ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
毎度みなさま閲覧、感想、誤字報告、お気に入り、しおり、ここ好きなどなど応援有り難う存じまする。
===
●前話
Q. クライマックスフェイズどこ行った?
A. せ、戦闘が必須とは限らないし(震え声)。
なお、多分
GM「(あかーん、PL側の出目が振るわなかったから敵を捕捉できなさそう)」
「(加えてファンブル!? あらー)」
「(って、
「(しかも追いかけっこ段階で各キャラ
「(それにもう、セッションの時間も押してる……。次いつ全員の予定合うか分からんし)」
「(……ま、PLも割と満足そうだし、切り上げても良いか?)」
「(うむ。出目は振るわなかったがロールプレイはきっちりやってくれたし、
「(これは葡萄尼僧さん活躍ルートでフィニッシュやな!)」
葡萄尼僧さんを活躍させたいだけのシナリオになったが、まあ結果オーライ! ダイス運が悪いGMにはお助けNPCの備えは必須なんやよ……。
1.葡萄畑前の防衛戦
夕闇の迫る地母神寺院の葡萄園にほど近い森の際にて。
葡萄畑を荒らさんと森の奥から湧いて出る混沌の手勢を相手に、守りを固めた冒険者たちが戦っていた。
「葡萄園に入らせるな!!」
根を踏み固められたら、葡萄は枯れかねない。
何十もの混沌の軍勢が踏み入り、またそれに対抗するために鎧を着た冒険者が駆けまわるなど、農家的には悪夢である。
その時は果樹は無事かもしれないが、根が踏み固められれば農地そのものへのダメージが大きすぎる。
つまり、葡萄園に敵を侵入させた時点で失点だ。
森と葡萄園の間で食い止めなくてはならない。
敵の姿が見えた。
「マンティコア! それに瘴気吐きの
即座に敵の正体を看破した妖術師の女の鋭い声が闇を裂いて走った。
【怪物知識】判定は呪文遣いの役目だ。
―― それにしたってマンティコアくらいは常識では? などと妖術師は思うのだが。
「げっ、あのゴブリン腐ってますよ!」
そこへ新情報。
そのやけに甲高い声の出どころは、と見れば、まだ幼い半蜥蜴人の幼女の姿がすぐそばにあった。
こんな戦闘に突っ込ませて親は何しているのか、と思うが、まあ蜥蜴人ならこの程度普通なのかもしれない。蜥蜴人とは四方世界きっての蛮人であるのだから。
その幼竜次女の背負い袋に満載された
「訂正! ゴブリンゾンビの群れ!」 妖術師が声を張り上げた。
「名前は良いが、それで何に注意したらいいんだよ!?」 妖術師の仲間である斧使いが新人たちを率いて前衛を構築する。だが悲しいかな、彼は【魔物知識】判定に失敗したようだ。
―― ああもう! そのくらい分からないのか!!
という悪態が妖術師の口をつきそうになるが、その一瞬も惜しいと飲み込み、端的に指示を出す。
前衛に
「マンティコアは毒と呪文―― マジックアロー、稲妻、スパイダーウェブとかその辺! キメラゾンビは病気持ちで毒吐き、あと再生する! ゴブリンゾンビは雑魚だけど病気持ちで腐ってるから葡萄園に入れるな!
妖術師がそう言うが早いか、森の中の
「「「「「 FFFIIIIIRRRRRREEE!!! 」」」」」
【火矢】の呪文は射程が長いのだ! 森の中から十ほどの緋色の輝きが迫ってくる!
