ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
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●前話:
(前話タイトルのGは、ゴ○ラでもジャイアントでもグレートでもお好きな読み方を)
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Q.マジック:ザ・ギャザリングにもゴジラのコラボカードあるし、いよいよ
A.四方世界の魔術師は大体
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王都観光に入る前に、死の迷宮の後始末と、超勇者ちゃんパートを。ということで幕間・裏パートその2です。
1.新たなる怪獣王の産声を聞け!
「なんだ!?」
「ばかな、迷宮が……」
「おお、神よ」
かつて何代か前の王によって作られた近衛兵の練兵場が、≪死≫の魔力によって汚染された人外領域。そこへ続く道は、今、完全に閉ざされたのだ。
物理的な意味で封印された迷宮には、小鬼や群盗山賊が入り込むことは不可能であろう。―― 逆に言えば、何かあるとすれば、融けて塞がった岩盤すらものともしないような強力な魔物による事件となるはずだ……。
「巨竜だ。あれが【辺境最大】……」
「蜥蜴人が長ずれば竜になるという伝説は真実だったのね」
「
迷宮街から這い出てくる小鬼の残党を警戒していた神官戦士たちは、数瞬呆けて、麗しい少女の顔をした半人の巨大な竜を見た。
ついには火の海から炎の竜巻が立ち上るようになった街の残骸の中で、彼女は威風堂々と立っていた。
身体の表面に走った無数の青い光の筋が徐々に光を失い、紫電とともに持ち上がっていた長い黒髪も落ちた。
渦巻いていた竜のオーラも薄まり、青白い放射火焔の残滓も上昇気流に巻き取られて散っていく。
しかし、半人の女巨竜の目だけは、まるで
「伝説の再来だ……」
「死の迷宮を封じるなんて……」
「さしずめ【
「うっそ、何あれ」
周りの荒野に生えた数少ない木々に火除けの加護をかけていた妖精弓手が目を丸くしていた。
彼女の長耳には、放射火焔に驚きつつも歓声を上げる火の大精霊の声や、慌てて逃げる山肌の土の精霊の声も聞こえていた。
ちょっとひとりの術者が出していい火力ではないように思える。もはやいまは、神代ではないのだから(翻って、
「はー、鱗のも良うやるが、あの竜の娘っ子はそれに輪をかけてじゃのう」
土の精霊に請願して【霊壁】で熱波からの
鉱人に伝わる、神話に謳われるような金属をも熔かす炉に納められているという、“星の火”がひょっとすればあのようなものなのかもしれない。
「ひぃえええ」 「うわぁ、いくらなんでもこれは……」
震える王妹殿下を包み込むようにして支えるのは、女神官だった。
王妹殿下の初めての冒険―― 実戦ではなく社会科見学のようなものだとしても冒険は冒険だ―― にしては、ちょっと内容が濃いうえに振れ幅が大きすぎるし、刺激が強すぎたような気がしなくもない。
いや、小鬼退治から始まり、軍勢による攻城戦、巨大な怪物的冒険者の活躍と考えれば、ある意味では冒険者というものの様相をフルコースで堪能したともいえるのだろうか。社会科見学の本懐は、大いに果たしている。
「いやいやいや、アレ大丈夫なの!?」 ゴブリンを射ていた手を止めて焦り顔の森人探検家。
「あっあー。【鑑定】させられたのはこのためか……」 ちょっとやらかしたかもなー、という顔のTS圃人斥候。
「絶対反動ありますよね……心配です」 ハラハラと心配そうに、神官団と息を合わせて【聖壁】を維持している文庫神官。
だって力の残滓だけでも、
そのすべてを食らって身の内に収めたときに、果たして制御可能なのか……。それを考えれば、心配せずにはいられない。
「「「 ふわぁーー……、おかーさますっごい…… 」」」
そして、幼竜娘三姉妹は、キラキラと憧れに目を輝かせていた。
「「「 わたしたちも、きっと竜になれるんだ、おかーさまとおなじように……! ぜったいに、竜になろう……!! 」」」
伝説の萌芽を目の当たりにできた彼女らは幸いである……!
