ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

114 / 184
 
閲覧、評価&コメント、お気に入り登録、誤字報告、ここ好きタップ、さらには感想もご記入いただき感謝 感激 感無量です!

===

●前話:
それでは解説の蟲人僧正さん、一言どうぞ。
蟲人僧正(6英雄の1人)さん「ウィズボールは、おもしれぇ……!!」

===

構成の都合で『裏』編です。
 


34/n 裏-1(観客席&試合ダイジェスト)

 

1.球場メシ!

 

 

 ウィズボールのスタジアムとなっているのは、興業のために設けられた都のコロシアムである。

 ウィズボールだけではなく、闘技、馬上試合、曲芸、歌謡などの催しも行われる、由緒正しい建物だ。

 また、変わったところでは、新製品の品評会や魔術発表会が行われることもある。―― 同人誌即売会? さあ……?

 

 都の城壁と同じく、悠久の時を経てきたものであり、古代の魔術師たちの時代の高度な機能を今に残している。

 コロシアム全体にまで響く拡声は当然のこと、【幻影】が込められた魔道具による映像の拡大投影や演出だってお手の物だ。

 今も選手交代の傍ら、完全記憶能力を持つ魔術師が、熟練の【幻影】魔道具機材扱いで、1回表裏のダイジェストを空中に大きく投影している。

 

『鮮血竜姫、ホームラン! ホームランです!!』

 

『対するジャイアンツも負けじと、一回裏、ホームラン!! 両チームともに派手な立ち上がりだ!』

 

 グラウンド上では2回表の準備が進み、蒼鱗ドラゴンズ VS. 黒角ジャイアンツの両選手のボルテージが高まっている。

 黒角ジャイアンツは再召喚により呪文リソースが回復するが、蒼鱗ドラゴンズもどこからか手に入れた【分身(アザーセルフ)】の巻物(スクロール)を活用して呪文も命も大盤振る舞いだ!*1

 それにつられて、観客たちも熱い試合展開を期待し、手に汗握って前のめりになっていく。

 

「「「 ふれー! ふれー! かっとばせー!! 」」」

 

 チアリーダー服でボンボンを持った幼竜娘三姉妹たちが、スタジアムの壁の上、観客席の最前線でぴょんぴょんと跳ねて応援をしている。

 

 それを(さかな)にしてよく冷えた麦酒をなみなみと注いだジョッキを傾けるのは、TS圃人斥候だ。

 

「おーい、あんまり跳ねて落ちるなよー」

 

「「「 はーい!! 」」」

 

「返事はいいんだけど、分かってんのかね」

 

 グビっと麦酒を喉へ。

 魔術師が冷やしたそれは、のど越しもよい。

 しかし、季節は晩秋。冷えた酒ばかり飲んでいては、身体が凍えてしまう。

 

「そういう時は、やっぱり揚げ芋だよなー」

 

 乳酪(バター)をたっぷり絡めたまんまるの揚げ芋を割って、小さな口を大きく開けてかぶりつく。

 ほくほくのそれは、つぶした芋と小麦粉と砂糖を練って揚げたもので、塩とたっぷりの乳酪でいただくと至福なのだ。

 木串に刺さったそれをもっちもっちと食べながら、油をアルコールで流し込む。

 

 ―― かーっ、うめえ! やっぱりこうでなくっちゃなあ!

 

 TS圃人斥候は唇についた乳酪の脂を指で拭ってちゅぱっと口で(ねぶ)った。

 

「子守りっつっても、こいつら聞き分けはいいし、見てて飽きねえから、まあ、いいか。エルフパイセンは交易神官の伝手でブックメーカーんとこだし、タンクは昔の一党の仲間と一緒に観戦、か」

 

 今ここにいるのはTS圃人斥候と幼竜娘三姉妹だけだ。

 

 交易神官でもある森人探検家は、結構な寄進を都の交易神殿にしたらしく、その縁で、賭け(ブック)の胴元の方の手伝いをしているらしい。

 確実に儲けるためには胴元になるべき、というのはどの賭博でも同じことだ。

 

 文庫神官は、前の一党と旧交温めつつ、どこかで観戦しているはずだ。

 

 ―― 応援するチームの違いで喧嘩になってねーと良いんだが。

 

 血の気の多い競技でもあるので、ファン同士の乱闘というのは日常茶飯事だ。

 

「「「 ふれー! ふれー! どらごんずっ!! かっとばせー! どらごんずっ!! 」」」

 

 幼竜娘三姉妹が、短いスカートと(へそ)のないつるっとしたお腹が見えたチアリーダー服をひらひらさせながら応援している。*2

 蒼鱗ドラゴンズの打者が出てきたようだ。

 

「おっ。さーて、リーダーの打席まで回るかね? あっ、お姉さん、コレおかわりー! あとおつまみおすすめあるー?」

 

