ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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●前話:
ここで会ったが百年目ッ!! いざ尋常に―― プレイボール!!

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(ほとばし)る信仰心
女商人「……まあ、先日お預かりした、サルベージされた財宝については、こんなところでしょうか。貴女相手だと、毎回タフな交渉になりますわね」
森人探検家「あなたこそやるじゃない。じゃあ、この金額で妥結ということで」
女商人「少しは手加減してほしいものですわ」
森人探検家「ふふ、無理な相談ね。それでは、また。良き風の巡りのあらんことを」
女商人「はい、またのお越しをお待ちしておりますわ」

……エルフ移動中(商館 → 交易神の神殿)……

森人探検家「礼拝堂をお借りします」
交易神官長「(身に付けている『聖印+3』をちらりと見る)……信心の篤い信徒のようですね。良いでしょう。さあ、奥へ」*1
森人探検家「ありがとうございます」

交易神官長「ここが礼拝堂です。ご自由にお使いください」
森人探検家「ありがとうございます」(スッと金貨の袋を寄進箱に入れる(自腹))
交易神官長「ではまた後ほど。よき風が吹きますように」(オリジナル笑顔)

森人探検家「…………」(跪いて祈りを捧げる)
森人探検家「……………………ぃ…………」(やがて(ぬか)づいて手を床に(五体投地(ソフト)))
森人探検家「…………ぃやったぁあああああ!!」(感極まって万歳して立ち上がる)
森人探検家「宝の地図が大当たりで大儲け! ああ、交易神様、感謝いたします!」(そのまま倒れ込むように五体投地(ハード)) バンッ
森人探検家「感謝いたします! 感謝いたします! なので、次も何卒(なにとぞ)、なにとぞ~~!」(跪いて五体投地(ハード)を繰り返す) バンッ、ドバンッ、ゴッ

……エルフ礼拝中……

交易神官長「終わったようですね。あら、鼻から……」
森人探検家「ああ、申し訳ありません、信仰心が溢れてしまいました。おほほ」
交易神官長「【小癒(ヒール)】。鼻骨が曲がってらしてよ? あまり繰り返すとお顔が四角くなってしまいますわ」
森人探検家「あっ……ありがとうございます……」
交易神官長「これで、もとどおり。先程の寄進の返礼の範疇ですのでお気になさらず。商人には容貌も大事な商売道具ですものね?」
森人探検家「おっしゃる通りで……。しばらく都に滞在いたします。きっとまた、一党の分け前を精算した後にでも参りますわ」
交易神官長「ええ、お待ちしています♪」
 

*1
王都の交易神官長:10年前に死の迷宮の前の街で、カント寺院 交易神殿の取りまとめをしていた修道女だったが、その後、出世した。わざわざ危険地帯へ出向いて(リスクテイクして)荒稼ぎした甲斐があったというもの。御布施をケチる貧乏人には「ケチな背教者め!」などと辛辣。




34/n ウィズボール・プレイボール!-3(乱打戦)

 

 はいどーも!

 因縁のある敵ユニットがグレードアップして立ちはだかる実況、はーじまーるよー。

 

 既に黒角ジャイアンツと、蒼鱗ドラゴンズとの試合は始まっています。

 それで先攻はどっちですっけ。

 

 ■どっちが先攻?(ダイス目が大きい方が先攻)

 黒角ジャイアンツ34 < 蒼鱗ドラゴンズ63

 

 1回表は蒼鱗ドラゴンズの打席からですね。

 相手の投手は、名も無きオーガ……いえ、オーガメイジのようですね。炎の魔球に注意といったところでしょうか。追加で召喚された選手のようです。

 特製の触媒を使ったものではないため、肉体の操作は召喚した術者が行っています。

 

 対する打者は、蒼鱗ドラゴンズの切り込み隊長。

 元エースでもある蜥蜴人です。

 その経験と確かな実力により、一気に試合の流れを引き寄せるべく起用されたのでしょう。

 

 では、ここで解説として蟲人僧正さんに加わってもらいます。

 そうです、11年前に≪死≫の迷宮(ダンジョン・オブ・ザ・デッド)を攻略した6人の金等級冒険者のうちの一人である、あの方です!

