アプリルチームは無事にダンジョンの攻略に成功した。
麗羅チームは途中で麗羅が罠にかかり、分断されてしまう。
壁の裏側にいた魔物に苦戦するものの、何とかダンジョンを攻略する。
アプリルチームと麗羅チームはついに×印状の罅を通り抜け、謎の大陸に行こうとするのだった。
1 - 謎の大陸
「わああぁぁぁ!」
「……」
勇気とプーカは、手足をばたつかせながら、罅の中を飛んでいた。
ディアーナとジャネットは目を閉じて、ぐっと腕を組んでいる。
時のトンネルと違い、周りはどす黒く、泥のようにドロドロとしている。
目が回り、頭が回り、何より、この空間にいるだけで気分が悪くなっていく。
「ゆ、勇気クン、やっぱり入っちゃまずかったんじゃないの力?」
「そんな事言われても、これしか方法がなかっただろ!」
罅の先に邪鬼がいる。
捕まえて、羽心を救い出すチャンスなのだ。
勇気達は、全身に力を入れた。
やがて、どす黒い空間の先に、光が見えてきた。
「出口だ!」
―ドンッ!
勇気とディアーナは思い切り尻餅をついた。
「勇気クン、ディアーナ、大丈夫かイ?」
「あ、ああ、何とか無事だよ、あいたた」
「ちょい怪我したわ」
勇気とディアーナは、フラフラとしながらも、立ち上がると、周りを確認した。
「ここは……」
湿った大地がどこまでも広がっている。
草木は生えておらず、数え切れないほどの水たまりや干潟が見える。
その大地に、ところどころ見慣れない建築物が建っていた。
どれも石を積み上げて造っているようだ。
勇気はふと、一際大きな建築物に目を留めた。
「あれは……」
ピラミッド状の建築物で、中央に階段があり、頂上に神殿のようなものが見える。
以前怪狩りで行ったエジプトにあったピラミッドとは全く形が違う。
勇気は、その建築物に見覚えがあった。
先日ニュースの映像で見た場所だ。
「まさかここって」
「「海……!」」
大西洋に浮上した、謎の大陸である。
「どうしてここに?」
勇気は戸惑いながらも、「あっ」と声を上げた。
以前見た夢の中で、キユウはあの頂上にある神殿のような場所に立っていた。
「もしかして、キユウがいるのかも!」
しかし、勇気はすぐに冷静になった。
罅に飛び込んだら、ここに着いたのだ。
「それって、邪鬼の目的の場所がこの大陸だという事だよね……?」
邪鬼は、望みを叶えるためには、羽心とパンドラの箱が必要だと言っていた。
ここが、彼の野望を叶えるための場所なのだろうか?
すると、ジャネットが口を開いた。
「行くしかありません。外でも動いていますから」
「どういう意味?」
邪鬼はこの大陸のどこかにいる。
それを捕まえるために、勇気達は罅の中に飛び込んだのだ。
「あと八人、来ますよ」
「えっ」
邪鬼を捕まえ、羽心を救い出せば、野望も打ち砕く事ができるはずだ。
そして、ジャネットはアプリル達を信じている。
「そ、そうだね。行ってみるしかないよね」
「はい、任せてくださいね!」
「ピンチになったらオイラが助けてあげるかラ」
ジャネットとプーカはそう言って笑う。
勇気はその笑顔を見て、少し心が落ち着いた。
「よし、行こう。まずはあのピラミッドからだ!」
「うわ~、これは凄いネ」
「遠くで見るとこんなに大きかったんだ」
「恐らく、ここに邪鬼がいるでしょう」
「聖女として、彼を捕まえます!」
勇気達は、ピラミッド状の建築物の傍までやって来た。
建築物は、想像以上に大きく、真下からだと頂上にある神殿は全く見えない。
中央にある階段も大きい。
横の幅は、5mほどあり、1段ずつの高さも3cmほどある。
それが100段以上続いているようだ。
勇気達は建築物を一周するが、どこにも入り口はないようだ。
「階段を上るしかないみたいだね」
「そうですね」
勇気は、階段を見上げながら、ゆっくりと上り始めた。
ジャネットも、鎧の重さに耐えながら、階段を上がった。
―ヒュ~、ヒュ~
上るにつれ、風が強くなっていく。
「風と友達になるのよ」
「うう、勇気クン、肩を借りていいかナ?」
ディアーナが風に乗る中、プーカは、風のせいで、真っ直ぐ飛ぶ事ができないようだ。
「無理して飛ぶ必要ないだろ」
「いやあ、オイラも一人前だってところを見せたくテ」
プーカは、勇気の肩の上に避難しながら笑った。
勇気はふと、眼下を眺めた。
既に3mほど上っているようだ。
「勇気、どうしましたか?」
「転げ落ちたら、怪我だけじゃすまないよね」
「私は大丈夫ですが……生身の人間では、重傷ですよね」
勇気は、ゴクリと唾を呑み込む。
「下を見ちゃ駄目ダ。こういう時は上だけを見ながら歩く方がいいヨ」
「そ、そうだよね」
勇気とジャネットは、階段に手をつけ、落ちないように気を付けながら、慎重に上へと進む。
ディアーナも、風に乗りながら、階段を上がった。
「落ちないように……ゆっくり、ゆっくり……」
一段、また一段。
やがて、頂上が見えてきた。
「よくやった、勇気クン、ディアーナ、ジャネット!」
「ふう~、何とか着いた」
勇気、ディアーナ、ジャネットは、頂上に足を掛ける。
真っ白な神殿が見える。
三人はその神殿をじっと見つめる。
だがその時、目の前に突然人の影が現れた。
「来るなっ!」
丸メガネをかけた男性が襲いかかってきたのだ。
「わっ」
勇気は反射的に逃げようとして、思わずバランスを崩す。
ディアーナとジャネットは、勇気と対照的に動きを止めたままだった。
「わ、あ、あ、あ」
頂上から落ちそうになってしまう。
「勇気クン!」
「危ない!」
「ダメです、動かないでください!」
~次回予告~
うっかり落ちそうになってしまった勇気を助けたのは、神殿の調査隊だった。
どうやら彼らは、邪鬼に襲われてしまったのだという。
邪鬼は羽心の力を利用し、自身の野望を叶えようとしている。
果たして、勇気達は邪鬼の野望を阻止できるのだろうか。