怪は人間よりも強大な力を持ち、無力な人々を襲っていた。
だが、人々は決して諦めておらず、勇気と希望を抱きながら怪に立ち向かっていた。
邪鬼は自身の命を削って勇気達を倒そうとしたが、勇気達の勇気はそれ以上に強かった。
その勇気と、人々が抱く希望の光によって、邪鬼はついに敗れる。
そして、超融合により邪鬼とディアーナは文字通り一つになり、神となって世界を再構築する。
だが、超融合の発動の代償として、キユウも、ディアーナも、この世界から消えてしまった。
怪狩り ~ 勇者の導く先
神となったディアーナが世界を再構築したため、人間と怪は共存するようになった。
怪狩りで消えてしまった者達も、ほとんどは蘇っていた。
「そういえば、ネス湖に怪獣がいるらしいぞ」
「おおっ! 一目見たいな」
ネス湖の三人の男達は、ネッシーを探そうと一生懸命だった。
「おとっつぁん、私、私……」
「泣くんじゃない、お雪。もう、お前は俺の娘だ」
お雪は妖怪屋敷から帰還し、
雪女の力を封印するヘアピンを身に着けて巳之吉の本当の娘として暮らしている。
「この町にツチノコがいるらしいが……ま、いいか」
ツチノコは今頃、昭和の町をふらふらと放浪しているだろう。
「よし! 宇宙人でも矢でも鉄砲でも持ってこい!
……といっても、できるのはパトロールぐらいか」
20世紀のアメリカでは、今日も保安官が町の平和を守っている。
「この村に怪物が現れたら、私が何とかするわ! だから、あなた達は安心してね!」
19世紀のイギリスの村では、弓を携えたリサが、村人達に向かって胸を張っていた。
「また、妖精がたくさん来るといいね、エルシーお姉ちゃん」
「そうね、フランシス。だけどまずは、この森を綺麗にするところから始めましょう」
「オイラも手伝うからナ!」
荒れ果てたコティングリーの森は、人間と妖精が手を取り合い、
少しずつだが元の美しさを取り戻している。
「本当に宇宙人なんているのかしら?」
「信じていれば、きっと現れるさ」
「きっと、あなたが大人になったらやってくるわよ」
1990年のアメリカでは、アリスとその両親が、
宇宙人に思いを馳せながらも普通に暮らしていた。
「お帰り、セイレ」
「ただいま、ヨハン」
「大丈夫、私達は三人一緒だ」
消滅したセイレと彼女の姉も蘇り、ヨハンと共に元の時代で幸せに暮らすようになった。
「敵は外側だけでなく、内側からも攻めてきますわ。皆様、気を付けてくださいませ」
「おーーーーっ!!」
サラ姫は、内外の脅威から国を守るために、自らも国民と共に協力した。
「おお、これが聖女ジャンヌ・ダルクの像か!」
「この国を守ったんですよね」
600年後のフランス・オルレアンでは、人々がジャンヌ・ダルクの像を見ていた。
「これからアルカディアにいくんだね?」
ノノ、アプリル、麗羅、つるぎ、揚羽、カリオストロ、パーシャ、ナタリアは、
チェイニーが漕ぐ光の船に乗っていた。
邪鬼がディアーナと超融合した事で、その力を受けていたジャネットの指輪は効力を失い、
既に路地裏はただの路地裏に戻っていた。
ノノ達は見捨里市に隠れ住んでも、いずれは時代の流れで消えてしまう運命にある。
だから、この光の船は人間には見えない直線の道を通り、遠い理想郷に向かっていくのだ。
「アルカディアはたくさんの冒険があるからな」
「わーい! たのしみー! ぼうけんたのしみー!」
大はしゃぎするノノを、パーシャとナタリアは微笑みながら見守っている。
同時に、自分達もアルカディアで新たな日常を過ごしていくのだと思うと、
少しだけ涙を流すのだった。
「そろそろ出港するぞ。皆、準備は良いか?」
「はい!」
ノノ達を乗せた光の船は直線の道を通っていった。
「よし、いくわよ、邪鬼!」
「ああ!」
邪鬼と一つになったディアーナは、その力を使って魔物と戦っていた。
超融合によって邪鬼はディアーナの守護精霊となっており、
名実ともに彼女のパートナーになっていた。
正しい光と正しい闇の力で、世界を滅ぼそうとする光と闇に立ち向かう。
それは、まるである異世界の勇者のようだった。
