ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
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●前話
「半竜の術師さんが郎党結成したのは、実際ありがたい面もあるんですけどね……。走るだけで腰の鞘から短刀を飛び出させていたような
あと、ほら、彼女たちがこなす依頼って冬の広域食糧配達とかみたいに替えの利かないものも多いでしょう? それを組織として引き継げる体制があるなら今後も安心ですし。
え。“彼女らが突如として牙をむいてきたらどうする?” ――そうさせないための冒険者ギルドであり、そうなっても何とかするための冒険者ギルドですよ」
受付嬢はにっこりと
はいどーも!
やることが、やることが多い……! そんな実況、はーじまーるよー。
えーと、実況者側は
寺院襲撃と大規模儀式の計画および邪教の本拠地は、半竜娘ちゃんの記憶抜きとゴブスレさんの
具体的には、地母神寺院の葡萄畑の防衛は中位~低位冒険者。
街の地下で見つかった
一方で、陽動のためのこちらからの攻め、つまり邪教の拠点と見られる地下霊墓への襲撃には高位冒険者や魔神殺し専業の一党を。
敵拠点襲撃の陽動に当たっては、最低でも下級魔神、上は高位魔神、場合によっては
向こうの本命と目される塚山の大規模儀式には、我らが白金等級の超勇者ちゃん一党。
邪教団の高位神官、高位武僧、
―――― という具合ですね。
万全……かどうかはともかく、各戦場には、ダイス勝負に持ち込めるくらいには拮抗した戦力が投入される予定です。
また、陰謀の本筋とは関係ないですが、混沌と結んでいた水の街の酒商(地母神寺院に社会戦仕掛けてきた闇人のパトロン)が、『テメエんとこを起点に全体の陰謀がバレたじゃねーか!
―― そしてまた、ゴブリンあるところには、ゴブスレさんあり。
ゴブスレさんはゴブリン退治のプロフェッショナルとして―― つまりは混沌と繋がっていた者の家族だろうと遺恨なく救援に向かえる者として―― そちらの防衛依頼を受けて、水の街へと行っています。
一方で、これらの大規模な混沌の攻勢を隠れ蓑に進められている『闇の葡萄』の混入による御神酒の
これのやらしいところは、メチルアルコール化した御神酒でも、ドワーフ基準で見れば酒として通用するわけで、恐らく豊穣の儀式の捧げ物としてはギリギリ適格と見なされるだろう点です。
豊穣の儀式の成否という観点で占いや託宣を請うと、この策謀を見落としてしまうわけですね。儀式自体はメチル御神酒でも成功しちゃうので。*1
もちろん、豊穣の儀式が成功してしまうと、メチル御神酒が大っぴらに流通に乗ってしまうわけで(下界視点では神様の御墨付きですからね)、そこから派生する辺境の街の人的損害並びに地母神寺院の信用失墜は多大なものとなるでしょう。
つまり、今年の豊穣の儀式は成功させたとしても、翌年以降の地母神寺院と辺境の街の関係を破壊しようとする長期視点の混沌の陰謀になるわけです。
とはいえ秩序側も何もしていないわけではなく、半竜娘ちゃんたちが『地脈汚染だとかの策謀をこちらが知ったのは混沌側にも知られているだろうから、向こうも追加の作戦や戦力増強があるのでは?』と疑って、調べているところです。
まあ
というわけで、それぞれの調査結果についてダイスロール。
まずは文庫神官ちゃんから。
「
知識神の神官なので、書物には親しんでいるとして、神官Lvを足して【文献調査】判定です!
文庫神官の文献調査判定:目標値不明
知力集中5+神官(知)LV7+文献調査(初歩)1+2D646=23
達成値23。これは『難しい(目標値21)』とされる判定でも成功できる値ですが……。
「今回の件に関係しそうなのは、陽動襲撃先の邪教の地下霊墓と、大規模儀式を行っていると目される塚山くらいでした。あとは何か所か小さな遺跡の情報はありましたが……拠点にするには足りず、せいぜいが何かの倉庫や取引現場に使える程度でしょうか」
どうやらあまり結果は芳しくなさそうです。
そもそもの調査対象がズレてたっぽい感じですね、これは。
申し訳なさそうな文庫神官ちゃんに、半竜娘ちゃんが顎に手を当てて言葉を返します。
「で、あるか。―― 一応その細かな怪しげな場所のリストも見させてもらおうかの」
「はいお姉さま。まとめてありますのでお出ししますね。……ああ、それと」
「む? なんぞ他にも情報があったのかや?」
文庫神官ちゃんは口に出すか迷ったみたいですが、一応、というていで報告します。
「その細かな遺跡の一つについての報告の中に『葡萄の香りがした』というものがありました。確か、うちの
放置されてる遺跡に小鬼が住み着いてないかとかを、依頼帰りなど余裕があるときには偵察するように、半竜娘ちゃんの
「『葡萄の香り』……のぅ」
「ごく最近の報告でしたし、一応、葡萄園やワインに関係するのかと思って気になりまして……。該当する遺跡は、リスト上で分かるように印をつけておきますね」
「うむ、ご苦労!」
「じゃー次はオイラだな」
TS圃人斥候が続いて報告します。
「オイラは主によそ者だとかが紛れ込んでないかとか、いなくなった奴がいねーかとか、妙な品が入り込んでねーかとかを聞き込みしてきたぜー」
めっちゃシティアドしてますねえ。
後ろ暗い方面の調査ということで、斥候Lvも足せる【犯罪知識】判定でダイスロール!