 

『こいつ、直接脳内に……!?』

 

 ウィズボールとしての本来の実況解説は別にいますが、盤外向けに特別に蟲人僧正さんに繋ぎます。

 え? 並みの神職だと盤外からの電波で発狂するだろって? 蟲人僧正さんならヘーキヘーキ!

 

『おもしれぇ……! どこの神だか知らねえが、その解説、やってやろうじゃねえか……!』

 

 というわけで、実況はこの『N氏(ナナシ)』と、解説は、砂漠の国から遠路遥々(はるばる)やってくるほどのウィズボールファン、6英雄の一人にして、熱砂の地の蟲人の長でもある蟲人僧正さんです。

 観客席の結構いい場所にいらっしゃったので、これ幸いと電波を繋いで解説してもらいます。

 

 さて、では、まず第一打席からです。

 詳しくない方向けに、基本的なことも交えていただければ助かります、解説の蟲人僧正さん。

 

『いいだろう。まず、ウィズボールは一球入魂。1打席の球数は1つだ』

 

 ということは、ストライクとかボールとかファールとかは無いんですね。

 まあ、投げるのは非常に重たい鉄球ですし、場合によっては文字通り魔法を絡めた魔球を投げることを思えば、投球数は伸ばせませんものね。

 

『そういうことだ。あるのは、ヒット、アウト、反則投球(ボーク)。ヒットは、打者によっては二塁打、三塁打、本塁打を飛ばす奴もいる。ボークは死球(デッドボール)や外れ球も含まれるぞ』

 

 なるほどー。

 攻守交代はスリーアウトチェンジですか?

 

『そうなる。6回裏までやるから、最少投球で完封すれば18球を投げることになるな』

 

 実際は打たれたり死球を投げたりで、もう少し投球がかさむでしょうけどね。

 それでも、30球にはいかないくらいでしょう。

 

『ああ、だからこそ魔球の切りどころは重要だ。……まあ、黒角ジャイアンツは、控えの投手を召喚して補充できるから、呪文が尽きた投手は交代させる作戦だな。そうやって魔球をふんだんに使って、今期はトップタイの成績だ』

 

 ほほー!

 

『投手は普通は只人有利なんだが、呪文を使った底上げで黒角ジャイアンツのオーガたちは圧倒してきたわけだな』

 

 それだけ聞くと、蒼鱗ドラゴンズにはあまり勝ち目がないのではって気がしますが。

 

『それだけで決まらないのが、ウィズボールの面白えところだ。おっ、さっそく第一打席から魔球を投げるぞ……!』

 

 ピッチャー大きく横に振りかぶって、第一球……投げました!*1

 

 呪文詠唱とともにリリース!

 球が……燃え上がった!!

 

『炎の魔球だな。恐らく【火矢(ファイヤボルト)】に乗せて投げたんだろう』

 

 迎え撃つは蒼鱗ドラゴンズの元エースたる蜥蜴人の選手です。

 さあ……どうだっ!?

 

 ■ヒット? アウト? デッドボール?(投球を打者が打てるか対抗判定)

 ・投球側 黒角ジャイアンツ(【火矢(ファイヤボルト)】の魔球)

   2D653+11+炎の魔球5=24*2

 

 ・打者側 蒼鱗ドラゴンズ

 (呪文抵抗判定)

   2D663+選手Lv9+魂魄反射5+呪文抵抗3=26 ○抵抗成功

 (武器(バット)命中判定)

   2D653+戦士Lv10+技量集中5+炎魔球狙い2=25

 

 ○打者側勝利! ヒット!

 

『おお、上手くひっかけたな! まずはヒットだ!』

 

 トップバッターが流すように打ちました。

 鋭い打球が左中間へと走る!

 流石は元エース選手! 手堅い出塁だ!

