ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
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●前話
御神酒を作るときに、
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今回は舎弟になった元新人冒険者視点などです。
1.本格派森人料理を出す酒場(買収済み)
半竜娘が買い取った酒場の一つ。
通りから外れた奥まったところにある隠れ家風と言えば当世風だが、まあ、商売っ気の感じられない店だ。
もとは森人の店主が本格的な森人料理を出す店で、それが経営難に陥っていたところを、半竜娘が買収して徒党の冒険者向けの酒場にしたのだという。
外装はそのころから変わっていない。
「あっ、店長! また蟲を仕入れたんですか!?」
「い、いやね? だって、時々頼んでいく
「森人の方たちは来店間隔が不規則すぎて予想できないじゃないですか。そのせいで潰れかけてたんでしょう!?」
「つ、潰れかけてたっていうなよぅ。家賃だとか税金だとか、そういう訳の分からないものが多すぎるんだよぅ」
―――― いつの間にかお金なくなっちゃう……お金が生えてこないのどうして……? どうして……?
などと言っているのは、この酒場の元の経営者で、今は雇われ店長の森人だ。
まー、コンセプトとしては悪くない。誰しも故郷の味からは離れられないのだから、森人向けの専門店というのは着眼点としては良いだろう。
ただ、森人の『たまに食べたくなる』の頻度は普通に数か月や数年単位だったことと、都市に住む森人が少ないことが重なって、まあ、経営は悪化の一途をたどっていたのだ。残当。
それで、借金のカタに森人店長が女衒に連れられて行くまで秒読みというところで、森人探検家の伝手で買収が決まったという形だ。
「……まあ、最近はちょくちょく
「だ、だよね!? 特に今回の黄金芋虫はかなり上物で、きっと姫様のお口にも――」
「でも! 次は仕入れる前に相談してくださいね! お願いしますよ、店長!」
はぁ。と溜息を吐いたのは、女給用の制服に身を包んだ只人の少女だ。
彼女は、半竜娘が組織した徒党に組み込まれた一党に所属していたが、もともと冒険者になりたくてなったわけでもなかったため、さっさとドロップアウトしたのだ。
半竜娘が率いる徒党に所属するようになったのも、一党の一人が混血関係の陰口を広めていたことが切っ掛けで巻き添えを食らっただけで、この只人女給が何かしたわけでもない。
切った張ったせずに安定した御給金がもらえて―― なんなら月の手取りは黒曜等級の冒険者より上だ―― 銀等級冒険者である半竜娘の庇護ももらえるなら、断然こちらの方が良い。
徒党のメンツが受けている座学も受けられるし、それで文字や計算も覚えられた。徒党の傘下に入っていれば、様々な恩恵がある。将来的には徒党の中でもデキル冒険者を捕まえて結婚するのもいいだろうし、この酒場の女将を狙ってもいいだろう。
只人女給はそう考えている。
「う~。わ、分かったよぅ」
森人店長が長耳を垂れさせる様子は、なぜかこうゾクゾクとした嗜虐心を煽られるが、油断してはいけない。
目を光らせておかないときっとまたやらかす。この店長に只人領域での経営の才能はないのだ。そうでなければ、身売り一歩手前までいったりはすまい。
まあ、長年の研鑽により、料理の腕はかなりのものなのだが。
将来的に自分がこの酒場の女将になれば、料理人として働いてもらおう。などと只人女給は考えている。
「……それはそれとして。そろそろ下宿人くんたちも帰ってくる頃か」
「仕込みは済んでいますからいつでもいけますよ、店長」
「じゃあ今日もよろしくね、女給さん♪」
