勇気達は、イギリスの村でファフロツキーズの元凶である呪われ人と言われていた。
誤解を解くために、ディアーナとリサは弓を持ち、ファフロツキーズとの戦いに臨む。
そして激闘の末にファフロツキーズを倒し、イギリスの村は平和を取り戻した。
これで、呪われ人と言われる事はなくなった。
しかし、見捨里市では、既に羽心が今までの出来事を思い出していた――
「勇気……勇気……」
誰かの声がする。
勇気が目を開くと、目の前に羽心が立っていた。
「どうして、羽心が?」
そこは、どこかの学校のグラウンドのようだ。
いつの間にか、現代に戻って来ていたらしい。
羽心は何故か勇気を見ながら、身体を震わせていた。
「どうしたの?」
羽心は手に何かを持っているようだ。
しかし、暗くて何を持っているのか分からない。
「ねぇ、羽心?」
勇気は心配になり、羽心に近づこうとした。
「勇気、目を覚ますんだ」
「ただいま!」
ハッとして我に返ると、目の前にキユウとディアーナの顔があった。
「うわ、びっくりさせないでよ」
「びっくりしたのはこっちだよ。いきなりボォーッとして」
「えっ、ボォーッと?」
周りを見ると、勇気はまだ19世紀のイギリスの村にいた。
「ファフロツキーズは?」
「あたしとリサが倒したわ」
ディアーナが顔を上げ、村の方を見ると、村の人達に囲まれているリサの姿があった。
「まさか、また襲おうとしてるんじゃ?」
「そうじゃなさそうだぜ」
見ると、村の人達は優しそうな表情で、リサと話をしていた。
「お父さんが病気なんだって? じゃあ、これを食べて栄養つけなきゃ」
恰幅のいい男が、息子のハリーと一緒に、籠に入った野菜をリサに渡している。
他の人達も、ワインやパンを渡していた。
「皆さん、ありがとう」
「いやあ、困った時はお互い様だよ」
恰幅のいい男達が微笑む。
リサは目に涙を浮かべて彼らにお礼を言っていた。
「怪が消えた事で、恐怖もなくなり、リサさんも呪われ人と言われずに済むようになったんだ」
「そっか、よかった~」
勇気はリサの幸せそうな表情を見て、心からホッとした。
ディアーナとアプリルは、満面の笑みを浮かべた。
「邪鬼がどれだけ怪を使って人々を恐怖に陥れようとも、絶対に諦めちゃいけない。
諦めなければ、きっと元に戻せる。みんなを救う事ができるんだ」
「うん……」
リサ達を見ながら、勇気は見捨里市も守らなければと改めて思った。
「だけど、さっき変な夢を見たよ?」
勇気はふと、先程見た夢をキユウに話した。
少年説明中……
「羽心ちゃんが……?」
話を聞いたキユウは、顎に手を当てて何かを考える。
「現実になるかも知れない夢だったらおかしいよね?」
怪は倒したので、羽心が何かに巻き込まれる事はもうないはずだ。
今、勇気が見たのはただの夢だったのだろう。
勇気は納得して笑うが、キユウは何故か笑っていなかった。
だがその事に、勇気、ディアーナ、アプリルは気づいていない。
「さあ、勇気、ディアーナ、アプリル、そろそろ帰ろうか」
「うん、そうだね」
「……」
勇気、ディアーナ、アプリルは、村の人達と楽しげに話しているリサの笑顔を見ながら、
キユウと共に見捨里市に帰る事にした。
その頃、見捨里市では、羽心が×印の罅が消えた空を指差していた。
「見て、ノノちゃん! ×印の罅が消えているわ!」
「ほんとだ!」
「羽心ちゃん! ノノちゃん!」
しばらくすると、花恋が羽心とノノの傍にやってくる。
その表情は、普段通りの笑顔だった。
「大変だったのよ、花恋ちゃん! 私達、ファフロツキーズと戦ったんだから!
×印の罅から色々と落ちてきたのよ!」
「ファフ……何? ×印の罅って、何?」
「え……?」
花恋は、ファフロツキーズについての事も、罅を見た事も、何故か忘れてしまっていた。
「何が起こったんだ?」
「私、何をしていたのかしら……」
「お姉さん!」
そして、避難していた人達も戻ってきたが、全員、全てを忘れていた。
「ねえ、さっき、宝石が落ちてきたでしょ?」
「ぼとぼとぼと、って!」
「宝石……? 知らないわね……」
それは、動画を撮影していた女性も例外ではなかった。
「ちょっと、動画を見せてください」
「え、い、いいですけど」
羽心はお姉さんからスマホを借りて、アルバムを開く。
しかし、女性が撮ったはずの動画は、いつの間にかなくなっていた。
「おかしいわね……。さっきまではあったのに……」
「……終わったら、返しなさい」
「はい」
確かに、パンダ公園に宝石が降って来た動画は、消えてしまっていた。
まるで、ファフロツキーズの事が、無かった事になったように。
羽心はスマホを女性に返した後、神妙な面持ちでノノと花恋にこう言った。
「……ノノちゃん、花恋ちゃん。少ししたら私、勇気に話を聞いてくるわ」
「おねえちゃん……?」
「羽心ちゃん……?」
「絶対に勇気は、何かを知っているはずだから」
~次回予告~
ディアーナ、ノノ、アプリルは、
見捨里市で起きようとする怪奇現象を調査するべく、勇気達と共に隣町に行く。
そこで彼らが出会ったのは、天才少年・二階堂健太郎だった。
二階堂は、勇気達に奇妙な動物を作ったと言う。
果たしてどのような怪が現れるのか、ディアーナ達は好奇心を強めるのだった。