ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
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●前話:
―― 冬をより寒く、より長引かせようとする混沌の陰謀について一言。
半竜娘ちゃん「絶許」
※前話の時系列描写を修正して、『冬が長引いた』(=春先)ではなく、『例年以上に厳しい寒さの日々が続いている。このままでは冬が長引きかねない』(=晩冬)としました。また、質の悪い風邪が流行っていることにも言及するようにしました。
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今回は幕間のスキャット集で、会話文メイン回です。
1.国王陛下と枢機卿
ウィズボールの優勝チームが決まり、そこに乱入選手として参加した
そして翌日。
王城の、国王の執務室にて。
「
生活スペースから執務室にやってきた金獅子の国王を迎えたのは、額に青筋を浮かべた赤毛の枢機卿。
「む。さて、なんのことやら」
「陛下。誤魔化されませんよ。報告も受けています」
金獅子の国王がちらりと部屋の隅を見れば、銀髪の侍女がすました顔で存在感も薄く佇んでいた。
「ちょっとしたレクリエーションだろう。球戯神の加護ぞあれ、だ」
金獅子の国王が、枢機卿が抱える報告書の束を一瞥し、うんざりしたように鼻を鳴らしながらそう言った。
「
「伝来の鎧が
「それでもです。御身はもう既に、ただ一介の迷宮探索者である“
「はあ。わかっている、分かっているとも。まったく難儀なことだ」
「当然ですとも。一国の舵取りをしようというのですから」
「それならばもっと
「
「いや、楽しくウィズボールしておったところの目の前に勝手に降臨したのだ。不可抗力だぞ」
「…………そもそも城から抜け出さなければ巻き込まれなかったのでは?」
「いや! いや! あの場に居合わせねばきっと珠玉のごとき選手らに余計な被害が出ておったはずだぞ! それに優れた
「…………」
「……な、何とか言ったらどうだ」
赤毛の枢機卿は、深く深く溜息を吐きだすと、主君たる金獅子の国王に告げた。
「ともかく、無事のお帰り、まことに喜ばしく思います、陛下」
「うむ! 留守居役、大儀であった!」
<『1.赤毛の枢機卿「陛下もなー。せめてKOD's装備で出歩くにしても世継ぎを作ってからにしてくれよなー」』 了>
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2.蟲人僧正と交易神官長と森人探検家
ウィズボールの賭け金の精算所にて。
「お」
「あら?」
「なんでい、ここの運営は交易神殿かよ」
ばったり顔を合わせたのは10年前に≪死≫の迷宮を攻略した
「砂漠から出てきていらしたんですね。それで
―― ウィズボールの賭け札の運営を取り仕切っていた、かつては≪死≫の迷宮の近くに残った唯一の寺院で、修道女や修道士たちのとりまとめを行っていたという、今は都の交易神殿の神官長に出世した女性だ。
「喜ばしいことに神は俺に、世の中に金を巡らせよと仰せのようだ」
蟲人僧正は、自慢げに大顎を咬み合わせてガチガチ鳴らすと、当たり賭け札を器用に鈎爪で挟んで差し出した。
「これで、一家の船を幾つか新調できるぜ」
蟲人僧正は東の先の砂漠で
今回の儲けを、砂海を征く船に投資するつもりなのだろう。
「あら、あらあら。随分と手堅いのですねえ。六英雄ともあろうお方が」
もっとパァっと使わないのですか? と煽る交易神官長に、蟲人僧正はカチン、と顎を一鳴らし。
「もう俺も若くはない。そんな元気にはいかねえもンだ」
「ああ。蟲人は、
「要らん。蟲人の個々人は、群れという巨大な生物の細胞に過ぎず、個体の長命にいかほどの意味があろうよ。俺の後進も育っている。新陳代謝というわけだ」
「あら、そうですか。では
「ふん。ああ、
「ところであっちで呆けている
「ああ、彼女は臨時の手伝いですよ。なかなか
「―― 賭け札は大当たりか、大外れか。どちらにせよ、あの様子じゃ相当だろう」
「残念ながら彼女の賭け札は
「ほう、では大当たりの方か。おもしれえ」
「目端の利く娘のようですからきっとこれから有意義な投資をして、大いに世の中に風を回してくれることでしょう」
「あの森人の娘の様子だと、当たった金のうちから喜捨も弾むだろうしな」
「交易神の加護があったのでしょうから、当然ですね?」
「……そうだな」
「じぃ~」
「俺の分は、そもそも既に幾多も交易神の御許に積み立ててあンからな。今回は少しばかり預けた分を引き出しただけだ。せいぜい利子の分くらいだろう。―― そんな目で見たって無駄だぞ」
「……ケチな背教者ね!」
<『2.森人探検家「えへへへ。得点数も、ドローからの乱闘展開も、お互いの残り選手数も、最終的な勝敗も、全部全部当たっちゃった……。払い戻しすごいの、いっぱいいっぱいすごいの……。えへへへへ」』 了>