料理人兼店長の森人と、元冒険者の女給。
徒党の一員向けの酒場として半竜娘が買収した店は幾つかあるが、この酒場は、華やかさという面でかなり徒党のメンバーの競争率の高いところだ。
……お任せで料理を頼むと蟲料理(味は良い)が時折出てくるのが、玉に
<『1.ちなみに用心棒は森人店長が使役する精霊だったりする』 了>
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2.半竜娘率いる
「今日も1日お疲れ~」
「かんぱーい」
「かんぱ~い」
「そっちは今日何したんだ? 俺らは下水の隠し部屋の清掃」
「ゴブリン退治だよー」
「あー。しかもゴブリンの死体を回収しなきゃいけないやつだろ?」
「そうそう。まあその分は報酬上乗せされるからいいんだけどさ。……いややっぱつれぇわ」
「重いし臭いし……」
「何に使ってるんだろな?」*1
「死霊術の素材だろ? 半竜の姉御*2が講習で教えてくれただろ。 “小鬼くらいの知恵ある怪物の死体は死霊術に使える” って」
「そうだっけ」
「徒党の中の何人かが、死霊術を覚えようとしてるらしいしその練習用ってのもあるだろうけど」
「なるほどー」
「でも練習にゴブリンの死体使うのって、やっぱり邪悪な感じするよな……」
「それな。……いや、死霊術習おうとしてる奴らにはいちいち言わねーけど」
「陰口厳禁。お上品な言葉遣いをしねーとな」
「悪意は包め、ってやつな。お陰で逆に最近何もかもが皮肉に聞こえてくる。お貴族さまの言葉っつーのかね」
「気にしすぎても何も言えなくなるしなあ。あ、でも、受付さんたちの
「まあな、教養ってやつだな。で、そっちの隠し部屋の清掃は戦利品とかあったか?」
「ああ、もちろん。マンティコアの毒腺とか、結構レアな魔獣の剥ぎ取りできたし、納品依頼も丁度あったから懐に余裕もできた」
「いーなー。ゴブリンの死体持ってくのも、一応ギルドの依頼を通してくれてるけど、功績としては微妙だもんなー」
「こっちだって功績としては大して変わらねーさ。結局は落穂拾いだしな」
「別の班は駆除もやるんだろ? 次はそっち受けようかな。やっぱり戦闘してナンボだろ」
「おいおい、ちゃんと座学聞いてるのかよ。戦闘の有無とか関係ねーよ。冒険者ギルドは国営なんだから、人族の平和だとか、生存圏拡大だとかに関わる依頼が評価されるって話だろ」
「あー。そういえばそんなこと言ってたような……?」
「しっかりしろよな。そんなんだと “補習” に回されるぞ」
「ひえー! そいつは勘弁だぜ! あれキッツイんだよ」
「最初はいいんだけどな。【加速】の術掛けてもらって、天才モドキになれるからさ」
「戦闘訓練では “見える! 見えるぞ!” って感じだし」
「座学でも “分かる! 解るぞ!” ってなるもんな」
「そうそう、俺って天才じゃん! ってなる。まあ……」
「……だな。その状態って長続きしねーし、あとがツライ」
「1時間もすれば消耗がヤベえし」
「2時間も【加速】されてたら、マジで走馬灯が見えたぜ」*3
「そんでスタミナポーションの世話になるというね……」
「借金追加入りまーす」
「
「さすがは竜殺しの一党。資金力がダンチだな」
「支度金(返さなくていいとは言ってない)」
「つーても利息も低いし返済期限もないし、実際、装備やポーション揃えられたおかげでその分稼げてるからなあ」
「初期投資って大事よな。一党の頭目向けの座学でも言ってたわ。一党経営講座のやつ」
「ああ、マジでな。最悪、森人の姉御*4が運営してる商店で買えば、ツケも効くしな」
「確実に囲い込まれてるが、このまま順調にランクアップできれば返す当てもあるしな」
「返済計画策定済みという親切さよ」
「……それが分らず脱走しようとするやつらは、マジなんなんだろな」
