そういうレベルの筆者です。
4月
沿道の桜並木に美しい桃色の花弁が咲き誇るこの季節。
毎年、多くの者たちが新たな門出に多くの希望と少しばかりの不安を胸にこの道の先にある新たな学舎を目指して歩みを進める。
私立駒王学園
幼小中高大一貫の進学校で現在は共学ではあるが、数年前まで女子校だったこともあり、男子生徒よりも女子生徒の割合が多い。
年々、男子生徒の数は増加傾向にあるものの2学年、3学年の男女の比率は1:9。
自分たち新入生でも、2:8とその多くが女子生徒である。
そうなると当然、学園での発言力は女子生徒の方が圧倒的に強く、学園生徒で構成される最高機関、生徒会も女子生徒の方が多くが在籍し、学園生徒の代表である生徒会長も女性である。
実際、周囲を見渡しても男子生徒の数は疎らである。
そんな周囲の様子を気にも掛けず、学園を目指して颯爽と歩く生徒が居た。
その生徒の制服には綺麗な折り目がきっちり着いており、真新しさが窺えることからも新入生の1人であろう。
それまで頭上に咲き誇る桜を眺めながら、友人同士で新たな学園生活に胸を踊らせ、話に華を咲かせていた生徒たちが一斉にその生徒に目を奪われる。
「すげぇ」
「可愛い」
自分たちの眼前を優雅に通り抜けるその生徒は、端正な顔立ちにストロベリーブロンドよりもさらに鮮やかな紅の髪を腰まで携え、目を会わせれば吸い込まれてしまいそうな蒼玉の瞳を持ち合わせる。鼻筋はスッと伸びており、唇は薄すぎずかといって厚くもない朱色。極めつけはモデル顔向けの高身長。それだけでも十分、他者から羨望の眼差しを向けられると言うのに、その生徒を語るにはまだ言葉が足らない。
その生徒の最大の魅力とも言えるのは、その四肢である。
肩口からすらりと伸びる細く長い腕。その指は爪の先まで綺麗に整えられている。
華奢な肩幅からは想像も出来ないほどの豊満な胸部は身に付けている制服を押し上げる。その大きさも然ることながら美しい形を保っており、常人がどれだけ努力を重ねたところで手に入れられる代物ではないだろ。
その下に目線を移せば、そこには細く引き締まったウエストが目に入る。どうやったらそんな凹凸が出来上がるのだろうか、同性ならばご教授願いたいところだろう。
そんな彼女の目を惹くのは、なにも上半身だけではない。
胸部と同様に歩みを進める度にフリフリとスカートの中で揺れる臀部。形が良く、適度に引き締まっており、質感は絶妙な軟度を保っていることがスカートの上からでもみてとれる。
その臀部から伸びる脚部もまた見る者を魅了するもので、スカートの裾から見え隠れするむちむちとした太腿は白磁のように透き通っており、美しく気品漂う胡蝶蘭のようであった。
その風貌は最早、美の女神さえも嫉妬し、劣情を掻き立てられるに違いないだろう。
そんな彼女リアス・グレモリーは現在、非常に憂鬱である。
理由はこの後に行われる入学式にある。
本来なら他の生徒と同様に新たな学園生活に胸踊らせるところだろう。
否、彼女とて新たな生活を楽しみに今日のこの日を迎えたのであるが、前日、彼女の実家より連絡があり、入学式に父親と兄が参列するという報せが届いたのである。本来であれば、家族に自分の晴れ姿を見てもらうことは誇らしいことではあるが、彼女の場合は他所の家庭とは些か事情が違う。
(お父様だけならわかるけど、お兄様まで来るなんて・・・グレイフィアね)
そこには居ない人物を思い浮かべながら、小さく息を吐く。
「ため息を吐くと、幸せが逃げてしまいますわよ」
リアスが入学式のことを思案していると、前方より艶のある声で話し掛けられる。
リアスは声の聞こえた方に目を向けると、笑顔を見せてその人物に駆け寄る。
「あら、朱乃。早かったわね。待たせたかしら?」
リアスから朱乃と呼ばれた彼女も笑顔でリアスを迎える。
リアスと朱乃。
この2人が一緒に居ることで周囲の人々の視線をさらに集めることになる。
と言うのも彼女もリアスに負けず劣らずの容姿とプロポーションを兼ね備えた女性であり、彼女もまた絶世の美女とも呼べる存在であった。
紅の髪のリアスに対して、朱乃は大和撫子を彷彿とさせる黒髪で1本にした髪をリボンで纏めた所謂ポニーテールと呼ばれる髪型をしている。
また、胸部もリアスと同等か、それ以上のサイズで周囲の者たちを魅了していたのだ。
そんな美女2人が共に居れば周りが勝手に盛り上がるのは自然なことで、2人も別段気に留めることなく目的の場所へと歩を進める。
