ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
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●前話:
金剛石の騎士、三大呪怨鬼神、勇者一党の
同点につき乱闘で雌雄を決する!!
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※ウィズボールのルールについて補足:延長戦
説明書を引っ張り出して読んでみると、実際のカードゲーム「ウィザードリィカードゲーム1 ウィズボール」においては、試合は9回裏まで。延長戦も普通にあります。Wikipediaの記述が6回までになってるのはミスかも? あるいはひょっとしたら「ウィザードリィカードゲーム2 ウィズ・ボール拡張キット」の方のオプションルールかも知れませんが、未確認です。
ですが、打者6名、6回裏までというのはおさまりがいいので、そのままにしときます。延長戦ナシなのも、そっちの方がトンチキ度が上がってふさわしいのでそのままで!
元ルールについて詳しくは活動報告に書いたので、気になる方はこちらの活動報告の記事をご参照ください。
はいどーも!
やはり最終的に暴力がすべてを解決する! 最高のショーの始まりだぜー!! な実況、はーじまーるよー。
前回は、魔法を用いた魔球・魔打球の応酬による乱打戦の幕開けをお届けしたところまででしたね。
さすがは1位決定戦、ハイレベルです。
黒角ジャイアンツは再召喚により呪文使用回数がリセットされ。
蒼鱗ドラゴンズは半竜娘ちゃんが提供した謹製の【分身】の巻物によってやはり呪文使用回数がリセットされ。
それにより、両チームともにハイペースで呪文を使っていきます。これには観客も大興奮!
そしてウィズボールといえば付き物なのは『乱入』です!
蒼鱗ドラゴンズ側には、まず金剛石の騎士が飛び込み。
黒角ジャイアンツ側には、稲妻、超重力、大波濤を操る太古の三大鬼神が天から降臨し!
それを追って虚空を切り裂いてやってきた勇者・剣聖・賢者の白金等級一党の乙女たちが、さらに蒼鱗ドラゴンズに加入!
試合は一進一退の攻防を見せ、最終回でも決着はつかず!
延長戦にもつれ込むところ、しかし天井知らずに高まった両チームの選手たちと観客たちのボルテージに後押しされ、球審が英断を下しました。
ウィズボールの起源は、球技ではなく、団体格闘技である―― がゆえに、この晴れの舞台での決着は、選手同士の直接対決にゆだねられたのです!
おお、球戯神よ御照覧あれ!
……ということで、両チームの選手による乱闘によって雌雄を決することになりました。
「ふふふ、フハハハハハ、ハァーッハッハッハッッ!! 良い、良いのう!! 駆け引きも打席も面白いが、やはり勝負というなら、この手で敵を
半竜娘ちゃん、めっちゃいい空気吸ってますねえ。
やはり戦場でこそ輝く女……。
キャッチャーマスクを被ったまま、呪文を唱えはじめます。
ちなみにグラウンド上にいたのは
ベンチから半竜娘ちゃん本体がフルコントロールしていました。
ですが、乱闘となれば本体だって黙って瞑目して分身越しに参加するなんて野暮はしません。
ベンチの方からも、半竜娘ちゃん本体が呪文を唱えながら、他のチームメイトともに飛び出してきました。
「「
真言呪文【
巨 竜 降 臨 !!
半竜娘ちゃんズの瞳が青く輝き、雷電のようなオーラが全身に流れると、さらに両腕の【鮮血呪紋】が脈動して紅いオーラが空中に滲み出しました。
過剰出力で【鮮血呪紋】を励起させることにより、敵の呪文を構成するマナを殴って吸収できるのです。
つまり、魔法を盾受けできるようになったり、近接距離での呪文の構築をマナ不安定化により阻害できるというわけ。……PC側で持っていい能力じゃないな? ボス側の技能だよな?
「
「応ともよ!
「おおっ、恩に着るばい! さあ、恐るべき竜よ御照覧あれ!
実は【
半竜娘ちゃんズに加えて、これで三体目の巨竜です。
蒼鱗ドラゴンズのチーム名に違わぬ錚々たる布陣!
『図体ばかりでかくともなあっ!』
それに対抗して、既に
当然、半竜娘ちゃんたち巨大化組に「「「 し、痺れる~!? 」」」と命中!