 

『だが野手も読んでたな。しかも巨人だから、一歩一歩がでけえ。さすがに2塁にはいけねえか。ジャイアンツ相手だとなかなか長打にならねーんだよなぁ』

 

 打順一番の元エースの蜥蜴人は、1塁でストップです。

 解説の蟲人僧正さん、今の打席についてですが。

 

『ああ、完璧に球を読んでたな。そうでなけりゃあ逆に打ち取られていただろう』

 

 なるほど。投手と打者の駆け引き……それがドンピシャ噛み合うことで、幾ら優れた投手であっても、打ち込まれてしまうというわけですね。

 

『そういうことだ。面白えだろ?』

 

 ですね!

 あ、続いて二番バッターです。

 

『二番バッターは器用で足の速い選手が出ることが多い。蒼鱗ドラゴンズは……森人(エルフ)だったか』

 

 身軽さが売りのエルフですが、ウィズボールにおいてはその技巧も併せてかなり強力な打者になるわけですね!

 

『ああ、そういうわけだな』

 

 さあ、投手のオーガメイジ……集中して何事か唱えたあとに、振りかぶって、投げました!

 

 ■ヒット? アウト? デッドボール?(投球を打者が打てるか対抗判定)

 ・投球側 黒角ジャイアンツ(【恐慌(パニック)】の魔球)

   呪文行使 2D665+11=22

 

 ・打者側 蒼鱗ドラゴンズ(【恐慌(パニック)】への抵抗)

   呪文抵抗 2D643+選手Lv8+魂魄反射6+呪文抵抗1=22 ×抵抗失敗!

 

 呪文抵抗失敗のため、効力値22の【恐慌(パニック)】により、蒼鱗ドラゴンズ打者は打席から逃亡!

 投球は自動成功、打席は自動失敗。

 

 ×打者側敗北! アウト!

 

 

 おおっとどうしたことだ!?

 エルフの選手、逃げ出した~~!?

 解説の蟲人僧正さん、これは!?

 

『あー、これは【恐慌(パニック)】の呪文だな。しかもかなり強力なやつだ、それこそ逃げ出したくなるくらいにな。もとから少しはあっただろう恐怖心を増幅されたんだ』

 

 なるほど! 確かに、キャッチャーとして控えているあのタイクーン級のオーガも居ますし、プレッシャーが凄まじかったのも、恐怖心に拍車をかけたのでしょう!

 しかし敵前逃亡に、観客席からは大ブーイングだ!!

 

 興奮した観客が柵を超えてマウンドに乱入……! 乱闘か!?

 

『ま、これもまたウィズボールの楽しみ方ではあるが……ちょっといただけねえな』

 

 というと?

 

『まだ立ち上がりで、場があったまってねえってことだよ。乱入するなら、もっと盛り上がった場面でねえと。客席から降りてきたのは、お(のぼ)りさんかもな』

 

 はあ。おっと、逃げ出したエルフの選手の方に詰め寄る観客! しかし、『逃げるのに邪魔だ!』とばかりに鎧袖一触! 乱入者の観客は一瞬で吹き飛ばされたぁ~~!

 

『あーあ。トップ選手にただの観客が勝てるかよ』

 

 ……吹き飛ばされた観客の顔は妙にうれしそうにも見えます。

 

『実はあのエルフのファンだったんじゃねーのか? 怒ってたっていうより、スキンシップ目当てだったのかもな』

 

 スキンシップ()。

 ま、まあ、エルフは顔が良い(グッドルッキング)ですからね。

 

 

 さて、続いて三番打者。

 打順は6打者で一巡するので、折り返しですね。

 

 満を持して登場するのは、凡百の巨人には負けない身の丈9尺もの巨体!

 【辺境最大】! 【鮮血竜姫】! 【死封竜】!

 

 決闘でエースを負かせて急遽参戦したという、巨人じみた恵体の女蜥蜴人ハーフ(半竜娘)の登場です!

 

『俺のデータにもない選手だが、鳴り物入りで登場ともなれば、期待が持てるな』

 

 対する投手のオーガメイジは、すでに呪文を使い切っているが―― おおっと、これは!?

