ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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今回、呪文等の拡大解釈マシマシでお送りします。(敵の設定を盛りすぎてキャラシと睨めっこしていたので初投稿です……)

◆前話
文明に滅ぼされて(さばくかして)狂った精霊と、滅んだ森を枕に散った森人部族の怨念と、それを封じるはずだった古代王朝の軍勢が、時の流れに負けて封印の中で混然一体となった大悪霊を解放した奴がいるらしい。まったく、砂塵の国の宰相め!(※おそらく現在、王宮側でも再攻略の対策検討中と思われ)
……しかも手に負えないので放置しているあいだ、周辺の精霊(ジン)が汚染されて悪鬼(デーウ)となって全土を赤い死の砂嵐(シムーン)が駆け巡る始末。
そんな場所の浄化を頼まれた半竜娘たちは、いったいどのように攻略するのか!?
 


39/n 金字塔(ピラミッド)の大悪霊を浄滅せよ!-2/2(半竜娘ちゃん・即身仏モード!)

 

 はいどーもー!

 孫氏曰く『故に智將は務めて敵に食む』。足りないリソースは敵から持ってくるんだよ! な実況、はーじまーるよー。

 

 前回は、半竜娘ちゃんたちが、問題の古代遺跡の陵墓群、死者の都(ネクロポリス)を遠目におさめられる高台に陣取り、竜牙兵を素材にした小さな祠を建立し、配置についたところまでですね。

 都市2つ分以上のリソースを抱えると推定される、敵の大悪霊をどのように、ただ4名(+使魔/使徒2体)の冒険者一党が攻略するのか。

 蜥蜴人の城攻め、都市攻囲戦の叡智の見せ所です。乞うご期待!(ハードルを上げていくスタイル)

 

 

 竜骨の小さな祠の前に、半竜娘ちゃんは、結跏趺坐して座っています。

 瞑目し、集中。精神統一。

 その姿は荘厳で、まさに慈母龍(マイアサウラ)の巫女として相応しい神聖さに溢れていると言えましょう。

 

 そんな半竜娘ちゃんが、目を開きました。

 

「では、初手。地脈への接続── 我が分身よ、我が身を、我が精神を、我が魂を、この地に呪縛せよ」

「ふん。そっちの魂はオレが先約だからな。──── 死ぬんじゃねえぞ」

 

 半竜娘ちゃんが、分身(アザーセルフ)にデーモンを喰わせて独立させた闇竜娘(ダークドラコ)ちゃんに対して、最初の指示をしました。

 それを受けた闇竜娘が詠唱し、呪文を行使します。

 

 

 ──── <血は砂に、肉は石に、魂は塵となれ> 【地縛(アースバウンド)

 

 半竜娘ちゃんらが陣取った場所は、高台になっており、山地丘陵の例に漏れず、地脈の通り道でもあります。

 闇竜娘ちゃんの使用した、死霊術【地縛(アースバウンド)*1が、汚染された地脈から『オォォォォ……』と呻きを伴った呪詛の腕を引き出し、それによって半竜娘ちゃんを絡め捕り、縛り付けます。

 魂を縛り付ける術ですが、今回はそれを逆用し、そこから繋がりを辿ることで魂を地脈に接続した、ということのようです。

 

 はい、これで【地縛】の術による呪縛の腕が、半竜娘ちゃんの魂に触れ、地脈と半竜娘ちゃんの魂を接続しました。

 

 それは膨大な呪いの塊に侵された地脈を受け入れるということであり、並の精神力では耐えられるものではありません。

 しかし、これまでにも【動力炉心(パワーコア)】をその身の崩壊に耐えながらも受け入れたり、TASさん(ティーアース)の導きにより狂魔覚醒剤(マジック・スティミュラント・ポーション)を服用し限界を超越して魂を摩耗させてまで術を使ったりと、ただ事ではない経験を積んでいる半竜娘ちゃんです。

 呪いに負けるような精神力はしていません! 半竜娘ちゃんを信じろ!

