工藤くんにご飯を届けて戻った。部屋に入って、ぐるぐると回る頭を押さえてしゃがみこむ。
「…工藤くん、隠せてないよ…」
資料を見る左手に、まだついて間もないであろう傷があったのが見えた。それに、 カッターが机の上に置きっぱなしだったのがおかしいと思った…彼なら絶対、ペン立てに戻すはずだから。
…工藤くんは、自分を傷付けてしまうほど、弱かったかな…
いや、彼がそうだったんじゃなくて、何かが彼をそうさせてしまったのか。何かが、というか…その答えは分かってるんだけど。
「…そこにいるんでしょう、キッド。」
「あーあ、バレちまってたか。」
丁寧に窓を閉めて入ってくるキッド。手には紙のようなものを持って。
ああ、こうして会うのは久しぶりな気がする。
というか、工藤くんのところに行ってあげればいいのに。なんでわざわざ私のところに…?
「名探偵、病気なのですか?」
不意をつかれて動揺を隠しきれなかった。…知っているなら行ってあげてくれれば。。少し間を置いて答える。
「…まぁ、そんなところね… 行かないの?」
いつの間にか窓から飛び立とうとしていたキッドに後ろから声をかけ、その白いマントをくいっと引っ張る。
「病人の部屋にズカズカと入り込んでいくほど、野暮ではございませんよ…っと、ではではごきげんよう、小さな研究員さん」
「あっ…」
飛び去ってしまったキッドの後ろ姿はもう見えない。
いつの間にか自分の手に握られていたキッドマークつきの予告状を見て、少しほっとした。
ていうか……工藤くんの病気は100%あなたのせいなんですけど…
そう心でツッコミを入れ、私は部屋を出る。
「博士、工藤くんにご飯届けたわよ。」
「おおーそうか。早く、その花吐き病?とやらが治ってくれるといいんだが…」
「…そうね。学校にも行けないものね。」
私が口を出していいのはご飯のことくらいだし。私は私で早くあの薬の研究をしなくちゃ。
私は地下室へ行き研究の続きに取り掛かった。
「えー!!!?コナンくんが!!?」
毛利蘭の叫び声を聞いて目が覚めた。ああそうだったわ、今日は探偵事務所の彼女に工藤くんのことを説明しなきゃいけないんだった、、
階段を上り博士達の元に走る。
「こんにちは、コナンくん今は体調を崩していて…うちで預かっているわ。」
「あら、哀ちゃんこんにちは…コナンくん、何か大変な病気だったりするの…?」
「そうね…今は寝込んでいて動けないから、しばらくうちで面倒見るしかないわね。ここなら博士が一日中いるし。」
「そっか…じゃあ仕方ないね、コナンくんのこと、よろしくね、哀ちゃん…」
「はい、もちろん。」
っと…花吐き病のことを説明するのはとても面倒だし、この子はいつもふわふわしているから(髪の毛は尖っているけれど)説明はそんなにしなくてもいいわよね…
この小説を読んでいるあなただけに詳しく説明すると、コナンこと工藤くんは、毛利親子が旅行に行っていて自宅で留守番中、花吐き病を発症。今は博士の家にいるっていう設定よ。
あ。私がこんなにメタいことしたなんて、みんなには内緒ね。只者じゃないって思われちゃう。
まぁこんなところね。、それじゃあ私は研究に戻らなくちゃ。、
「コナンくんがここで病気してるって本当!?」
「元太くんは学校で掃除当番なので僕達が先に来ました!!!」
おっと…元気な少年探偵団たちが来ちゃった。彼らの暖かい笑顔に癒されて、私は地下に戻った。