怪狩り ~ 人の絆と怪の決意   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

昭和時代の日本で、ツチノコを捕まえようとする大学生のグループと出会った勇気達。
本来のツチノコは気が弱いはずなのに、何故、生物消失という怪奇現象を起こしたのか。
その謎を解くべく、勇気達はツチノコを追いかける。
時代という壁に困惑しながらも調査を続けていたが、大学生が目の前で消えてしまった。
間違いなく、ツチノコが起こした怪奇現象だ。
勇気を振り絞り、勇気達はツチノコに挑もうとしていた。


5 - 不気味な音

「真美ちゃん!」

 女性が消えた事に気づいた隆志達は、慌てて辺りを探した。

「そんな!」

「あ!」

 ディアーナは女性が立っていた場所を見る。

 すると、新たに雑草が抜かれたように、茶色い土が剥き出しになっていた。

「一体、どうしてなの?」

 剥き出しの土の上には、赤いヘアピンとベルトが落ちている。

「まさかこれって、あの子の?」

 ディアーナがキユウの方を見ると、彼は大きく頷いた。

「気をつけろ。ツチノコがこの近くにいる!」

「かかってきなさい!」

 ディアーナは双剣を構える。

 すると、茂みの奥から、不気味な音がした。

「わっ!」

「うわ、あああ!」

 次の瞬間、突如木々が激しく揺れ、傍にいた体格のいい男性がバランスを崩した。

 男性の周りの草木が抜け、茂みの外へと飛んで行く。

「た、助けて! うわあああ!」

 男性がそこから離れようとすると、男性の姿が消えた。

 それを見て、隆志はパニックになり、その場に尻もちをついた。

「お兄さん、立って!」

 勇気は隆志を立たせようとするが、隆志は怯えてしまい、動かない。

「勇気、その人はもういい! 今は自分の身を守る事が先決だ!」

 キユウが叫ぶように言うが、勇気は大きく首を横に振った。

「お兄さんを助ける方が先決だろ!」

「ネッシーの時もそうだったわ!」

 勇気とディアーナはそう言うと、隆志を何とか立たせようとした。

 ディアーナも武器をしまう。

 キユウは勇気とディアーナをじっと見つめる。

 勇気とディアーナは隆志に必死に声をかけていた。

「立ちなさい!」

「な、何がどうなってるんだ??」

「いいから! 立って!」

「俺達は、ただツチノコを捕まえに来ただけだぞ!」

「いいから!」

「このままじゃあなた、消えるわよ!」

「消える!? そ、そんなの嫌だ!」

 その言葉に、隆志の表情が一変した。

 隆志は立ち上がると、勇気とディアーナを放ってその場から逃げ出した。

「あ、待って! ひいい!」

 二人が追いかけようとすると、再び後ろから音が響いた。

 瞬間、隆志が引っ張られるように茂みの奥へ飛んで行き、消えた。

 

「お兄さん!」

「これだから人間は!」

「三人とも、横に飛べ!」

 キユウが叫ぶ。

 勇気は訳も分からず、ディアーナ、ノノと共に横に飛んだ。

 三人が今までいた場所にあった木が、轟音と共に揺れ動く。

 そのまま、木は地面から抜け、茂みの奥へと飛んで行った。

「何これ?」

「じっとしていたらツチノコに飲み込まれるぞ!」

「飲み込まれる?」

 奥の茂みが大きく揺れた。

 何かが、こちらに近づいてきている。

 ディアーナは、目を凝らして茂みを見つめた。

 茂みの中を、兎のような小さな物体が跳ねながら動いていた。

 だんだん高く跳ねる。

 3m、いや、5mは跳ねている。

 次の瞬間、その小さな物体が、三人の傍に着地した。

 蛇のような生き物で、身体は丸みを帯びていて、

 黒目はクリクリとしているが、胴だけが異常に太い。

「これが……ツチノコね」

 想像していた以上に、小さくて可愛い。

 勇気は何だか肩透かしにあったような気がして、一瞬気が緩んだ。

「逃げろ!」

 キユウが叫ぶと同時に、ツチノコが口を大きく開けた。

「わっ!」

 勇気、ディアーナ、ノノは咄嗟に横へ逃げる。

 三人の立っていた場所の草木が激しく揺れ動き、草木が剥ぎ取られるように地面から抜けると、

 一瞬でツチノコの口の中へと消えて行った。

 

「ツチノコの先制攻撃ね」

「嘘っ? え、今、ツチノコが吸い込んだの?」

 信じられない光景に、勇気とノノは目を疑った。

 流石のディアーナも、驚きを隠せない。

「逃げるんだ!」

「駄目! まずはあたしとノノが食い止める! あたしは逃げも隠れもしないわ!」

「ノノ、がんばる!」

「ちょ、ちょっと待ってぇ!!」

 勇気、ディアーナ、ノノは、ツチノコに勝負を挑んだ。

 

「♪~♪~♪~」

 ノノは鳥に変身し、歌を歌ってツチノコの戦意を喪失させようとする。

 だが、ツチノコにノノの歌は効かなかった。

かぜのせいれいよ、みえざるしょうげきを! Wind Blast

 ディアーナは呪文を唱えて、風の衝撃波をツチノコに向けて飛ばす。

 攻撃を食らったツチノコは、いとも簡単に吹っ飛んでいった。

「こっちだ、ツチノコ!」

 勇気はツチノコをおびき寄せるが、それが逆にツチノコの怒りを買う。

 ツチノコが勇気達を吸い込もうとした瞬間、

 ディアーナは風を飛ばしてツチノコを吹っ飛ばした。

 その後、勇気は無我夢中で走り出し、ディアーナとノノも離れた。

 

「まったくもう、どうして逃げたり、隠れたりするのよ!」

「僕は普通の人間なんだよ! ツチノコには真っ向から挑めないんだよ!」

「はぁ……これだから人間は……」




~次回予告~

ついにツチノコと遭遇した勇気達。
だが、何でも吸い込むツチノコの前に、勇気達は苦戦する。
勇気が持っている武器は、ヘリウムガスが入った缶のみ。
果たして、これを使ってツチノコを倒す事ができるのだろうか……?
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