ハイスクールD×D Yto   作:今日から禁煙

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最近ATーXに加入してアニメを見まくってます。

第15話です。


第15話

君を抱き締める理由を探している

なにも考えずに抱き締めることが出来たなら

でも、それが今の俺と君の距離なのかもしれない

 

―〇●〇―

 

「気をつけて行っておいで。二人共ユウのこと頼んだよ」

 

黒歌を抱えながら俺達を見送る母ちゃんは先に玄関で俺を待っているリアスとアーシアに俺のことをくれぐれもと念を押していた。

 

俺は靴を履いて立ち上がると、子供じゃないんだからと言ってため息を吐く。

 

「事故って入院したり、十日以上も帰って来なかったのは何処の誰だい?」

 

全くもって正論のため、反論の余地もなく項垂れる。

 

「大丈夫ですよお義母様。私とアーシアが責任をもって面倒を見ますから」

 

面倒見るって本当に子供かよ、と言いたくなったが、同じ事の繰り返しになるのが分かっていたので、何も言わずに母ちゃんの腕の中で眠そうに目を細めている黒歌を撫でる。

 

「行ってくるからな、黒歌」

 

ニャ~と鳴き声をあげると、尻尾を振って返事をしているようだった。その姿に癒され、今日も一日頑張ろうという気持ちになる。

 

「・・・黒歌?」

 

黒歌を一撫でして振り返ると、リアスが訝しげな表情で此方を見ていた。

 

「どうかしたんですか部長さん?」

 

その様子を不思議に思ったアーシアが声を掛けるが、リアスは首を振っていた。

 

登校中にリアスから黒歌について聞かれた。

 

いつから家にいるのか?

どこで見つけたのか?

名前は誰が決めたのか?

黒歌が来てから変わったことがないか?

 

等々リアスは黒歌に興味津々のようだ。

 

「一緒に風呂に入ったり、一緒に寝たりするくらいで変わったことなんてないよ」

 

俺は思い出しながら知っていることを伝え、普段の様子を話していく。

 

「黒歌ちゃんはとても良い子ですよ、頭も良いですし」

 

最近ではアーシアと一緒に居ることが多いので黒歌の様子を嬉しそうに話していた。

 

「お、お風呂!?一緒に寝る!?」

 

俺の言葉に驚いているリアスだったが、ペットと一緒に風呂に入ったり、寝たりするのはそんなにおかしいことだろうかと思う。

 

「そうなんですぅ~、黒歌ちゃんが羨ましいですぅ」

 

アーシアが頬を膨らませて訴えてくるが、君もいつの間にかベッドに潜り込んでくるだろうと苦笑いする。

 

学園に到着すると、友人を見つけたアーシアが俺達に頭を下げて走って行った。

 

「あとで時間をもらえるかしら?二人だけで話をしたいの。私の知っている黒歌について」

 

リアスから耳打ちされる。

リアスの知っている黒歌とはどういう意味だろうか?

 

「あらあら、お二人共楽しそうですわね」

 

リアスに聞き返そうとしたところ、背後から声を掛けられ、振り向くと朱乃と小猫が立っていた。

 

「昇降口でイチャイチャしないで下さい」

 

いつも笑顔を見せる朱乃とジト目を向けてくる小猫に挨拶をすると、なんの話をしていたのか聞かれたので答えようとすると、顔を真っ赤にしたリアスが間に入って誤魔化した。

 

リアスの行動に二人は首を傾げていたが、そこに木場や兵藤が加わったため、各々のクラスへ移動した。

 

―〇●〇―

 

二時限目の開始時刻に俺とリアスは旧校舎のオカルト研究部の部室に居た。

 

二時限目は選択授業で俺とリアスは朱乃とは別の授業を選択していたため、朱乃はこの場には居なかった。

 

「悪いわね、授業を欠席させてしまって」

 

そう言って紅茶を注いだカップを差し出しながらソファーに腰を降ろすリアス。

 

「大丈夫・・・それで黒歌のことって?」

 

紅茶で喉を潤すと、リアスは真剣な表情を向ける。

 

「どこから話したらいいのかしら・・・」

 

リアスは手を握って拳を作ると、その拳を口元に添えながら少し考え込むと、自分の知る黒歌について話してくれた。

 

