ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
ご覧いただきありがとうございます! 感想も誠にありがたく!
===
●前話
・城塞竜の
・取り残された半竜娘一行を襲う砂漠の
・シムーンから生き残り、幼竜娘三姉妹を奪還せよ!
はいどーも! 絶死の状況からの実況、はじまるよ!
前回は砂漠からの帰りに
しかも行く手を阻むのは、砂漠の赤き死の風―― シムーンと呼ばれる非常に乾いた砂嵐です。
一夜にしてシムーンに襲われた村が滅び、その村人たちは水分を吸われてまるで砂や灰のようになってしまったと言います。
まさしく絶体絶命の死地!
シムーンに突っ込んだ半竜娘ちゃんたちを乗せた砂船の運命やいかに!?
「砂嵐を耐える時間が惜しい―― 一気に晴らすのじゃ!!」
愛娘らを攫われて一刻も早く追いかけたい半竜娘ちゃんが、自らの魔法の札を切ります。
天候が敵となるのであれば、天候を支配する!
それが優れた魔術師の思考です。
まあ耐えるだけなら砂船をひっくり返してその下に逃げるとかすれば良いですからね。
あとは熱耐性の【
しかしそれでは時間がかかり過ぎます。
そのため、半竜娘ちゃんは即座の解決を求めました。
「<
半竜娘ちゃんの拡大された自我が天候気象に投影され、それを意のままにしようとします。
真言呪文【天候】の呪文です!
「砂塵調伏! 天相従臨! 我が意に従えぃ!」
……これが只の砂塵であれば、半竜娘ちゃんの真言呪文により、一気に霧散したでしょう。
しかし、どうにも今の
王城での策謀と小鬼の跋扈然り。
城塞竜も狂っているわけではないでしょうが、もっと過ごしやすい場所に降着しても良かったはずです。
何かが湧き出しているのか、またそれに引き寄せられたのか……。
つまり、この赤き死の砂塵もまた、常のものではありませんでした。
「ぐぬぅぅぅ!!??」
「……お姉さまっ!?」
文庫神官ちゃんの焦りの声が表すように、半竜娘ちゃんの様子は尋常ではありません。
目が血走り、只人の相の顔にある汗腺からは暑さによるものではない汗が噴き出しています。
――― 何者かと精神力のせめぎ合いをしているのです!
「とにかく砂が入って来ねーようにするぞ!
TS圃人斥候が機転を利かせて魔力の力場を張りました。
これでもしも半竜娘ちゃんの呪文が破られ、失敗したとしても最悪の事態にはならないでしょう。
砂船の船員は、周囲に満ちる半竜娘ちゃんのマナに
「これは―― 精霊が狂っている!?」
そんな中で、森人探検家がその知覚能力で、精霊術【
『AAA―――RRAAAAAARRRR‼‼‼』
「なんてこと……」
精霊が見える森人探検家は、苦悶に身を捩るシルフの姿が見えています。
そして、
「……狂気が伝染している……! まさかこの砂嵐自体が――!!」
森人探検家の眼に映るシルフたちの姿が、赤く乾いたマナに染まり、まるで悪鬼のように変わり果てていきます!
そうです、この赤き死の砂嵐、これ自体が、狂い果てた
『『『 AAAAARRRRRHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!! 』』』
しかもこの砂塵は既に数多の人命を奪い、ヒトの血と魂の味を覚えています。
絶息する最後の瞬間にまろびでる魂の甘美なるかな。
乾いて死んで崩れる身体の地肌を削って、溢れる血を舐めることの美味なるかな。
「これはいかん……! 真っ向から調伏するのは骨が折れるのじゃ……!」
半竜娘ちゃんが脂汗を流しながらも口を開きます。
どうやら【力場】によって周辺に砂嵐が入って来なくなったことで、そちらへの制御を気にしなくてよくなり、喋るだけの余裕を取り戻したようです。
「じゃあどうしろってゆーんだよ、リーダー!」
幼竜娘三姉妹たちと仲が良かったTS圃人斥候が、彼女らの心配のあまり焦って叫びます。
半竜娘だけではなく、一党にとってもまた、幼竜娘三姉妹は自分の娘(あるいは妹)のようなものなのです。
「敵は群体じゃ。そして広がりすぎておる。そこが問題じゃ」
しかしこの状況でも、パーティの頭脳たる半竜娘ちゃんの思考は健在でした。
娘らが攫われた状況で、死の砂嵐に囲まれ、しかも自らの術に拮抗した状態であっても、戦闘種族である蜥蜴人の巫女として常に冷静な部分は残していたのです。
「対して、手前は一人。大きく広がった全体を調伏しようとしても、どうしてもムラが出るのじゃ」
そしてそのムラによって逃れた部分の精霊が、また狂気を感染させて掌握された部分を解放してしまうのです。
「ゆえにヤルのであれば、狭く固めて一息にやってしまわねばならん」
「その分だけ敵は強力になるんじゃないの?」
森人探検家の懸念はもっともです。
押し固めてしまえば範囲は狭くなるでしょうが、密度が上がって敵は強力になるでしょう。
「ふっ、勝つのは手前じゃよ。我が爪と鱗に誓い、祖竜【
「……私もお姉さまの勝利を知識神様に祈ります。愛しの君の行く手を阻む陥穽を、どうかお照らし下さい。灯明の守り手よ、知識の番人よ。どうかこの未来に闇よ落ちるなかれ――【
自信満々の半竜娘ちゃんを心配して文庫神官が限定未来視の【
鎧に捉まっていた白梟使徒ちゃんも助力し、知識神はこの異国異教の地からの願いを確かに聞き届け、奇跡を下賜しました。
これで百人力でしょう!
