怪狩り ~ 人の絆と怪の決意   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

見捨里市では、動物が石化する怪奇現象が起こっていた。
それを調査する依頼をジャネットから受けたディアーナは、早速見捨里市に赴く。
石化事件の犯人は、ディアーナには分かっていた。
彼女は果たして、事件を解決できるのだろうか。


3 - 勇気がない勇気

 放課後、勇気は羽心と一緒に帰っていた。

 

「それにしても、動物が急に石になるなんて不思議よね」

「そうだね……」

 羽心は勇気の前を歩きながら、動物が石化する話をしている。

「やっぱり『この町』……見捨里(みすてり)市はただの町じゃなかったのよ。

 この町ではミステリーな事件が起きるはずよ」

「そんなの、ただの偶然だよ。

 宝町ってところに宝があるわけじゃないし、光町ってところはいつも光ってるわけじゃない」

「もー、勇気はロマンがないわね。真面目すぎると、つまんない男って思われちゃうわよ」

「あのね……」

 勇気は、別に真面目な事を言っているつもりはなかった。

 ただ、不気味に思っただけだ。

「ねえ、私達も探してみない?」

 羽心は立ち止まり、勇気の方を見て笑みを浮かべた。

「探すって、何を?」

「もちろん、石になった動物よ!」

「えええ!?」

「だって、猫と鳩がいたのよ? きっと、他にもいると思うの」

「そうかもしれないけど」

「でしょ。今日の夜、探してみましょうよ。そうだ、学校に飼育小屋があるわよね。

 あそこなら、兎とか鶏とかがいるからちょうどいいかも」

「きょ、今日は見たいテレビがあって」

「じゃあ、明日は?」

「明日はジグソーパズルを完成させようと思ってて」

 勇気が怯えながら言うと、羽心は大きな溜息をついた。

「勇気にないのは、ロマンだけじゃないわよね」

「どういう意味だよ」

「『勇気』って名前なのに、全然勇気がないじゃない」

「……」

 その言葉に、勇気は思わず動揺する。

「おじさんが悲しむわよ。『勇気』って名前をつけてくれたの、おじさんだったんでしょ?」

「そ、それはそうだけど……ってか、今はそんなの関係ないだろ。

 大体、動物が急に石になるなんて、あり得ないよ。見た人が嘘をついたんだよ」

「そんな嘘をついて、何の得があるのよ?」

「多分、みんなを驚かせようとしたんだ」

「高校生の人だけだったらそうかもしれないけど、石になった鳩を見たのはおばあさんよ?」

「おばあさんだって、みんなを驚かせたいって思う事があるだろ」

「そんなのないわよ」

「あるったらある。あの話は全部嘘に決まってる」

「もういい! 勇気に頼んだ私が馬鹿だった。

 勇気は怖がりだもんね。夢の中でも何度も怖くなって逃げちゃうし」

「だからあれは!」

「飼育小屋には私一人で行く! 勇気はジグソーパズルでもやってたらいいじゃない!」

「あっ、ちょっと!」

 羽心は勇気を睨み、頬を膨らませると、スタスタと歩いていった。

 勇気が呼び止めるが、羽心は立ち止まる事なく、角を曲がる。

 

「もー、何なんだよー」

 勇気は呆れながらも羽心を追いかける事にした。

 

 一方、ディアーナは見捨里市で起こった石化事件について調査をしていた。

「突如として現れた謎の×印状の罅。あそこから出る黒い煙。

 間違いなく、アレは空間の裂け目……」

 ディアーナは空中に浮かぶ×印状の罅を見て言った。

 ×印状の裂け目の中からは、黒い煙がゆらゆらと揺らめいている。

 しかし、ディアーナは前が見えていなかった。

 茶髪の少年が、ディアーナとぶつかろうとする。

 

「「わああっ!!」」

 勇気とディアーナはぶつかる寸前に、互いの顔を見てそう言った。

「な、なんだ……人間じゃないの、こんなところでどうしたの?」

「人間……? 君は一体何者なんだい?」

「あ、そんな事は気にしないで。何を悩んでいたのか、聞きたいの」

 ディアーナは慌てて話題を切り替える。

「実は、変な夢を見たんだ。書斎の中に、赤い髪の少年が現れて、僕を呼んでいたんだ。

 でも、書斎には行きたくなくて……」

「ふーん。でも、どうして書斎に行きたがらないの?」

「曰くつきのものとか、骨格標本とかがあって、怖いんだ」

「はっ! そんなものに怯えるなんて子供ね」

「いや、僕子供だけど」

「でも、書斎に行かなきゃ始まらないでしょ? 『旗』は必ず回収しないと」

 勇気には、ディアーナが何を言っているのか理解できなかった。

 だが、彼女の言う通り、書斎に行かなければ何も始まらない。

 勇気は、小さく頷いた。

 

「……書斎に行きなさい。あの子が待っているわよ」

「……」

 仕方なく、勇気はディアーナと共に、書斎に行くのだった。

 曰くつきのものがたくさんある、恐怖の書斎へと――




~次回予告~

怪奇現象を解決するという目的を持ったディアーナと出会った勇気。
勇気は何を言っているのか分からず、困惑していた。
だが、彼女の決意を曲げる事はできず、渋々二人で書斎に行く。
そこで二人が出会ったのは、謎の少年だった。
怪奇現象を知っているという少年、彼は一体何者なのか。
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