 TS圃人斥候は、売り子をしている獣人(パッドフット)の少女を呼び止めて追加の注文をした。

 完全にまったり観戦モードだ。

 

 

<『1.楽しみ方は乱闘見物/参加だけではない』 了>

 

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

2.金剛石の騎士(ナイト・オブ・ダイヤモンド)の乱入

 

 

「ええいっ、私が相手だ!!」

 

 観客席から打席に飛び込んできたのは、煌びやかな金剛石を思わせる具足に身を包んだ騎士だった。

 きっと巷間(こうかん)で噂の世直し人『金剛石の騎士』だろうと思われた。

 どこかで『陛下!? おやめください!?』とかいう赤毛の枢機卿の嘆きの声が聞こえたような気がしたが、きっと気のせいだろう。*3

 

『おおっと、なんと蒼鱗ドラゴンズの打席に乱入者!! この輝く物の具は、(ちまた)を騒がす金剛石の騎士だというのか!?』

 

 実況が叫び、観客が名のある者の乱入に沸いた。

 

人喰鬼(オーガ)相手に不甲斐(ふがい)無しッ!! この俺が手本を見せてやろう!!」

 

『蒼鱗ドラゴンズの5番打者を追い出して、金剛石の騎士が打席に立つ!! それを見て嗤うは再召喚されたオーガメイジ! これは―― ()る気だッ!!』

 

 デッドボール狙いの雰囲気を出す投手のオーガメイジ―― 先発投手は脳天直撃ホームランされたので2人目―― に対して、金剛石の騎士が打席でその剣(ハースニール)を構える。

 

 どこかで赤毛の枢機卿の胃が砕け散る音(『陛下ァッ!?』という悲痛な叫び)が響いたような気がした。

 

 

 

<『2.ちなみに乱入者を引き戻そうとグラウンドに降りると、気づけばいつの間にか自分も一緒になって乱入してしまうらしいぞ! 球戯神の御加護だね!』 了>

 

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

3.特に何の脈絡もなく降臨する三大呪怨鬼神と、そのカウンター存在としての勇者

 

 

 4回裏。6回までのウィズボールの試合においては後半戦だ。

 やはり激しい乱打戦となったこの試合、黒角ジャイアンツの攻撃。

 新旧エースの蜥蜴人と、金剛石の騎士の活躍により、蒼鱗ドラゴンズの1点リードで迎えることとなったこの局面。

 

 

 先ぶれなど何もなしに、にわかに天を暗雲が覆い、太い雷が3条も落ちてきた。

 

 

『おおっと、これはいったい!? 雷がグラウンドに降り注ぐ!! しかも黒角ジャイアンツの選手に直撃だ!! 果たして無事なのかーー!!?』

 

 塁上のオーガ、バッターボックス上のオーガ、ネクストバッターズサークル上のオーガ。

 黒角ジャイアンツの下位打線、6人の打者のうちの4番から6番までの普通のオーガたちに、天から降り下りた雷が突き刺さった。

 実況も言葉にするが、実はこのような事態は初めてではない。ウィズボールでは気まぐれな神の鉄槌が選手を打ちのめすことは稀によくあるのだ。*4

 

『『『 OOOOOOORRRRGGGEEEE!!!??? 』』』

 

 雷に打たれた並みのオーガ3体が、眼を見開き白目を剥いて、天に咆哮しながら、次々と変貌していく。

 吹きあがる霊気が衣を具現化し、メキメキと音を立てて、オーガタイクーンよりもさらに巨大な肉体へと変貌!

 衣の形は衣冠束帯―― 古の異国の貴人の装束だ。

 

『グググ、不覚……よもや地上に落ちるよりほかないとは』

『だが丁度よい、これほどの人間がいれば、力を取り戻す贄には十分よ。魂を喰らってくれよう』

『ふははは、そこなベンチの若人(わこうど)らは儂の血筋か? 大君(タイクーン)級ともなれば、禰宜(ねぎ)に適当であろ』

 

 並オーガたちの肉体を乗っ取り、さらに巨大化して降臨した、衣冠束帯の三体の大鬼……雷電(ミチザネ)黒闇(マサカド)大浪(ストク)の三大鬼神たちは、それぞれ邪気を込めた瞳で、じろりとグラウンドを睥睨した。

 

 そして、あわや鬼神たちが暴れ出そうとした、そのとき!

 

「させないよ!!」

「取り逃がすとは不覚!」

「今度は逃がさない」

 

 眩い光とともに空間に裂け目が走り、その中から勇者、剣聖、賢者が飛び出した!

