ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
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●前話
呪文を使って順々に情報抜いて敵に迫ってフュージョンブラストブレス!
※情報を辿られないようにするためには、途中に、他の都市へ去る流れ者を挟むのが吉。伝言役を迂闊に殺すと【
はいどーも!
前回は混血を蔑む噂を流して社会戦を仕掛けてきた闇人を成敗して光に還元したところまでですね。
シティアドとは……?
ままええわ。
さて、放射熱線により白粉の闇人と、その先のモンスターハウスの出入り口付近にいた魔獣やらなんやらを撃破しています。
とはいえ、モンスターハウスの中には、まだ魔獣や魔神がひしめいており、遺跡のセキュリティロックが開けられたことにより非活性状態から、活性状態へと移行しつつあるようです。
でもそんなの関係ねー!
狭い部屋にモンスターが蠢いていて、出入り口は一つ。しかも不意討ち成功となれば、やることは一つ!
「うむ。まずは【
「はい、お姉さま! 蝋燭の番人よ、暗闇に呑まれぬよう、我らの灯をどうかお守りください! ―― 【
下水通路の暗がりに潜んでいた一党の仲間たち。
彼女らは半竜娘の呼びかけに従って姿を現し、加勢します。
まずは文庫神官。
半竜娘に頼まれたとおり、【
司教杖を片手に盾を構え、気合を入れて半透明の輝く壁を顕現させます。
「
「うむ。次に毒気!」
「あいよー」
【
動き出したモンスターハウス内の魔獣たちが、出入り口のこちら側へ襲い掛かろうと殺到しますが、その全てをシャットアウト。
しかし、こちらからの攻撃は通すのですから、まさに神の
「もしアンデッドが居たらそいつにゃ効かねーだろうけど、割と結構キツイ毒だぜー。たーんと吸いな!」
『『『 GGUURRUUAA!!!?? 』』』
同じく暗がりから現れたTS圃人斥候が、次々と毒煙玉を投げ込みます。
毒気で消耗させるとともに、視界を奪うことで、敵に魔術の狙いを絞らせないという作戦です。
『GGGRRAA!!』 『RUUUAA!!』 『OOOAAA‼‼』
「無駄です! 知識神様の【
苦し紛れの稲妻や火焔が文庫神官が請願した
「ではいましばらく維持を頼むのじゃ!」
「となれば後は私の出番ってわけね」
一党の中で最後に現れたのは、大弓に矢を番えた森人探検家でした。
視界は毒煙で覆われていますが、実は “奇跡の島” 以降、こういった視覚が奪われるような事態に備えて【魔法知覚】を習熟段階まで鍛えていたのです。
これはマナを薄く放出して周囲を知覚する技能で、リッチーのような魔法に長けた敵の感知に引っかかりやすくなるのと引き換えに、周囲の情報をたとえ壁越しでも視覚によらず探知できるのです。
あと【暗視】技能も少し鍛えました。やはり弓兵たるもの、知覚能力に秀でてなければ、ですからね。
さて、そして、【
「武技【
文庫神官の盾の後ろから宙返りするように飛び出し、達人級の【速射】により空中で6連射!
煙の中でも関係なく、一気に6体の敵を貫きます!
『GGGAAOOW??!!』 『GGIIYAA!?』 『AAAHH??‼‼』
「安全地帯からの一方的な攻撃! これに勝る戦術なしッ!」
「うむ。とはいえ敵にも【
そのようにもっともなことを言った半竜娘は、虚空から何かを
『ゆっ?』
「空間爆破じゃっ! 堕魂の竜鱗・生首饅頭・この世の外から来たもの二つッ!
『
敵を一掃するにはこの手に限るぜ!
契約精霊であるティーアースの破片を媒介として投げ込み、精霊術【
―――― KABOOOOOMMM‼‼
異次元からの
衝撃波を食らった怪物たちの四肢が
そうでなくとも衝撃波で吹き飛んだ怪物たちは、他の怪物にぶつかって被害を拡大させています。
「おっ、同士討ちも始まったみてーだな」
「まあ寝起きに訳も分からず毒気投げ込まれて、呪文や弓矢で攻撃されたところに、隣の奴が吹っ飛んできたら、体当たりで攻撃されたと思って不思議じゃないわ」
「……お姉さまの
闇竜娘ちゃんのアシストがあったか定かでないですが、モンスターハウスの中は大混乱です!