 

 とはいえ、それでも心配はありますので、緩和措置として、TS圃人斥候が、己の鎧に埋め込まれた魔道具の核を起動させます。

 

「……戦女神の恩寵厚き鎧よ、オイラたちの頭目に、激励を!」

「……うむ。かたじけないのじゃ」

 

 戦女神の奇跡、【鼓舞(エンカレッジ)*2です。

 柔らかな恩寵の輝きが、一帯に広がりました。

 鎧の宝玉に込められたこの戦女神の奇跡は、恐怖や混乱といった、精神への悪影響を防いでくれます。

 

 きっと呪いから伝わる怨嗟の声を、戦女神の恩寵は遠ざけてくれるはずです。

 苦難に挑む者に加護を与えるとされる戦女神的にも半竜娘ちゃんの在り方は好ましいでしょうから、きっと十分な恩寵が見込めるでしょう。

 

「さあ次じゃ。地脈との接続強化と、怨念の浄化のため、聖剣との同一化を」

「……はい」

 

 次に動いたのは、退魔の聖剣を握った文庫神官ちゃんです。

 彼女は結跏趺坐して座る半竜娘ちゃんの背後に、尻尾を跨ぐように立つと、聖剣を下に向けて突き刺すように構えます。

 

「お姉さま……」

「頼んだのじゃ。ほれ、一思いに」

「……っ、はいっ」

 

 背後の祠の上に止まった白梟使徒が【聖歌(ヒム)*3を歌う中で、退魔の聖剣に文庫神官ちゃんが【聖光(ホーリーライト)*4を纏わせます。

 手の中の聖剣が、聖別されて眩く輝きました。

 

 それを台座に納めるかのように、しかし、勢いよく。

 文庫神官ちゃんは、半竜娘ちゃんの尻尾の付け根に退魔の聖剣を突き刺し。

 貫通させ。

 地面に縫い留めました。

 

 半竜娘ちゃんは、既に【無念無想】*5の境地なのか、突き刺されたにもかかわらず微動だにせず。覚悟ガンギマリ勢ですねえ。

 

「あぁ、それでよいのじゃ」

「くっ。仕方のないこととはいえお姉さまを傷つけなければならないとは……」

 

 次にすかさず、TS圃人斥候が【施錠(ロック)*6の真言呪文を唱えます。

 

「何かの拍子に抜けたり外れたり、呪縛が解けても困るからなー」 TS圃人斥候が大地から伸びる可視化した呪腕も視界に入れて対象にとりました。唱えるのは3つの力ある言葉(トゥルーワード)

 

 ──── <クラヴィス()カリブルヌス(鋼鉄)ノドゥス(結束)> 【施錠(ロック)】!!

 

 これにより、聖剣と、半竜娘ちゃんと、【地縛(アースバウンド)】による呪縛をまとめて、魔力によって一つに緊密に結び付けることに成功。

 魔力によって概念レベルで結びつけられたことにより、大地からの【地縛】の呪腕、退魔の聖剣は、半竜娘ちゃんの肉体へと向けて地脈からの力を流す強靭な流路となったのです。

 これでちょっとやそっとでは接続は剥がれませんし、呪的接続(配管)の中を相当量のマナが流れても、内から弾けたりはしないはずですね。

 

 特に聖なる光を宿した退魔の聖剣は、流路であり、また、濁ったマナを浄化する(カナメ)でもあります。

 封印し邪悪を祓うという権能にかけて、この退魔の剣以上に適したものはありません。

 そのポテンシャルは、都市2つ分の悪霊どころか、世界ひとつを滅ぼす邪悪を封じることが出来るほどだと言います。

 

 そして自らの肉体にもその聖なる力を宿すべく、半竜娘ちゃんは、『コォォオオオオオ……』と息吹を強めていきます。

 特殊な呼吸法により肉体の(リミッター)を外して、さらに銀製の魔法武器に匹敵する聖性を肉体に付与するという武技です。

 名付けて曰く【転龍調息】*7

 

 聖剣に付与された【聖光(ホーリーライト)】を己の気脈に乗せて取り込み、地脈から浸透する呪力と混ぜて浄化し、己の身に纏わせます。

 

「コォォオオオオオ……!!」

 

 半竜娘ちゃんから溢れ出るオーラが黄金に輝き、立ち上っていきます。

 

 これは、まさに、御神体のような荘厳さ……!

