ツタンカーメンを探すべく、勇気達はピラミッドの中に入る。
そこにあった時空転移の紋様により、勇気達はピラミッドの頂上に辿り着く。
彼らが出会ったのは、怪奇現象の元凶、怪と化したツタンカーメンだった。
戦いを挑むも、ツタンカーメンの呪いの前になすすべなく蹂躙される。
このまま殺されるかと思ったその時、ハワードが観光ガイドをツタンカーメンに見せ、
彼が人間から愛されている事を伝え、ツタンカーメンを憎しみから解放する。
これにより、エジプトと見捨里市にかかっていた呪いは解けるのだった。
1 - 夜の路地
夜の0時過ぎ、一人の若い男が、住宅地の路地を歩いていた。
スーツはヨレヨレで、ネクタイは曲がっていて、その顔は疲れ果てていた。
(またこんな時間か……)
今の会社で働き始めて3年。
就職する時、仕事は午後6時に終わると聞いていたが、
今まで一度もその時間で終わったためしがない。
(新しい仕事を探そうかな。けど、今の世の中、新しい仕事なんか簡単に見つからないよなぁ)
会社ではいつも上司に怒られていて、後輩にも小馬鹿にされている。
家に帰っても、風呂に入って寝るだけだ。
明日は休日だが、疲れてしまっていて、どこにも出かける気にならない。
実家で暮らしているので、親が料理を作ってくれる事だけがせめてもの救いだが……。
「もう嫌だ……消えたい」
男が溜息交じりにそう言うと、どこからか、音が聞こえた。
聞き覚えのない不気味な音だ。
「何だ?」
男は歩きながら周りを見るが、特に異変はない。
すると、傍の空き地の方から、また音が聞こえた。
先ほどより大きな音だ。
薄暗いのでよく見えないが、音は空き地の中から聞こえているようだ。
男は不思議に思いながら、空き地に足を踏み入れた。
元々この場所には古い家がいくつか建っていたが、取り壊され、マンションが建つ予定らしい。
朝、通りかかった時、建築資材がいくつも置かれていた。
「あれ?」
男は目を凝らしながら、薄暗い空き地の中を見たが、
あれだけあった建築資材が、全てなくなっている。
業者の人が持って行ったのだろうか。
(だけど、ここで使うために置いてたんだよな?)
男はそう思いながら、奥へと一歩踏み込んだ。
突然、草むらから小鳥が数羽飛び立った。
「うわ、びっくりした!」
男は驚きながらも小鳥を目で追うと、何故か、その小鳥達が一瞬で消えた。
「な、何だよ……」
訳が分からず周囲を見ると、空中に何かが浮かんでいる。
「ひいっ!」
空中に浮かんだ×印状の罅の中から、黒い煙がゆらゆらと揺らめいていた。
男はますます訳が分からなくなったが、それが危険なものだと直感した。
罅に背中を向け、慌てて逃げようとした時、罅の中から大きな音が響いた。
「た……す……」
シュッという音と共に、男の声は途切れた。
しんと静まり返り、空き地には、何もない。
男は、小鳥と同じように消えてしまった。
その日の建物は、静まり返っていた。
ジャネットは神妙な面持ちをしている。
「様々な生物が突然失踪する事件が発生しました」
ジャネットは、今回起こった怪奇現象を、ディアーナとノノに話した。
「犯人は胴だけが異常に太い、蛇のような姿をした魔物、ツチノコ。
高くジャンプし、今まで何人も目撃した人がいますが、捕まえた人はいません。
写真や映像にも撮られた事がなく、まさに伝説の生き物です」
「でも、なんでツチノコさんがいきものをけしちゃうの?」
「分かりません。しかし、一つだけ言える事があります。
それはツチノコがただの魔物ではないという事です」
「どういう事……?」
「その答えを知るためには、あなた達が実際に調査をしてください。ツチノコの正体を……」
「わ、分かったわ」
そう言って、ディアーナとノノは、建物を出ていくのだった。
「……フランスで、怪が生まれなければいいのですが……」
ジャネットは建物の中で、顎に手を当てながらそう言った。
~次回予告~
来週の日曜日、蒲谷亜衣は12歳の誕生日を迎える。
羽心は、そのためのパーティーに使うグッズを購入していた。
だが何故か羽心は、×印の罅について覚えていた。
異変を解決すれば記憶が消えるはずだが、勇気にはまだ、理由が分からなかった。