なおゴブリンスレイヤーは「洞窟ごと小鬼を殺すのに使えるか……いや、巨体に気づかれて逃げられるのがオチか」などと考えていた。
<『1.恐るべき祖竜になろう!』 了>
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2.盤外からの物体
王都では
その混沌の≪手≫の軍勢の黒幕たち―― 覚知神の信者の闇人と、そいつに誑かされた貴族だった―― が画策していたことの経緯は、こうだ。
1.天からの
2.天の火石を媒介に
3.ゴブリンどもにちょうどいい時宜を啓示し、都の外に出るように誘導した王妹を攫わせる。
4.ゴブリンを啓示によりプリーストにし、王妹の血を触媒に、そのゴブリンプリーストに魔神を召喚させる。
5.王妹、魔神の順に
だが、王妹は攫われなかったし、不埒者の暗躍に気づいた
召喚された上位魔神は贄の血が足りずに腕だけしか顕現しなかったうえに、小鬼殺したちに潰された。
上位魔神を食うはずだった
そして、
「燃やせば死ぬんだから楽なもんだよね! 夜明けの一撃ィ!!」
「同感です。切って血が出る手合いですからね、十分に殺せます」
「少しの欠片も見逃さないで。決して触れないように」
「分かってるよー!! さー、どんどんいこう!!」
勢いよく元気に聖剣を振り回す勇者に、
肉の触手を切り払う剣聖、
そして、脳筋理論にあきれて犬耳フードのローブを揺らす賢者。
この霊峰の一角にあるクレーターで、彼女たち勇者一行は戦っていた。
敵は盤の外からやってきた、
あらゆる生命と同化し、置き換わり、侵蝕していくという。
同化された者は、自分が同化されたことにも気づけない。
細かな細胞一つ一つが独立して行動可能で、いざとなれば擬態を解いて、最適な戦闘形態を取ることも可能だ。
ただし、同化したものをそっくりそのままコピーするため、その知能指数や本能までもコピーしてしまうという問題点もある。
同化吸収と置換は、この物体Xの自動的な反応であり、物体Xの細胞一つ一つに思考力があるわけではない。
物体Xの戦術のレベルは、同化した生物の頭脳のレベルに依存する。
「もしこれが、陰謀通りに魔神を取り込んでいれば多少は苦戦したでしょうが」
「取り込まれてるのはゴブリンの可能性大。恐れるに値しない」
「動きが単調、そしてなーんか、やらしい!! 燃えちゃえ!!」
『TTTHHHIIIINNNNGGGG!!!??』
物体Xは、最初にゴブリンを吸収してしまったせいか、黒幕の当初の計画であった、魔神が吸収された場合に比べれば、イージーモードもいいところだった。
うねうねと蠢く触手が、生理的嫌悪感を煽る。
ゴブリン並みの思考回路なのだろう。
そしてそれが命取りだ。
「太陽の爆発ッッッ!!!」
<『2.まかり間違って超勇者ちゃん一行が同化されてたら世界が終わってたやつ』 了>
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3.天の
霊峰のどこか。
勇者の戦いの跡地。
「やまのぼりー」 「れいほー」 「はいほー!」
「げんきだなー、お前ら。おいらは昨日の輻射熱やら閃光やらで、肌は焼けてヒリつくわ眼はチカチカするわで……」
やってきたのは
半竜娘、森人探検家、文庫神官は、諸事情あってこちらには来ていない。
「あー、麓はまだ燃えてるなー」
≪死≫の迷宮を半竜娘の
街はいまだに燃えていて、しばらくは入れないだろう。
迷宮門前街の方では、延焼を防ぎつつ、消火を待ち、後処理の計画を練っているという。
「んで。目当てのものは見つかったのかー?」
目立つ岩の上に乗って麓を見ていたTS圃人斥候は、振り返って幼竜娘三姉妹の方を見る。
今日は、幼竜娘三姉妹が山に登りたいというので、安全のために体術に長けたTS圃人斥候がついてきたのだ。
「あったよー!」 「いんせき!」 「
そして見つけたのは、クレーターの中心に鎮座した石。
幼竜三女が憎々しげにその石を見つめているのは、天からの火石が大いなる祖竜が滅んだ原因とされているからだろう。
いつの間にか
「んなっ!?」
そして大口を開けるように、うにょーんと変形して、隕石をすっぽりと飲み込んだ。
外なる神
今回この
「うーわ。石を食ってやがる。あーあー、みるみるうちに小さく……」
「食べきったよ……」
クレータの底に残ったのは、満足げにゲップする
ちなみにそのあいだ、幼竜娘三姉妹は「わー」 「わー」 「わー」とクレーターの斜面を駆け降りる遊びをしていた。
