戦闘開始から数時間が経ち、一点集中の攻撃により敵兵器二機を倒したものの総勢百八名いた古野間率いる九つの部隊で構成されたアルファチームは六十名まで数を減らしていた。
「ちっ、数が多すぎる!」
古野間は手持ちのアサルトライフルの弾薬が切れたため、マガジンを交換してから通信機のスイッチを入れる。
「宗像、まだ合流出来ないか?」
〔あと少しです。もう少しだけ耐えてください! 〕
「分かった。出来るだけ早く来てくれ!」
通信機のスイッチを切り、ライフルの銃口を敵機に向けると同時に引き金を引く。古野間の周りでは、仲間の隊員達が必死に反撃をしている。だが相手が優勢なのは変わることはなく、
「うわぁ!」
「や、やめろ、来るな!」
至近距離で敵のライフルを受け倒れていく者やショットガンで蜂の巣にされるという光景が絶えず続いており、部屋の中は見るに耐えない状況だった。亡くなってゆく隊員を弔う暇もなく、古野間たちは銃の引き金を引き続ける。数時間の死闘により敵兵器は残り四機となったが、アルファチームが持ってきた弾薬類は既に底をつき始めていた。隊長である古野間も数カ所に敵弾が掠り軽傷を負っていた。だが攻撃の手を緩める事は無く、隊長としての責務を果たそうとしていた。
「宗像達が合流するまでは何としても耐えるぞ!」
「了解!」
古野間の耳に届いた隊員の声はほんの数人だったが、周りでは片腕を突き上げたり笑みを浮かべるなど各々が古野間に呼応していた。それから数分が経ち、宗像率いるブラボーチームが合流する。到着した隊員達は地獄絵図となっている部屋の光景を見て、息をのんでいる。
「隊長、爆弾の起爆まであと30分もありません! ここは任せて先に進んでください。全力でサポートします! 各員、アルファチームを囲み、死守しながら前進せよ!」
ブラボーチームは文字通り肉壁となりながら、アルファチームを部屋の出口へと進めていった。部屋の出口にたどり着く頃にはアルファチームよりも数を減らしていたブラボーチームであったが、古野間らがドアを通過したのを確認すると中からドアを閉め、部屋を封鎖した。古野間は振り返ることはせず唇をかみしめて、前進を指示した。やがてアルファチームは先ほどの部屋から続く螺旋状になっている階段を登りきり、新たな部屋へと到着する。一番先に部屋へ突入した古野間は人の気配を感じ、咄嗟に銃を構える。
「動くな! 手を上げろ」
古野間に背後から声をかけられた人物達はゆっくりとこちらに振り向いた。
「古野間さん!」
古野間は声から雪ということを認識して、銃を下ろした。それと同時に雪の後方に、五人ほどの空間騎兵が座ってうずくまっていることを確認する。
「森か! 何があった、なぜCチームはお前とこいつらしか残っていないんだ?」
「ここに着く直前で戦っていた多数の敵が手榴弾で自決しました。みんな、それに巻き込まれて……」
雪はそれだけいうとうつむいた。
「そうか……だが、まだ戦いは終わっていない。ここを上がれば起爆装置を解除出来る。いくぞ」
古野間は座っている隊員に活をいれ直し、再び進み始める。
重核子爆弾内部・最上階
「雪、それにパルチザンの奴らも来たか……」
雪の到着を待っていたアルフォンは、銃を構えると同時に引き金を連続して引いた。放たれた複数の光は古野間を含め雪以外の全員の足を貫く。
「雪、これで君と戦える。さあ、銃を構えろ」
雪は手に持っていたコスモガンを構える。二人はそのまま見つめ合い、同時に引き金を引いた。すれ違った二つの光は、アルフォンの胸を貫き、一方は雪の腕を掠める。そして、アルフォンはその場で崩れ落ちた。
「アルフォン少尉!」
雪はアルフォンに駆け寄り、抱きかかえる。そして、アルフォンの胸の穴から見えるのが機械であることに気づいた。
「雪、すまなかったね。地球人をたくさん殺してしまった。だけど仕方なかったんだ。見ての通り僕たちはサイボーグ、だから地球人の肉体を使って完璧な人間に戻りたかった。そのために侵略し蹂躙した。爆弾の解除は本星と重核子爆弾内部の2つを破壊しなければならない。だが、本星の方は先程解除された。あとはその機械を壊せばいい……あと2分だ。急げ………………」
雪は息絶えたアルフォンを床に寝かせ、機械に銃の狙いを定め、引き金を引いた。その瞬間、内部の電力は途絶え機能を停止した。それを確認した雪は、振り返る。
「古野間さん、すぐに手当てを!」
雪は古野間達に応急処置を施し、すぐに全員でブラボーチームのいる部屋へと戻った。ドアを開き中に入ると、宗像を中心としたブラボーの生き残り8名は部屋の中央で怪我の処置を行っていた。
「隊長、終わりましたか……良かった」
宗像は笑顔でそう言うと、立ち上がる。
「さて、退屈している地球艦隊たちに知らせましょうか」
「ふっ、そうだな」
一時間後・司令部作戦司令室
「地球より各艦隊へ。[我、地球カイホウニ成功。行動ヲ開始セヨ]」
藤堂は、秘匿回線にて各艦隊へ指示を出した。
第1艦隊・春蘭
太陽系外縁部にて拘束されている各艦隊に通信が入ったのは、爆弾解除から三十分ほど経ってからだった。司令である近藤はただちに通達を各艦隊旗艦へ送った。そして、第一艦隊にも命令を出す。
「第一艦隊、全艦戦闘配置! 駆逐艦部隊は高機動を生かし敵艦隊に肉薄、撹乱せよ! ドレッドノート級半数は駆逐艦の支援、もう半数は本艦と共に混乱した敵艦隊を一気に叩く!」
その通信を戦いの火蓋として、大規模な艦隊戦が開始される。2隻の駆逐艦は敵艦隊の両舷から陣形内へと侵入、魚雷を絶え間なく発射しながら敵艦隊の陣形を崩していく。そこに春蘭以下第一艦隊の猛烈な砲撃が命中し数分もたたないうちに敵艦隊は壊滅したのだった。
第五艦隊
「藤堂艦長、近藤司令より通信が.内容は[今までよく堪えた。思う存分暴れよ]です」
早紀は微笑み、椅子から立ち上がる。
「航空隊、全機発艦! 前方の敵艦隊を殲滅せよ」
その合図とともに銀河の艦載機発艦口が開き、ブラックバード隊が射出される。それに続き、後方の空母からも続々とコスモタイガーが離陸していく。漆黒の宇宙を駆ける数十機の編隊が敵艦隊の頭上から襲いかかり、薄い対空砲火も虚しく次々と爆散していく。ものの数分で壊滅した敵艦隊の残骸を華麗に駆け抜け、航空隊は母艦へと帰還していった。そして銀河のレーダーがあるワープアウト反応を捉えた。
「前方にワープアウト反応、これはヤマトです!」
銀河の前方に姿を現したのは、銀河の同型艦であり地球の希望の象徴である宇宙戦艦。どんなに傷を受けようとも、必ず勝利を持って帰ってくるその艦は今回も満身創痍であった。そしてもう1隻、その艦もまた瀕死であった。
「お待ちしておりました」
早紀以下、銀河のクルーは敬礼でヤマト達を迎えた。それと時を同じくして、銀河系内のデザリアム軍は一掃され地球は平和を取り戻したのだった。
山南艦長を生かすか殺すかどっちがいいですか?
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生かして次の作品でも艦長にする。
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殺す。