見捨里市では、動物が石化する怪奇現象が起こっていた。
それを調査する依頼をジャネットから受けたディアーナは、早速見捨里市に赴く。
石化事件の犯人は、ディアーナには分かっていた。
彼女は果たして、事件を解決できるのだろうか。
放課後、勇気は羽心と一緒に帰っていた。
「それにしても、動物が急に石になるなんて不思議よね」
「そうだね……」
羽心は勇気の前を歩きながら、動物が石化する話をしている。
「やっぱり『この町』……
この町ではミステリーな事件が起きるはずよ」
「そんなの、ただの偶然だよ。
宝町ってところに宝があるわけじゃないし、光町ってところはいつも光ってるわけじゃない」
「もー、勇気はロマンがないわね。真面目すぎると、つまんない男って思われちゃうわよ」
「あのね……」
勇気は、別に真面目な事を言っているつもりはなかった。
ただ、不気味に思っただけだ。
「ねえ、私達も探してみない?」
羽心は立ち止まり、勇気の方を見て笑みを浮かべた。
「探すって、何を?」
「もちろん、石になった動物よ!」
「えええ!?」
「だって、猫と鳩がいたのよ? きっと、他にもいると思うの」
「そうかもしれないけど」
「でしょ。今日の夜、探してみましょうよ。そうだ、学校に飼育小屋があるわよね。
あそこなら、兎とか鶏とかがいるからちょうどいいかも」
「きょ、今日は見たいテレビがあって」
「じゃあ、明日は?」
「明日はジグソーパズルを完成させようと思ってて」
勇気が怯えながら言うと、羽心は大きな溜息をついた。
「勇気にないのは、ロマンだけじゃないわよね」
「どういう意味だよ」
「『勇気』って名前なのに、全然勇気がないじゃない」
「……」
その言葉に、勇気は思わず動揺する。
「おじさんが悲しむわよ。『勇気』って名前をつけてくれたの、おじさんだったんでしょ?」
「そ、それはそうだけど……ってか、今はそんなの関係ないだろ。
大体、動物が急に石になるなんて、あり得ないよ。見た人が嘘をついたんだよ」
「そんな嘘をついて、何の得があるのよ?」
「多分、みんなを驚かせようとしたんだ」
「高校生の人だけだったらそうかもしれないけど、石になった鳩を見たのはおばあさんよ?」
「おばあさんだって、みんなを驚かせたいって思う事があるだろ」
「そんなのないわよ」
「あるったらある。あの話は全部嘘に決まってる」
「もういい! 勇気に頼んだ私が馬鹿だった。
勇気は怖がりだもんね。夢の中でも何度も怖くなって逃げちゃうし」
「だからあれは!」
「飼育小屋には私一人で行く! 勇気はジグソーパズルでもやってたらいいじゃない!」
「あっ、ちょっと!」
羽心は勇気を睨み、頬を膨らませると、スタスタと歩いていった。
勇気が呼び止めるが、羽心は立ち止まる事なく、角を曲がる。
「もー、何なんだよー」
勇気は呆れながらも羽心を追いかける事にした。
一方、ディアーナは見捨里市で起こった石化事件について調査をしていた。
「突如として現れた謎の×印状の罅。あそこから出る黒い煙。
間違いなく、アレは空間の裂け目……」
ディアーナは空中に浮かぶ×印状の罅を見て言った。
×印状の裂け目の中からは、黒い煙がゆらゆらと揺らめいている。
しかし、ディアーナは前が見えていなかった。
茶髪の少年が、ディアーナとぶつかろうとする。
「「わああっ!!」」
勇気とディアーナはぶつかる寸前に、互いの顔を見てそう言った。
「な、なんだ……人間じゃないの、こんなところでどうしたの?」
「人間……? 君は一体何者なんだい?」
「あ、そんな事は気にしないで。何を悩んでいたのか、聞きたいの」
ディアーナは慌てて話題を切り替える。
「実は、変な夢を見たんだ。書斎の中に、赤い髪の少年が現れて、僕を呼んでいたんだ。
でも、書斎には行きたくなくて……」
「ふーん。でも、どうして書斎に行きたがらないの?」
「曰くつきのものとか、骨格標本とかがあって、怖いんだ」
「はっ! そんなものに怯えるなんて子供ね」
「いや、僕子供だけど」
「でも、書斎に行かなきゃ始まらないでしょ? 『旗』は必ず回収しないと」
勇気には、ディアーナが何を言っているのか理解できなかった。
だが、彼女の言う通り、書斎に行かなければ何も始まらない。
勇気は、小さく頷いた。
「……書斎に行きなさい。あの子が待っているわよ」
「……」
仕方なく、勇気はディアーナと共に、書斎に行くのだった。
曰くつきのものがたくさんある、恐怖の書斎へと――
~次回予告~
怪奇現象を解決するという目的を持ったディアーナと出会った勇気。
勇気は何を言っているのか分からず、困惑していた。
だが、彼女の決意を曲げる事はできず、渋々二人で書斎に行く。
そこで二人が出会ったのは、謎の少年だった。
怪奇現象を知っているという少年、彼は一体何者なのか。