ファフロツキーズを止めるべくイギリスの村にやってきた勇気達だが、
村人に「呪われ人」と呼ばれ、襲われた。
さらに、勇気のミスによってスリングショットを失ってしまう。
窮地を救ってくれたのは、元サーカス団のリサ。
彼女は勇気達に新たな武器として、サーカス団に所属していた時に使った弓矢を授ける。
これさえあれば、ファフロツキーズを倒す事ができるだろう。
しかし、勇気達の危機は、まだ去っていなかった――
「開けろ! いるのは分かってるぞ!」
外から男の声が響く。
ディアーナはレイピアとダガーを構え、睨みつけている。
リサは戸惑いながら、ドアの傍にやって来ると鍵を開けた。
すると、外から男の手が勢いよくドアをこじ開け、身体を強引にねじ込んだ。
「みんな見ろ! 俺の言った通り、ここにいたぞ!」
鍬を振り上げて襲いかかろうとしてきた恰幅のいい男だ。
彼の後ろには、農機具を持った村の人達が大勢集まっていた。
皆、勇気達を見て、怯えながらも、怒りに満ちた表情を浮かべている。
「ちょっと、勝手に入らないでよ!」
「五月蠅い! まさか、新しい呪われ人を呼ぶとはな!」
男達は農機具を構えたまま、家に乗り込んできた。
「きゃ!」
「リサ!」
ディアーナはリサの傍に駆け寄る。
リサは男達を睨みつけた。
「何度言ったら分かってくれるの!
私もお父さんも、それにこの子達だって、呪いの雲とは何の関係もないの!」
「ふん、そんな事信じられるか!」
「そうだ! あんた達が来たせいで、この村は呪われたんだ!」
「余所者を村に住まわせるんじゃなかったわ!」
「みんな! こいつらを倒せば呪いの雲も消えるはずだ!」
「おおお!」
男達は、持っていた農機具を大きく振り上げた。
ディアーナは仕方がない……とレイピアを抜こうとした。
だがその時、外から一人の男の子が家の中へ駆け込んで来た。
「おじさん、大変だ!」
男の子は恰幅のいい男の元へ走った。
「呪われ雲がまた現れたんだ! だけど、ハリー達がまだ川の方にいて!」
「何だって!?」
男は急に狼狽える。
どうやら、ハリー達はまだ小さい男の子らしい。
「さあ行くわよ、リサ!」
「ま、待て! 逃がすと思ってるのか! この呪われ人が!」
ディアーナはリサに声をかけると、家を出ようとした。
男が慌ててドアの前に立ち、ディアーナ達を捕まえようとする。
しかし、ディアーナはそんな男の手を振り払い、睨むように見つめた。
「あなた達、そんな事を言ってる場合じゃないでしょ!
このままじゃ、ハリー達が死んじゃうかもしれないのよ!」
「ハ、ハリー……」
その言葉に、男は動けなくなる。
男は、最悪の事態を想像し、青ざめていた。
「あたしもリサも、この村のために戦おうとしてるのよ!
だから、みんなはここで避難しなさい!
あの呪いの雲は、あたし達が絶対に倒すわ! リサ、行くわよ!」
「ええ!」
ディアーナとリサは、外へと飛び出した。
その頃、勇気、キユウ、アプリルの三人は……。
「大丈夫かな、ディアーナ?」
「信じろよ、勇気、キユウ。俺達は仲間だろ?」
「仲間……」
アプリルは笑顔で、勇気の肩に手を置く。
キユウの肩にも手を置こうとしたが、幽霊である以上、触る事はできない。
「うん。ディアーナとリサさんは、僕の……いや、僕達の仲間だ。
二人を信じられないなんて、僕には、できないよ」
「そうだ。自分を信じるだけじゃなくて、他人を信じる事も大事だよ。
あの二人なら、必ず、ファフロツキーズを倒す事ができる……」
三人は戦う女達を信じ、家の中で帰りを待っていた。
その頃、見捨里市では、羽心、花恋、ノノが、パンダ公園の前までやって来ていた。
「羽心ちゃん、大丈夫かな?」
「わからないよ……」
羽心は、花恋とノノと共にファフロツキーズの動画を撮った女性に会ったものの、
彼女は動画に録画されていた以上の情報は知らなかった。
そのため、公園に行き、詳しく調べようと思ったのだ。
「何か危ない事が起きたら、すぐに逃げるから。花恋ちゃんは入り口で待っててもいいわよ」
「そんな。羽心ちゃんだけ行かせるなんてできないよ!」
「ノノも、うららおねえちゃんと、かれんおねえちゃんといっしょにいく!」
花恋とノノは少し怯えながらも、一緒に付いて行く気のようだ。
「ありがとう。ちゃんと私が守るからね」
羽心は、そんな花恋とノノに笑みを見せ、公園の中に足を踏み入れた。
すると、三つ並んだパンダの前に人だかりができていた。
「おい、凄いぞ!」
「わあ~、綺麗!」
「誰かが落としたのか? これだけあれば一つぐらい持って帰ってもバレないよな?」
人々の前には、いくつもの宝石が落ちていた。
「ちょっと、危ないですよ!」
羽心は慌てて傍に駆け寄ると、彼らをその場から離れさせようとした。
「おい、何するんだ?」
「邪魔しないでよ!」
しかし、彼らは宝石を拾うのに夢中で、全く離れようとしなかった。
「羽心ちゃん、どうしよう……」
「このままじゃ危険よね」
「うん……」
本当にファフロツキーズだとしたら、宝石以外にも色々降ってくる可能性がある。
「えっ?」
瞬間、羽心の全身がゾクリとした。
上空に何かの気配を感じ、羽心は慌てて空を見た。
すると、上空に×印状の罅が浮かんでいた。
「あれは!」
その形状を見た瞬間、羽心の頭の中に、洪水のように記憶が
窓の下から呼ぶ声、×印状の罅、そして、襲い来るドラキュラの牙……。
羽心はハッとして目を見開いた。
「……そうだ、私、ドラキュラに襲われたんだ」
夢などではない、現実の出来事だ。
「え……何?」
「おねえちゃん……? おもいだしたの……?」
花恋とノノは羽心の方を見て首を傾げる。
「ノノちゃん、花恋ちゃん、みんなも……隠れなきゃ! 早く!」
羽心はそう言うと、花恋とノノの手を取った。
また、ドラキュラが罅から出てきて襲ってくるかもしれないのだ。
「おねえちゃん! どうしたの!?」
「空に罅があるでしょ! あそこからドラキュラが出て来るのよ!」
「罅? きゃ! 何あれ?」
花恋は手を引っ張られながら、空を見た。
その声に驚き、宝石を拾っていた人々は空を見上げた。
「何だよ、あの罅!」
「黒い煙が出てるわよ!」
「みんなも逃げて! このままだと怪物に襲われちゃうから! ノノも、公園からすぐに出て!」
「いや! ノノ、にげたくない! ノノ、みんなをまもる!!」
ノノは鳥に変身し、羽心の前に立った。
~次回予告~
19世紀のイギリスの村に現れたファフロツキーズ。
それは、ただ物が降ってくるだけでなく、人々を恐怖に陥れ、疑心暗鬼にさせるものでもあった。
魔女狩りのように、悲劇を生み出してはいけない。
呪われ人と呼ばれながらも、ディアーナとリサは弓を持ち、
ファフロツキーズに立ち向かおうとしているのだった。