ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
閲覧、評価&コメント、お気に入り登録、誤字報告、感想記入、ここ好きタップ、ありがとうございます! 皆さんサメ映画好きですねえ! もはやサメは概念……!
●前話:
オネェなギルマンと穏便に接触できたヨ!
……サメの気配を感じる……。
はいどーも!
水着を着たりペンギンじみた姿になったりしつつインスマス面たちと一緒に深淵を覗き込む実況、はーじまーるよー。
海蝕洞穴のギルマン集落で情報収集を始めて数日。
収穫はありますが、突入の目途はまだ立ちません。
「あー、第10回
「あいあいなのじゃ~。【
半竜娘ちゃんの【分身】が、問題の海域に威力偵察の片道決死行を敢行します。
ちなみにこれで10回目です。
……そんなんやらせるから分身体の“反逆カウンター”が回るんやで? っていうか現在進行形でぎゅんぎゅん回ってってますわ、これは。
まあ、今回は流石に状況的に致し方ないですが。いきなり生身で突入するわけにもいきませんし。
海蝕洞穴のある小島から問題の海域までは、そこまで時間はかかりません。
というのも、ギルマンたちに“呪われた船の墓場”へと流れ込む海流を教えてもらったので、行きはよいよいってなもんです(帰れるとは言っていない)。
待つこと暫し。
「ん。到着したようじゃの」
目をつぶったまま
胡坐の上には待ち疲れた幼竜娘三姉妹が折り重なって「きー」「かー」「びー」と寝息を立てています。
「どう? 今回は奥までいけそうかしら」
期待に胸を膨らませる森人探検家。
「さあて。ひとまず接続は保たれておるが……」
「最初はわけの分からないうちに接続が切れちゃいましたものね」
口述を書き留めるために待機している文庫神官が、これまでのメモを見ながら回顧します。
文庫神官ちゃんの言葉から推察するに、第1回目の探査では、なにやら“分からん殺し”を喰らったみたいですね。
「でも今回はちゃんと見えてるんでしょ?」
「まあ今のところはそうじゃの。最初のころのように、いきなり深海水圧くらってひしゃげたりはしておらん」
わくわくを隠せない森人探検家ちゃんの問いに答える半竜娘ちゃん。
トレジャーハンターとしては、早くお宝を探しに行きたいのでしょう。
って、“分からん殺し”はどうやら、汚染精霊の先制攻撃で【
「呪いに侵された荒れ狂う深海の水精霊……ね」
「巡回経路とタイミングを見切るまでに分身が3回死んでおる。つぶれされて口から内臓がムニュリ……とかはもうさせんのじゃ。集中して接続同期を保つ必要があるのは相変わらずじゃが」
どうやら、汚染された深海の精霊や、集積した財宝の中の魔道具の相互作用によって、【分身】の術による繋がりも確かなものとは言えない様子。
本来、分身の術の繋がりは非常に強固なもののはずなので、それを遮る渦巻く呪いの海域が、相当に厄介でねじくれた領域になっていることがうかがえます。
「潮の満ち引きが関係しているんじゃねーかって、ギルマンの
TS圃人斥候の言うとおり、ギルマンたちの海を知る者としての知恵がかなり役立ったようです。
深海水圧攻撃の洗礼を浴びせてきた
それを前提に考察し、何度か分身を犠牲にして検証と死に覚えすることで、ある程度安定したルートが構築できるようになったところです。
「えーと、1回目が渦潮に乗る深海の精霊に突入直後に潰されて。
2回目は……渦に引き寄せられた鮫を囮として先に蹴り込んだら1回目の攻撃の正体が精霊だと分かったものの、相手の知覚範囲を見切れずに察知されて圧潰。
3回目はある程度は渦に乗って進んだものの、いつの間にか周りを全部囲まれていてどっちに進んでも詰みの状態に」
メモを見直していた文庫神官がこれまでの軌跡を振り返ります。
とはいえ、脅威は汚染精霊だけではありません。