<『3.後々のために、ここで力を回復しておく必要が、あったんですね』 了>
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4.その代償
燃やした街の後処理のために残って数日。
半竜娘一党は、いまようやく王都への途上にあった。
いつもの装甲馬車の後ろには、荷馬車がつながれており、その荷台の上には、まるで戦利品として持ち帰られる猛獣のように、ロープで雁字搦めに固定された半竜娘の姿があった。
死んではいない。
死んだように、棺桶の釘のように、眠っているだけだ。
「起きねーなー、リーダー」
「集中してるから話しかけないで……!」
「はいはーい」
装甲馬車の御者席のTS圃人斥候に対して、荷馬車の荷台に乗っている森人探検家が、緊迫感をもって返事をした。
森人探検家は、眠る半竜娘の変化を見逃さないように、眼を皿のようにして血走らせている。
何かの非常にまずい変化が起こった時に、交易神の【
「前も言ったけど、アンタが子供たちと山登りしてるときに、青い光とともにこの子の尻尾が吹き飛びかけたのよ! また起こらないとも限らない……! そんときゃみんなでボンッ! よ、ボンッ!」
「わーお……」
どうやら、半竜娘が吸収した、未知のエネルギーが詰まった『
「蝋燭の番人よ、知の防人よ……行く先に待つ陥穽を、どうか我らにお知らせください……どうか、どうか……。お姉さま……頑張って……」
さらに森人探検家の傍らでは、文庫神官が司教杖にすがりつくように膝まづき、消耗で汗みずくになりながらも、祈りをささげて呪文を維持している。
彼女が維持しているのは【
本来は、【真灯】のような摂理を曲げるような奇跡は、長時間維持できるようなものではないのだが、文庫神官は、真摯で強固な祈りを捧げることによってこれを維持し続けている。
荷台に縛り付けられた半竜娘の背の上では、
おそらくは、いくらか取り戻した権能を駆使して、因果に干渉しているのだろうか。
「おかーさま」 「だいじょうぶかなー」 「おかーさまならだいじょーぶ!」
装甲馬車の中からは、ときどき幼竜娘三姉妹が、母である半竜娘の様子を見るために窓から顔を出して、後ろの荷車を覗いている。
秋の終わりのうららかな日差しの中で、馬車はゆっくりと進んでいく。
<『4.手厚い看護の甲斐あって、王都に着くまでには、完全同化しました
→復ッ活ッ! 半竜娘復活ッッ! 半竜娘復活ッッ! 半竜娘復活ッッ! 半竜娘復活ッッ! 半竜娘復活ッッ!』 了>
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5.ティンときた
完全復活ッッした半竜娘が、深海の財宝の査定やらなんやらを待っている間のこと。
王都の酒場で快気祝いに仲間と酒を吞んでいると、彼女に声をかける者がいた。
「姐さん、い~いカラダしてんねえ。――
酒場の壁には、ウィズボール王都リーグ1位決定戦のポスターが張られていた。
対戦カードは『
声をかけてきたスカウトらしき男の差し出した札には、ポスターの
「なあ、是非に頼むよ、姐さん」
<『5.そして
というわけで、南の海(原作小説8巻序盤)、死の迷宮(原作小説8巻後半)が終わったので、王都編(原作小説8巻中盤)です。ついでに
ちなみに半竜娘ちゃんは、ただ強くなるだけなら、1000年くらい寝てるだけでOKです(成長制限解除&飲食不要のため)。
その場合、1000年後には文字通り山のような巨体に成長して、妖精弓手さんと蜥蜴僧侶さんの結婚式に駆けつけてくれることでしょう。
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14巻&ドラマCD発売中!
ドラマCDもすっごい良かったです! 西行法師めいた高僧が死者復活の儀式(不完全)をやり捨てしてたり、剣聖さんの筋肉が鋼だったり(つっこんだ賢者さんの手に逆にダメージ)、スワンプシング(アメコミ)が沼の植物の精霊として四方世界にいることが分かったり、勇者ちゃん走者疑惑が深まったり、蜥蜴僧侶さんが内臓攻撃したりと、サービス盛りだくさんでした! もちろん声優さんの演技もとっても良かった……!
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いつも感想や評価&コメをありがとうございます! 大変、大変、励みになっております!! 前回はたくさんの感想をいただき、とてもうれしゅうございました! ありがとうございます!