TS圃人斥候の犯罪知識判定:目標値不明
知力集中5+斥候LV8+犯罪知識(初歩)1+2D652=21
達成値は21。さて、どんなもんでしょうか。
期待値出てるので何も成果なしということはないと思いたいですが。
「この間、地下下水道でリーダーが熱線で
地母神寺院に社会戦仕掛けてきてた、あの
「死んだあとの日付でも目撃情報があるんだよな。白粉臭くて見慣れない森人の、さ。まー、他人の空似とかかも知れねーけど」
「ほう、そうなのじゃな。そいつの今の動向は分かるかや?」 と半竜娘が片眉を上げて尋ねます。
「すまねえ。目撃談も曖昧で、居場所までは絞れなかったぜー……」
「で、あるか」
「ちょくちょく街の出入りをしてたらしい、ってのは分かってるが」
「なるほどのぅ」
「じゃあ次はわたしね」
森人探検家が成果報告を引き継ぎます。
彼女は交易神官として、金や物の流れを追ってみたようです。
「期せずして地母神寺院のワインの投機も上手く行ったし、そのあたりのことを絡めて商人のネットワークで情報を集めてみたわ」
少し変則的ですが、交易神官Lvを使って判定します。
信仰心(交)スキルも足しましょうか。
言うならば【商業知識】判定(仮)ですね。
森人探検家の商業知識判定:目標値不明
知力集中6+神官(交)LV5+信仰心(交)(初歩)1+2D626=20
ふむ……目安となる21には1足りませんでしたが、これはどう出ますかね。
「地母神のワインの値付けは戻ってきているわ。混沌の計略だったって噂も広まってるし、近いうちに地母神寺院が襲われそうってのも広まってる」
「ほうほう。となれば、ワインの値がもっと上がるんじゃないかの?」
葡萄畑に被害が出れば、仕込まれるワインの量も減るはず……と商人たちが見込めば、地母神寺院のワインがレアになるわけで、そういった値動きがあってもおかしくありません。
「うーん。そうでもないのよね。ああもちろん襲撃で寺院の畑の葡萄がダメになるんじゃないかって話は出てるんだけど」 森人探検家が腕組みして難しい顔をします。
「値動きはそうではない、と」
「どっちかというと『足りなくなるだろう葡萄を寄進しよう』って動きがあるわね。商人たちも混沌の計略に加担したことについて、少しは良心の呵責というか、信心からの後ろめたさがあったみたいで」
水運でも、ワイン用の葡萄が多く流入してきているのだとか。
地母神寺院を下げる噂を流していた主体は水の街の酒商だったため、『あっちの酒商とは違うんです!』と身の証を立てる意味合いもあるのかもしれません。
「あとは何故か酒造神の神官を見かけたわね。仕入れに来たのかもしれないけど……」*2
酒造神の神官はともかく、相手の戦力増強だとか、次の陰謀だとか、本当にそういうものはあるのか、と森人探検家は懐疑的です。
物流や金の流れは、現在の想定を上回るほどの大規模な追加の動きを否定しています。
「ふむ。ふむ。ふむ……」
「で、そういう貴女はどうなのよ、リーダー? 読み取った記憶を精査したんでしょ?」
「うむ、では手前からも報告じゃな」
半竜娘ちゃんは【読心】で吸い上げた、白粉の闇人の記憶を精査して、そこから情報を拾おうとしたようです。
魔術師Lvを用いた判定が適当でしょう。
自身の精神の内に深く瞑想して潜ったわけなので、さらに瞑想スキルのレベルも足しちゃいましょう。【瞑想思索】判定(仮)といったところでしょうか。
半竜娘の瞑想思索判定:目標値不明
知力集中11+魔術師LV8+瞑想(熟練)3+2D654=31
達成値31!
【加速】による補助なしでコレとは、流石、祖竜に愛された大天才ですね。
だいたい「目標値30」が「至難(その道を究めた者でなければ成功は難しい)」とされますので、流石にこのレベルなら何らかの確定的な情報に辿り着けたのではないでしょうか。
さらに、他のメンバーからの報告も組み合わせれば、きっと……!!
