ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
半竜娘ちゃんが装備や技能を選んだ背景など少し。長くなったので分割して1時間後にあと一話投稿します。
うう、頭が痛い、割れそうじゃ、それに吐き気も……。死にそうじゃ……。
これは二日酔いではない、ハズじゃ。今まで酒を飲んだことはそう多くはありゃせんが、蜥蜴人は酒には強いはずじゃし、脳みその奥の方が挽き潰されるような痛みは宿酔ではなかろうさ……。
つまりこれは、あの《
これほど重いとは……。
まあ、それはそれとして。
ああ、昨日は、なんという日じゃったのか!
財宝を掠め、竜や魔神を屠り、祖竜からの御言葉も賜り、冒険者仲間と酒を酌み交わす!
こんなに良き日があろうか!
その時聞いたことによると、どうにも、かなり無理矢理に【昇竜誓願】を使わせようとしておったとか。
【昇竜誓願】など、竜祇官と呼ばれる最高位の竜司祭でもなければ使えぬじゃろうし、
まあ、いずれは
見たいもの、やりたいこと、それにさらなる強敵との闘いも、この四方世界には満ち満ちておる。
いけ好かぬゴブリンどもを根絶やしにすることもそのやりたいことの一つじゃが、それが達成できず、それでもなんぞ良い考えでも浮かべば、寿命の尽きるころには【昇竜誓願】で願っても良いやもしれん。
だが、今すぐではない。だって
まあ、長い残りの人生、
そして今も、
これで奮い立たねば、竜司祭としての名折れよ!
ますます精励せねばな!!*3
○●○●○●
「まずは休んで、それから奉仕活動からですかねえ」
「なんと、冒険には行けんのか?」
「ハッ」
「鼻で笑いおったぞ、この受付職員!?」*4
冒険に行くつもりで受付に向かった手前を迎えたのは、荒んだ受付殿からの辛辣な対応じゃった。というかこんなキャラじゃったか?
「あのですねえ、昨日、どれだけ大変だったと思います? 急に金等級や銀等級が束になってかからなきゃならないような竜が出てきて、そのための緊急依頼を手配したり、最悪に備えて街の警邏や役所の方に掛け合ったり……」
恨み言があふれ出してきおった……。
思わず尻尾も萎れて垂れるのじゃ……。
「……幸いにも大事にはなりませんでしたが、今度は大量の竜の死体の処理が必要です。それも早急に。春の初めは虫も活発になりますし」
「そうじゃのう、その節はほんに済まなんだ」
「……はあ、お分かりいただけたなら良いのです。それに、あれだけ大立ち回りしたんです、いきなり昨日の今日で依頼というわけにはいきませんよ。お疲れでしょう?」
「確かに本調子ではないが、それでも竜の心臓をしこたま食べとるし、昨日より位階は上がっておるし……」
「だめです」
「軽くゴブリン退治くらい……」
「だめです。あとゴブリン退治は軽くありません」
「アッハイ」
ダメじゃなあ、これはこれ以上粘っても心証を損ねるだけじゃろうな。
うーむ……。どうしたもんかのう。
うむ?*5 手伝いを申し出たほうが良いと?
