ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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原作9巻編のプロットを修理できたので更新です。

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●【分身】の改訂について(補足)
分身と本体は、消耗・継戦カウンター・呪文使用回数を(おそらくは武技の使用回数も)共有するように改訂されています。分身を出すことにより手数が増えるメリットはありますが、分身と本体で一緒に罠にかかるなど外的要因で同時に消耗すると、本体が二人分消耗します。分身出しっぱなしのリスクが高くなったわけです。また、この裁定により分身を悪用して呪文使用回数を実質的に増やすことができなくなりました。……残念でもなく当然のナーフ。

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●前話:
かわいそうな闇竜娘ちゃん……。1年目の収穫祭といい今回の雪山でのことといい、結構ひどい目に遭っているのにどうしてそれでも本体と契約を結んだの?

闇竜娘(ダークドラコ)「死後に魂を喰い肉体を奪う契約をしたのだ!」

半竜娘「~~~♪ ~~♪」(目反らし口笛) ← 万年は生きて終いには祖竜の列に連なるつもりの死ぬ気がさらさらない女

闇竜娘(ダークドラコ)「グギギギギ。まあこれからコイツが倒す魔神の魂も(オレ)がいただく契約だ。契約維持用の供物も別途つけてるから契約期間が長続きしても(オレ)も損はしないのだ」 ← 今より力をつけて何とか契約の抜け穴をついて最もいいタイミングで裏切るつもりの女


魔神との契約に1日かかるとされているのは、契約の抜け漏れを精査するために必要な時間でもあると思われます。でもむしろそれって一日で足りるのか……?

あ、前話に闇竜娘(Lv8デーモン化)ちゃんの挿絵を加えています。毎度のことですが「Picrew」というサイトで作成させていただきました、着せ替えツールの作者様に感謝!
 


35/n 裏-3(幕間:ゴブスレさん、女神官ちゃん)

 

1.そのころゴブスレさん

 

 牧場主からの依頼を受けて食料を山村へ届けに街を出たゴブリンスレイヤー。

 その道中では馬車ごと小鬼に襲われたが、馬車馬として借りてきていた麒麟竜馬の馬力と戦闘力によって危地を離脱。

 積み荷の食料も損なうことなく、同行していた牛飼娘に傷一つつけることもなく、無事に届け先の村に辿り着いた。

 

 というわけで。

 

「ゴブリンだ」

 

「……そう言うと思ったよぉ」

 

 村で貸してもらった滞在用の空き部屋。

 いつもと違う環境でちょっとドキドキ。

 “よそ行き”を着てきて良かった―― とか思っていた牛飼娘だったが。

 

 まあゴブリンスレイヤーにとってはそれよりもゴブリンが一大事なわけで。

 それゆえ彼は“ゴブリンスレイヤー”などと呼ばれているわけで。

 

「(いやまあ分かるよ? 放っておいたら村が襲われるかもしれないし。分かるけど――)」

 

 ゴブリン退治と私とどっちが大事なの、なんてことは絶対に訊かないが―― それはどっちが、という問題ではないのだ。彼にとっては。どっちも大事だからこそ、ゴブリンを殺すのだ。手の届く範囲の平穏を守るために―― そこは複雑な乙女心というものだ。

 彼の邪魔をすることは本意ではない、と牛飼娘は自分に言い聞かせた。

 

「群れの規模が大きい。帰りにゴブリンに襲われないようにも群れを潰すつもりだ」

 

「うん、狼に乗ってたよね」

 

「狼ではなく悪魔犬(ワーグ)だろう。先祖返りだ」*1

 

「そうなの?」

 

「ああ、おそらくあのゴブリンどもは、何かしら別の怪物の支配下にある群れだろう。だがまずは村の安全確保のためにも、近隣から潰す。どちらにせよ今日中に一度は戻ってくるつもりだが」

 

「……“だが”?」

 

「3日戻らなければ、先に帰れ」

 

「…………」

 

「あの鱗の馬たちは賢いし強い。全力で走らせれば、悪魔犬(ワーグ)の脚にも勝つ。問題ないだろう」

 