黒歌とは冥界では超の付くほどの大物で、名のある上級悪魔の眷属として仕えていたが、その主を殺して冥界全土から指名手配されていること。

主殺しは大罪のため、何度も刺客が送られたが、その全てを退けてはぐれ悪魔として今も行方を眩ませていること。

 

はぐれ悪魔とは王である上級以上の悪魔の元を勝手に飛び出した悪魔のことで、人間界で悪事を働く悪魔の殆どがこのはぐれ悪魔だと言う。

 

ここ数年、その名を聞かなくなったが、捕らえられたという話しも聞かないため、今も冥界では血眼になり探していること。

その正体は猫又と呼ばれる妖怪で、そのなかでも最上級に位置する猫魈という存在だと言う。

 

「黒歌の強さは計り知れないわ。悪魔で言えば最上級悪魔クラスとも言われているの・・・それに」

 

俺は静かにリアスの話を聞いていると、カップの紅茶を飲み干していた。

 

リアスは一旦、席を立つと紅茶を入れ直してくれた。

 

リアスに礼を言うと、彼女はソファーに座る。

 

「それに黒歌は白音の・・・いえ、小猫の実の姉でもあるのよ」

 

リアスは何かを思い出すように目を伏せた。

 

俺は驚きの余り、目を大きく見開いた。

 

「小猫の本当の名前は白音。彼女も黒歌と同じ猫又の妖怪なのよ」

 

リアスの話は続き、小猫の過去の話しになったところで俺はリアスを止めた。

 

「リーア、今その話を君から聞くわけにはいかない。況してや塔城ちゃんの居ないこの状況でなら尚更だ」

 

俺の言葉に険しかったリアスの表情が柔らかくなる。

 

「そうね、貴方ならそういうと思ったわ」

 

その表情を見れば小猫がリアスにとってどれだけ大切な存在なのか分かる。

 

眷属や慈愛の一族という理由ではなく、本当の妹のように思っているのだろう。

 

リアスは小猫とその黒歌が離れている理由を知っているのだろう。

 

だからこそ、その黒歌の話をする時の彼女の表情が次第に険しくなっていったのだろう。

 

「・・・それで家の黒歌は本当に君の知る黒歌なのか?俺も魔力を感じられるようになったが、黒歌からは何も感じなかったぞ」

 

俺は本題を黒歌に戻すと、リアスも頭を悩ませているようだ。

 

「そこなのよ。ユーの家に居る黒歌からは全く魔力を感じなかった。以前、一緒に貴方の家に行った小猫も何も言ってなかったわ。あの子なら何かを感じるはずなんだけど・・・」

 

二人で悩むも答えが出る訳もなく紅茶を啜る。

 

「偶然が重なったと言うことかな」

 

カップをテーブルに置き、ソファーに背を預けて背伸びをする。

 

「そうね。いくら最上級クラスと言っても魔力を消すことなんて出来ないもの・・・」

 

リアスがそこまで言うと、何かを思い出したように俺を見る。

 

「そういえばユーからは魔力を感じないわね」

 

首を傾げながら、そう言うと立ち上がり、俺の隣に腰掛ける。

 

「そうなの?自分ではよく分からないけど」

 

俺の膝に手を置く彼女を横目で窺うと、妖艶な笑みを浮かべていた。

 

「まだ時間もあるし、ちょっと調べてみようかしら?」

 

俺の右頬にリアスの左手が添えられ、彼女と向かい合い、首に手を回されると、美しい顔が近付いてくる。

 

唇と唇が重なり合う。

 

最初はお互いの唇を啄むように何度も唇を合わせるだけのバードキスだったが、次第に感情が昂り、口内に舌を侵入させ、舌と舌を絡ませて性感を高め合う情熱的なフレンチキスへと変わっていった。

 

腕を彼女の腰に回して身体を引き寄せると、口内の深い部分まで舌を絡めていく。

 

そこからは夢中になってお互いの唇を求めた。

 

部室内には可愛らしいリップ音から舌を絡めた際に聴こえる卑猥な水音、肩で息をする呼吸音など普段では聞こえることのない音が響き渡っていた。

 

角度を変えながらお互いの唇を貪っていると、彼女は苦しくなったのか唇を離そうとするが、俺は腰に回していた手を彼女の後頭部に移動させ、強引に口を塞ぐ。

 