 さらに輝く聖剣からの光が、光背となって広がっています。

 聖剣を握ったまま背後で祈りを捧げ続けている文庫神官ちゃんは守護天使(天部)のようでもあります。

 

 名付けるなら、金色半竜結跏趺坐像、とでもすべきでしょうか。

 

 静かに結跏趺坐して瞑目しつつ、尾を縫い留めている聖剣と、大地からの呪腕と、それを補強する【施錠】の魔力と、特殊な呼吸法によりそれらとのさらなる一体化を成した半竜娘ちゃんですが、これはすなわち、彼女そのものが、非常に強力な一塊の聖遺物と化したといってしまっても良いでしょう。

 

 さらに半竜娘ちゃんは請願します、己の細胞全てを祖竜のごとく賦活する祖竜術の奥義を。

 

「<大いなる父祖よご覧あれ! 呪われた渇き、全てを枯らす冥府の闇にも負けぬ我が命を!!> 【竜胞(ドラゴンセル)】!!」

 

 冷気と【分解(ディスインテグレート)】を除く、あらゆる魔法的な衝撃を吸収し、無効化する【竜胞(ドラゴンセル)】の祖竜術が、半竜娘ちゃんの細胞全てを強靭に作り変えていきます!

 

 なんとなく分かってきましたよ!

 

 つまり地脈── 龍脈── をストローのように用いることで呪われたマナを吸い上げ、それを御神体と化した半竜娘ちゃん自身が浄化することで、相手のリソースを削るという目論見なのでしょう!

 ……でも、それをやるには強力な吸引力が必要になるはずです。

 敵方の大悪霊からマナを引き剥がせるほどの吸引力が。

 

「大地の息吹を感じるのじゃ……。そう、この大地もまた、生きておる……!」

 

 半竜娘ちゃんの胸の中心に埋め込まれた【動力炉心】が、【転龍調息】の呼吸のリズムに合わせて輝きを増していきます。

 両腕に刻まれた【鮮血呪紋】がそれに呼応し、赤黒い稲妻を発し始め、赤雷により呪紋が虚空ににじみ出て出力を高めます。

 

 また、いつの間にか使い魔の闇竜娘が、竜骨の祠を収めるように大きく一巡りし、死霊術に必要な刻印を刻んでいました。

 

 

「さぁて、ではその呪い、その怨念、無念、すべてを吸い込んでやろうかの。 ──── <呪害を喰らい排するは竜の業なり、命脈を喰らうは我が(アギト)なり> 【命吸(ヴァイタルドレイン)】!」

 

 

 死霊術【命吸(ヴァイタルドレイン)】!

 生命力を奪う死霊術の一つですが、なるほど! これをポンプ代わりに使うわけですね!

 本来は生物にしか効果のない術ですが、地脈と深く結びつくことにより、無理やりに敵のリソースに直結して効果を及ぼしているようです。

 

 ゴゴゴゴゴと地鳴りがし始めたのがその証拠。

 地脈のマナがこちらに向かって大量に流動し始めたということです!

 

「では、仕上げを頼んだのじゃ!」

「任せなさい!!」

 

 半竜娘ちゃんの頼みを受けて、【魔法知覚】を磨いた弓手、交易神の聖印を提げた森人探検家ちゃんが、両手で構えた大弓に幾本もの矢を番えました。

 それぞれの鏃には、真言呪文と奇跡の両方の輝きが同居しています。

 

 ただ地脈を通じて吸引するだけでは、効率に劣ります。

 必ずしもその地脈の中をマナがスムーズに、かつ、大量に流れられるとは限らないからです。

 地脈が細すぎれば、いわば目詰まりのようなものを起こすことになります。

 地鳴りは、逆に言えば、目詰まりによる抵抗があるという証拠でもあります。

 

 地脈の拡幅、それが必要になるのです。

 

「──── <巡り巡りて風なる我が神、我が鏃を以て、呪われし同胞を天地に還す道を穿たせたまえ> 【解呪(ディスペル)】!

 そして──── <クラヴィス()ノドゥス(結束)リベロ(解放)> 【解錠(アンロック)】!

 解放のための祈りを載せて! 我が渾身! 魂の十六連射! 【十六夜(いざよい)撃ち】、2連!!」

 

 目にも留まらぬ早業!!

 森人探検家ちゃんの鍛えられた指と腕が、その限界を超えた速さで矢をつがえ、撃ち放ちます。

 それは【魔法知覚】が捉え、大地の精霊が地鳴りという形で教えてくれた、地脈の目詰まりを起こした幾つもの地点へと降り注ぎました!

 

 死者の都までの地脈の上、幾つもの大地の要訣に突き立った16本×2、32本の矢は、その鏃に込められた【解呪】の奇跡によって、大地に煮凝(にこご)る障害物たる悪性のマナを消滅させ、さらに【解錠】の魔法によって地脈自体を拡張させたのです!

