどうなるかは火を見るより明らかであった。

 

私もお兄様に抗議しようとしたが、彼が私をじっと見ていた。

 

その瞳はまるで全てを理解した上で大丈夫と私に語りかけているようだった。

 

お兄様が私に視線を移して選択権を与えてくれたが、私は決心が出来なかった。

 

戸惑う私の側で彼が膝を着き、左手を握られると、手の甲に彼の唇が添えられた。

 

その様子にお兄様やライザーだけではなく会場中の悪魔達が驚いていた。

 

「後で話を聞かせてもらう」

 

彼の言葉に堪えていた涙が溢れた。

 

泣いてはいけない、涙を流してはいけない。自分の愚かな行動で彼を傷つけただけではなく、自分勝手な理由で勝ち目の薄い戦いに大事な眷属達を巻き込んでしまった。

 

そんな私に悲しむ権利などないと思っていた。

 

なのにライザーに敗れたあの瞬間、心の中で彼に助けを求めてしまった。

 

私の脳裏に様々な彼が浮かんでいく。

 

笑った彼、怒った彼、ふざける彼、不貞腐れる彼、真面目な彼、輝いている彼、眠そうな彼、男の顔を見せる彼。

 

彼と過ごしてきた日々が全身を駆け巡る。

 

(そうか。私はこんなにも彼のことを)

 

ずっと気づかないふりをしていた。

 

人間である彼と悪魔である私。

 

どう考えても幸せな結末を迎えることは出来ないだろうと。

 

だが、彼はいとも簡単にその壁を壊して私の心を占領した。最初からそんな壁など存在しないかのように。

 

「私も彼と話がしたいです」

 

気が付くと、お兄様に対してそう口にしていた。

 

もうこの気持ちに嘘はつけない。

彼に私の全てを委ねよう。

彼の身を案じながらそう決意した。

 

彼は私の頭を一撫ですると、魔方陣に向けて歩き出した。

 

撫でられた頭部に熱が籠る。

 

(ユウ君。どうか無事で帰って来て。)

 

私の言えた義理ではないが、彼の背中を見つめながらそう願うことしか出来なかった。

 

―〇●〇―

 

魔方陣で転移すると、殺風景な場所に立っていた。山の岩肌が剥き出しになった荒野のようなところだった。空は薄紫色で肌に風を感じることはない。ここが冥界だと言われれば納得してしまう。

 

「開始してください!」

 

ゲームを取り仕切る男性悪魔から戦いの開始が告げられる。

 

俺は大きく息を吐き、ライザーに向き直る・・・が、既にライザーは俺の目の前で拳を振り上げていた。

 

「おらぁ!」

 

咄嗟のことに回避も防御も不可能であり、ライザーの右拳が俺の左頬をまともに捉える。

 

大きく吹き飛ばされた俺は態勢を立て直そうと左手と両足で地面を掴み、踏ん張るも止まれず数十㍍地面を抉り、ようやく止まることが出来た。

 

「ずいぶんと余裕だな!」

 

ライザーがニヤニヤと笑みを浮かべながら此方の様子を窺っていた。

 

不意討ちとは、と思ったがライザーの言う通り油断していたのは確かだ。本当なら転移した瞬間からライザーを警戒しておかなければならなかった。

 

唾を吐くと血が混じっており、口の中が切れていた。

 

「じゃあ、いまから本番ということで」

 

勢いよく地面を蹴り、ライザーに向かっていく。

 

ライザーも俺のスピードが予想外だったようで一瞬狼狽えるも直ぐに嫌な笑みを浮かべる。

 

ライザーに懐に入り込み、拳を下から上に突き上げる。

難なく攻撃を躱わすライザーだが、この攻撃が躱わされること織り込みで本当の狙いはこの後に吹き荒れる暴風でライザーの動きを止めることだった。

 

予想通り暴風がライザーを襲う。俺は一撃入れるべく次の動作に入る。

 

「甘いんだよ」

 

ライザーの蹴りが腹部に突き刺さる。

 

轟音と共に巨大な岩に激突すると岩は粉々に砕けた。

 

「フェニックスである俺は炎だけでなく風も操るんでな。その程度の風はそよ風程度にしか感じん」

 

激突した岩に視線を向けながらスーツの襟を直すライザー。

 

「ご高説痛み入る」

 

俺は全身に走る痛みの中でライザーの姿を確認するが、砂塵でよく見えない。ならば、ライザーからも俺の姿が見えていないと考え、痛む身体を無理矢理動かし、ライザーの背後に回り込む。

 

突如、背後に現れた俺にライザーの反応が遅れる。

 

俺はここだと思い、全力で拳を振り下ろす。

 

俺の拳がライザーの顔面を捉えた。

 