「さあ……? まあ訓練は逃げ出したくなるくらい厳しいが」
「辞めたいって言えば装備の下取りで借金相殺してくれるし、半竜の姉御の伝手で色んな職人への弟子入りも出来るっつーのにな。それか開拓村の村人とのお見合いのセッティングとか」
「面倒見が良いよなー、姉御たち。実際俺ら、他の白磁や黒曜よりよっぽど恵まれてるぜ。そのうち自分から
「実際、嫉妬の視線は感じるときがあるな。あと辞めるにしても、むしろここで幾らか訓練積ませてもらってから兵士や衛士になった方が良いまである。絶対、そこらの貴族の私兵より厳しい訓練積んでるよな、俺ら」
「まーそれはある。行軍訓練とかは、あれマジで冒険者っつーより兵隊だよな。即戦力になれるぜきっと」
「だいたい、脱走したとしても逃げきれるわけねーっつのにな」
「特に記憶抜かれてる奴らな。最後に
「思考回路も記憶抜かれた時にバレてるから逃げ道も全部あらかじめ押さえられてるというね」
「つーか宿も酒場も姉御たちの息がかかってるんだから、愚痴やら脱走計画やら筒抜けだっつーのな」
「それな。女給もそういう脱走計画聞いたら報告するよう言われてるらしいし」
「脱走者狩りには俺らも駆り出されるしな。この人数で狩り出されたら逃げられねーって」
「まったくだぜ。んで、捕まったら “補習” なわけだ」
「限界ギリギリまで消耗させるらしいな、手加減なしに」
「最終的には本人のためになると思ってやってるからなー、姉御たち」
「いや、聖騎士の姉御*5は結構私怨混じってると思うぞ」
「あー、うん。“お姉さまの手を煩わせるなど言語道断! 性根を叩き直してやります!” って感じだよな」
「【治療】の奇跡でくっ付けられるからって、訓練でも腕の1本くらい平気で斬り飛ばしてくるのはどうかと思う」
「訓練とは??」
「半竜の姉御はでっかくて怖いし、森人の姉御は借用書握られてて頭上がらないし、聖騎士の姉御は……半竜の姉御さえ絡まなきゃいい人だけど……」
「圃人の姉御*6だけが癒しだぜ……」
「それな……」
「ちっちゃい体でこまごま動いてるの見ると、応援したくなる」
「わかる」
「ま、応援も何も向こうの方が技量も何もかも上なわけだが」
「俺らももっと頑張らんとなー」
「そういや、俺らがとっ捕まる発端になった地母神寺院の尼さんの話、あれ、やっぱり混沌の計略だったらしいな」
「らしーな。で、どうにも寺院の襲撃計画があるってことらしいから、そのうち大規模な防衛戦があるだろうって話だろ」
「なんだ知ってたのか」
「まあな。罪滅ぼしってわけじゃねえけど、うちの一党はその防衛について受ける予定だぜ」
「じゃあそっちの手は足りるかな……。
「ああ、それも良いんじゃね?」
「何にせよ、他のメンツと相談かな」
「だな」
「姉御たちはどうすんのかね」
「うーん、寺院の防衛の方に来るとは聞いてないな。もっとでっかいヤマがあるのかもしれねえが……」
「姉御たちの見えてるものは、俺らじゃまだ計り知れねえよ」
「あとで一連の流れを
「頼んでみたらやってくれるかもよ?」
「……講座料を借金に追加されねえか?」
「そこまでは知らね。それより死なねーように準備は怠るなよ」
「もちろんだぜ。そっちこそな」
<『2.【加速】を用いた補習により技量も見識も促成栽培された舎弟たちは、衣食住も保証され、初期投資で装備や消耗品も充実し、そこらの白磁よりよっぽどマシな生活を送っているようです』 了>
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3.受付嬢の胃痛
冒険者ギルドの控室で、受付嬢が机に突っ伏して同僚である監督官に愚痴っていた。
「銀等級らしい行動をって言いましたけど~、言いましたけど~」
「あー。うん、君は悪くないよ。
「ありがとうございます……。うぅ……胃が痛い……」