「読み取った記憶を隅々まで精査したが、敵側の戦力増強に繋がるような情報はなかったのじゃ」
「マジか。リーダーでもダメか……」
「戦力増強については、の。報告はそれだけではないのじゃ。そして、お主らの報告を聞いていて確信が持てたのじゃ」
「お姉さま、それは一体……?」
うむ、と半竜娘ちゃんがもったいぶって頷きました。
一党の他の面々が、居住まいを正します。
「あの白粉の闇人には、そっくりの兄弟がおるようじゃ。そして、自分の死後は任務を引き継ぐ手はずになっておった」
「あ! じゃあ歓楽街で目撃されたっつーのは……!」 TS圃人斥候が手を打ち合わせました。
「おそらくその兄弟の誰かじゃろう。そして後任が
「なるほどな!」
「そして予備プランについては、概略とキーワードだけじゃが記憶から
「へえ。じゃあそのキーワードってのは何かしら?」
森人探検家の疑問に、半竜娘が答えます。
――――【闇の葡萄】。
「闇の……葡萄、ですか」
「そうじゃ。鉱人に作らせた【闇の葡萄】を葡萄酒造りのときに混ぜることで、御神酒を汚染する、というものらしいのじゃ」
「あ、すると、遺跡で葡萄の匂いがしたというのは……!」 文庫神官がハッとして、調べた遺跡のリストを
「おそらくは【闇の葡萄】の取引現場だったのではないかの」
「……じゃあ、葡萄を寄進しようという商人の動きも関係するのかしら」
「【闇の葡萄】が、他の葡萄と同じ形をしておるなら、きっとそうじゃろう」
「木を隠すなら森の中、っつーことか」
「えー……それは……」
その推測を聞いて、森人探検家が難しい顔をしています。
次々と集まってくる葡萄の中から、問題の【闇の葡萄】を見つけ出すのは至難でしょうし、それを期待して、白粉の闇人も、葡萄を寄進するという流れを作り上げたのでしょう。
そもそも【闇の葡萄】の実物がどんなものか、そして他の葡萄と見分けられるものかどうかも、半竜娘ちゃんたちは、今の時点では分からないのです。
「葡萄を寄進しようとしてる人たちが、今、どれだけ居ると思ってるのよ……」
「しかも相手は【闇の葡萄】をどのルートでもいいから紛れ込ませればいいんだろ? 商人たちも、用意した葡萄を盗まれたとかそういうことなら気づく奴もいるだろーけどよ……」
「もし例えば葡萄が1箱増えていても、それは気づきづらいと思います。気づいても、それを異常で悪いことだと思えるかどうか」
儲けものと思うか、帳簿の間違いか何かと思うだけでしょう。
多い分には、目くじらを立てるほどではないのです。
「商人からの寄進以外にも、寺院に直接忍び込んで倉庫に置いてくるってのも考えられるわ……」
「……いずれにせよ、寺院の酒造りの取り纏めの方にはお知らせした方が良いと思います」
酒造りの取り纏めは、褐色肌人の血を引く葡萄尼僧です。
懸念を伝えておくべきでしょう。
「確かにそうじゃの。注意してもらう必要があるしの」
「襲撃に備えて警備は強化してるだろうけど、逆に襲撃のどさくさで【闇の葡萄】を紛れ込ませられる危険もあるしね」
「いや待てよ? それ自体が襲撃防衛の人手を分散させようっていう計略じゃねーのか?」
「……あり得るわね、闇人の計略なら」
まったくこれだから闇人ってやつは……! と一党全員が面倒くさそうに眉間に皺を作りました。
「なんか目印とかついてないの? その【闇の葡萄】には」 森人探検家の疑問ももっともです。
「……普通の葡萄と見分けられないもの、という注文で鉱人に作らせたと、記憶からは読み取れたのじゃ」
「うーん。とりあえず、怪しそうなところを全部ピックアップするしかないかしら」
「最悪の場合は、市中のワイン用の葡萄を全部買い占める必要があるかもしれんのう」
「あー、まあ、それもありかぁ……。投機で稼がせてもらった分を注ぎ込めば、なんとかなるかしら」
半竜娘の
もともと地母神寺院の悪評に乗っかったあぶく銭ですし、御神酒を守るために使うなら本望でしょう。
「それでも買取に応じなかったところが怪しいって炙り出せるし、そうやって数が絞れれば、最終的に【闇の葡萄】が辿り着く
「知識神様の神託に頼る手もありますし」 文庫神官が聖印を掲げます。
「あとは下手人の闇人を捕捉できれば確実なのじゃが……」
「そっちもチャンスはあると思うぜ? この手の後がない陰謀家は、最終手段の成否を自分で確認しなくちゃ安心できねーだろうからな」
「じゃあだいたいやることは見えて来たわね。向こうさんも寺院襲撃や地脈汚染の儀式までには動くでしょうから、わたしたちもさっさと取り掛かりましょうか」
「応」「りょーかいだぜ」「はい!」
半竜娘ちゃん一党が【闇の葡萄】をキーにした策謀を潰すために、動き始めました。
というところで今回はここまで!
ではまた次回!
地母神様「うーん、ドワーフ向けのお酒だけど一生懸命作ってくれたものだし豊穣の加護は授けちゃいますね……。只人が吞むのはお勧めしませんが」
酒造神様「うちに丸ごと寄付してくれたら神官連中が呑むぞ! 酒ならドワーフ向けでもドンと来いだ! うちの神官でもない只人が呑むのはお勧めしないが」