 

 術と弓矢の奥義の反動により、森人探検家ちゃんが崩れ落ちようとします。

 

 しかし、同時に半竜娘ちゃんがさらなる術を行使。

 

 

「── <呪害を喰らい排するは竜の業なり! 命脈を喰らうは我が(アギト)なり!> 【命吸(ヴァイタルドレイン)】! 【命吸(ヴァイタルドレイン)】! 【命吸(ヴァイタルドレイン)】! 【命吸(ヴァイタルドレイン)】! 【命吸(ヴァイタルドレイン)】!!」

 

 

 【命吸(ヴァイタルドレイン)】を、重ねて5つ。

 最初の呼び水として呪われたマナを吸い出すのに使ったものを合わせて、累積して6つ。

 

 それぞれの【命吸】の術の吸い出し口は、死者の都に蠢く呪われたマナのそれぞれ別の個所に接続。

 それが、森人探検家が【解呪】と【解錠】を込めた32連射の矢によって拡張した、竜骨の祠へと向かう地脈を通過するようにパスを形成。

 さらに竜骨の祠に到達したマナは、【施錠】により強固に結びつけられた、【聖光】を宿した聖剣と【地縛】による呪腕を介して、全身を【転龍調息】によって聖なるものとした半竜娘ちゃんに流れ込みます。

 そして半竜娘ちゃんの聖性を帯びた肉体を介して浄化されたマナは、6つ重ねられた【命吸】の術の吐き出し口として、闇竜娘や白梟使徒も含む、一党全員(4人+2体)に割り振られたのです。

 

 

「来た、来たぞ! 皆の衆、備えよ! 溢れるマナで破裂しないように気を付けよ!!」

 

 

 怒涛と言っても足りないほどの、大河激流のごときマナの流れが、死者の都(ネクロポリス)からこちらへとやってきます!

 

 崩れ落ちかけた森人探検家ちゃんは、しかし膝をつく前に、大量に流れ込んできたマナによってその消耗を回復させられ、踏みとどまることができました。

 

「これは──── 力が溢れてくる!!」

 

「こりゃやっべえ。今なら何でもできそーだぜ」

「これほどのマナが、いえ、私が受けている6倍以上のマナを、お姉さまは浄化し、制御なさっているというのですか……!」

 

 他の仲間たちも、流れ込む清浄化されたマナを受けて高揚しています。

 さらに言えば、術を介して半竜娘ちゃんと繋がることにより、半竜娘ちゃんに引きずられて実力を引き上げられているのかもしれません。

 

 

 ですが、敵もそのような状況を座して見ているだけなハズもなく。

 遠くに見えるネクロポリスで動きがありました。

 

「ひ、ひ、ひ。やっこさんもお出でなすったようだぜ、皆さま方!」

 

 悪魔の翼で空を飛ぶ闇竜娘ちゃんが指差した先には、動き出した恐るべき大悪霊の一部たちが!

 

 死者の都を守る石像たちが、その手に武器を持って動き出し、

 絢爛な霊廟に安置されていたミイラたちは、生前以上の技量を持って甦り、

 毒蛇、大蠍、肉食甲虫、砂漠飛蝗、人喰蟻が悍ましい数の群れとなって這い出し、

 黒い煙のような怨霊が瘴気の領域を伴って霧か何かのように押し寄せてきて、

 砂が巻き上がって意志を持ち、まるで砂嵐でできた巨人のようになって、

 その全てが、竜骨の祠へと向かってこようとしているのです!

 

「手前は動けぬが、全力の支援を行うのじゃ! <セメル(一時)キトー(敏速)オッフェーロ(付与)> 【加速】六連! <竜血の加護ぞあれ!> 【竜眼】! 【竜鱗】! 【竜顎】! 【竜翼】! 【竜命】! 【閃技】! 【竜胞】!」*8

 

 半竜娘ちゃんが一党全員に支援を飛ばします!

 何という大盤振る舞い!