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3.オーガタイクーン三兄弟(覚醒済み)
「いやー、負けたなあ、兄者よ!」
ガハハハッと笑うのは、オーガタイクーン三兄弟の真ん中、
ここはオーガ領域の城の中、意識を彼方の召喚体まで飛ばす特製のポッド(※古代遺跡からの発掘品)から降りて、板間の上で、小姓の鬼に身体を拭かせている。……実は、試合の最中に会得した【炎の
「だが収穫はあった。朝敵の鬼神から権能を奪って弱体化させ、我らの体制はさらに堅牢となった」
周囲の光を歪めて、自らに目覚めた【光の
只人の都のコロシアムで行われたウィズボールでは不覚を取ったが、それは権能に目覚めたてで練度が不足していたためだ。
もし次も、あの勇者とかいう只人の暗殺者だか掃除屋だかに相まみえることがあれば、同じ結果にはさせない。と決意をする。―― 遭わないようにするのが一番だが。
「……兄者たちはよくもまあ、そう平静でいられるな! オレは
憤懣やるかたないという凶相を浮かべているのは、末弟の
因縁のある半竜娘に負けたことに憤っているのだ。
「―― 次は、勝つ!」
「弟者よ、勝ち負けに拘泥するな。我らはこれから、いまだ
オーガ領域の征服事業の方が重要だと諭す長兄、
「そうだぜえ? 只人の方に張らせた“草”の根も、きっとダメになっちまっただろうしなあ。しばらく只人の領域には手を出せねえ」
やれやれと首を振る次兄の
「
「ウィズボールも良い息抜きだったんだがな」
「違えねえ。政務だのなんだの、国をまとめるってのは大変だからな、息抜きしなきゃやってらんねえぜ」
ガハハと笑い合う長兄と次兄。
それを尻目に、着流しを身に着けて板の間を出ていこうとする末弟。
「む。早速鍛錬か?」 それを留めたのは長兄だ。
「……ああ、兄者。そうするつもりだ」
「ならば
「なんで俺が……」
「国を治めるのに必要だ。それにお前にとっても野分の核でも捕まえられれば、位階や技量も上がろうから悪い話ではないはずだが?」
「―― 仕方ねえな。分かったよ、一の兄者」
「そしたらオレも鍛錬のために、火山の一つでも調伏してくるかねえ。灰が降って仕方ねえって陳情が来てただろ?」
末弟に触発された次兄が、首を鳴らしながら立ち上がる。
「それは良い。
「大掃除ってわけだな!」
「雷電だの黒闇だの大浪だのの三大鬼神も、完全に滅んだわけではないだろうが、大いに弱体化したはずだ。この機を逃すわけにはいかん」
長兄は―― 未来の日光の大権現は―― 野心に目をぎらつかせてそう言った。
城の外を見れば、末弟が気晴らしに【風の
<『3.オーガ領域は鎖国傾向を強め、人の畜産について取り組み始めるという風の噂だ(参考:ミノタウロスの皿)』 了>
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4.魔女と半竜娘
火吹き山の闘技場の附属大図書館―― その打ち合わせ用の一室にて。
辺境最強の槍遣いの相棒たる魔女と、辺境最大の通り名もすっかり定着した半竜娘が仲良く研究ノートを広げていた。
会議室に設えられた白い大きな板―― 表面に触れるだけで線が引けるという魔道具だ―― には、様々な考察の断片が書き記されている。
「転移の呪文に、巻物の作成方法、他にもいろいろな高度な呪文の知識と魔道具の作り方、魔神の
「そ ね。それに、断片 的な 知識を、
けだるげにキセルを吹かそうとして、ここが禁煙区画だったことに気づいた魔女は、誤魔化すように指を振った。
半竜娘の口述を書き記し、また、疑問点を
この後に極上のエステが待ってるのでなければ、やっていられないところだ。
「じゃがおかげで、かなりのことが分かってきたのじゃ。特に巻物の製作は、きっと安定して行えるはずじゃ!」
「
「材料費と手間を考えたら、買った方が安いものもあるかもしれんがのう。触媒の関係でそこまで安価にはならんが、戦術の幅が広がるのは助かるのじゃ」
試作品の【
あのおかげで、投手は派手に呪文を使えたし、それによって何とか最終回まで同点で持ちこたえられたのだ。
いよいよ金に困れば、魔法の巻物を売って金策にしてもいいだろう。
「転移門の製作は、まだ難しそうじゃのう」
「研究が、必要 かし、ら」
古代においても便利に使われていた転移門の呪文―― 高度な呪文のわりに、巻物や魔道具が多く残っているのは、それだけ多く使われていたということだ―― は、まだまだ再現は難しそうだ。
どうにも、正気や呪文使用回数を削って転移門を置く方法は比較的簡単に再現できるようだが、さすがに代償が大きすぎる。
「あとは、
「【
「よく魔神が人に化けるアレじゃな。個人的には【分身】の方だけでも
エネルギーにあふれる【
彼女の身体はこれからも大きくなり続け、縮むことはない。