「……うん。でも、待ってるから、ね」

 

 牛飼娘は、去年の誕生日にゴブリンスレイヤーから贈られた金の鎖と紅い宝石の火の加護がある首飾り(レッドネックレス)に指を這わせた。

 

「待ってるから」

 

「そうか」

 

「帰ってきてね。絶対、絶対だよ?」

 

「……約束はできない」

 

 ゴブリン退治は命がけだ。

 下手に気休めを言わないのは、彼の誠実さの現れでもあるのだろうが……。

 

「もう、まったく君は。そこは “いつもの仕事だ。無事に戻る。約束する” って言うもんだよ」

 

「ゴブリン退治に、絶対はない」

 

 そう言って、外套を纏ったゴブリンスレイヤーは扉に手を掛けた。

 

 

「だが、負けるつもりもない。―― 俺はゴブリンスレイヤーだからな

 

 

<『1.ゴブスレさんの雪山ゴブリン退治RTA、はーじまーるよー』 了>

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

2.そのころ女神官ちゃんたち

 

 

「うー、さむぃいい。至高神様ぁ。“北の頂に至れ” って託宣(ハンドアウト)がざっくりしすぎですよぉ」

 

 ついこのあいだ黒曜等級に上がった見習聖女が天秤剣を杖代わりに雪に挿し、“どこまで登ればいいんですかぁ” と弱音を吐いた。

 駆け出しにありがちな金欠で欠食児童な彼女には、冬の雪山登山はつらいものがある。

 そもそも身体に蓄積できている熱量(カロリー)が少ないのだ。

 

「もう少ししたら休憩しましょうか」

 

 そんな様子を見た女神官がくすりと笑って小休止を提案する。

 この後どんな試練が待っているかわからないが、至高神の課す試練は難物ばかりだという。

 道中の消耗は抑えるべきだろう。

 

「はぁーい……」

 

 疲れが見える見習聖女に、雪山歩きの蘊蓄を開陳する女神官。

 女神官も冒険者2年目だが、昨年は雪山の小鬼聖戦軍(ゴブリンクルセイダー)との戦いを経験するなど、経験は豊富だ。

 一部の口さがないものからは “銀等級に寄生している” などと揶揄されるが、すぐにそんな外野の声は払拭されるだろうと、女神官と同じ一党である妖精弓手らは考えている。

 

「あの子ももうすっかり駆け出しは卒業ね! 只人の成長って早いわよねー」

「まったく成長せん金床もおるがな」

「あぁら、そういうドワーフは横にしか成長しないんでしょう? まんまるだから気を付けないと転がって雪玉になっちゃうわ」

「おおそうかい、そりゃ気をつけんとな。長耳から氷柱(つらら)垂らしそうなやつが言うと説得力があるのう」

 

 いつものじゃれ(煽り)合いを始める妖精弓手と鉱人道士。

 これもこの一党の風物詩だ。

 

「あの、アレ止めなくていいんスか」

「ふぅむ。やりすぎない限りは、放っておいてよいでしょうや。いつものこと、いつものこと」

「まじスか……」

「あれでもお互いに銀等級。一党を組んで長いですから、加減は分かっておりましょう」

 

 新米(棍棒)戦士がこの一党の “いつものノリ” についていけずに蜥蜴僧侶に助けを求める。

 しかし蜥蜴僧侶の返事は無常なるもの。

 

「ま、拙僧としては今回は凍えたりせず爪爪牙尾を十全に振るえそうで、楽しみですな」

「あー、蜥蜴人って寒いの苦手ですっけ。確かにその羽毛は暖かそうッスね」

「然り然り。あとは強き敵が居て、善き功徳が積めるとよいのですが」

「それは勘弁して欲しいッスよ……そんな強敵が出たらこっちは死んじまう!」

「そのための今回の合同冒険でしょうや。冒険者とはこれすなわち、助け合いですからなあ」

 