まあ、確かに、
「受付殿、そしたらその奉仕活動いうたか、それを紹介してくれんか。ピンピンしとるのに後始末に参加せなんでは他のモンからの心象も悪かろうし、それか受付殿の手伝いでもなんでも申し付けてくれれば幸いじゃ……」
「そうですね……。もしお願いするとすれば……、竜の死体の片づけは体力使っちゃいますし、ギルド内の手伝いとかでしょうか。でも、本当に休まなくていいんですか?」
好いておらん相手に気遣いするとは、なかなか人間ができておるのう。
培った教養、礼法のなせる業かのう。
「なるほどのう……しかしまあ、休むのと手伝いと、両立させればよかろう?」
「えっ、いや両方同時には無理ですよ……って、もしかして」
「ご賢察であるな。呪文で【分身】を作ってこちらの手伝いをばさせる。本体である
分身の方なら、いくらかこき使ってもよかろうさ。それに呪文ひとつくらいなら、この体調でも使えんことはなかろ。*7
「呪文使うのも良くないと思いますが」
「7回のうちの1回じゃて」
「ななっ?! 昨日は4回って言ってませんでしたっけ」
「じゃから位階が上がったんじゃて。別に昨日虚偽申告したわけじゃないのじゃよ?」
そう、位階を高めたゆえ、呪文の使用回数も増えたのじゃ。
ではいざ。
「うぶぶっ、だめじゃ、頭の奥の奥のなんかよくわからんとこが、われつぶれさけそうにいたい……」
「ほらやっぱり」
涙目になってうずくまる
もうこのままべしゃりと床に臥せ広がりたくなってきたわい。
「今日はよく休んでくださいね~。スタミナポーションは……かえって良くないかもですね。とにかく休んだ方がいいですよ」
確かに魔法薬の後遺症に、薬を重ねるのはまずいじゃろうなあ。
「あ、でも休むところあるんです? 昨日街にきたなら、まだ宿もとってないでしょう?」
「うううぅぅぅ」
そうなのじゃ。昨日は宴会から寝落ちしてそのままなし崩しに酒場で夜を明かしたから、宿をとっておらんのじゃ……。
荷物も身に帯びておるものだけじゃし、戦利品は艶やかなる魔女殿に託しておるから置き場に困っておるわけでもない。
しかし休む場所は必要じゃ。
「あ ら。半竜の、ね。もう、起きていい の? 受付さん も、お はよう」
「あ、おはようございます。そう、ちょうどその話をしてたんですよ」
と、その時、しゃなりと現れたのは、艶やかなる魔女殿じゃった。
そして受付殿から話を聞いた魔女殿は、こう提案してくれたのじゃ。
「部屋……ないなら、うちに、くる?」
……よいのか?*8
○●○●○●
そこは、冒険者ギルドからそう離れておらん家じゃった。
道すがら聞けば、銅等級以上の冒険者には、それとなく冒険者ギルドが街の家を勧めるのじゃとか。
まあ、いつまでも宿暮らしというのも、ものが増えると不便なものというのは分かるし、家を持つというのは分かりやすいステータスじゃ。
定住すれば、それだけで信用が上がるじゃろうし、優秀な冒険者を街に留めるのにもつながる。
特に魔導の道を進むなら、モノの置き場は宿の一室では足りるまい。
なかには、魔法で創った異空間に全部しまい込むような卓抜した魔導師もおるそうじゃが。
「ここ、よ。……ようこそ」
「ほほー、良いところじゃのう!」
「ふふ。そう、で しょう?」
「しかし、良いのか?
とてもありがたい話であるし、
「ええ、いっぱい、貰ったから、ね。気に しないで、ね。その分配とか、気に 入ったの を、持ってったり とかも、一緒に住むと、やりやすい、でしょ?」
「むう、渡した竜の素材や魔法の品のことを言うとるなら、それは約定を守っただけじゃて。恩に着せるつもりはないのじゃが。言うとることの理は認めるが、沽券にかかわるというか……」
「それなら、それで いい わ。じゃあ、改め て 貸し、にしとくから、受けなさい、ね?」
……ここまで言われて頑固に断るほど
「かたじけない。では、先達たる魔導師殿。よろしく頼む」
「ええ、いい わ…よ」
○●○●○●
扉を潜ると、本と香煙の匂いのする空気が迎えてくれた。
いかにも術師の部屋じゃの。
じゃが、ほかに気配はないのが意外じゃった。
「おろ? あの槍を持った御仁はおらんのか?」
「……いない、わね」
「てっきり一緒に住んどるものじゃと」
「そ、でもないの、よ。気になる の? 彼、が」
なんかゾクッとするのじゃ……。*9
「あっあっあっ。いや確かに蜥蜴人は強者に惹かれるものじゃて、あの御仁には手合わせ願いたいとは思うとるが、それ以上は思うとらんぞ」
「ふ、ふ。なら、いいわ。気を使わせ ちゃったわ、ね」*10
槍使いの御仁とは住んでおらんのか。お互い、変に遠慮しとるのかのう。お似合いじゃと思うのじゃが。
只人のつがいの機微はよくわからんし、異種族の
とりあえずはご厚意に甘えて休むことにしよう。
ああ、そうじゃ、今後、家事の分担もするやもしれん。その時のために、料理のひとつも作れた方がよいかのう……。
Zzz……。*11
魔女さんがどこに住んでるか、既出の情報あったかな……。
※未解決フラグ一覧(オリジナル要素)
・水路の沼竜
・下水道の未踏遺跡、急に消える冒険者(放置によりランダムで白磁等級冒険者がロストします)
・経験点に軍令ボーナス乗ってたけど、軍籍残ってるってこと?(出頭命令フラグ)