目を覚ます。 まだ、子供のままか。
ふと思うことがある。 あの時子供にされたのは夢で、起きたら工藤新一の姿に戻ってるんじゃねーか。って
子供の姿ってのは不便で、この地獄のような苦しみに抗う体力もねぇし、あいつに届くだけの腕も、蘭を1人で守ってやる力も無い。
起きたら工藤新一に戻っていますように。そう願っても変わらないこの姿が罪のようで…
…あいつだったら、俺のこんな弱さを見てなんて言うんだろうな……… 白い、白いマジシャン。
オレの、片想い。
きっと笑顔で、茶化して、オレの事バカにしてくるんだろうな…
笑うしかねぇよ。こんな体。
毎日毎日あいつを想って花を吐いて、日に日に削られていく体力とメンタル。
もう、嫌だ。くるしい。くるしいよ
「__うぇっ…」
また、いつもの発作。 この発作が来ると、もうあいつのことしか考えられなくなる。
思えばあの日、シンガポールの空を一緒に飛んだ日。あの日がすべての始まりだったのかもしれない。
日本に帰ってきてからと言うもの、この苦しみと、あいつに会えない寂しさに蝕まれて生きてる。
オレ、もう死ぬのかな。こんな小さい体じゃ蘭を守ってもやれないしな。
「はぁ、はぁ………… はは、は…」
目から溢れてくる。やけにあったかくて、悲しいもの。
笑っちまうな、名探偵がこんなことで泣いちまうんだぜ。
ふいに、頭の中に響く。
『な、めーたんてー。』
ああ、少しでもいい、オレを楽にさせてくれよ。
もう、ずっと花を吐くのは疲れた。苦しくて切なくて、
なんで、
つらいよ。くるしいよ。
ふと目に入った机の上のカッター。ベッドから降り、手に取って。 オレの手には少し大きめのそれはひんやりしていた。
少し左腕に当てる。
く、と力を込めてみる、あっさり切れてくんだな…
不思議とあまり嫌に感じない。
なんとなく、リストカットをする人たちの気持ちが分かるような気がするな。
このなんとも言えない痛さが、少しの間苦しみを忘れさせてくれるんだな。
少し気分も良くなったところでカッターと腕を軽く拭き、ベッドに座ってみる。
窓の外は満月で、白いマジシャンでも飛んでいそうだった。
「…オレはこれから、どうなるんだろうな」
分からない未来に一筋の希望を持ちたい。蘭に心配はかけたくない。 もちろん博士にもあの3人にもおっちゃんにも、灰原も、な。
少しだけ、痛みの残る左腕を放って、オレは眠りについた。
…扉の向こうの、白い影に気づくこともなく。
「__おいたはダメだぜ、めーたんてー…」
Kコ1話