「大したスピードだ。いまのは俺も焦ったが、物理攻撃は俺には通じない」

 

俺の拳を受けて消し飛んだライザーの身体が炎によって再生されていく。

 

俺はライザーの言葉に愕然とするが、一度でダメなら二度、三度とライザーに攻撃を仕掛けていく。

 

(こうなったらこいつが参ったするまで殴り続ける)

 

その後もライザーに攻撃を加えていく。俺の攻撃が届くようになったが、ライザーの言った通り再生を繰り返し、決定的なダメージを与えることは出来ない。逆にライザーの攻撃は的確であり、徐々に俺の身体にダメージが蓄積されていく。

 

(つ、強ぇ)

 

俺は片膝を着きながらライザーを見上げる。

 

「肩で息をしているな。もし、それが全力だとしたらお前は絶対に俺には勝てない」

 

俺を見下ろす、いや見下すようにライザーは吐き捨てる。

 

「お前は気づいてるかは知らんが、純血悪魔である俺は魔力での攻撃を主体としている」

 

ライザーの言葉にハッとする。

この戦いが始まってからライザーは攻撃において一度も魔力を使用していないことに気づく。

目を大きく見開き、ライザーを見る。

嫌な汗が全身から噴き出すのを感じた。

 

「気づいたようだな。つまり、俺は力の半分も出してはいない」

 

脳裏に最悪の結末が過る。

それを振り払うようにライザーの顔面目掛けて、全力で拳を突き出す。

 

「諦めろ。ここがお前の限界だ」

 

その拳はライザーによって簡単に受け止められる。俺は蹴りを喰らい、吹っ飛ばされる。

 

「それでも瞳に宿る光は消えないか」

 

俺は顔だけを上げ、ライザーを見ると顎に手を当て何かを考えているようだった。

 

「ふむ。お前は中々面白い。あの赤龍帝を宿した小僧よりずっとな」

 

指を折りながら何かを確認するライザー。

 

「人間だと言うのに俺に挑んでくる度胸に驚異的ともいえるスピードと耐久力。何度も跳ね返されても向かってくる心の強さ」

 

ライザーがなにを言っているのか見当も付かない俺はYシャツの袖で顔を拭うと、多くの血が付着していた。

 

ライザーが手を叩くと大きく頷き、此方を向く。

 

「お前、俺の眷属になれ」

 

ライザーの言葉の意味が理解出来ず、ポカンとする。

 

「俺は基本的に女しか眷属にしないが、お前ならいい。度胸といい、戦闘技術といい、見込みがある」

 

なにを言い出すだこの男は。現在進行形で拳を合わせている俺に眷属になれとは、一体なにを考えている。

 

「確かに攻撃面での不安はあるが、それも悪魔に転生すれば解消されるだろう。なにより顔が良い。いずれグレモリー家の婿となる俺の右腕として相応しい。それにリアスもお前をずいぶん気に入っているようだし、彼女も喜んでくれるだろう」

 

笑顔でそう言うライザー。どうやら本気で俺を眷属にしたがっているようだ。

 

「どうだ?」

 

肩で息をしながら立ち上がると身体の節々に激痛が走る。足下はふらつき、まともに立てっていることさえ難しい。腕は重りが付いているかのように重く肩より上に上がらない。

 

「ありがたい」

 

俺の言葉にライザーは笑顔を見せて、近づいてくる。

 

「貴方が本当のゲスじゃなくて良かった」

 

ピタリと歩みを止め、俺を睨むライザー。

 

「どういう意味だ?」

 

ライザーの背に炎の翼が形成されていく。

 

「貴方はリアスが喜ぶと言った。彼女のこと考えているとわかっただけでもこの戦いに意味はあった」

 

俺の言葉の意味を理解したのかライザーは手を突き出し、魔方陣を展開していく。

 

「残念だ」

 

ライザーから放たれた爆炎が俺を包んだ。

 

―〇●〇―

 

彼の身体が炎に包まれていく。

 

リーアの様子を伺う。大粒の涙を流しながらも最後まで彼の姿を目に焼き付けんと気丈に振る舞う妹の姿が目に写る。

 

彼は良く戦った。何度倒されてもライザー君に立ち向かう姿は私だけではなく、この場に居る全てを悪魔の胸を打った。

 

リーアの眷属達も涙を流し、唇を噛みながらも最後まで彼の勇姿を見届けようとモニターから目を離さずにいた。

 