「うむ。あとは弓矢と投石で潰せばよいな」
「リーダーとエルフパイセンはマナ飛ばして標的の位置を知覚できるだろーけど、オイラは無理だぜ?」
「あんたも習得すればいいのに。便利よ?」
「オン・オフ効かねーんだろ? 魔導波長で見つかっちまうから斥候と並立できねーよ」
「じゃったら斥候のお主は後方・周辺の警戒じゃ。あと煙幕が薄れたらまた毒煙幕弾を投げこんで欲しいのじゃ」
「あいあーい、まぁむ」
というわけで、文庫神官が【
この差配で攻撃を繰り返すうちに、モンスターハウスの殲滅は完了しました。
「うむ。動くものはもう無さそうじゃの。……とはいえ、毒気が薄れねば中には入れぬか……」
「こんなことで【
火焔と毒に完全耐性を与える祖竜術【竜命】が付与されたポーションを飲めば、毒気の中でもへいちゃらですが、いまそこまでして確認する必要もないでしょう。
魔法知覚にも生きているものは捉えられません。
「あとから配下の子たちに確認させればいいでしょ? 疲れたし帰りましょ」
森人探検家は弓弦を引き疲れたのか、手指をプラプラさせて筋をほぐしています。
気だるげなのも無理はなく、メイン火力を張って武技も使っていたため、消耗が嵩んでいます。
「ついでにこの件の報告も代理でさせれば良いと思いますよー。ちょうどいい実績になりますし、中に転がってる怪物の素材を譲ってあげれば文句もないでしょう」
文庫神官はもはや昇級にもそこまで
実は、人の使い方という面では、騎士家出身であるこの娘もそこそこの知見を持っているのかもしれません。
「ふむ。ではそうするかの。他の
「所詮、警戒の目を潜って街の地下に持ち込めるモンスターの程度なんてたかが知れてますし、場所も分散しているというなら、その駆除も含めて部下の人たちに任せればいいと思いますよー」
【
……しかし手下に任せるといっても、半竜娘ちゃん一行にとっては大したことない敵でも、駆け出しとか万年黒曜級とかには、荷が重いのではないでしょうか?
まあきっと、ポーションだのの消耗品はたっぷり付けて(出世払い)から送り出してあげるんでしょう。
であれば、そうそう危険もないのかも知れませんね。
「そーそ。後始末は他に任せてさっさと帰ろうぜ」 TS圃人斥候がランタンを掲げて帰り道を先導し始めます。「流れた噂の火消しに、“一連の噂は混沌の策略の一部だった。デマの片棒担いだ奴は大間抜け” とかっていう感じでカウンターの噂を流すんだろ? その手配も要るしな」
「それにまだ本命が残ってるしねえ。向こうにとってもこんな社会戦なんて、うまく行けば儲けもの程度の撹乱でしょうし」
森人探検家がうんざりして長耳を下げました。
実際、噂の当事者にとってはたまったものではないですが、策謀の全体からすれば、所詮はその程度の重要度なのでしょう。
魔神の襲来に
「だからといって放置しても何の得にもならんのじゃ。傷つく者が居るのであれば、
「別に大したことないから放置しろなんて言ってないわよー、だ」
これで結構、神官仲間として地母神寺院のことを気にしていた森人探検家が、アヒル
っていうか、半竜娘は今更そんなまともそうなことを言っても、私怨バリバリだったのは一党の皆には周知のことですからね。
「ごほん。ま、今日はこのくらいで良かろうさ。下らん噂を流しておった元凶は生命の輪環に帰したし、幾分気も晴れたのじゃ。露払いや雑用は下に任せて、手前らは本命の方に備えるとするかの」
半竜娘は片目を閉じると、
陰謀の全容を知れたと過信するのは禁物ですが、敵のおおよその絵図面は見えてきました。
それによると、やはり狙いは地母神寺院。
豊穣を祈る際に捧げる
そのために混沌側は幾つもの策略を巡らせており―― しかし、実力行使も忘れてはいないのです。
やはり暴力。暴力は全てを解決する―― それは
▼△▼△▼
手下に加えた冒険者たちに、辺境の街の地下遺跡の
―― その後、コトがコトだけにギルドからは詳細を聞き出すためにと召喚されたので、結局二度手間になったり。
手下の中で見込みのあるパーティは、これらの功績でサクッと白磁から黒曜に上がったりして。
少しずつ、少しずつ、まあ混沌側には逆剥けを千切る程度の痛痒しか与えられていないかもしれませんが、順調に敵側の策は叩けています。
そうして末端を叩いていけば、痺れを切らした敵は本命の最終手段に出るはずです。
そして残る本命の手管はやはり、実力行使となるわけで。