驚きと苦しさで首に回していた手で俺の胸を叩くが、お構い無しに彼女の酸素を奪っていく。

 

彼女は鼻で酸素を求めるが、それだけでは足りずに俺の胸を力一杯押すと、ようやく唇が離れた。

 

「ハァハァ・・・いじわる」

 

瞳に涙を溜め、頬を紅潮させて肩で息をしている彼女がそう言い、上目遣いで俺を睨んでくるが、それは逆効果と言うものだろう。

 

その可愛らしい姿にすぐ彼女をソファーに押し倒したくなったが、今回はリアスのターンと勝手に決めていたため俺から動くことはない。

 

息を整えたリアスに両肩を押されると、俺はソファーに仰向けに寝かされる。

 

「イジワルする子にはお仕置きが必要ね」

 

そう言って笑った彼女の表情は淫猥であった。

 

リアスはよいしょ、と言って俺の腹部に腰を降ろすと、ブレザーのボタンを外し、Yシャツのボタンに手を掛ける。

 

「・・・抵抗しないのね?」

 

 

なんの動きも見せない俺に不安を感じたリアスがYシャツのボタンを外すのを止めてそう聞いてくると、俺は両手を上げる。

 

「降参だよ、好きに調べてくれ。なんなら向こうのベッドに移動しましょうか?」

 

リアスを試すように答えると、彼女はムキになってYシャツのボタンを外すのを再開する。

 

「いつまでその余裕が続くのか楽しみだわ」

 

彼女は全てのボタンを外し終え、自分の首に巻かれているリボンを外すと、俺は上げていた両手を頭の上で縛られてしまった。

 

(あらら、縛られちゃった)

 

リアスがここまでやるのは予想外だったが、彼女の拙い性の知識でどこまでやってくれるか楽しみでもあった。

 

「もう謝っても許さないから」

 

上半身を裸にされ、先程まで絡め合っていた舌が俺の首筋を這う。

 

彼女の舌使いが擽ったくて自然と笑みが溢れる。

 

彼女にはその笑みが余裕に見えたのか少しムッとして、今度は舌を這わせていた場所に吸い付いてくる。

 

「むぅ・・・意外と難しいわね」

 

何度も角度を変えて痕を残そうとするが、上手く行かずに頬を膨らませる。

 

慣れないながらも一生懸命な彼女の姿が愛らしくなり、目を細める。

 

その様子を見た彼女は俺が快楽を得ていると勘違いをしてご機嫌になり、首筋から鎖骨へ、そして胸部へと舌を這わせていく。

 

「ッ!」

 

胸部の突起を執拗に攻められ、俺は堪らずに声を出す。

 

彼女はここが攻め時と言わんばかりに、突起を甘噛みしたり、指で摘まんだりして攻め立ててくる。

 

「・・・男の子もここは感じるのね」

 

その後も胸の突起に歯を立てられたり、爪で弾かれたりしていると、快楽で男の象徴が膨らんでくる。

 

大きくなっていくソレは、やがて俺の腹部に座る彼女の臀部に接触すると、それだけでは飽き足りずに柔らかい臀部を押し上げていく。

 

「!!!」

 

リアスも下から押し上げてくるソレに気付くと、驚いた表情を見せるが、必死に冷静を装う。

 

「ふ、ふ~ん・・・」

 

明らかに動揺しているリアスだったが、俺の胸に両手を突いて身体を起こすと、事もあろうにソレに擦り合わせるように腰を前後に動かし始めた。

 

(こらこら、どこまで行く気ですか)

 

厭らしく目尻を下げながら頬を紅潮させ、だらしなく口を半開きにするリアスに俺は喉を鳴らす。

 

「こうかしら?・・・でも、こっちのほうがいいわね」

 

自分の動きを確認しながらリアスは試行錯誤を重ね、最も効率のいい動きを模索している。

 

最終的にリアスが辿り着いたのは俺のソレの上で上下に動き始めるという、男女の営みでよく見られる体位の一つであった。

 

確実にソレを刺激してくるリアスを止めようとしたが、動く度に大きく揺れる豊満な胸部に目を奪われてしまった。

 

「・・・ボタンが壊れたら面倒ね」

 

上下に動きながらブレザーを脱ぎ捨て、器用にシャツのボタンを外し始めると、白く透き通るような美しい肌と大人の色気を醸し出す紫色のブラジャーが露になる。

 