「新しい生活が始まると言うのにため息だなんて、一体どうしたのですか?」
先程のリアスの様子が気に掛かり、その理由を伺う。
「入学式のことでちょっとね」
リアスは少し呆れた顔で簡潔に理由を答える。
「入学式?・・・あぁ、なるほど」
フフッと口にして手を添え、思い出したように笑みを浮かべる。
どうしてこれだけのやり取りで意思の疎通が出来るのか。
2人は幼少期よりの親友で以来リアスと朱乃は常に行動を共にしてきたのだ。
そのため、朱乃はリアスの最大の理解者であり、リアスもまた朱乃に全幅の信頼を寄せていた。
「お父様だけじゃなくて、お兄様まで来るなんて。どうしたら良いのよ」
頭部を左右に振り、額に手を当てて考え込んでしまうリアス。
「しかし、今日は式に参列したらすぐお帰りになられると仰っていたではありませんか?」
悩むリアスに優しく声を掛ける朱乃。どうやら朱乃もリアスの父親と兄とは顔見知りのようだ。
「そうだけど・・・。それだけで済むかしら?特にお兄様は」
リアスが心配しているのは父親ではなく兄のようだ。
朱乃もリアスの兄の性格を思い出し、苦笑いを浮かべる。
学園に着くと、校舎の入り口付近に生徒の所属するクラスが貼り出されていた。
リアスと朱乃は自分たちのクラスを確認すると、校舎の中に入って行く。
2人は同じクラスだったようで、美女2人が同時に入って来た教室は大騒ぎになる。
数少ない男子生徒は涙を流しながら拳を握り締め、クラスの大多数を占める女子生徒までもが奇声を上げる始末。
2人は一瞬にして女子生徒に囲まれ、質問攻めに合う。
その光景は担任教師が教室に来るまで続いた。
担任教師から式の流れや注意点など一通り説明を受けると、入学式の開始を告げる校内放送が教室に鳴り響く。体育館に移動するよう指示が出され、生徒が一斉に移動を開始する。
だが、リアスには1つ気になることがあった。
(隣の席が空いてるわね。入学式なのに遅刻かしら)
もうすぐ入学式が始まる時刻になっても現れない。
普段であれば、別段、気にも止めないのだが、その時は妙に空いている隣の席が気になった。
「どうかしましたかリアス?」
移動しないリアスが気になった朱乃が声を掛ける。
「なんでもないわ。行きましょう朱乃」
体育館にて入学式が始まると、式は何事もなく粛々と進んでいった。
心配していた兄も入場時に立ち上がり名前を叫ばれただけで、式が始まるとビデオカメラを片手に撮影に夢中になっていた。
ここで新入生代表の挨拶となり、答辞を述べる者の名前が告げられる。
(ようやくソーナの出番ね)
ソーナと言うのは、リアスのもう1人の親友であり、付き合いだけで言えば朱乃よりも長く、家族ぐるみの付き合いである。式にはソーナの姉も参列しており、リアスの兄同様に入場時にソーナの名前を叫び、その後はビデオカメラを片手に撮影に夢中になっていた。
「新入生代表 菅原 ユウ 」
進行役の教頭より新入生代表の名が告げられる。
「えー!ソーナちゃんじゃないのー!」
保護者席の方から立ち上がり、叫ぶ声が体育館中に響き渡る。
ソーナの姉のようだ。
周りから笑い声が上がる。
リアスもまた新入生代表はソーナだとばかり思っていたため、聞き覚えのない人物の名前が呼ばれたことに驚いていた。
しかし、名前が告げられた人物は一向に登壇する様子がない。
「えーと、菅原 ユウ君登壇して下さい」
再度、教頭が代表生徒の名前を告げるも反応なし。
次第に生徒だけではなく保護者席もざわめき始める。
「菅原 ユウ君居ませんか?」
再三の呼び掛けにも反応がなく、教員たちの間で何らかの協議が行われ、結果を発表しようと教頭がマイクのスイッチを入れたその時。
「はい!」
ガラガラという扉が開く音ともにその生徒は体育館に入って来た。
「菅原ユウです。遅れてすみませんでした!」
入ってくると同時に大きな身体を九の字に折り曲げ、頭を下げ、謝罪する男子生徒。
「えっと、菅原ユウ君ですね?登壇して新入生代表の挨拶をお願いします」
男子生徒が「はい」と返事し、顔を上げようとした。
その時・・・
[ドカッ]という効果音とともに男子生徒は吹っ飛んだ。
「入学式の時間を間違えるとは何事だー!」
男子生徒を蹴り飛ばしたであろう女性が鬼の形相で怒鳴り付けた。
おそらく男子生徒の母親であろう。蹴り飛ばした息子には目もくれず、周囲の保護者や教員に頭を下げて回っていた。