 

超過詠唱(オーバーキャスト)……! 命を燃やして投げるつもりだな、おもしれぇ……!!』

 

 マウンド上でピッチャーのオーガメイジが、頭上にボールを投げ上げました!

 そして空中のボールを中心にして【火球(ファイヤーボール)】が膨れ上がります!

 

 そして投射(ヤクタ)!!

 

『必殺の魔球だな、弱い選手じゃあ、打てても避けても致命傷だ。全力で逃げるしかねぇ』

 

 だがしかし、半竜娘は逃げない!!

 ドラゴンに逃走はないのだ!!

 

 ああっと、半竜娘が火球に飲み込まれたぁあああ!!

 

 

 ――――グワゴラガキーン!!

 

 

 しかし響いたのは快音!!

 火球の核となっていたボールが弾き返された~~~!!

 

 しかもこのコースは―――!!

 

『ピッチャー返し! 狙ってやったなら、凄腕だぞ! 超過詠唱(オーバーキャスト)で弱った身体じゃ避けられねえ!!』

 

 豪速のピッチャー返しが、投手の頭に炸裂ゥウウウ!!

 ボールを相手の頭にシュゥウウウッ!! 超! エキサイティング!!

 

 頭蓋が砕けたオーガメイジの召喚が解けて、どろどろの液体状になりながら、膝をつき、前のめりに倒れます。

 

『頭を砕いても打球の勢いが弱まらねえ。コースが上向きになったおかげで、こりゃあホームランコースだな!』

 

 相手投手の頭を踏み台にした打球は、弾かれるように上向きになって、伸びる! 伸びる! 伸びる!

 落ちてこない! 落ちてこないぞ!

 そのままバックスクリーンに―― 飛び込んだァアアアッ!!

 

 なんという鮮烈な初打席!!

 

『本塁打といっても、バックスクリーンまで飛び込むのは滅多にねえ。いやあ流石は蒼鱗ドラゴンズのエースだな。1回表から良いもの見させてもらったぜ』

 

 火球により燃え盛るホームから現れたのは、まったく無傷の半竜娘ちゃん!

 無傷なのは【竜命(ドラゴンプルーフ)】のおかげか、あるいは自慢の鱗のおかげか。

 

 そしてゆっくりとベースを回り始めます。

 

 悠々とベースを回る元エースの蜥蜴人と、それに続く現エース・半竜娘。

 

 そして今、ホームイン!

 

 大きな声援とベンチのチームメイトがホームで出向かえます。

 

 守備側の黒角ジャイアンツの、タイクーン級オーガ三兄弟も、天晴(アッパレ)な仕儀に拍手を送っています。

 

『そうそう、あいつら意外とスポーツマンシップやルールを大事にするんだよな。むしろ蜥蜴人の選手の方に、手段を選ばねえダーティなのが多いイメージだぜ』

 

 蛮族より蛮族してる蜥蜴人っていったい……。

 

 ―― さ、さて。これで2対0。1回表、ドラゴンズの先攻、ワンナウト、ランナーなしです。

 

蒼鱗ドラゴンズ 2 ― 0 黒角ジャイアンツ

 

『ひょっとするとこりゃあ乱打戦になるかもしれねえな。黒角ジャイアンツはタイクーン級オーガの三枚看板、蒼鱗ドラゴンズは新旧エースの二枚看板。面白くなってきやがった……!』

 

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 その後、1回表は追加得点なし。

 特に事件も起こりませんでした。

 

 1回裏となって、黒角ジャイアンツの攻撃です。

 打順は、オーガタイクーン三兄弟が若い順から出てくるようです。

 

 やはり打順の前半は強力なバッターが就くのがセオリーなんでしょうか、解説の蟲人僧正さん。

 

『まあそうだ。打者は6人。打てる打者(ヤツ)にできるだけ打順を回す方がいいからな。その方が得点機会が大きくなる』

 

 なるほどー。

 

