怪狩り ~ 人の絆と怪の決意   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

生物消失の原因は、人間に捕獲されようとしたツチノコが自衛のために吸い込んだからだった。
勇気、ディアーナ、ノノは、暴走するツチノコを止めるべく立ち向かっていった。
しかし、戦闘能力があるディアーナとノノの二人がかりでもツチノコを止める事はできなかった。
そんな二人を見た勇気は意を決して、ヘリウムガスの缶を持ってツチノコに挑む。
ツチノコは金属を消化できないという弱点を見つけた勇気は、
ヘリウムガスの缶をツチノコに飲み込ませる。
それにより、ツチノコは倒され、怪奇現象は治まるのだった。


7 - 勇気の思い

 山の麓の広場には、イベントに参加していた人達が戻って来ていた。

 結局、誰もツチノコを捕まえる事ができなかったようだ。

「あ~あ、結構期待してたんだけどなぁ」

「俺、ツチノコ捕まえたら、有名人になれると思ったんだけどな~」

 隆志が黒縁眼鏡の男性、正太郎にそう言う。

 他の人達も傍で笑っていた。

 勇気はキユウ、ディアーナ、ノノと共に、少し離れた場所からそんな彼らを見ていた。

「今回は弱点に気づけてよかったよ。怪は分からない事が多いからね」

 キユウがそう言いながら微笑んだ。

 しかし、ノノは何故か浮かない顔をしていた。

「どうしたんだい?」

「ツチノコさん、かわいそう……」

「可哀想?」

 キユウが首を傾げると、ノノはキユウを見た。

「キユウおにいちゃんがいったよね、ツチノコはもともときのよわいかいだって。

 それなのに、みんながつかまえようとしたからおこったって」

 勇気達は広場にいる人達を見つめた。

「みんな、またツチノコを捕まえに来ようとしてるけど、

 それって何か間違っているような気がするんだ……」

「勇気……」

 キユウは勇気の言葉に驚いたが、小さく頷いた。

「確かに、相手の気持ちを考えるのは大切な事だよ。それがたとえ怪でもね」

「相手の気持ち……」

 そこに、人も怪も、そして妖精も関係ないのかもしれない。

 そう思いながら、勇気はふと、羽心の事を思い出した。

(僕、羽心に酷い事を……)

 

 朝、見捨里市の一日が始まる。

 羽心は溜息をつきながら、道路を歩いていた。

「おはよう!」

「え、え、おはよ……」

 後ろから声がする。

 立ち止まって後ろを見ると、勇気が立っていた。

 羽心は少し苛立ちながら、適当に挨拶を返した。

「誕生日会のグッズ、(うち)に忘れてたよ」

「あ、ああ、そうだったわね。またその内に取りに行くわ」

 羽心はさっさと学校へ向かおうと歩き出した。

「今日来たらいいだろ?」

「えっ? あっ!」

 思わぬ返答に、羽心は勇気の方を見た。

 勇気のリュックに、藁人形のキーホルダーがついている。

「それ!」

「あ~、よく見ると凄くいいなぁ、って思って。羽心、ありがと!」

「勇気……」

 羽心の口元が思わず綻ぶ。

「も~、やっとその良さに気づいたの?」

 羽心は、いつものような明るい表情に戻った。

「ホント、勇気ってセンスっていうものが分かってないわよねぇ」

「何だよ!」

「センスがあったら、わら夫君の良さにすぐに気づくはずでしょ!」

 羽心はそう言うと、笑いながら歩いて行った。

「あ、ちょっと!」

 勇気はそんな羽心を慌てて追う。

 二人のリュックには、似たようなキーホルダーが付いていた。

 二つのキーホルダーは仲良く揺れていた。

 

人間とは異質な存在であれば、例外なく怪となる。

 それがどんなに優しく、争いを好まない性質でも

「キユウ……」

 やはり、この世界では、人間と怪は共存ができなさそうだ。

 ディアーナは悲しさのあまり、涙を流すのだった。




~次回予告~

ツチノコを倒し、見捨里市に平和が戻った。
そしてディアーナは、新たな怪をジャネットから聞こうとしていた。
だがその怪は、ディアーナにとって問題になるものだった。
さらに、その怪を呼ぼうとしている謎の人物も、暗躍していた。
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