怪狩り ~ 人の絆と怪の決意   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

見捨里市で地鳴りを起こすネッシーを止めるため、勇気達はネス湖に向かっていった。
そこで三人が出会ったのは、同じく三人の男だった。
彼らもまた、ネッシーを探していた、いや、狙っていた。
欲深い男達を前に、勇気達はどう対応するのだろうか。


5 - 三人のハンター

「ボス! これは、凄くいいライトですよ」

「高級品に違いねぇですぜ」

 眼鏡をかけた痩せた男と、背の低い男が、

 勇気の懐中電灯を手にしながら、大柄な男の方を見た。

 小柄な男には、ディアーナの双剣の跡がついている。

 どうやら、大柄な男がリーダーのようだ。

「ったく、子供の癖に、こんないいもん持ってるとは世の中どうなってんだ」

 大柄な男はチラリと勇気の方を見た。

 勇気は、湖畔で男達に捕らえられていた。

 縄で縛られたりしているわけではないが、

 彼らは猟銃を持っているため、逃げ出す事などできない。

 

「ね、ねえ、キユウ、彼らは何者なの……?」

 勇気は、傍に浮かんでいるキユウに、小声で話しかけた。

「彼らは、どうやらハンターのようだね。ネッシーを捕まえて、大金を手に入れる気だね」

「いかにも、欲にまみれているわね」

 ディアーナは不快な表情になっている。

 

「ネッシーを捕まえれば、美味いもんいっぱい食べられますよねぇ」

「綺麗な服も買えるし、家だって建てられるぜぇ。なぁ、ボス」

「ああ、有名になって、世界中を回る事だってできる。貧乏とはおさらばだ!」

 男達は大笑いし、ディアーナはさらに眉を顰める。

「おい、このライトは貰っておくぜ」

「そんな!」

「これだけ明るく照らす事ができれば、ネッシーも見つけやすいってもんだ」

 それを聞き、勇気は焦った表情でキユウとディアーナを見る。

「懐中電灯を奪われちゃったけど、大丈夫なの?」

「うーん、懐中電灯がないと、ネッシーを倒すのは難しいだろうねぇ」

「えええ、そんなに重要なの!?」

「おい、うるせえぞっ!」

 大柄な男が怒鳴った。

「さっきから何一人で喋ってるんだ?」

「えっ、あっ、ええっと」

「……やっぱり、彼らにも見えないのね」

 男達にはキユウは見えない。

 勇気は、男の手にある自分の懐中電灯を見つめた。

「ん、何だ?」

「えっと、できれば、その懐中電灯……ライトを返してほしくて」

「ああん、何だと!?」

「いえ、何でもないです! ただの独り言です!」

 勇気は慌てて笑顔を作って誤魔化す。

「まったく、金持ちの子供はこれだから嫌いだぜ」

 大柄な男は鼻を鳴らすと、部下達とまた話を始めた。

 

「もー、滅茶苦茶怖かったよ」

 勇気は、さらに小声になって、隣にいるキユウとディアーナにそう報告する。

「あの人達は欲にまみれているわ」

「キユウ、あの人達から懐中電灯を奪い返してよ」

「僕が? 言っただろう、僕は霊体だから物に触れられないって」

「ちょ、やめてってば」

 キユウは、手で勇気の顔を掴もうとしながら、何度もすり抜けさせた。

 勇気はキユウから一歩離れると、大きな溜息を漏らした。

 

「ま、結論として……」

「このままじゃ、ネッシーなんか倒せないよ」

「ああ、これは笑えないね」

「笑えないどころの話じゃないよ」

 その時、勇気はハッとした。

「羽心はどうなるの?」

 今頃、羽心は拓馬と亜衣と共に、ミス池に行っているはずだ。

「それも言っただろう。放っておいたら、今夜中にネッシーは君の町に現れるって」

「じゃあ、羽心は……」

 羽心はスコップを持っているが、

 当然、そんなものではネッシーとまともに戦う事などできない。

「彼女は、本当は君にも来てほしかったんだろうね」

「えっ? 誘われたけど、それはスコップを借りにきたついででしょ?」

「逆だよ。誘いたいと思ったから、わざわざ借りに来たんだよ」

「どういう事?」

「口先だけだしね……」

 勇気はよく分からない。

 しかし、羽心が少しでも頼りにしてくれていた事だけは分かった。

「とにかく、懐中電灯を取り返さないと……」

 ここでネッシーを倒せば、羽心達は襲われずに済むはずだ。

「懐中電灯は絶対に必要なのよね?」

「ああ。無ければ、ネッシーを退治する事は難しいだろうねぇ」

 勇気とディアーナは、大柄な男が持っている懐中電灯を見つめた。

 どうにかして取り返さないと……。

 

「よし、あたしに任せて」

「えっ、どうしたの?」

 ディアーナは呪文を唱え、姿を消す。

 足音を立てないように忍び寄り、懐中電灯にそっと手を伸ばし、懐中電灯を取った。

 あっさりと事が解決したため、勇気はぽかーんとしていた。

 そして、そのまま去ろうとした時。

 

「!?」

 突然、湖の方から大きな音が響いた。

 水飛沫が上がり、その中に、巨大な影が見えた。

 巨大な影が大きな鳴き声を響かせる。

「うわああ!」

「来たわね!」

 それは、怪獣ネッシーだった。




~次回予告~

ネス湖で、ついに勇気達は怪獣ネッシーと出会う。
メデューサとは違い、大きく、力もある、純粋に強い怪であるネッシー。
生身の人間がネッシーに勝つ事は極めて難しいだろう。
それでも、勇気達はネッシーに挑む姿勢を取るのだった。
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