白いアブチロン   作:しぇるるる

1 / 3
⚠リスカ、花吐き病要素あり


第1話

目を覚ます。 まだ、子供のままか。

ふと思うことがある。 あの時子供にされたのは夢で、起きたら工藤新一の姿に戻ってるんじゃねーか。って

子供の姿ってのは不便で、この地獄のような苦しみに抗う体力もねぇし、あいつに届くだけの腕も、蘭を1人で守ってやる力も無い。

起きたら工藤新一に戻っていますように。そう願っても変わらないこの姿が罪のようで…

…あいつだったら、俺のこんな弱さを見てなんて言うんだろうな……… 白い、白いマジシャン。

オレの、片想い。

きっと笑顔で、茶化して、オレの事バカにしてくるんだろうな…

笑うしかねぇよ。こんな体。

毎日毎日あいつを想って花を吐いて、日に日に削られていく体力とメンタル。

もう、嫌だ。くるしい。くるしいよ

「__うぇっ…」

また、いつもの発作。 この発作が来ると、もうあいつのことしか考えられなくなる。

思えばあの日、シンガポールの空を一緒に飛んだ日。あの日がすべての始まりだったのかもしれない。

日本に帰ってきてからと言うもの、この苦しみと、あいつに会えない寂しさに蝕まれて生きてる。

オレ、もう死ぬのかな。こんな小さい体じゃ蘭を守ってもやれないしな。

「はぁ、はぁ………… はは、は…」

目から溢れてくる。やけにあったかくて、悲しいもの。

笑っちまうな、名探偵がこんなことで泣いちまうんだぜ。

ふいに、頭の中に響く。

『な、めーたんてー。』

ああ、少しでもいい、オレを楽にさせてくれよ。

もう、ずっと花を吐くのは疲れた。苦しくて切なくて、

なんで、

つらいよ。くるしいよ。

ふと目に入った机の上のカッター。ベッドから降り、手に取って。 オレの手には少し大きめのそれはひんやりしていた。

少し左腕に当てる。

く、と力を込めてみる、あっさり切れてくんだな…

不思議とあまり嫌に感じない。

なんとなく、リストカットをする人たちの気持ちが分かるような気がするな。

このなんとも言えない痛さが、少しの間苦しみを忘れさせてくれるんだな。

少し気分も良くなったところでカッターと腕を軽く拭き、ベッドに座ってみる。

窓の外は満月で、白いマジシャンでも飛んでいそうだった。

「…オレはこれから、どうなるんだろうな」

分からない未来に一筋の希望を持ちたい。蘭に心配はかけたくない。 もちろん博士にもあの3人にもおっちゃんにも、灰原も、な。

少しだけ、痛みの残る左腕を放って、オレは眠りについた。

…扉の向こうの、白い影に気づくこともなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「__おいたはダメだぜ、めーたんてー…」




Kコ1話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。