例えば、寺院の葡萄園を狙った襲撃。
地下墓所から地母神寺院への直接浸透。
地脈を押さえる塚山の地下で行うという呪いと穢れの儀式。
それら同時多発的な襲撃の計画は、しかし半竜娘が白粉の闇人から吸い上げた知識を基にした報告や、小鬼殺しが雇った
「…………星辰の並びから、敵が行う穢れの儀式の日もある程度特定可能なのじゃな?」
半竜娘ちゃんたちは、冒険者ギルドのテーブルを借りて情報の整理をしています。
ちなみに幼竜娘三姉妹は、『『『 地母神寺院を守るんだ! 』』』と気合を入れて、妖精弓手・鉱人道士・蜥蜴僧侶が請け負っている寺院と葡萄園のパトロールに加わっていますので、今は居ません。
闇竜娘は封具の中に隠れ、白梟使徒は梟形態で文庫神官の頭の上に乗っています。
「はい、お姉さま。星読みは知識神の文庫の得意とするところ。今回の件、水の都の法の神殿とも協力して当たっているとのこと。確度は高いかと」
「なるほどなのじゃ。いくら何でも星の動きは変えられぬ。となれば、敵の儀式の期日は動くまい……。一方で、敵も情報が抜かれておることには気づいておるはず……さて、それがどう出るか……じゃな」
早摘みの葡萄もそろそろ摘み時です。
星読みの結果から導かれた襲撃時期も、間近に迫ってきています。
「わたしだったら、敵に計画がバレてる前提なら、バレてる部分は陽動として割り切るわね」
「つまり闇人から吸い上げた襲撃計画以外にも、更なる予備プランを準備する、というわけじゃな。バレた部分を隠れ蓑に」
「そういうこと。地脈を押さえる儀式場として塚山が挙がってるなら、それとは別に水脈を押さえるって意味で川の近くも怪しいかもしれないわ?」
森人探検家の言う通り。
混沌勢力側が何もせず、手を
何らかの対処をしているとみるべきです。
「単純に戦力を増強してるってーのも考えられるだろ。力押しは奴らの得意技だぜ」
「可能性はありますね。未踏遺跡に封印されていた何かを解放して即席の手駒にするとか……」
「生贄積んで魔神召喚、ってーのも考えられるか?」
「行方不明者がいないかとか、調べた方が良いかもですね」
TS圃人斥候の指摘に、文庫神官が応じます。
予備プランにしても、戦力増強にしても、どこからかリソースの補充は必要なはず。
混沌勢力だって、リソースは有限のはずなので、足りないものは他所から持って来るしかないわけです。
例えばそれは未発見の遺跡だとかに封じられた呪物であったりとか。もちろん、そう都合よく戦力になるものが転がっているとも限りませんが……。
「では
何かしらの動きがあるのであれば、その痕跡があるはずです。
しかし一方で、 『
その格言に
▼△▼△▼
どことも知れない暗闇の中。
立派なひげを蓄え片目だけが大きな神経質そうな鉱人と、
「……これが注文の品。名付けて『闇の葡萄』じゃ。しかと頼むぞ」
「普通の葡萄にしか見えんな。注文通りだ。さすが博士だ」
「
鉱人博士が木箱の蓋をずらしたところ、中から現れたのは、熟する前の早摘みの葡萄そのもののようでした。
爽やかな、かすかに甘い、青みが残る葡萄の香りが広がります。
ブツを
「触って確かめたりはせんのか?」
「その手には乗らん。葡萄の皮についたものが重要なのだろう? 俺が触ったら台無しになったとか言ってもう一つ余計に売りつけるつもりだろうが」
「なんじゃ、バレておったか」
「博士の
白粉を塗った闇人は金貨袋を鉱人博士に手渡すと、『闇の葡萄』が詰まった箱を背負子に乗せて固定します。
「念のために使い方と注意事項を聞いておく」
「用心深いことじゃな」
「普通のことだ。間違った使い方をすれば爆発したりするからな。そうでなくても爆発するものはありふれているが、かといって説明を聞かないと確実に爆発する」*2
「それは闇人の都だけじゃろ。まあええ、説明するわい」
ごほん。と咳払いして、鉱人博士は『闇の葡萄』の使い方の説明をします。
「まずこの『闇の葡萄』は、できるだけ静かに、バレにくいように、地母神様の葡萄酒を作り変えることを目的としておる。これは注文通りじゃな」
「うむ。時間がかかってもいいからバレないように儀式を妨害するために、
「そのために、この『闇の葡萄』―― 正確には、この葡萄に付着させた特殊な酵母……まあ、甘みを酒精に変える目に見えぬほどの小さなものじゃが、その酵母を、非常に特殊なものに変えておる」