うひゃあっ! と経験の浅い新人たちが浮足立つ。
―― 戦線崩壊しないだけでも儲けものか。舌打ちしたい気持ちを押さえ、妖術師は手元の呪文書を捲る。
戦線が崩れていないのは、新人だてらに肝の据わった奴らが居るからだ。一瞬だけ見た限りだが、どうにも冒険者らしくない、まるで軍隊仕込みのような組織力を発揮している一角があり―― 妖術師は知らないことだが、彼らは半竜娘の
「って、感傷に浸ってる場合じゃない!」
「大丈夫です、【火矢】はこちらで受け持ちます! どうか次の一手をお願いします!」
そこを引き受けたのは、なんと幼竜次女であった。
幼竜次女は背の袋から素早く
「【
それに勇気づけられた戦士たちが前に出る。
【抗魔】のマナでコーティングされた五体と武器・鎧は、たかが
「行きますわ!」
女だけの一党の頭目である貴族令嬢が優美な盾捌きで【火矢】を弾き。
「雑魚がッ!」
新進気鋭の一党の戦乙女の神官戦士が、大きな戦斧で【火矢】を掃い。
「こんなじゃ鱗の一枚も焼けねえぞ!」
戦乙女の神官戦士と同じ一党の、鮫歯木剣の蜥蜴戦士が森の木に爪をかけて空中に躍り出ると、そのまま空中で回転して竜巻のように尾で【火矢】を振り払った。
「焼けないぞー!!」
幼竜長女も、【竜鱗】のポーションで強化し【竜命】のポーションで炎熱無効を得た五体を頼りに、一つ【火矢】を踏みつけては反動で別の【火矢】に体当たりし、曲芸のように連鎖的に敵の術を破裂霧散させていく。
「やるじゃないの、おチビちゃんたちも。それじゃあお次は私の仕事ね――」
妖術師はニヤリとそれを見て嗤った。
敵の雑魚どもは虎の子の【火矢】の術を防がれて自失している。チャンスだ。それに―― こちらには伏兵も居る。
「誘導はしておくぞ」 「お任せあれー」
新進気鋭の一党の闇人斥候と、幼竜娘三姉妹のうちの三女―― 幼い蜥蜴人の鱗の模様は自然の迷彩だ―― が、ひょっこりと闇の中から現れ、敵の隊列の横っ腹に食いついた!
「「「「 GGGIIIIIPPPAA‼‼? 」」」」
「GGGROOOUUARRAA‼‼?」
斥候の襲撃によるダメージは些少だが、急に現れた伏兵によって敵の隊列は崩れ、意図的に縦列になるように動かされた。
だが混乱する敵は―― あるいは混乱する頭もないゴブリンゾンビは処理落ちして―― 一直線を作るように隊列を動かされた意図など掴めない。
あるいは高い知能を持つマンティコアは、何らかの罠に嵌まりつつあることを看破したかもしれないが、そちらは既に、妖術師の一党の斧使いが新人たちを引き連れて斬りかかって釘づけにしていた。
「オラオラオラッ! サソリか獅子かヒトかはっきりせいやオラッ!」
「MMMAANNTTTIIICCC!!」
その間にも、冒険者たちは戦場の掌握を進める。
「弓隊も撃てーー!」
「「 おーう! 」」
貴族令嬢の一党の女圃人斥候が矢を放ち、新人たちの一部がスリングで石弾を投げ込む。
それは敵の両翼に降り注ぎ―― 中央にはわざと降り注がせず―― さらに敵の隊列を偏らせる。
「――準備完了ね、≪
妖術師は手元の呪文書から力を引き出し、≪
ZAP音とともに、妖術師が奇妙に曲げて伸ばした指先から放たれた一条の稲妻は、縦列に誘導された敵の陣形を貫く!!