「……ああ、分かったぜ。魔術師は、常に冷静に、だったな。それでその作戦ってやつを聞かせろよ」
―― どうやって敵を一つにまとめるつもりだ。
常の間延びした口調も鳴りを潜めて、TS圃人斥候は真剣な眼差しです。
そして半竜娘ちゃんが開陳した作戦は、皆を驚かせるに足るものでした。
▼△▼△▼
「準備は良いのじゃな?」
「ああ、みんな準備できてるぜ!」
半竜娘の号令に、全員が答えます。
各々の手には―― 砂船の船員の手にも―― 魔法のスクロールが握られています。
「それではスクロールオープンなのじゃ!」
「「「
半竜娘の号令で、それらのスクロールが一斉に開かれて燃え落ちていきます。
蒼く燃えるマナが解き放たれ、封じられていた呪文が解放されました!
「「「 ウェザーコントロール!! 」」」
解放されたのは天候操作の真言呪文です。
しかもスクロールによる呪文は、極まった術者である半竜娘ちゃんよりも干渉力が低いもののはずです。
幾ら数を揃えたとはいえ、それだけで事態を打開できるようには思えません。
「確かに天候操作では、赤き死の砂嵐を
半竜娘ちゃんはしかし、術の効果を確信しているかのように、次の展開に備えて集中を高めていきます。
一方で、最初に発動した気象操作呪文【
「じゃが、打ち消すのではなく、もしも砂嵐に助力するのであれば――!!」
スクロールが燃え落ち、術の効果が発揮されました。
ですが、砂嵐は止むことなく……むしろ……!
「狂った精霊には、その理非など判断つくまい!」
むしろ気象操作呪文により、砂嵐の勢いは強まっていきます!
周囲から集められた風が、
「さあ赤き死の狂った風の精霊よ! たらふく風を喰らうがいい! そして――」
そして、周囲から集った風は渦を巻き、周囲の砂嵐全てを押し込むように一か所にまとめていきます。
大きく広がっていた砂嵐は、いまや一本の竜巻となって凝集されて色濃くなった赤黒い威容を晒しています。
やがて風がすべて凝集し、中から現れたのは燃える瞳と砂塵の身体を持った巨大な悪鬼!
これこそは悪しき精霊の親玉、『デーウ』です!
『 DDDEEEEEWWWW!!!! 』
「―― ひとつにまとめてやれば、こちらのものよ!」
それが冒険者の流儀です!
TS圃人斥候がさらに【力場】の巻物を掲げてバリアを再構築し、
文庫神官が退魔の剣を掲げて
森人探検家が交易神の聖印を握って風の加護を願っています。
全ては一党のリーダーである半竜娘につなげるために。
「出でよ我が
「呼ばれて飛び出て……ってな」
半竜娘ちゃんが竜牙のアクセサリを撫でると、そこから煙とともに闇竜娘ちゃんが現れました。
砂船の船員たちの反応は―― 結構好意的です。「善き
砂漠のおとぎ話の王道として、悪しき
「さあ精霊よ、赤き死の砂の嵐の精霊よ! 血を啜り魂を喰らい大地を駆ける
半竜娘ちゃんが、周囲に真言呪文【
あれだけ大きく、邪悪でも、それは精霊という枠組みであることに変わりはないはず……!