それでもなお降り止まらぬ文字通りの雷雨がグラウンドへと突き刺さっていきます。
そんな災害の中、その間を半身になって進む独特の歩法ですり抜ける剣聖ちゃん。
「飛び道具など笑止ッ!」
柱のような雷が落ちる中、まるで無人の野を行くように走る剣聖の乙女!
手に持つは無銘の鋼の剣なれど、鍛えた鋼は、達人の手にあることで無双の刃となるのです!
小刻みに刃を揺らすことで、玄妙な手つきで雷を誘導。
半歩ずらしの体捌きと合わせて、本来金属に誘導されるはずの雷がまるで剣聖の彼女だけを避けて通るようです。*1
しかし剣聖ちゃんの行く手を遮るのは、黒い重力の渦!
『潰れてしまえ。地虫のごとく這い
だがその射線上にそれを受け止める(比較的)小柄な人影が飛び込みます!
「まったく……肉体労働は苦手なのです―― ウィズボールを除いて!」 それは大きな杖を持った犬耳フードの賢者ちゃんでした。「
そして杖に同じく重力のマナを纏わせると、それでもって
賢者ちゃんの打席、強烈なピッチャー返しです!
「ぐわごらがきーん! なのですよ! 大体、そちらの攻撃は
『うぉおお!? 小癪な、小娘めぇ!!』
打ち返された重力球が、
しかし打ち上がった重力球+
『あらら、黒闇のがやられてしもたか。ま、よう飛ぶやつやからなあ、昔っから首だけになったりしてのう』 少し
上空、暗雲の代わりに広がっていく水塊は、
「させないよっ! 太陽の爆発!!」
そしてその全てを切り裂いて蒸発させ、マナに還元させる太陽のごときまばゆい光!
当代最強の白金等級の勇者が一の太刀!
雷雨を裂き、黒闇を晴らし、大浪を鎮めるのは―― すなわち太陽の輝き!!
「この世界はボクたちが守るんだ!! いっくぞぉ――」
勇者の啖呵が響き渡り、味方には鼓舞を、敵手には威圧を与えます。
光を束ねたかのような巨大な剣が伸び、超勇者ちゃんがそれを振り下ろします!
「―― 夜明けの一撃ッ!!」
『『『 グワーッ!?? 』』』
三大鬼神の悲鳴が響きます。
上空の水塊が切り裂かれてマナに還されるとともに、三大鬼神にもまとめて斬撃!
しかしまだ死んではいません。
せめてあと一太刀を浴びせられれば――。
「だからあなたは詰めが甘いというのです! ハァッ!!」
そこに閃く鋼の剣! 剣聖ちゃんの極まった閃光のごとき振り下ろし!
『『『 グワーッ!?? ば、ばかな…… 』』』
ついには断末魔を上げる三大鬼神たち。
「なっ……これは……!?」
ですが、その光景に、剣聖はしばし愕然と佇みます。
されどもそれも無理なきこと。
なぜなら、鬼神にトドメを刺したのは彼女ではないのですから。
断末魔は、剣聖ちゃんの刃が届く前に響いたのです。
『グググ、裏切りおったな!』 『たかだか
三大鬼神がその存在の核を抉り出されながらも恨み言を向ける相手は、オーガタイクーンの三兄弟!
勇者の攻撃で鬼神たちが瀕死に陥ったのをいいことに、土壇場での裏切り!