「「「「「 GGUUURUUGGGYYAAAAA!!!??? 」」」」」
暗闇を奔った紫電が縦列に整えられた敵の群れを蹂躙する。
ゴブリンゾンビの腐った脳髄と眼球が沸騰して弾け、魔法を使い果たした
一網打尽の優れた戦術だった。
「雑魚は殺したわ! あとはマンティコアとキメラゾンビよ!」
「しからばゾンビには神官の出番であるなあ」
妖術師が、会心の連鎖撃破に昂揚する己を律しつつ、同じ一党の坊主に視線を飛ばす。
神官の中年男は誤ることなく意図を汲んで、周りの駆け出し冒険者たちを率いて前に出る。
向かう先は異形の死体の集合体であるキメラゾンビだ。
「ゾンビにはやはり聖水であろうよ。ほれ、お主らも武器にまぶしておけ」
中年神官が聖水を配り、受け取った新人たちは自分の武器にそれを掛けていく。
さらに防毒面を持たない者は、毒対策で聖水に浸した布を口に巻く。
その中には
至高神の聖女は天秤剣を掲げると、朗々と神へ奇跡を請う。
「≪裁きの
天秤剣から迸った【
<『1.マンティコア? やつは囲んで棒でボコって殺したよ? 数の暴力って素敵ね』 了>
▼△▼△▼
2.邪教本拠地への強襲
邪教の本拠地たる地下霊廟にて。
辺境の街の下水道から繋がる遺構を進んだ先に、その邪教の本拠地はあった。
「ちっ、次から次に!」
「DEEEAAAMMMMMMOOOONNN!!」
「≪
「「「 GGUUUU, IIU…IGIIYIGII…… 」」」
押し寄せる魔神を、
「イイイイィィィヤァァアアアアッ!!!」 『GGGGGUUURRRRUUUAAAAAOOOORRRRR!!!』
そしてそこに、恐るべき竜に跨った半竜の
どういう理屈か、突撃して魔神を吹き飛ばして踏み潰すたびに、竜騎の半竜娘は活力を増していく。
流血を吸い上げる鮮血呪紋と、魔神の魂を喰らう同化吸収により、半竜娘とその乗騎は極まった継戦能力を発揮しているのだ。魔女が範囲攻撃を選ばずデバフを撒いたのは、このウィッチとしての後輩に、十分に贄を喰わせるために支援に回ったからだろう。
しかし相手の魔神たちも雑魚ばかりではない。
巨大蜘蛛に女の上半身を生やしたアラクネのような
それを舌なめずりして迎えるのは、魔神の青い血に塗れた半竜娘だ。まあ、ここに居るのは魔神喰い放題を察して派遣された【
そして乗騎の方の恐るべき竜は、彼女の使い魔である
彼女らは竜血から精製された【
「【人馬一体】となった乗騎に気功を流して武技【軽功】を発動させてからの―― 武技【馬上突撃】じゃ!!」*1
『GGGGRRUUUUOOOAAAA!!!』
騎馬竜である
「イイイィィヤァァアアアアッッ!!」
いつの間にか【竜牙刀】の祖竜術で作り出していた骨のランスを構え、人竜一体となって打ち下ろすように突撃!
大質量の突撃という威力を十分に発揮したその一撃は、相手取ったデーモンの肩を砕きながら貫通し、その場から引き剥がして押し流していく。
『DEEEEAAAAAMMMMMNNNN!!!???』
「そしてぇっ! 【
『GGUUUUGYYYAAAAA!!!??』
動きが封じられた魔神など、恐竜に変化した闇竜娘にはエサでしかない。
半竜娘(分身)の命を受けた騎竜の闇竜娘は、恐竜変化した自らの大きな顎を開き、突撃の勢いも合わせて、魔神の肉を食いちぎった。
『GGGRUUOOWW‼‼ GGRRROOAAAOOWWW‼‼』
『DDDEEAAAAMMMMOOONNN!!!??』
騎竜騎士は勢いを止めず、さらには人馬一体で祖竜術【
「よーし、騎兵隊にだけ手柄を立てさせるんじゃねーぞ! 押し込めぇえええ!!」
【辺境最高】の一党の頭目である重戦士が大剣を掲げて全体を鼓舞する。
優勢ではあるが、≪
油断は禁物だ。
<『2.半竜娘&闇竜娘の「とっしん」! 「ふみつけ」! 「かみくだく」! 「げきりん」!』 了>
▼△▼△▼
3.