「その怒り、悪性ごと、
天候という自然現象を支配下に置く【
なぜなら、その実態は狂った精霊なのですから。
ならばその精霊の相も呪縛するまでのことです!
「今以て一切の動きを禁ずる! 我が意に従え―― 【
『 DDDDDEEEEEEWWWWDDDD!!?? 』
天候支配と精霊支配の二重奏!
拡散した半竜娘ちゃんの自我がビジョンを結び、巨大な赤き砂の竜巻の化身である
もちろん従う気のない精霊を使役することなど出来ませんが……。
しかし、その気迫によって
そこへ闇竜娘の呪文が刺さります。
「<
『 DDDEEEEDDDWWW!? 』
投じられたのは石化呪文。
この高位の真言呪文の作用により、
コントロールウェザーとコントロールスピリットにより二重に呪縛され、その本来の力を封じられた一瞬をついた呪文は、風の精霊である
さらにその身に呑み込んでいた砂と、犠牲者たちの血の鉄錆が、石化の魔力を促進します。
『 DEEEEWWWUUU…………‼‼ 』
逃れえぬ石化が
『 DEEUUUUWWW……‼ 』
「もはや飛行もままなるまい!」
半竜娘の言うとおり、ついに芯まで石化した
そして精霊であっても、四方世界の大地そのものには勝てないのです!
『 DEEWW……UUWWEED……‼ 』
「砕けよ!」
天が落ちたかのような轟音。
石化した
濛々と砂煙が上がり―― しかし、それが急速に晴れ渡っていきます。
対抗者がいなくなった半竜娘のウェザーコントロールが、本来の効果を発揮したのです。
つまり、もはや
砂煙が晴れたそこには、案の定、完全に砕けた
「ふぅー……、ふぅー……。まったく、手間を取らせおって……!」
早く幼竜娘三姉妹を追いたかったのに、とんだ足止めです。
呪文も巻物もかなり使ってしまいました。
「完全に滅ぼせたか確認するか?」
TS圃人斥候が念のためにと提案します。
確かに、トドメを刺せていなくて復活して追って来られるのも面倒です。
「ああ、そうした方が良かろうの。もはや今からでは追跡も間に合うまい」
それを聞いて気を利かせた砂船の船員が、砂船を
「お客さん方、助かったぜ。もうだめかと思ったが、何とかなるもんなんだなぁ……」
「二度はないと良いがのう。ところで聞きたいのじゃが、シムーンとやらは全てあのような悪性の精霊の集合なのかや?」
「おいおいまさかそんなわけないだろう! あんなのばっかりだったら、この国に人の住める場所はなくなっちまって、文字通りの
「じゃよなあ……。何か妙なことが起こっておるのやも知れんな……」
「さあ、どうだろうなあ……。王様が亡くなったとかも聞くしなあ……」
少し不安そうにしながら、砂船は
「……うん、もう危険はなさそうね」
森人探検家がエルフ感覚で精霊の去就を感知し、太鼓判を押します。
追撃を受ける心配はなさそうです。
「あっ、リーダー、なんか核みてーなのがあるぜ」
緊張が解けたのか、急いでも仕方ないと開き直ったのか、間延びした口調に戻ったTS圃人斥候。
彼女(彼?)が指さす先には、割れた
「……幾らか石化した部位のサンプルを回収しました。その核のような宝石は、精霊の力を色濃く宿しているようですが……」
非常に珍しいサンプルを得て浮つく気分を押さえつつ、文庫神官が尋ねます。
「せっかくだから喰ってやるのじゃ。倒した相手を喰らうのは手前らの流儀じゃからな」
祖竜術【
そしてそのまま大きく口を開けて呑み込んでしまいました。
「あーあ、腹壊しても知らねーぞ」 というTS圃人斥候に、
「どうせこれからまたオアシスに戻って情報収集じゃ。手前は
確かにオアシスのバザールに戻れば、城塞竜の行く先に関する噂も集められるでしょう。
少なくとも城塞竜がもともと降着していた場所は分かるはずですから、あてどなく砂漠を飛び回るよりはいいはずです。
下手したら二次遭難しちゃいますし、物資の補充も必要ですしね。
というところで今回はここまで。
ではまた次回!
半竜娘ら一党は、荒れ狂う砂漠の赤き死の精霊を調伏した!
経験点1250点獲得! 成長点3点獲得!
半竜娘は
冒険者技能【風の遣い手】技能が1段階成長。
一般技能【精霊の愛し子】技能が1段階成長。
高位精霊術【
吸収した宝玉から暴走原因などの情報を取得中……。