ただ、当然、街で暮らすには不便なことも多い。人の街は、竜が暮らせるようにはできていない。
「要練習、ね?」
「ふーむ、【
「仕組み が、少し、違う みたい」
「そのようじゃ。今の肉体を作り変えて
「それは、面白そう、ね」
<『4.なんだって? 魔女さん(本体)とロリ魔女ちゃん(分身)に迫られる槍遣い兄貴だと!? うらやまけしからんな!!』 了>
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5.忍びの者と、青年剣士と女武闘家と女魔法使いと少年魔術師と女圃人剣士
半竜娘が長引く冬をもたらさんとする混沌の陰謀に怒りを燃やしていたころ。
都の方でも、実りを司る地母神寺院や、暦に詳しい知識神の神殿が、冬の異変を察知していた。
それは地母神寺院に最近出入りするようになった王妹殿下を通じて王宮に奏上され、その異変の源を探るようにと、冒険者ギルドを通じて、凄腕の斥候に依頼が出された。
すなわち、あの伝説的な圃人の斥候、『忍びの者』が駆り出されたのだ。
折りしも彼はちょうど、原因があると目される雪山で、新米冒険者一党に稽古をつけてやっていたところだった。
「つーわけで、ちょっくら行ってくらア」
「「「「「 はーい…… 」」」」」
死屍累々、というありさまの新米冒険者たち――
女神官と同期の、ハチマキを巻いた青年剣士に、
黒髪をポニーテールにまとめた女武闘家、
赤髪に眼鏡で豊満な躰の女魔法使い、
その弟で学院を飛び級で卒業するほどの秀才である少年魔術師、
世界一の剣士を目指して圃人庄を飛び出した圃人剣士の少女、
―― 5人の一党は、圃人の老爺のしごきによってダウンしている。
倒れているのは冬山の洞窟の岩肌の上だが、そんなことに頓着できるような段階は過ぎている。
「さぼるんじゃねーぞー! わぁったな!」
「ひゃん!?」 「ちょっと!」
行きがけの駄賃に
なお、圃人剣士の少女には、セクハラはせずに頭を撫でるにとどまる模様。―― 贔屓では? え? 流石に子供に手を出したら犯罪? あ、そう……。
「…………師匠、行ったか?」
転がったまま口に出したのは青年剣士。
「たぶん……」
そして返事したのは女武闘家。普段なら尻を触る師匠の手を追い払うくらいはできるのだが、今日はその元気もない。いつもは何とかカバーリングしてくれようとする
「うぎぎぎぎ、ちくしょう、また全然掠りもしなかった」
意外と元気―― というよりも反骨心だけで立ち上がろうとしているのは少年魔術師。……まあ、姉がセクハラされていることへの憤りもあるのだろう。
「っていうか、なんで私まで斥候としての訓練をしなきゃいけないのよ……。いや、あのひと……人?、術にも造詣深いけど」
赤毛眼鏡の女魔法使いは、斥候術の有用性を認識しつつも、前衛後衛一緒くたに訓練を受けさせられている状況は不満なようだ。
一方でまた、年の功か、あるいは濃厚な実戦経験の賜物か、はたまたかつて白髭の大魔導士からいくらかの手ほどきを受けたことがあるのか、忍びの者は呪文の類にも熟達しており、女魔法使いの術師としての腕前も上がっているのだった。
「
圃人剣士の少女が何とか息を整えて言うところによれば、今回はやんごとなき筋からの依頼なのだとか。
なお、他のメンバーは知らないことだが、ある程度、王宮から依頼されている寒冷化現象の元凶の居場所探索に目星がついたら、そこまで全員で雪中行軍して道を覚えさせ、本命の
「「「「「 あれで性格さえ良けりゃあなぁ…… 」」」」」
新米冒険者ら一党5人はそろってため息をついた。
<『5.なお5人とも、忍びの者が自ら記した
マンチ師匠の元で強くなったハチマキの青年剣士君たち一党とも、もう一回カチ合わせたい。うんうん、なんだかんだで半竜娘ちゃんに土つけてるからね、雪辱しなきゃだよね?(戦わせられるか、いつものごとく予定は未定)
次こそ、原作小説9巻(リンク先には試し読みもあります)の雪の魔女編(あるいは祖竜の怒り編)へ突入です。
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各コミックス版には原作者のKUMO先生の書き下ろしSSが巻末にあるのですが、今回は、圃人剣士の少女ちゃんのオリジンが明らかになったり、イヤーワンで都から来た監査官(当SSでは麗人係官)さんが元は『≪死≫の迷宮』に潜ってた武道家だったことが明らかになったり、とても良かったです!
そしてゴブスレTRPGのサプリ、通常版(2021年05月13日(木)発売)ですけど、リンク先で試し読みが公開されてますね! 試し読みの範疇では、獣人や吸血鬼系PCについて詳しく書いてありますね! サンプルPCの武技にある、【七孔噴血】とか森人奥義【回転斬り】とか【紅蓮の嚆矢】とか【飯綱落とし】とか【魂魄破壊】とか気になりますねえ……。
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