「ほう」
「具体的には、酒精を木精に変える作用がある。これは鉱人や酒造神の加護のある神官にはなんともないが、只人には毒じゃ」*3
酒精とはエタノールのことで、木精とはメタノールのことです。
メタノールはメチルアルコールとも言い、体内に入ると特に網膜に多く含有される酵素によってギ酸にまで分解されてその周辺にダメージを与え、やがて失明させることから『
「酒精を木精に、か」
「そうじゃ。この『闇の葡萄』というネーミングもそこから来ておる。失明させて闇をもたらす、ゆえに『闇の葡萄』じゃ」
「鉱人にしては洒落た名づけだ」
「いや、弟子のセンスじゃ」
「なるほど」
アッサリ納得した闇人に思うところはあるものの、鉱人博士は説明を続けます。
「……続けるぞ? この『闇の葡萄』を、普通の葡萄に混ぜて酒を造ることで、その酒の酒精は熟成するにつれて木精へと変化するのじゃ」
「それを飲んだらどうなる?」
「まあ飲むときの薄め具合によるが、結構な人数が死ぬじゃろうな。そうでなくとも目をやられるじゃろう。軽い症状としては、悪酔い、嘔吐、下痢などじゃな」
「くくっ。そうなれば、地母神の葡萄酒の名は地に落ち、収穫の祭事どころではなくなるな。秋が楽しみだ」
ブランドが地に落ちるのは一瞬ですからね……。
「まあのう。神殿の御神酒で死人が出たとなれば、民心も離れようしのう。あとは樽や酒蔵にうまいこと改造酵母が居着けば、なお良しじゃな」
「長期戦の布石になるな。それで、これはただ普通の葡萄の収穫籠にでも紛れ込ませればいいのか?」
「基本はそうじゃ」
「なんだ。では俺が葡萄に触っても効果が失われはしなかったんじゃないか」
自分の用心が杞憂であったことに、白粉の闇人はかすかな苛立ちを込めた視線を送りました。
しかしそんな様子は無視して、鉱人博士は説明を続けます。
「おすすめはせんぞ? できれば『闇の葡萄』は葡萄以外のものには触れさせぬ方が良い。木箱には【
「承知した。注意事項は以上か?」
「以上じゃ。まあ、酒にせん限りは普通の葡萄じゃしな。魔法が掛かっておるわけでも呪いが掛かっておるわけでもない」
「それこそがまさに求めるものだ」
一見して何でもない品であることこそが、重要なのです。
そうであるならば、出来上がった地母神の御神酒が
「いい取引じゃった」
「ああ、こちらこそ」
「……そういえば、弟だか兄だか、最初に来ておったのは元気か?」
鉱人博士の言葉に、去りかけていた白粉の闇人は足を止めました。
「……俺が別人だと……成りすましに気づいていたか。いかにも、最初にそちらとやり取りしていたのは不肖の弟だ。本件の発注以降は俺に代わったがな」
「ほう、やはりか。ま、深くは聞かんが、もし生きておるようならよろしく伝えておいてくれ」
「ふん。隠すことではないから言うが、弟は核撃の青い熱線で影も残らず焼き尽くされて死んだ」
「……そうか」
さして気にもせず弟の末路を口にした白粉の闇人(兄)は、『闇の葡萄』の入った【保存】の木箱を背負って去っていきます。
「なぁに。不肖の弟が死んだとて、この俺は上手くやるさ。俺がダメでも次の闇人が、次の次の闇人が、きっと上手くやる。そういうものだ」
それが、闇人たちが言うところの “『秩序』という名の壊れかけの幻想” を、“在るべき天然自然の姿……すなわち『混沌』” に修理する修理人―― トラブルシューターと呼ばれる混沌の尖兵としての信念なのです。*4
混沌側のマスターシーンを挟んで、今回はここまで!
ではまた次回!
鉱人博士はオリキャラです。特に今後の出番はない予定ですけれど、敵側でビックリドッキリギミックが必要になったらまた出すかもしれません。
なおメチルアルコール化した御神酒なんてドワーフくらいしか飲めないので、もし作戦が成功したら、メチル御神酒は博士が自分でごっそり回収して飲むつもりでいるとか。
Q:酵母の力でエタノールからメタノールっていったいどういう反応させてるの?
A:魔法的なあれとかこれとかでチューンされたスーパー凄い酵母が頑張るんです、きっと。ふわっとしてます。『闇の葡萄』自体が単なるマクガフィンでしかないので、なんとなくの雰囲気でお願いします……。
次回か、幕間入れて次々回は『闇の葡萄』を巡る争奪戦……になるはず?
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