彼女の美しい肌は何度か目にしているが、ブラジャー姿のリアスを見たのは初めてだったため、我慢出来なくなる。

 

「きゃ!」

 

俺は腹筋に力を入れて起き上がると、腕を縛っていたリボンを強引に引き千切って、リアスを逆に押し倒す。

 

突然の出来事に可愛らしい声を出して驚くリアス。

 

「俺からは何もしないと決めてたけどもう無理。・・・我慢出来ない」

 

俺はリアスをお姫様抱っこすると、奥の部屋に入り、ベッドへ彼女を無造作に放り投げ、彼女の上に覆い被さり、腕をベッドに押さえ付けて、彼女のブラジャーを剥ぎ取る。

 

前にソレを目にしたときは月の光に照らされて神秘的な雰囲気を纏っていたが、いまは淫靡で男を誘うように揺れている。

 

「んっ、あっ!」

 

俺はリアスのたわわに実った女性の象徴を舐め回し、先端の突起を口に含んで舌で転がして遊ぶと、彼女は我慢出来ずに声を洩らす。

 

甘噛みしたり、歯を立てたり、痕が着くほど強く吸ったりして彼女に快楽を与え続ける。

 

放置されていたもう一つにも手を伸ばし、リアスが俺にしたように先端の突起を指で摘まんだり、爪で弾いたり、ズムッと強く押し込んだりして存分に遊ぶ。

 

自由になった腕が俺の頭に巻き付いてくる。

 

「んんっ!いぃ、あぁぁぁぁぁ!」

 

不意に彼女が大きな声を上げて腰を浮かせる。

 

リアスがどうなったのかは理解出来た。

 

本来なら一言だけでも声を掛けて上げるのが優しい男の在り方なのだろうが、俺はそんな彼女を無視して胸部を弄り続け、快楽の向こう側へ誘おうとしていた。

 

「ダ、ダメ!いっ、また!また、きちゃうから~!」

 

再びリアスが腰を浮かせて叫び声を上げると、同時に二時限目終了を告げるチャイムが室内に鳴り響く。

 

俺がリアスの様子を伺うと、肩で息をし、虚ろな目をして瞳から涙を溢し、半開きになった口からは涎を垂らしていた。

 

「えっ!?」

 

授業時間が終わったため、もう終わりと思ったのかリアスが身体を起こそうとするが、俺は彼女の肩を掴んで再びベッドに押し倒す。

 

「まだだ」

 

俺はリアスの顔に舌を這わせ、口から垂れた涎を舐めとり、太腿の奥に指を入れて粘着性のある体液を絡め取ると、彼女に見えるように顔の前で指をくっつけたり、離したりして欲情を煽っていく。

 

「こんなになってるのに止められるのか?」

 

指と指の間で糸を引くようにして彼女に見せ付けてると、糸の正体を知るリアスが顔を真っ赤にして首を左右に振る。

 

「・・・変態」

 

俺は体液の付着した指を舌で舐めると、彼女のスカートをたくし上げる。

 

ベッドに放り投げた際にスカートの裏側が背中のほうに捲れていたため、リアスから出た体液でスカートを汚すことはなかった。

 

「三時限目も欠席だな」

 

俺の言葉にリアスは全身を強張らせ、力を入れる。

 

俺は気にせずに胸部を弄りながら臀部を撫で回していくと、徐々に身体から力が抜けていくのが分かった。

 

俺は彼女の足と足の間に自分の足を入れて閉じられないようにすると、彼女の最も大事な部分を守っているソレに手を掛ける。

 

「ダ、ダメ!ここは学校!」

 

リアスは俺の頭を押さえて抵抗する。

 

「あんなに声を出してた癖になにを今更・・・それに俺のことを調べたいってリーアから始めたことだよ」

 

リアスは抵抗を続けるが、胸部の突起を強く吸うと、ビクッと身体を震わせて大人しくなる。

 

なんだか無理矢理やってるみたいだな、と苦笑いする。

 

本当はここまでするつもりはなかったが、リアスから与えられた快楽が想像以上だったため、このまま彼女にイニシアチブを取られる訳にはいかないと対抗心を燃やしていたら止まらなくなってしまった。

 

一息吐いて、手に引っ掻けていたソレを脱がそうとした時、旧校舎に近付いてくる見知った人物の気配を感じる。

 