 蜥蜴僧侶は半竜娘からもらった『換羽のポーション』の効果で自前の羽毛に包まれている。

 加えて《呼気(ブリージング)》の魔法が込められた指輪により冷気を緩和している。

 これなら雪山でもフルスペックで活動可能だろう。

 

 

 

「……あちらが休憩にちょうど良さそうです。もう少しですよ!」

 

「はーい!」 「よしっ、あとひと踏ん張りだ」

 

 女神官の指揮に反応して、見習聖女と新米(棍棒)剣士が元気を振り絞って返事をした。

 

 

 …………。

 ……。

 

 

 風よけにもなり、雪崩からも守られるような場所で、間違っても雪庇(せっぴ)の上などではない安定した場所。

 小休止のために選ばれたのは、比較的大きな岩の陰だ。

 

 そこで火を焚き、装具を緩め、凍傷にならないように手先や足先を揉み解し、消費した熱量(カロリー)を補うために行動食を摂る。

 ただ漫然と休むだけではなく、意図的に身体のご機嫌を取ってやる必要があるのだ。

 

「わ、この焼き菓子美味しいです!」 顔をほころばせる見習聖女。

 

「でしょう? エルフの秘伝の焼き菓子なんだから。鉱人の酒なんかより断然こっちよねー」

 

「何を言うか金床エルフめ。寒い冬といえば、鉱人の火の酒に決まっておろうが」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「んん?」

 

 和気藹々(わきあいあい)と休憩をとっていたところに、違和感を覚えた女神官。

 ここに居るのは、自分(女神官)と、見習聖女・新米剣士、妖精弓手・鉱人道士・蜥蜴僧侶の6人のはず。

 いつのまにか、7人居る!?

 

「えっ、あれ!? あなたは――ッ?」

 

 即座に戦闘態勢に移行した妖精弓手ら銀等級と、手近にあった煮え湯入りの小鍋を構えた(小鬼殺し譲りの戦場闘法の)女神官。

 そして、戸惑うばかりの見習聖女と新米剣士(黒曜等級)

 

「あ。どうも」

 

 その隣にいたのは、二足歩行の兎―― 獣人である兎人(ササカ)だ。

 長い兎耳、小柄な体躯。山刀を差しているところを見るに猟師だろうか。

 敵意がなかったとはいえ、ここまで接近を許すとは、隠形の腕は良いようだ。あるいはそれは雪山という環境によるものかもしれないし、斥候かつ常在戦場の小鬼殺しが不在の故か。

 

 そして兎人の顔をよく見てみれば、随分と若いように見える。

 見習聖女らと同じくらいだろうか。

 

「その天秤剣……至高神の御使い様でしょう? ぜひぜひぼくらの村にいらしてくださいな」

 

 ひょっこりと現れた兎人の若い猟師―― 兎人猟兵―― は、見習聖女の天秤剣に視線をやって、邪気もなく敵意もなく招待を口にした。*2

 

 ……そのすぐ後に、エルフの焼き菓子を “そんなことよりお腹がすいたよ” とばかりに凝視し始めたのはどうにも締まらなかったが。

 

<『2.クエスト “北の頂に至れ(仮)” が “兎人の村を救え!” に更新されました。』 了>

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

3.黒幕さん

 

 北の霊峰の(いただき)

 そこは極寒の地であり、氷の神の領域だ。

 氷の神、またの名を、霜の巨人。

 

 はるか昔に実在した、神々の遊戯の時代の、神々ならぬ身であるが超越的な実力者たちだ。

 その血脈は零落したものの、雪男らのような巨人の中にいまも息づいているという。

 

「霜の巨人の娘よ! 藁の上の死を司る冥府の女主人(ヘル)よ! 汝の領域へ捧げる魂に、寒さと飢えと(やまい)を与えたまえ!」

 

 その霜の巨人の領域で、なんらかの儀式をしている人影があった。

 ごうごうと吹き荒れる吹雪に負けぬほどの声で、それは叫んでいる。

 