この婚約を妹が望んでいないことはわかっていた。

だから、リーアに猶予を与えてレーティングに挑ませた。

結果はリーアの敗北に終わり、結婚式は予定通りに執り行われることになった。

私は悲しみ暮れる妹に手を差し伸べることは出来なかった。

冥界を統べる魔王として自分の一族だけを贔屓することは秩序を乱すことになるからだ。

結婚式が始まり多くの賛辞を受けるもリーアの表情は固かった。

そんな妹の表情を変えたのが彼だった。

彼とライザー君の仲裁を口実に彼に近づいた。

私は彼の中に眠るであろう力に一縷の望みを託すしかなかった。

 

妹を救うために。

 

だから、私はライザー君をけしかけて彼と戦わせることにした。

結果はモニターの向こうで示す通りだ。

 

彼は敗れた。もし万が一のことがあればリーアはおろかソフィアさんに一生恨まれるだろう。

 

「サーゼクス様」

 

声をかけてきたグレイフィアも悲痛の表情を浮かべている。

 

私はゲームを取り仕切る悪魔に目配せをして首を左右に振る。

 

彼も頷き、ライザー君の勝利を宣言しようとしたその時だった。

 

「あっ、あれは!」

 

リーアの眷属で赤龍帝を宿す兵藤一誠君がモニターに向けて叫んでいた。

 

私もモニターに目を向けると、彼を包んでいた炎が消えるどころか更に燃え盛っていた。

 

その炎は天さえも焦がす勢いだった。

 

「・・・来た」

 

後ろに控えていたグレイフィアも理解出来ずにモニターと私を交互に見ていた。

 

「ユウ君・・・君は本当に」

 

そこまで言い、私は口を閉ざした。

 

その先は彼が見せてくれるだろう。

 

―〇●〇―

 

どういうことだ?

 

俺の放った炎が勢いを増して行く。いつもなら対象を燃やし尽くして鎮火していくはず。

俺は不思議に思い、炎に近づいていく。

 

「ぐはぁ!」

 

突如、炎の中から伸びてきた腕に頭を掴まれ、地面に叩きつけられる。

 

俺は身体を炎に変えてなんとか脱出すると、後方で肉体を再生させる。

 

油断したと舌打ちしながら爆炎の中に視線を向けると、炎の中から出てくる者に驚愕した。

 

灰色に変色した長い髪、瞳の失われた真っ赤な目、堕天使のように長く伸びた耳、獣のような鋭い二本の牙、背中から生えた同族の証しともいえる羽根。

 

先程まで対峙していた男とはまるで別の存在が此方に向けてゆっくり歩いてくる。

 

「貴様はなんだ!」

 

魔方陣を展開し、無数の炎を撃ち込むも奴は迫り来る炎を打ち落としていく。

時折命中する炎を歯牙にも掛けず、全ての炎を打ち落とされてしまった。

 

苦々しい表情を浮かべながら間合いをはかり、奴がどんな行動に出ようとも対応できるように態勢を整える。

 

ウォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!

 

仮想空間が震える。

 

奴が天に向けて咆哮をあげる。辺りの岩山が崩れ去り、多くの砂塵が舞う。

 

俺は飛んで来る崩れた岩の破片から身を守りながら相手の動きを警戒する。

 

砂塵の中で奴の目が怪しい光を放つ。

 

その瞬間、俺の中の細胞の一つ一つが最大級の警鐘を鳴らす。

 

俺は周囲に無数の魔方陣を展開させ、迫ってくる奴に絶え間なく攻撃を加えていくも、凄まじいスピードで俺の前に現れ、拳を振り下ろしてくる。

 

間一髪で躱わすも直ぐに奴の裏拳が飛んで来る。俺はトラップの魔方陣でその攻撃を防ぐと爆発を起こし、奴は炎に包まれる。

 

ここぞとばかりに攻撃するも炎を切り裂いて繰り出される奴の拳を避けることが出来ずに俺の身体が消し飛び、ダメージを受ける。

 

フェニックスである俺とて不死身ではない。

 

神クラスの攻撃を喰らえば只では済まない。

更に俺の心が折れるまで殺られれば再生することは難しい。

 

それでも何処かでこういう展開を望んでいる自分がいた。

 

この戦いで俺の心が折れることはない。

これまでの俺は持って生まれた才能に胡座を掻き、まともに努力したことなどなかった。それでもレーティングゲームでは接待で負けただけでそれ以外のゲームでは全て勝ってきた。

無論、自分より強い者は多く存在しているが自分と対峙するのはまだ先であったため、格下相手に楽に勝つことに快感を覚えてしまった。

 

しかし、目の前にいる相手は違う。自分の全てをぶつけられる相手が目の前にいるのだ。悪魔としてこれ程心踊ることはない。

 

(もうリアスのことなど関係ない。俺の全てを賭けてこいつを倒す)

 

一進一退の攻防が続き、お互いに肩で息をしている。体力の限界が近づいてくる。

 

だが、この土壇場で俺は秘めていた力を無意識に解放していた。

 

全身を覆っていた炎は更に輝きを増していき、背中の炎の翼は金色に光輝いている。

 

自分でも驚くほど力が漲っていく。

 

(俺の中にまだこんな力が眠っていたか)

 

戦いの均衡が崩れ始める。

 

「これで終わりだっ!」

 

この戦いで最大の魔方陣を展開する。

 

「この一撃に全てを込める!」

 

巨大な火の鳥が一直線に奴へ襲い掛かる。

 

(勝った!)