胃の腑のあたりを押さえる受付嬢。
監督官は神官としての【赦しの秘跡】技能を発揮し、受付嬢の心労を緩和してやろうと試みた。
「まあまずは話してみなよ。聞いてあげるから」
「……ガチなんです……」
「ん?」
「冒険者が徒党を組むのは無くはないです。大規模な依頼の時の臨時もありますし」
でもガチなんです。ガチすぎるんです。と受付嬢は嘆く。
「半竜の術師さんの徒党は、蜥蜴人式の集団戦闘訓練を取り入れて、竜殺しの潤沢な資金力で装備や施設も充実してます……。トップが銀等級冒険者だから良いですが、街中にいきなり軍隊が現れたみたいなもんです」
「衛士隊がその辺を気にしてる、と」
治安維持を担う衛士隊としては、そこは非常に気になるところだ。
しかも、資本を活用して宿屋や飲食店、雑貨屋などを買収しているのだという。
経済的にも街に食い込んで来ている状態だ。郊外に居を構えた時の謙虚さはどこへ消えたのだか……。
「そうなんですよ~~! 正直なところ、半竜の術師さんの単独戦力だけでも街を崩壊させて余りあるのに、組織力までつけられたら手の施しようが……!」
「で、それをかろうじてお目こぼしさせるに至ってるのが、銀等級の肩書ってわけね」
「そうです。
問題視されているのは、半竜娘が本当に冒険者ギルドの意向に従い、ひいては国に逆らわないのか、ということ。
「まあ実際のところ、そんな妙なことにならないだろうと査定したからこその、銀等級認定ですが……」
「それはそうだね。国に弓引くようなのだったら、銀には上がれないもんね」
第一、既に半竜娘には、何度も街を守ってもらってもいるのだから、今更疑うのもナンセンスだ。
それが
「衛士隊にも冒険者のことは冒険者ギルドできちんとするって啖呵切っちゃいましたけど……」
「まだまだあの娘の価値観が読めないところがあるのが、不安要素だよねえ」
異種族ゆえか、半竜娘の特異性ゆえか、行動が読めないときが
今回の
実際は、銀等級という積み上げた信頼を利用して、自分の郎党を速やかに組織している。
自分の信用と、只人の街の政治の力関係を熟知し、そのギリギリを通すような動き方だ。
「でもまあ、性根も善良ですし、頭も良いですし、力はありますし、このお陰で燻っていた冒険者の方たちも
「……もっとあの娘も大人しくしててくれたらちょうど良いんだけどねえ」
「ですねえ……」
はあ。と溜息一つ。
ひとしきり愚痴を吐いてから、受付嬢と監督官の2人は仕事に戻っていった。
<『3.半竜娘の
次回は『闇の葡萄』を巡る争奪戦……になるはず? でもこの陰謀って託宣でも降りないとそもそも気づけないよな……。
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2021年8月3日付でゴブスレTRPG&サプリメントのQ&Aや正誤表などが更新されていました! → ゴブスレTRPG公式サイトhttps://ga.sbcr.jp/sp/goblin_slayer_trpg/
Q&A見てて気づきましたが、雪山の闇人リッチー戦での、
また【魔法知覚】の運用についても、原則として魔法知覚のみで捉えた場合は、その相手を攻撃や呪文の対象にはできない、という修正がされていました。
もろに前話の森人探検家の攻撃方法が引っかかりますが、うちの卓では『可能(ペナルティあり)』または『視覚不良によるペナルティの軽減』として運用します。
(【魔法知覚】はHUNTER×HUNTERの≪円≫のイメージでしたが、シャドウランの「アストラル知覚」の方が近いようですね。この世ならざる魔力の世界を見ている(ので物質世界での戦闘に耐え得るほどの精密性は確保できない)、ということのようです)
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