オーガタイクーンの長兄、
『裏切りも何も、配下となった覚えなどないぞ。
それに写し身とはいえ、アストラル投射によって鬼我一体となっておる特別製だ、音に聞く大鬼神の核を喰らえば我が本体にもきちんと届く。こんな絶好の機会を逃せるものかよ』
『貴様っ、最初からそのつもりで……!?』 オーガタイクーン:
『ハハハ! いくら魔神王さえ屠った勇者相手とはいえ、このような醜態を見せるお前らになぞ、付き従うことはできんわな! 安心せい、その権能もろとも簒奪してやろう! 下剋上こそは鬼の
『き、貴様ァアアア!!』
まるで飛沫のような音とともに、オーガタイクーン三兄弟の手元で、三大鬼神の存在核が潰れ、【巨人】の呪文で作られたオーガタイクーンらの仮初の身体にその権能が沁み込んでいきます。
どくんっと、オーガタイクーン三兄弟の身体が大きく震えるように脈動したかと思えば、どうやらそれぞれに新たな権能が目覚めたようです。
その権能は、三大呪怨鬼神たちの権能を引き継いだもの―― ではなく。
鬼神たちの恨みによってか、反転した権能となっている模様です。
すなわち――
オーガタイクーン:
オーガタイクーン:
オーガタイクーン:
そしてそこに
「「 下剋上! いい響きじゃのう! であれば貴様らまとめて、手前の糧になるのじゃ!! 」」
しかし、それは既に察知されていました。
『半竜の術師=サンよ! 以前に預かった弟と貴様の勝負をここで返してやろう! 三の弟よ! 存分にやるがよい!』
『その言葉を待っていたぜぇ! 一ノ兄者ァ!! 【風の
オーガタイクーン:
そして、その身体に魔法の風を纏うと、超跳躍して
『オレが触れる風は、全てオレの支配下よ! 【
「「 とぉつぅげきぃいい!! イイイィヤアアァアアア!! ――――ッ これは、エアクッション!? 」」
『半竜の術師=サン! 貴様の火吹き山での戦いは我らも知っているぞ! あそこには氏族の者も選手としているのでな! 今のオレは、流星さえも受け止める大気の化身よ!! 突撃術式とて無効だ!!』
オーガタイクーン:
周囲の空気を制御下に置く風の権能を手に入れたオーガタイクーン:
メタ的に言うと、呪文を含む遠隔攻撃のほとんどを無効化する能力っぽいですね。
属性無効化能力は高レベルボスの嗜み……。
空気の壁による無効化なので、
「「 ぬぅっ! やりおるな! オーガタイクーン:
『この大舞台、決着にはふさわしかろう!!』
「「 望むところじゃ!! 」」
とはいえ、半竜娘ちゃんにはまだ
さらに、ポジションを目ざとく調整したことで、核を失った
『む、その場所は――』
「「 【
足元の鬼神たちの遺骸へと腕を振り下ろして突き刺し、その鬼神たちの遺骸を【鮮血呪紋】が分解し、還元吸収。
元が召喚体ですからマナへの還元は簡単な部類でした。
さらにそこに含まれる鬼神の霊的因子を【
「「 雷電・黒闇・大浪―― 各因子の残滓破片の吸収完了じゃ! 」」
これにより、【風の遣い手】 【土の遣い手】 【水の遣い手】技能の初歩を格安で習得できるようになりました。具体的には、通常は成長点5点必要なところ、1点で済むようになり、また、即座に習得可能になりました(というか即座に習得したとき限定みたいですね)。*3
当然、習得! この戦いで即座には役に立たないかもしれませんが、お得ですしね!
っていうか、それは副効能で、本命は、鬼神の霊体の分解・解析により、目の前のオーガタイクーン:
「「 解析完了――! 行くのじゃ!
もし接近できて(体勢を崩す暴風のオーラへの体力抵抗判定に成功して)、近接攻撃を暴風によるマイナス補正に関わらず命中させられれば、きっと、全ての攻撃が
『来るがいい! 半竜の術師=サン!!』
巨体に見合わぬ緻密なインファイトを繰り広げだした半竜娘ちゃんズとオーガタイクーン:
球戯神の加護により、観客席には被害が及んでいませんが、観客は乱闘を食い入るように見つめているせいで避難は進んでいません。
他の戦いに目を移せば、超勇者ちゃんが意外と苦戦しています。
「聖剣がっ、効かない!?」
『我が
相手はオーガタイクーン:
太陽の聖剣の【太陽属性】が半ば無効化されているようです。―― 属性変更特技は使い切ったのかな?
というか、権能の属性が反転したせいで、先ほどまで三大鬼神にメタを張れていた勇者ちゃんが、逆にメタを張られる形になっています。
あるいはそうなるように、三大鬼神の怨念が作用したのかもしれません。
……その一方、オーガタイクーン:
と、そこに襲い掛かる、鋼鉄の打球の群れ!
「オラオラオラッ! ウィズボール乱闘名物、鉄球乱打ったい!!」
この南方訛りは、蜥蜴人の旧エース選手!
遠隔攻撃として、猛スピードの鉄球を打ち放ってきています!