『まあ、これには諸説ある。1番から3番はとにかく塁に出て、4番で解決! ってパターンも根強く人気だ。ま、俺はどっちも好みだがな』

 

 流行のようなものもあるんでしょうか。

 ともあれ、黒角ジャイアンツの打席です。

 

 蒼鱗ドラゴンズのピッチャーは只人の魔術師。キャッチャーを務めるのは新エースの半竜娘です。

 

『オーガの得物は巨大金棒(ジャイアントモール)。いつもは片手で振り回すそれを、両手で構えりゃ、そりゃ強いわな』

 

 そういえば、人喰鬼大君(オーガタイクーン)というのは、3体も出てくるものなんでしょうか。

 

『普通はない。だが、これも去年の春に魔神王が側近もろとも速攻で討伐された影響だろうな。混沌領域での勢力再編成に、実力者の台頭。その結果、おそらくオーガの領域はあの三兄弟を中心に統一されたんだろう。で、今シーズンは、息抜きがてらに魔法の召喚体に意識を飛ばしてウィズボール、ってところだろう』

 

 ははあ、劉備・関羽・張飛か、はたまた信長・秀吉・家康か、そういう感じの(コーエーテクモ的な)英雄だと。

 

『盤外のこと言われても分かんねーよ。それより黒角ジャイアンツの第1打席だ』

 

 早速、投手、投げました!

 そしてこれは―― 曲がった!?

 

『風の魔球だな! 【突風(ブラストウィンド)】を軌道上に置いて曲げるテクニックだ。相当正確なコントロールがねーと不発する』

 

 しかし、オーガタイクーン:三ノ君(サンノキミ)、これを読んでいた!

 

『そう、動体視力も身体制御も、オーガタイクーンは一級品だ!』

 

 だが、おおっと!? ボールがさらに曲がった!!

 

『なにっ!?』

 

 巨大金棒が空振り! オーガタイクーン:三ノ君(サンノキミ)、アウト!

 何が起こった!?

 

『二重魔球だと? だが―― なるほど、そういうことか』

 

 解説の蟲人僧正さん、何かお気づきに?

 

『ああ、これはキャッチャーとのコンビネーションだな』

 

 というと?

 

『キャッチャーの新エース、鮮血竜姫も術使いなんだろう? 投手が【突風(ブラストウィンド)】で曲げた魔球の軌道に、さらにキャッチャー側で起動した【突風(ブラストウィンド)】を置いておいたんだろう』

 

 なるほど!

 

『だが、投手と捕手の息が合っていないと、こんな精密なコンビネーションはできねえ。術を置く位置もだが、タイミングも寸分も狂わせられないからな』

 

 それだけ練習してきたということでしょうか。

 

『そういうことだな。蒼鱗ドラゴンズの監督の練習狂いは有名だしな』

 

 オーガタイクーン:三ノ君(サンノキミ)は、憎々しげに捕手を一瞥して、バッターボックスから下がります。

 2番打者は、オーガタイクーン:二ノ君(ニノキミ)です。

 

『これはちょいと注意かもしれねえな』

 

 何かあるんですか?

 

『この打者は、特に投手への攻撃が激しい。弟の1番打者がたやすく打ち取られたんだから、メンツのためにも見せしめに、ってことを考えてもおかしくねえ。面白くなってきやがった……!』

 

 さあ、ここで投手―― 投げました!

 

『魔球じゃねえな、こりゃ向こうさんも誘ってるな?』

 

 だがしかし、バッター、ずいぶん早いタイミングでスイング!!

 これじゃあアウトだ!

 

『いや、これでいいんだろう』

 

 そして巨大金棒がオーガタイクーン:二ノ君(ニノキミ)の手からすっぽ抜けた!

 巨大金棒が向かうはピッチャー! 大ピンチだ!

 

『らしくなってきやがった……!』

 

 しかし、通らない! ピッチャーの前で何かに弾かれて止まったーー!!

 これは――!?

 

『【力場(フォースフィールド)】! これもキャッチャーの呪文か? 大したもんだ』

 

 ピッチャー、ノーダメージ!