 冬用の装具の隙間から見える肌は黒く闇色で、びょうと吹いた山風がフードを剝がした下から現れたのは笹葉のような長い耳。

 闇人(ダークエルフ)。魔神王の軍勢の残党であった。

 

 氷の神に捧げる儀式を行い、冬を長引かせ。

 この山に封じられていた吸血鬼(氷の魔女)の封を解いて雪男を統率させて、さらに春を遠ざけるように “穢して加護を反転させた『春呼びの太鼓』” を与え。

 山から吹き下ろされる北風に乗せて、呪われた病を振りまき、広く薄く、儀式のための犠牲を積み上げる。

 

冥府の女主人(ヘル)よ! 生きながらに死する偉大なるものよ! 生けるもの全てに名誉無き死を与えよ! 汝の前にあっては、戦士は戦うことなく病に倒れ、未来ある幼子は飢えて痩せ、知恵を蓄えた賢人は寒さに凍え、藁の上で死に絶えるのだ!」

 

 邪悪な企みは進んでいる。

 あと数日もしないうちに、冥府の女主人(ヘル)の坐す冥府(ヘルヘイム)への道が完全に開くだろう。

 

冥府の女主人(ヘル)よ!」

 

 だが心せよ。

 

 魔神王ですら志半ばに倒れたのは何故(なにゆえ)か。

 

 世が混沌に染まり切っていないのは何故(なにゆえ)か。

 

 ―― 冒険者たちの足音は、すぐそこまで迫っている。

 

 

<『3.忍びの者は山頂までの道をつけ終わり、勇者は出撃を待っている。冒険者たちは託宣によって集結しつつある。祈らぬものよ、陰謀(シナリオ)山場(クライマックス)に備えよ』 了>

 

*1
悪魔犬(ワーグ):体長(頭から尻までの頭胴長)が2mもある巨大な犬。悪魔めいた顔つき。なお、ゴブスレさんは怪物知識判定に失敗している(=ゴブリンではなかった)ので悪魔犬(ワーグ)(怪物カテゴリ:動植物。でっかい狼)だと思っているが、実は怪物カテゴリ:デーモンである魔犬(ヘルハウンド)(=炎のブレスを吐けるやつ。下級の魔神)も何匹か混ざっていた模様。

*2
兎人猟兵:半竜娘たちが助けた兎人の猟師の子供。なお現時点では父である兎人猟師が生きていることは知らない。むしろ帰りが遅いし、雪男たちの洞窟の方でなんかすごい音(半竜娘の分身の着弾音)がしていたので死んだものだと思っている。ただ、その後、雪男の襲撃がほぼ止んだので、立派に役目を果たした誇らしい父だとも思っている。ただ冬が続けば食料が足りなくなるのと、雪男に喰われてない分村の食い扶持も減ってないのでますます食料の残りがヤバい。兎人は常に何か食ってないと死ぬので。




 
原作小説9巻の魔神王軍残党の陰謀の詳細は良く分からない(ダークエルフが暗躍してオーガジェネラル弟(一次請け)と氷の魔女(二次請け)と雪男(三次請け)を従えてるっぽいですが、策が成る前に超勇者ちゃんが吹っ飛ばした)ので、わりと捏造してます。

次こそ腐竜(ドラゴリッチ)リベンジ!

※一党のほかの面々の成長概要
森人探検家「魂の16連射!」(指先で西瓜を爆散させる特訓を課された。そのほか弓系武技の習得)
TS圃人斥候「変移抜刀霞斬り!」(矢面に立たないように補助系武技を鍛える途中で、高速移動と背に隠した剣による一撃必殺を軸にした構築に矯正された)
文庫神官「盾打ち(シールドバッシュ)! 盾打ち(シールドバッシュ)! 盾打ち(シールドバッシュ)!」(知識神から【使徒】(白梟。獣人態 有)を下賜された。あとひたすらシールドバッシュ(ぶつかりげいこ)

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そして投稿初めて1周年! 話数も123で並びがいいですね。
ご評価ご感想他、応援をいつも皆様ありがとうございます! 今後ともよろしくお願いいたします!
 
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