「4回目は、変化する潮流と深海の水精霊の配置を見切って、渦の外殻を突破……したものの、回遊する腕の生えた巨大なクジラみたいな白いの*1から逃げて、岩のくぼみの巨大海藻の森に入ったら、それに巻き込まれたまま身動きが取れなくなった上に、海藻が硬質化して肢体切断……」
「“
プププと笑っているのはTS圃人斥候。
海藻にやられてふて寝する半竜娘ちゃんはカワイイですから、からかいたくなる気持ちは分かりますが、笑ってられるのも今のうちやで。ルート確定したら君も突っ込むんだからさ……。何なら斥候だから一番致死率が高いゾ。って、よく見たら微妙にブルってますね。
軽口を叩くことで精神の安定を図ろうとしているということなのかも。強がりなんですから、もー。
「5回目は完全に深海の水精霊の巡回ルートは見切ったものの、長い魚の群れに遭遇。【擬態】と【透過】の術を重ね掛けして迷彩化+透明化を施したものの、匂いと振動と生体電流でバレたのか、群がられて巻き付かれて喰われて死亡」
「光のほとんどない海の中だし、相手が悪かったわよね。でも、視覚以外の鋭い感覚器官を持ってるやつらがうようよしてるって分かったのは収穫ね」
「ていうか、何だったんだアレ? 長い魚ってことは、ウミヘビの仲間か?」
「シーサーペントの幼魚かもしれません。お姉さまのお話を聞いた限りですと、
「水の中でたくさん群がられて
森人探検家が鳥肌が立った二の腕をさすります。
「6回目はアプローチを変えて底を這うように進んだところ、擬態していたヒラメみたいな巨大な底魚に一呑みにされました―― が、中から切り裂いて脱出。血に群がる鮫のような魚の間を抜けて底に沿って
「フィードバックでこっちの本体もふらついてたもんな。相当だぜ」
「7回目は【巨大】化して【突撃】を繰り返して前進するゴリ押し戦法でした―― が」
「ああ、水中衝撃波に釣られて、好奇心旺盛なでっかいのがいっぱい集まってきちゃって、にっちもさっちもいかなくなっちゃったのよね」
「えーと
「2日目の探査はそれで切り上げ。まー、縄張りが荒れた中でもう一回突っ込むのはムリだもんなー」
「8回目は、前の日の縄張り争いで何匹か逝ったのか、縄張りの隙間を縫って奥まで進めて、ついに沈没船がちらほら見え始めたんだよな」
「そうそう。幾つか状況打破に使えそうな魔道具も見つけられたし」
「ですけど、欲を出して宝箱開けたら、
「そのあとはでっかいムカデというか、ゴカイか、あれ? ゴカイの群れに集られて死亡、と」
「9回目のエントリーですが、地形把握を優先して、沈没船群を回りました。マナの流れも追えていますから、この
「その途中で、ノコギリザメの鋸とシュモクザメの金鎚とタチウオの剣を振り回してくる巨大な多腕の骸骨と戦闘になって逃亡……」*5
「
「逃げに徹しただけあって、9回目の探査で結構マップが埋まりましたね」
「財宝の位置も結構分かって来たしね」
「怪物どもの縄張りもな。つっても、海流が激しいから沈没船やなんかも割と転がって流されてぶつかって位置が変わるみてーだが……」
「そうなんですよねぇ。結局、探査中に海底が地滑り起こしてそれに巻き込まれてこの時は
「で、10回目の今回、というわけね」
「お姉さま、集中してらっしゃいますね」
「時間的には、オイラたちが振り返りでくっちゃべってるあいだに、狂った深海の精霊を突破したくらいか?」
「―― よし。外周突破したのじゃ。このまま沈没船群へアプローチするのじゃ!!」
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
▼△▼△▼△▼△▼△▼
というわけで分身ちゃんの尊い犠牲のもとにマップを埋めていきました。
キミの犠牲は忘れないよ……。
まー、反逆カウンターが嵩んでいることと、暗黒の狂気に満ちた深海を探索したことで、いつ分身ちゃんが