 これで黒角ジャイアンツ、ツーアウト……って、あれ、オーガタイクーン:二ノ君(ニノキミ)、出塁しています。

 何が起こったんでしょう。

 

『ボールは―― 野手の手にあるな。そうか、なるほど』

 

 解説の蟲人僧正さん、分かりましたか?

 

『ああ、観客含め、全員してやられたな。オーガタイクーン:二ノ君(ニノキミ)は、巨大金棒を投げた直後にその勢いで一回転、そのままの勢いで裏拳をボールに叩き込んだんだ』

 

 なんと! ミスディレクション!

 本命は自らの肉体で打ち返すことだった!

 

『魔球を投げさせないように、バット攻撃をするって雰囲気を出すのもうまかった。バット攻撃はアウトになるから、わざわざ魔球は投げねえ。無駄な魔球は控えるのがセオリーだ』

 

 高度な心理戦!

 

『そうだ、この心理戦も、ウィズボールの醍醐味よ』

 

 ワンナウト、バッター1塁。引き続き黒角ジャイアンツの攻撃です。

 いよいよ3番打者、オーガタイクーン:一ノ君(イチノキミ)の登場です。

 

『黒角ジャイアンツの攻撃は、初っ端からエース3枚看板の打席が必ず見られるから、人気が高いんだぜ』

 

 さて黒角ジャイアンツ、ここでホームランが出れば同点に追いつきます。

 ピッチャー振りかぶって、投げました!

 

 これは―― 打球が、増えた!!?

 

『【幻影(ビジョン)】の魔球だ! だが、どこから幻影だ? 投球モーションから幻影だったとすれば、あの中にボールがあるとは限らねえぞ』

 

 実はまだ投げていない、そういう可能性もあります!

 対するオーガタイクーン:一ノ君(イチノキミ)は―― 目をつぶっている?

 

『心眼、というわけか。【幻影(ビジョン)】の術は音も偽装するからまったく無効化できるわけじゃねえが、効果は半減だな』

 

 そしてオーガタイクーン:一ノ君(イチノキミ)巨大金棒(バット)が燃え上がる!

 

『魔球は投手だけじゃねえ。術使いのバッターは、打った球を魔球にできる!』

 

 オーガタイクーン:一ノ君(イチノキミ)、打った~~!!

 燃えるバットで打った打球が、炎の矢に包まれた!

 

『射程100の【炎矢(ファイアボルト)】! これは行くぞ!!』

 

 伸びる、伸びる、伸びる!

 打球が伸びる!!

 

 そしてそのまま―― バックスクリーンに突き刺さったーー!!

 ホームラァーーン!!

 

 まるで先ほどのお返しだとばかりに、同点ホームラン!

 1回表裏ともに術が乱れ飛ぶ、乱打戦だ!!

 

『さすがは1位決定戦……楽しませてくれるじゃねえか……!!』

 

 

 というところで、今回はここまで!

 ではまた次回!!

 

 

*1
オーガは基本的にサイドスロー:骨格的にオーバースローは出来ないため。円盤投げめいたサイドスローを主に使う。

*2
炎の魔球:投球判定に魔術師Lvを加算




 
ウィズボールの判定は四方世界ナイズドしています。本来のカードゲームのウィズボールは下方判定(目標値を下回った方が勝ち)ですが、四方世界ルールなので上方判定にしています。

全打席描写はしませんので、次回はたぶん6回(最終ラウンド)に時間を飛ばします。さすがにね?

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皆様感想評価&コメをいつもありがとうございます! 応援を糧に、ますます精進いたします!

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ニコ生でゴブスレアニメ昨日やってましたね。プレミアム会員だと見逃した方でも『「ゴブリンスレイヤー」全12話&「ゴブリンスレイヤー -GOBLIN'S CROWN-」一挙放送』を2021/4/10(土) 23:59までタイムシフトで見られるそうですよ。

そして『ゴブリンスレイヤー』コミックス第11巻
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4月24日 同時発売!!
 
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