「時間切れみたいだね」

 

俺がそう言うとリアスが固く瞑っていた目を開ける。

 

「朱乃が来るから着替えて、片付けなきゃ」

 

俺は立ち上がり、乱れていた服を着直すと、部屋から出てリアスの制服を手にして彼女に手渡す。

 

リアスは俺の変わり身の早さに唖然としていたが、俺の言った通り朱乃の気配を感じて慌てて着替える。

 

俺は汚れたシーツを片付けて、新しいシーツと交換する。

 

リアスは着替えながらなにかを言いたそうだったが俺が先手を打つ。

 

「今回で三回目かな?・・・仏の顔も三度までって諺もあるし、次は大事なもの貰うからね」

 

そう言い残して部屋を出て、洗濯物用のカゴにシーツを放り投げ、手を洗い、二人分の紅茶を淹れてソファーに腰を下ろす。

 

「リアス、ユーくん居るのですか?」

 

部室のドアを開ける前に中の様子を確認する朱乃に流石だと感心する。

 

「居るよ」

 

俺とリアスが中に居ることは気配で分かっているだろうが、俺達が何をしているかまでは朱乃にも分からない。だからこそ不測の事態に備えて先に声を掛けて中の様子を窺ってからドアを開ける。

 

(猪突猛進なリアスを長年支えられる訳だ)

 

失礼しますと言って中に入ってくると、俺一人しか居なかったのでリアスの行方を訪ねてくる。

 

「リーアなら奥の部屋に居るよ。探し物してるみたい」

 

俺は朱乃の分の紅茶を淹れて座るように促す。

 

朱乃がソファーに座って紅茶に口を付けると、奥の部屋からリアスが慌てて出てくる。

 

「あ、朱乃!ど、どうしたの!?」

 

その様子に役者にはなれないなと苦笑いして、俺は小さくため息を吐く。

 

「そんなに慌ててどうしたのですか?ユーくんから探し物をしているとお聞きしましたが?」

 

朱乃の問い掛けにバカ正直に反応して首を傾げるリアスが俺に視線を向ける。

 

俺は自分のネクタイを指差してリアスに伝える。

 

「リ、リボン!そうリボンを探してたの!」

 

胸元を押さえて必死になって訴えるリアスの迫力に頷くことしか出来ない朱乃。

 

「リボンを探していたのは分かりましたが、そのために二人で二時限目を欠席された訳ではないですよね?」

 

朱乃が俺を見て尤もな疑問を投げ掛けてくると、リアスがビクッと反応する。

 

「リーアに相談してたんだよ」

 

俺の返答に朱乃とリアスが首を傾げる。

 

そんなリアスを見て、話を合わせてくれと内心呆れるが俺は話を続ける。

 

「悪魔になったことを両親に伝えるべきか迷っててね」

 

成る程と頷く朱乃にどう思うか聞いていると、口に手を当てて、難しいですわねと言って一緒に悩んでくれた。

 

紅茶を啜りながら時間を確認すると、三時限目の開始時刻が迫っていたため、答えが出ないまま俺達は部室を後にした。

 

そういえば朱乃も俺のことをユーくんと呼ぶようになった。理由を聞くと、リアスとアーシアだけずるいと答えた。理由になっていない気がしたが、別段問題ないため好きに呼んでくれと伝えると、可愛らしい笑顔を見せてくれた。

 

放課後になり、俺はリアスと朱乃と一緒にオカルト研究部の部室に向かうと、既に全員が揃っていた。

 

家に帰っても問題なかったが、バイトが始まると来れなくなるため、来れるときに来ておこうと思った。

 

俺とアーシアはやることがないため、お菓子を食べたり、雑誌を読んだりして過ごしていた。

 

やることがなくなってウトウトしていると、アーシアから声を掛けられたのでそちらを向くと、彼女が自分の太腿をポンポンと叩いていたので、お言葉に甘えて膝枕をしてもらった。

 

眠気とアーシアの太腿の気持ち良さに勝てずに俺は眠りに落ちた。

 

目を覚ますと、リアスと朱乃と小猫が部室に居た。

 

アーシアからおはようございますと声を掛けられ、返事をして身体を起こす。

 

リアスは眼鏡をかけて書類のサインをしており、朱乃はその書類を確認していた。小猫は相変わらずお菓子を食べている。

 