 

これ程清々しい気分になるのはいつ以来だろうか。

純粋な気持ちで目の前の相手だけに全身全霊でぶつかったのは初めてかもしれない。

 

奴が再起不能になったとしてもフェニックスの涙を使えば回復出来るだろう。

これから何度も手を合わせて、切磋琢磨していける相手を見つけた。

それだけでこの戦いの意味はあった。

 

そんな事を考えながら、火の鳥が襲い掛かる先にいる相手に視線を向ける。

 

膝を折り、片手を地面に着け、身体を支えている。

そうしなければ、顔から地面に倒れてしまうのだろう。

 

本当の俺を思い出させてくれた相手の最期を見届けよう。

 

その瞬間、顔を伏せていた奴の視線が火の鳥を捉えた。

 

長い灰色の髪はそのままだが、目には瞳が戻り強い意志が感じられた。耳も普通の人間のように戻っており、口から伸びていた鋭い牙も既に無くなって、元の奴に戻っていた。

 

火の鳥が奴に激突するその刹那、大量の水が何処からともなく出現し、火の鳥を包み込んでいく。

 

俺は言葉を失い、呆然とその場に立ち尽くした。

 

―〇●〇―

 

何が起こったのか全く理解出来なかった。

 

先輩がドーナシークや俺達と戦った時のように暴走してそれまで一方的だった戦況が互角になったと思ったら、いきなりライザーの身体が輝きを増して、先輩が追い詰められていく。

戦況は再びライザーの優勢となり、とどめと言わんばかりに巨大な火の鳥が先輩目掛けて飛んでいく。

 

ライザーから放たれた火の鳥が先輩に直撃しようとした瞬間、大量の水が出現して火の鳥を跡形もなく消滅させた。

 

モニターに映し出されたライザーも現状を把握出来ずに唖然としている。

 

周囲を見渡すと、オカルト研究部の仲間だけではなくモニターを見ていた全ての悪魔が驚愕の表情を浮かべていた。

 

「一体どういうことなんだ?」

 

モニターに視線を向けたまま、目を大きく見開き小さく呟く木場。

 

「・・・あり得ません」

 

小猫ちゃんも食い入るようにモニターを見ているが、理解できていないようだ。

 

「あ、あれは・・・」

 

朱乃さんも驚きを隠せずにいたが、思い当たる節がありそうだった。

 

「えーーー!?なんであの子がうちの魔方陣を使えるの!?」

 

俺が朱乃さんの言葉の続きを待っていると、女性の叫び声が会場中に響き渡った。

 

声のした方に顔を向けてみると、黒髪でツインテールの可愛らしい女性がテーブルに身を乗り出してモニターを見ていた。

 

家の魔方陣ってことはあの女性も何処かの家の悪魔なんだろうか。

 

いつ先輩が魔方陣を使ったのだろうとじっくりモニターを見ると、地面に僅かだがこの痕跡が残っていた。

 

「あれはシトリーの魔方陣ですわ」

 

朱乃さんの言葉に首を傾ける。

 

シトリーって確か生徒会長の?

 

なんで人間である先輩が魔力の必要な魔方陣を展開できるんだ?そういえば、あの時も今と同じように先輩の背中から悪魔の羽根のようなものが生えていたような?だとしたら先輩も悪魔なのか?

 

混乱しそうな頭を抱えながらモニターに目を向けると、先輩が立ち上がっていた。

 

その背には左右十二枚づつの悪魔の羽根を背負っていた。




第12話更新しました。
こんなライザーだったらいいなと思って書きました。
書いてる途中でライザーの眷属ってフルメンバーだったことを思い出しましたが、トレードとかでなんとかなるだろうと思い、修正しませんでした。
あと悪魔の羽根の表現ってどうなんだろう?枝葉のような部分を何枚って数えるんですかね?知っている方がいたらぜひ教えて下さい。

内容のほうは様々な人物の視点を入れて無理矢理繋げました。今後も戦闘シーンはこんな感じだと思います。
サーゼクスの立ち位置がよくわからなかったので、心の底では結婚に反対で書きました。その方が書きやすかったので。

読んでくれた方、コメントをくれた方、誤字・脱字の修正をしてくれる方ありがとうございます。

ではまた次回
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