あらかた魔神どもを駆逐した、地下霊廟にて。
「Hmmmmmmm……」
太陽神に仕える神官が、そのバケツをひっくり返したようなヘルムを傾げていた。
彼は都の方でも名高い
「なーに、どしたのー? 勝ったんだからいつもみたいに “太陽礼賛! 光あれ!” ってやればいいのに」
猫のような印象の
“スッと行ってドスッ” とやる技量は高く、悪魔殺し一党の遊撃兼ダメージディーラーでもある。
「何か気がかりでも? 治療が必要ですか?」
赤い軍服を着た衛生兵らしき女は、この一党の治療師だ。
病魔のデーモンを目の敵にしていて、健康を害するものに容赦がない。それはまるで
「Hmmmmmmm……何故か、大物がまだ残っているような、そんな気配がするのだ」
首をひねる太陽神の聖騎士が、太陽神の聖印を揺らして答える。
「……それは穏やかじゃないお。その聖印には【
こわごわと首をすくめたのは、小太りの術師だ。
薬師の心得もあり、一党が使うポーションを自作して裏方を務める一方で、必中の【
かつていつぞやの冒険で手に入れた、着用者に【邪悪感知(初歩)】の技能を授ける太陽神の聖印。*2*3
その聖印がもたらした霊感が、何か不浄の者がまだ残っていることを、かすかに知らせている……。
「Hmmmmmm……」
<『3.半竜娘(分身体)は【分身】を解除して消え、闇竜娘は【邪悪感知】されたことを察して「あっやべ」と高位真言呪文【
「Hmmmmmm……ム、微かな違和感が消えた……」
「勘違いだったのかにゃー」
「万一の場合に備えて調査の必要があるのでは? それともその悪寒は何か病気かも知れませんし、診察しますか?」
「ちょちょちょ、確かこのあと別の依頼が入ってたはずだお! すぐ向かわないとマズいお?」
「……ふむ。貴公の言うとおりか。優先すべきは今、まさに害を振りまいている魔神の討滅こそであるからな。不確定の何者かを探す時間はない、か」
「そーそ。それに流石に人族領域最前線の冒険者だけあって、一緒に戦った槍使いや大剣使いも実力は確かっぽいし? あっちに任せていーんじゃないのー」
「ええ。もうここに要救助者は居ません。早く、早く、次の戦場へ向かいましょう」
「確か次は廃都の方だったお? 周りが強くて楽させてもらったから物資の消耗も許容範囲内だし、補給に時間はかからないお!」
▼△▼△▼
4.リザルト
半竜娘ら一党は、いち早く辺境の街に潜んでいた混沌の手勢を見つけ出して駆逐し、さらに【闇の葡萄】による御神酒の汚染を防いだ!
経験点2500点獲得! 成長点5点獲得!
闇竜娘は同族喰らいを繰り返したことにより位階上昇!
各ステータスが成長し、真言呪文【
<『4.
蹂躙トランプル →自分を中心に隕石の衝突による衝撃波を再現する範囲攻撃。
鎌鼬ウィンドカッター →つむじ風による切り裂き攻撃の範囲攻撃。痛打(斬)誘発。
操疫エピデミオロジー →広範囲での病毒に対する抵抗力/病原体の活性を操作。
メインメンバーの成長はこれからキャラクターシートとルルブ&サプリ見ながら考えます。
===
あと9/14に発売された原作小説15巻の試読はこちら!
→https://www.sbcr.jp/product/4815611521/
みんなも買おう!(ダイレクトマーケティング!)
(実はまだ届いてないから読めてないですが……)
===
そういえばハーメルンの「原作:ゴブリンスレイヤー」カテゴリーで、当SS が話数と総文字数ではトップになってますね(2021/09/15時点)。まあ、シリーズを分割なさってる作品もありますので実質的には一番ではないですが、なんであれ一番というのはいいものです。
ご評価、ご感想も、いつもありがとうございます!
次回は原作小説11巻の砂漠編に、例の如く別ルートからエントリーします。