俺はこの場に居ない木場と兵藤のことを聞くと、二人共仕事で出ているらしい。

 

アーシアに時間を確認すると、18:00を回ったところだった。

 

「もう少しで終わるから待っててくれる?」

 

リアスにそう言われて頷くと、小猫からお菓子を渡されたのでありがたく頂く。

 

「塔城ちゃんは仕事休み?」

 

お菓子を口にしながら小猫に聞いてみる。

 

「今日はもう終わりました」

 

どんな仕事だったのか聞いてみると、夕飯を作る仕事だったらしい。

 

他にどんな仕事があるのか聞いてみると、朱乃から一枚のプリントを渡され、目を通してみると、様々な仕事が書かれていた。

 

「それはこれまで私達グレモリー眷属に寄せられた仕事の内容よ」

 

リアスにそう言われてちゃんと見てみると、家事全般を中心に女性とのデートや限定品の買い物などが多く書かれていた。

 

「なにこの一番下の語り合いって?」

 

俺はこの項目が気になり聞いてみると、リアスが苦笑いをして話してくれた。

 

なんでも兵藤の初仕事らしく依頼主と意気投合してお互い好きな漫画について一晩中語り合ったらしいが、契約を取れず帰ってきたようだ。

 

「依頼主からのアンケートは好評だったから次は上手く行くと思うわ」

 

兵藤の奴も頑張っているんだなと思っていたが、今月の契約件数は0らしい。

 

アーシアと一緒に朱乃から貸してもらったアンケートに目を通していると、リアス達の仕事が終わったらしく俺達は家路に着く。

 

学園を出るときは朱乃と小猫と一緒だったが、それぞれ家の方向が違うため途中で別れた。

 

家に着くまで三人で他愛もない話をしていると、家に着いた。

 

家の中に入ると、母ちゃんと黒歌が迎えてくれた。

 

リアスとアーシアは母ちゃんと話をしており、俺は黒歌を撫で回していると、母ちゃんから着替えて来るように言われて部屋に行く。

 

「・・・」

 

部屋を開けた瞬間、目に飛び込んできた光景に絶句して急いでリビングに駆け込む。

 

「か、母ちゃん!俺の部屋が物置になってます!」

 

今朝まで生活していた部屋がたった一日で物置に変わってしまったことに驚いて母ちゃんに説明を求める。

 

「そうだった。あんたの部屋交換したよ」

 

なんだその事後報告は、と叫びたくなったが、部屋の様子と母ちゃんの口振りから既に交換を終えたようなので諦める。

 

「今後は一言相談してください」

 

そう言うと、母ちゃんは了解と笑って新しい部屋を伝えてきた。

 

どんな理不尽なことがあっても母ちゃんには逆らってはならない。

 

それが菅原家の鉄の掟の一つである。

 

因みに今更ではあるが、我が家は無駄にデカい。

 

父ちゃんが富裕層向けに採算を度外視して作ったモデルルームであり、地上四階、地下三階というとんでもない建物で今風に言えば15LLLDDKKと言うもはや呪文のような間取りである。

 

地上一階は普段の生活の場で、キッチンとダイニングとリビングの他に父ちゃん達の寝室と父ちゃんの書斎兼職場がある。以前は母ちゃんの執筆用の部屋もあったが、今では空き部屋となっている。その他に物置と化した部屋と父ちゃんと母ちゃんがウォークインクローゼットとして使用している部屋がある。

 

つまり、地上一階は5LDKで家族三人で暮らすならこれだけで本来十分なのだが、この家がおかしいのはここからだ。

 

地上二階と地上三階はゲストルームとして作られており、各階五部屋づつ用意されている。一部屋十五畳の部屋が四つと三十畳を越える広さの部屋が一つという作りになっている。

 

地上四階に至っては大浴場になっており、サウナやマッサージルーム、更にはエステまでも備えられている。これらの施設には専属の人間が連絡一つでいつでも来てくれるらしい。お湯に関しても何処かの温泉から直接引っ張っているのでいつでも温泉に入れる。

 

地下一階は誰が使うのか分からない娯楽ルームがあり、ビリヤードやダーツに卓球台が設置されており、カラオケルームやシアタールームまで完備されている。

 

地下二階はジムになっていて国内の一流ジムに優るとも劣らない機器が導入されていて、マッサージやエステ同様連絡すればいつでも来てくれる専属のトレーナーまでいる。

 