 

『ぬぅ、ここまで追ってきおったか! 勇者め!!』

『だが果たして貴様らは、この観客どもを守りながら戦えるかな!?』

『餌だらけで選り取り見取りよな! これはこれで復活のための糧にできると思えば悪くないものよ!!』

 

 3体の鬼神が、それぞれの周囲にまばゆい雷電と、空間を歪める重い黒闇と、凍てつく激しい大浪を呼び出し、その破壊の力を解き放とうとしている。

 一斉に解き放たれれば、それは都を全て消滅させるに十分であろう。

 

 それに対して、賢者が詠唱を始め、結界の準備をする。

 

「させない―― それに、ここにいるのは無力な者たちだけではない。都の軍や冒険者は粒ぞろい」

 

「その通り!! そうじゃなくても、守るべき人たちを前にして、勇者に負けはない!!」*5

 

 賢者の詠唱が空間を張り詰めさせ、3体の鬼神の放つ力を相殺せんとしている。

 

 

 

 ―――― だが、そこに球審の声が響く!!

 

 

 

「そこのオーガ、バッターボックスに入りなさい。そっちもネクストバッターズサークルで待機! そっちは勝手に塁から離れない―― って、牽制球! ランナー、アウッ!!

 

 

 ここはウィズボールの試合中のグラウンドだ。

 

 審判の声に敵うものなど何もない!

 

 ―― それがたとえ神であっても!!

 ―― それがあるいは、勇者であったとしても!!

 

「試 合 続 行 ! いざ尋常に―― プレイボール!!」

 

 

<『3.球戯神のもたらす奇跡により、グラウンド上の存在はウィズボールのゲームに取り込まれるのだ! もはや、のがれることはできんぞ!』 了>

 

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

4.結局こうなる

 

 

 6回裏。

 最終回の黒角ジャイアンツの攻撃―― であったが、ついに最後のバッターが打ち取られた。

 

 点数は、同点!!

 

 

 そして、今回、ウィズボールに延長戦は存在しない!!

 

 であれば、どうやって勝敗を決するのか!!?

 

 ―― 答えは決まっている!!

 

 乱闘だ!!

 

 互いの選手たちのボルテージは最高潮!

 観客たちの熱狂も留まるところを知らない!

 

 誰もが求めている―― 大乱闘を! 一心不乱の大乱闘を!!

 

 

 黒角ジャイアンツのオーガタイクーン三兄弟、そして降臨した三大呪怨鬼神たち!

 

 蒼鱗ドラゴンズの旧エースの蜥蜴人、新エースの半竜娘、乱入した金剛石の騎士に、勇者一党!

 

 ベンチ入りしている綺羅星のごとき錚々たる選手たちも、もちろんそうだ!

 

 グラウンドでも観客席でも、皆が声を上げる。

 

乱闘(クリーク)! 乱闘(クリーク)! 乱闘(クリーク)!』

 

 

 そしてついに、球審の声が響く。

 

 

「よろしい、ならば乱闘(クリーク)だ。

 

 スリーアウト! ドローのため、両チーム、全選手、前へ!!

 

 それでは―― ウィズボールファイト、レディー……ゴー!!

 

 

<『4.喊声(かんせい)とともに両チームは激突した!!』 了>

 

 

*1
分身(アザーセルフ)】の巻物(スクロール):アークデーモンから巻物作成知識をぶっこぬいた半竜娘ちゃんの作によるもの。ただし、球団のバックアップを受けてのことなので、今後の冒険でどこまで自作巻物を活用できるかは未知数。

*2
蜥蜴人のヘソ:卵生なのでヘソは無い。

*3
国王の乱入:ウィズボールの攻撃側事件表(守備側と攻撃側の事件表があり、どちらを参照するかはダイスの出目が偶数か奇数かで決まる)で2D6の合計が10のときに発生する。狂王トレボーが代打に立つ!

*4
神の鉄槌:守備側事件表の2D6で11が出たときのイベント。神の鉄槌によりランダムに選手が死亡する。(監督または選手の治癒術によって復活可能)

*5
観衆の中で戦う勇者:常時元気玉状態。フレアが毎秒溜まるまである。




 
何が始まるんです?

―― 大乱闘スマッシュモンスターズ&アドベンチャラーズだ。

===

◆◆◆ダイマ重点◆◆◆

『ゴブリンスレイヤー』コミックス第11巻
『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン』コミックス第7巻
『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀≪ダイ・カタナ≫』コミックス第3巻
2021年4月24日 同時発売!! 楽しみですね(ダイマ)。

ゴブスレアニメBlu-ray Box 初回限定版』は2021/4/28発売!

そしてゴブスレTRPGのサプリ、通常版(2021年05月13日(木)発売)の予約も始まってます!

◆◆◆ダイマ重点◆◆◆


===

皆様感想評価&コメをいつもありがとうございます! 他の作品を読んでる間は書けない(ハーメルンは面白い作品ばかりですよね)というジレンマ。精進いたします~。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。