(勇気、羽心……あたし達が導いたんだから、輝きに選ばれし者として、恥じるんじゃないわよ)
(これからは、僕は君を守る。もう、人間を恨んだり、憎んだりはしない。
これが人々を苦しめた報いだとしても、ディアーナがいたから、助かったよ)
そして――
「う~ん、ここにはいっぱい思い出があるわねぇ」
3月、勇気と羽心は卒業式を終えて、正門の前から学校を見ていた。
来月から、中学生になる。
「勇気くん、羽心ちゃん、中学校でもよろしくね」
「二人は何の部活に入るのかな?」
「よかったら、私達と一緒に『怪奇現象研究部』を作らない?」
同じ6年2組のクラスメイトだった、花恋と拓馬と亜衣が勇気達にそう言う。
「怪奇現象研究部! それいいわね!」
「あのねぇ」
勇気は、それを聞いて興奮する羽心を見て呆れるものの、そういう部も面白いかもと思った。
ディアーナが邪鬼と超融合し、世界を再構築した事により、
あの騒動の事は
覚えているのは、勇気と羽心だけである。
「それじゃあ、中学校でね!」
やがて、勇気と羽心は花恋達と別れた。
「それにしても、プーカやディアーナ、ジャネットは、元気にしてるかな」
道路を歩きながら、羽心がふと、勇気に言った。
ディアーナが邪鬼と超融合した後、彼女はアルカディアに帰還し、
プーカは元の時代に帰り、ジャネットは英霊の座に戻った。
「きっと元気にしてるよ。仲間と毎日楽しく過ごしてると思うよ」
「そうね。オイラは王子だゾーって言ってそうよね」
「ディアーナも、天から私達を見守ってるわよね」
勇気と羽心はクスクスと笑う。
そこへ、一台の車が止まった。
「勇気、卒業おめでとう~」
優しい笑顔の男性が、運転席から降りて来る。
「お父さん!」
勇気の父だ。
邪鬼と超融合したディアーナの再構築によって、力が事故で亡くなった事もリセットされ、
勇気は父親と一緒に暮らしているのだ。
「そうそう、さっき書斎を掃除していたら、こんな物が出てきたんだ」
力は、ポケットの中から何かを取り出す。
それを見て、勇気と羽心は「あっ」と声を上げた。
それは、キユウが頭に着けていたゴーグルだ。
「おじいちゃん、いつもこれを着けて、色んなところを冒険してたんだよ。
まさか、家にあったとは思わなかったけどねえ」
力はそう言いながら、ゴーグルを勇気に差し出した。
「卒業祝いに、勇気にプレゼントするよ」
「これを、僕に?」
勇気は、笑顔でゴーグルを受け取った。
「さあ、勇気、そろそろ行こうか」
「あら、どこに行くの?」
「あ~、隣町の遺跡を見に行こうと思って。お父さん、発掘調査に参加してるんだ」
「え~、そうなの!? 私も行きたい!」
「そうだね、じゃあ一緒に行こう!」
「やった~!」
羽心は嬉しそうに笑った。
そこへ、一人の女性が走ってきた。
女性は、何かに怯えているようだ。
「どうしたんですか?」
勇気が声をかけると、女性は「大変なの」と声を上げた。
「この先の池に、変な生き物がいたの。まるで竜みたいな大きなバケモノで!」
「竜!?」
「それって」
勇気と羽心は、顔を見合わせた。
もしかすると、怪かもしれない。
「勇気」
「ああ、羽心」
勇気は、女性の方を見た。
「大丈夫です。もしそれが本当にいたとしても、僕達が何とかしますから」
怪を倒す事ができるのは、怪を何度も倒してきた勇気と羽心だけだ。
「行きましょう」
「ああ、悪い怪なら、僕達が倒さないと」
勇気は、キユウの形見のゴーグルを頭に着けた。
「さあ、怪を倒しに行くよ。――怪狩りの時間だ!」
人間が恨み、妬み、嫉みなど、負の感情を抱けば、第二の邪鬼が誕生するかもしれない。
しかし、人間にはそれ以上に、勇気と希望がある。
神が再構築した世界で、勇気と羽心は、強い勇気と希望を胸に前に進むのだった。
そんなわけで怪狩り二次創作は、これにて終了です。
結末が原作と異なるために、最初のシーンをいくつか追加しました。
怪狩りの物語が終わっても、勇気達の怪狩りが終わる事は、ありません。
――もし、三作目が出るとしたら、期待できますか?