地下三階は応接室になっており、バーカウンターや寿司屋のカウンターも備え付けられていて、奥にはワインセラーもある。

 

更に更に屋上もあり、床を除いた全てがガラス張りで屋根は開閉可能なため、母ちゃんの家庭菜園として使われたり、父ちゃんのゴルフの練習に使われたりしているようだ。

 

とにかく家の九割以上が使われず、宝の持ち腐れ状態のこの家で安易に部屋の交換などしてしまうと、自分の部屋がどこか分からなくなり、迷子になってしまう。

 

幸い、今回は二階のリビングを挟んだ反対側に移動しただけのため、迷子になることはなかった。

 

(あれ、ちょっと待てよ?)

 

俺は母ちゃんから伝えられた新しい部屋に疑問を持ち、足早に階段を駆け上がっていく。

 

俺は新しい部屋の前に立つと、悪い予感が的中する。

 

その部屋の扉は他の部屋の倍以上ある。

 

つまり、その部屋は三十畳を越す広さの部屋だった。

 

嘘だろと思い、扉を開けると、普段から使っている俺の学習机がそのまま移動されており、本は部屋の壁に埋め込んである本棚に同じように並べられていて、衣服もウォークインクローゼットに丁寧に仕舞われていた。

 

そこまでは予想した通りだったのでまだいい。

 

だが、俺の眼前に置かれている巨大なベッドはなんだ!

 

キングサイズのベッドの一回り、いや二回り以上あるこのベッドは!

 

しかも天蓋付!

 

俺は再び急いでリビングに駆け込む。

 

「母ちゃん!あのベッドはなんですか!?」

 

リビングに入ると、着替えを終えたリアスとアーシアが母ちゃんと一緒にキッチンに立っていた。

 

「見たかい。いいベッドだろう」

 

母ちゃんはお玉で俺を指しながら自慢気に話す。

 

「いやぁ~、みんなで寝るから大きいほうがいいっていわれたからさ、知り合いに頼んで最速で用意してもらったんだよ。高かったんだから大事に使いなよ~」

 

母ちゃんがお玉で手を叩きながらキッチンに戻っていく。

 

「ちょっと待った!誰に大きいほうがいいって言われたの!?」

 

俺はそんな事言った覚えはない、部屋が移動していることさえ、帰って来て知ったのだ。

 

「あんたが言ってたって・・・リアスから」

 

すぐにリアスの居た場所に目を向けるが、既にリアスは居なかった。

 

しかし、少しキッチンに近付くと、キッチンに隠れている彼女の紅い髪が見えた。

 

「・・・リーア?・・・怒らないから出てきなさい」

 

そう言うと、リアスがキッチンの下から可愛らしく舌を出して立ち上がる。

 

「えへへ。ごめんね」

 

目一杯可愛く振る舞うリアスだったが、取り敢えずこの怒りを爆発させないと気が済まなかった。

 

「このど畜生が!!!」

 

思い切りリアスに飛び掛かろうとしたが、襟にお玉を引っ掛けられてしまい、バタバタとのたうち回る。

 

「そういうのはベッドの上でやんな」

 

首が締まって悶絶する俺に母ちゃんが追い討ちを掛ける。

 

「二人共、今日からユウの部屋で寝ていいからね!そのために買ったベッドなんだから!」

 

二人は元気に返事をして、満面の笑みを浮かべる。

 

俺のプライバシーはどうなるのかと聞くが。

 

「なんか言ったかい?」

 

と菅原家の鉄の掟が発動した。




第15話更新しました。
第二章が終わりました。
二章を書く前はすごく短くなる予定でしたが、余計なことを一杯書いたので長くなりました。
その分ストーリーの進行が遅くなりすみませんでした。
三章はまず原作に目を通して全体の流れを掴んでから書くことになると思いますので、更新が遅くなるかもしれません。
急にやる気が出てすぐに更新するかもしれませんが。

内容の方は以前書いたような感じになってしまったので割愛させていただきます。
ただ、しばらくベッドシーンを書くことはないです。
理由は疲れるからです。
ラッキースケベ程度にしておきます。

作品を見てくれる方、コメントをくれる方、誤字・脱字の修正をしてくださる方ありがとうございます。

ではまた次回。

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