怪狩り ~ 人の絆と怪の決意   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

勇気達は、イギリスの村でファフロツキーズの元凶である呪われ人と言われていた。
誤解を解くために、ディアーナとリサは弓を持ち、ファフロツキーズとの戦いに臨む。
そして激闘の末にファフロツキーズを倒し、イギリスの村は平和を取り戻した。
これで、呪われ人と言われる事はなくなった。
しかし、見捨里市では、既に羽心が今までの出来事を思い出していた――


6 - 諦めない心

「勇気……勇気……」

 誰かの声がする。

 勇気が目を開くと、目の前に羽心が立っていた。

「どうして、羽心が?」

 そこは、どこかの学校のグラウンドのようだ。

 いつの間にか、現代に戻って来ていたらしい。

 羽心は何故か勇気を見ながら、身体を震わせていた。

「どうしたの?」

 羽心は手に何かを持っているようだ。

 しかし、暗くて何を持っているのか分からない。

「ねぇ、羽心?」

 勇気は心配になり、羽心に近づこうとした。

 

「勇気、目を覚ますんだ」

「ただいま!」

 ハッとして我に返ると、目の前にキユウとディアーナの顔があった。

「うわ、びっくりさせないでよ」

「びっくりしたのはこっちだよ。いきなりボォーッとして」

「えっ、ボォーッと?」

 周りを見ると、勇気はまだ19世紀のイギリスの村にいた。

「ファフロツキーズは?」

「あたしとリサが倒したわ」

 ディアーナが顔を上げ、村の方を見ると、村の人達に囲まれているリサの姿があった。

「まさか、また襲おうとしてるんじゃ?」

「そうじゃなさそうだぜ」

 見ると、村の人達は優しそうな表情で、リサと話をしていた。

「お父さんが病気なんだって? じゃあ、これを食べて栄養つけなきゃ」

 恰幅のいい男が、息子のハリーと一緒に、籠に入った野菜をリサに渡している。

 他の人達も、ワインやパンを渡していた。

「皆さん、ありがとう」

「いやあ、困った時はお互い様だよ」

 恰幅のいい男達が微笑む。

 リサは目に涙を浮かべて彼らにお礼を言っていた。

「怪が消えた事で、恐怖もなくなり、リサさんも呪われ人と言われずに済むようになったんだ」

「そっか、よかった~」

 勇気はリサの幸せそうな表情を見て、心からホッとした。

 ディアーナとアプリルは、満面の笑みを浮かべた。

「邪鬼がどれだけ怪を使って人々を恐怖に陥れようとも、絶対に諦めちゃいけない。

 諦めなければ、きっと元に戻せる。みんなを救う事ができるんだ」

「うん……」

 リサ達を見ながら、勇気は見捨里市も守らなければと改めて思った。

「だけど、さっき変な夢を見たよ?」

 勇気はふと、先程見た夢をキユウに話した。

 

 少年説明中……

 

「羽心ちゃんが……?」

 話を聞いたキユウは、顎に手を当てて何かを考える。

「現実になるかも知れない夢だったらおかしいよね?」

 怪は倒したので、羽心が何かに巻き込まれる事はもうないはずだ。

 今、勇気が見たのはただの夢だったのだろう。

 勇気は納得して笑うが、キユウは何故か笑っていなかった。

 だがその事に、勇気、ディアーナ、アプリルは気づいていない。

「さあ、勇気、ディアーナ、アプリル、そろそろ帰ろうか」

「うん、そうだね」

「……」

 勇気、ディアーナ、アプリルは、村の人達と楽しげに話しているリサの笑顔を見ながら、

 キユウと共に見捨里市に帰る事にした。

 

 その頃、見捨里市では、羽心が×印の罅が消えた空を指差していた。

「見て、ノノちゃん! ×印の罅が消えているわ!」

「ほんとだ!」

「羽心ちゃん! ノノちゃん!」

 しばらくすると、花恋が羽心とノノの傍にやってくる。

 その表情は、普段通りの笑顔だった。

「大変だったのよ、花恋ちゃん! 私達、ファフロツキーズと戦ったんだから!

 ×印の罅から色々と落ちてきたのよ!」

「ファフ……何? ×印の罅って、何?」

「え……?」

 花恋は、ファフロツキーズについての事も、罅を見た事も、何故か忘れてしまっていた。

「何が起こったんだ?」

「私、何をしていたのかしら……」

「お姉さん!」

 そして、避難していた人達も戻ってきたが、全員、全てを忘れていた。

「ねえ、さっき、宝石が落ちてきたでしょ?」

「ぼとぼとぼと、って!」

「宝石……? 知らないわね……」

 それは、動画を撮影していた女性も例外ではなかった。

「ちょっと、動画を見せてください」

「え、い、いいですけど」

 羽心はお姉さんからスマホを借りて、アルバムを開く。

 しかし、女性が撮ったはずの動画は、いつの間にかなくなっていた。

「おかしいわね……。さっきまではあったのに……」

「……終わったら、返しなさい」

「はい」

 確かに、パンダ公園に宝石が降って来た動画は、消えてしまっていた。

 まるで、ファフロツキーズの事が、無かった事になったように。

 羽心はスマホを女性に返した後、神妙な面持ちでノノと花恋にこう言った。

「……ノノちゃん、花恋ちゃん。少ししたら私、勇気に話を聞いてくるわ」

「おねえちゃん……?」

「羽心ちゃん……?」

「絶対に勇気は、何かを知っているはずだから」




~次回予告~

ディアーナ、ノノ、アプリルは、
見捨里市で起きようとする怪奇現象を調査するべく、勇気達と共に隣町に行く。
そこで彼らが出会ったのは、天才少年・二階堂健太郎だった。
二階堂は、勇気達に奇妙な動物を作ったと言う。
果たしてどのような怪が現れるのか、ディアーナ達は好奇心を強めるのだった。
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