というか死亡回数が積み重なっていく間に一回ぐらい主導権奪われてる可能性はありますね。そのまま死亡したから気づかなかっただけで……。
さて、これでかなり安全に財宝探索に行けそうですね。
帰り道についても、ある程度のメドが立ちそうですので、いよいよ次の日から全員で突入するみたいです。
いまは、作成したマップを広げて、ギルマンの
鏡のように磨かれた岩のテーブルの上のマップをみんなで囲んでいます。幼竜娘三姉妹ちゃんも半竜娘ちゃんの上に乗って覗き込んでいます。
「地滑り跡から、パースが狂ったようにしか見えぬ都市っぽい遺跡を見つけた件についてじゃが」 「「「 なんかぐにゃぐにゃ、してたんだよね? おかーさま? 」」」
「あらァ、ひょっとしたら私たちのご先祖様と蛸神様が眠ってるところかもしれないわねェ。この辺じゃないはずなんだけどォ、星の巡りと狂った魔道具の作用で、繋がっちゃったのかしらねェ」
深海に沈んだねじれ狂った幾何学で構成された都市、
それそのものが元から沈んでいたのが露わになったのではなく、何かの作用で一部だけ召喚されたとか、時空がねじれて繋がった、とかでしょうけれど。でないと、ギルマンたちが主神が眠る場所を“呪われた海域”だなんて言い方はしないでしょうからね。
―― ひょっとしたら衛星都市の類かも知れないけどォ。というギルマンの
“触らぬ神に祟りなし”
「はい! この話はお終い! 私たちは沈没船の財宝探索に来たの! 神様が眠ってるとこには行かないわ!」
「そうじゃのぅ、少なくとも今回ではないのう」
「あとでも行かない!」
「目的をブレさせるのは遭難の第一歩だからなー。初志貫徹は冒険では大事なことだぜ」
まあね。例えば山登りで“オリチャー発動!”とかやるのは、明らかに死亡フラグですものね。
ガバとオリチャーは華でもありますが、危険と隣り合わせです。
「で、まあルート選定じゃが――」
「帰り道を考えると、やっぱり探索は一回限りになるかしら……」
「全部はとてもじゃねーが回れねーな」
「水中で動きが鈍りますし、安全第一が良いかと」
「でも脱出のために回らなきゃなんねーチェックポイントもあるんだろ? 呪いのカナメだとか、脱出用に目を付けてる魔道具だとか」
「それもふまえて、実入りも考えると、こっちのルートを、こうでどうかの?」
「襲われた時にリカバリーが効かないんじゃない? 横に少しそれただけでアウトじゃない」
「ではこっちはどうでしょう? これなら――」
「オイラはこっちもいいと――」
「
「ちょっと海の司祭さん!? いきなりお経を唱えないで! なんかヤバい気がするから!」
「アラ失礼しちゃうわ、せっかくアンタたちの冒険の無事を祈ってるっていうのにィ」
というところで、今回はここまで。
ではまた次回!
一方その頃、ゴブスレさんたちは商人たちからの依頼を受けて、王都への街道に出没するというゴブリンの
女神官「襲ってきたゴブリンの身体の入れ墨……“手”の紋様でしょうか」
小鬼殺し「またぞろ
女神官「あ、ではスケッチを……」
小鬼殺し「いや。剥ぐ」
女神官「え」
小鬼殺し「剥ぐ。現物の方が確実だ」
女神官「アッハイ」
原作小説8巻では、ゴブスレさんたちは剣の乙女さんの護衛として王都に向かうところですが、当SSでは『転移門の鏡』が健在なので、剣の乙女さんはそれで直接向かったと思われます。なので、ゴブスレさんたちは普通にゴブリン退治・調査の業務を受けて王都に向かったのだと想定しています。
剣の乙女「あの、辺境の街経由で都へ行くというのは……」
世話役の侍祭「都の会合は急ぎとのお達しですし、道中、小鬼も出るとか」
剣の乙女「……転移門の鏡で行きますわ」
世話役の侍祭「
剣の乙女「そっ、そういう、わけではっ」
===
感想や評価&コメをありがとうございます! 特に感想は大変励みになっています!
次回は海中で戦闘ですのよ。