その横顔は非常に整っており、美しいと評判の自分の母親と比べても遜色なかった。
一瞬、その女性と視線が交わった気がしたのは気のせいだろうか。
そうしているうちに蹴り飛ばされた男子生徒は登壇し、新入生代表の挨拶が行われ、母親の方も保護者席に座っていた。
その後、式はつつがなく終了したが、生徒退場時にリアスとソーナが顔を真っ赤にして体育館を出ていくことになる。
「うぉ、家の母ちゃんと同じような人が2人いる」
入場時の2人を見ていない彼はリアスの兄とソーナの姉に驚き、顔を真っ赤にした2人に勝手に親近感を感じたのだった。
式の終了後、母親と2人で職員室へ行き、式のことを改めて謝罪するも母親に首を掴まれ、無理矢理頭を下げさせられたせいで数日間、首の痛みに悩まされることになった。
あの時、教頭と担任教師が間に入ってくれなかったらと思うと、ゾッとする。
身体が頑丈になっても痛いものは痛いのだ。
担任教師と一緒に自分のクラスへ向かい、教室に入ると、何人かの生徒に指を差されて笑われることなった。
自分の席を指示され、そこに行くと、先程顔を真っ赤にして体育館を出た女子生徒が隣に座っていた。
赤よりも更に紅い。真紅の髪を携えた彼女が。
・
・
・
・
「お久しぶりですね。ソフィアさん」
学園の屋上にて一組の男女が会話を交わしていた。
1人は真紅の髪を肩口まで伸ばし、物腰の柔らかそうな口調で話す男。一見すれば、なよなよとした優男ようにも思えるが、その男が時折醸し出す空気は、おおよそ普通の人間のものとは思えない雰囲気を纏っていた。
「その名はずいぶん前に捨てたよ」
1人は栗毛にウェーブのかかった髪を短く切り揃えた端正な顔立ちの女性である。
「ユウ君もずいぶんと立派になられましたね」
転落防止用のフェンスに手を掛け、校庭に目を向けながら後方に居る女性に話し掛ける。
「色々と苦労があるけどね。あの紅い髪の子はあの時の子かい?」
女は男の横に並び、フェンスに背中を預ける。
「はい」
男は短く答える。
「そうかい。あんなに大きくなったんだね」
女は懐かしむよう空を見上げながら呟く。
「父も母も、もちろん私もあの日を忘れたことはありません。ソフィアさんにはどれだけ感謝してもしきれません」
男は真剣な眼差しで女を見つめる。
「やめなよ。ジオティクスにもヴェネラナにも、もちろんあんたにだって詫びてもらう筋合いはないよ」
何かを思い出しているように目を瞑りながら女は答える。
「あなたはそれで良くても私たち家族はそういう訳にはいきません」
男と男の家族は女に大きな恩があるようで、何とかしてその恩を返したいと感じているようだ。
「頭の固さは昔から変わらないねサーゼクス」
サーゼクスと呼ばれた男は何かを言い掛けるも女によって遮られる。
「あの子の力が目覚めようとしている」
女は腕を組み目を伏せながら、けれどしっかりとした口調で話す。
「あなたの息子さんならもしやとは思っていましたが、やはり受け継いでおられましたか」
サーゼクスの言葉に女は黙って首を横に振る。
「私のじゃない」
女の返答にサーゼクスは意味がわからなくなる。
「あなたのではない?では、一体?」
女は腕を組み替え、サーゼクスに向き直る。
「わからない。だから、あんたに頼みたい。もしこの先、息子に万が一のことが起こった場合、どうか息子のことをよろしくお願いします」
女はサーゼクスに対して深々と頭を下げ、話を続ける。
「出来れば私が守ってあげたかった。でも、もう私にはそんな力はない。後生ですサーゼクス。どうか私に代わってあの子を見守ってあげてください」
サーゼクスに縋り付き、女は悲痛な胸の内を告げる。
「わかりました。15年前にあなたから受けた恩は、あなたの息子であるユウ君に必ずお返しいたします」
サーゼクスのその言葉に女は何度も頷き、涙を流した。
0.5話を更新しました。
意外と早く更新できたことに驚いてます。
前書きにも書きましたが、もはやどの人称で書いているかわかりません。
とにかく、プロローグはこれで終了です。
次回からは原作に入っていきたいと思います。
1巻の途中からですかね。
わたしはハイスクールD×Dの魅力はストーリー以上に女性陣だと思ってるのでその辺を中心に書いていけたらいいと思ってます。
次はいつとは言えませんが、基本的には原作遵守なので原作にうまいことオリ主をはめ込んでいけたらいいと思ってます。