『ええいっ、邪魔をするな!』
「そげんつれないコトば言わんとよ! あんまり乱入選手にばっかり目立たれると沽券にかかわるけんね!」
「援護ありがとう! 一緒に戦おう!」
『ヒャッハー! この【炎の
「
『むっ、この状態のオレに傷を……!?』
「この
燃え盛る火の玉のような状態になったオーガタイクーン:
「へいk―― 騎士殿! お下がりください!!」
「そうです、へi――騎士様! ここは私たちに任せて退避を!」
王国臣民としての意識も高い剣聖ちゃんと賢者ちゃんが、
「安心するがいい―― 近づかずに真空刃で攻撃するだけだ!
「陛下ッ、お下がりください! ああもう、聞こえてない……ッ!」 「いや、かくなる上は、私たちも協力して速攻で倒すしかないのです……!」
しかも、今は、球戯神の加護で、
剣聖ちゃんと賢者ちゃんも、現状を諦めて受け入れたようです。
王国の未来は君たちの双肩にかかっているぞ!!(いつものこと)
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鉄球が飛び交い、巨竜が暴れ。
閃光が、熱炎が、暴風が、グラウンドを舐め。
太陽の聖剣が輝き、金剛石の魔剣が敵を断ち。
追加の人喰鬼が魔術師選手に呼び出され、流れ弾で雑に潰され。
しかし主力の選手同士の戦場は拮抗し。
そんな戦況が動いたのは、そこから暫くした時でした。
発端は、半竜娘ちゃんの分身体がついに暴風の結界を抜けて、オーガタイクーン:
「接近完了じゃ! 捕まえたのじゃ!」 「ナイス拘束なのじゃ!」
『ぬぅっ! この程度の拘束――』
「本体ッ、
『何をッ!?』
そして包み込むように拘束したことで、自動防御は一瞬ですが無効に。
分身体の尊い犠牲(いつもの)を無駄にしないように、半竜娘ちゃんの背部突起を紫電が駆け抜け、頭部口腔へとエネルギーが収束! 射線を合わせるために態勢を低く。
「角度よーし!
『―― もはやここまでか。だが、次はもっと
そして命中!
『グワーーッ! サヨナラ!!』 「グワーッ」
オーガタイクーン:
ついでに拘束していた半竜娘ちゃんの分身体も焼滅! アワレ!
オーガタイクーン:
その行く先には、なんと金剛石の騎士が!
「ッ!! なるほど、そういう、ことか!! 賢者、反射だ!」
しかし、その直前、輝く兜の奥の瞳で、半竜娘とアイコンタクト。
半竜娘の意図を正確に汲み取った金剛石の騎士は、その魔法の盾を掲げた。
「このコースと、配置は……! 完全に理解したのです!
賢者の魔法によって魔法反射を付与された盾により、金剛石の騎士は熱線を完全に反射。
このコースは!
『グワーッ!? ば、馬鹿な、この俺の【炎の
「隙アリ! ハァアアアッ!」 核撃の熱と光のうち熱を無効化して半減されたせいか、トドメに至らなかったものの、それをフォローするのが剣聖です。灼熱の中とて、肺に熱気が入らねば安泰じゃ。トドメの斬撃!
『ぐぅっ、む、無念――』
反射付与された盾で反射された
「これはっ! なるほどね!」
その先には、超勇者ちゃんの掲げる太陽の聖剣が!
「これもまた太陽の力!!」
【光の
素の能力値を上げて!
属性ナシの物理で殴れば良いのです!
―― オーガタイクーン:
「ちょうスゴーいスラーッシュ!」
『ば、馬鹿な!? グワーッ!?』
オーガタイクーンの『サヨナラッ!!』という辞世の句を聞きながら、今回はここまで!
それではまた次回!
ステータスを上げて物理で殴れ。
なお、オーガタイクーン三兄弟は、【巨人】の呪文による召喚体なので、本体は無事なうえ、アストラル影響である鬼神核捕食は普通に還元されてるので、オーガ領域で強化された上に、存命です。
次回は、ウィズボールの優勝の行方と銅等級昇格試験の結果についての予定です。
それが終われば、原作小説9巻の雪の魔女の洞窟編ですね。
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『ゴブリンスレイヤー』コミックス第11巻&
『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン』コミックス第7巻&
『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀≪ダイ・カタナ≫』コミックス第3巻、
2021年4月24日 同時発売!! 楽しみですね(ダイマ)。
『ゴブスレアニメBlu-ray Box 初回限定版』は2021/4/28発売!
そしてゴブスレTRPGのサプリ、通常版(2021年05月13日(木)発売)の予約も始まってます!
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