 常に流れ込む膨大なリソースを呪文能力に全振りしています。

 

「<蠟燭の番人よ、知の防人よ! 行く先に待つ陥穽を、どうか我らにお知らせください!>」

 

 さらに限定未来予知の付与を、文庫神官ちゃんが全員に対して行いました。*9

 何という大盤振る舞い!(二回目)

 

 これに勇気を得たTS圃人斥候が、詠唱で【矢避】を張り、巻物を読んで【力場】【抗魔】といった防御系の術を重ねます。

 そこからさらに、【幻影】の術で、敵を幻惑し混乱させ、視界を遮り集中を削ぐような幻を創り出しました。

 

「まー、遠距離攻撃は持たねーけどよー、嫌がらせに関しちゃ、オイラに任せな!!」

 

 流石ニンジャ! 搦め手に関しては頼りになります。

 

 

 使い魔である闇竜娘ちゃんは、【分身】のスクロールで2人に増えると、一方は真言呪文【分解】を撃ちまくる砲台となり。

 

「あはははは! 【分解(ディスインテグレート)】! 【分解(ディスインテグレート)】! 【分解(ディスインテグレート)】!!」

 

 もう一方は、半竜娘ちゃんによる七つ目の【命吸】によるバックアップ+各種バフを受けると、高らかに「【竜 装(チェィンジ! ドラゴン!)】」と叫んで、【不羈なる竜女王(インドミナス)】に変身すると、こちらはこちらでドラゴンブレスと【竜吼】により「GGGGRRRRROOOOOOOO!!!!」と攻撃を始めました。

 

 白梟使徒は、上空から聖歌を響かせながら、「天の裁きなのです!!」とばかりに【聖撃(ホーリースマイト)】の雷を連射しています。

 

 そして森人探検家ちゃんはといえば、強化された視力によって敵の呪文遣いを見つけると、アンデッドを成仏させる【解呪】を付与した鏃で的確に射抜いていきます。

 

「森人に見晴らしのいい高台を押さえられた意味を教えてあげるわ」

 

 

 そうして戦うこと数時間。

 

 時間は半竜娘ちゃんたちの味方でもありました。

 その証拠に、【命吸】により相手のリソースは目減りする一方です。

 日も高く、敵が力を増す夜はまだ遠いのです。

 

 太陽が昇ってアンデッドが焼かれる中でも敵は構わず次々と進行してきています。

 焦りによる力押し。

 リソースの吸収による兵糧攻めは、確かに効いているのです。

 

 雑魚は闇竜娘の分身が放った【竜吼】によってショック死してマナに還り、大地を通じて【命吸】により吸収されていきましたが、逆説、精鋭はまだ残っているということ。

 残った敵の精鋭は、一撃で倒すというわけにもいかなくなり、こちらも徐々に押し込まれつつある……かというとそうでもなく。

 

 なぜなら、数を揃えるのであれば、こちらにも【竜牙兵】の術があるからです。

 【竜牙兵】に【竜牙刀】を持たせ、軍勢を成して対抗するのです。

 多勢に無勢は、いまや敵の方です。

 

「そろそろ頃合いじゃの……!」

 

 そして呪われたマナが薄らいで、半竜娘ちゃんが貯め込んだ清浄化されたマナも膨大になってきたため、半竜娘ちゃんは最後の一押しをすることにしました。

 

「精霊には、精霊を! 清められた想念よ! 砂塵の地に吹く熱き風よ! この地に澱んだ呪いを吹き散らせ!! 出でよ真なる精霊! 【顕現】せよ! サモン・ハイスピリット!!」

 

 これまで呪いによって侵食されることを恐れて行使しなかった精霊術。

 それを解禁し、しかも浄化されたマナを供物に、神にすら伍するという最上位の真精霊(トゥルースピリット)を呼び出したのです!

 

 

 思わず膝をついて祈りをささげたくなるほどの巨大すぎる力の具現を背景に、今回はここまで。

 ではまた次回!

 

*1
死霊術【地縛】アースバウンド:行動阻害系の術。呪文抵抗判定に負けると転倒する。フレーバーテキスト曰く、「魂を縛る」とのこと。

*2
鼓舞の革鎧:かつて牧場を襲ったゴブリンロードが持っていた魔法の大斧に嵌め込まれていた魔法の宝玉を移植した鎧。TS圃人斥候の装備。

*3
汎用奇跡【聖歌】ヒム:同じ神を信奉する同志の請願を助ける。

*4
汎用奇跡【聖光】ホーリーライト:アンデッドを祓う聖なる光を放つ/または物品に込めることができる。

*5
武技【無念無想】:雑念を捨てて戦いの流れに応じて自然に体が動く境地。ゾーン、超集中。特定の判定に魂魄値を加算できる。

*6
真言呪文【施錠】ロック:物理的な開閉機構を閉じて固定する。『閉じる』 『固定する』という概念全般に通じるので使い手次第で化ける呪文。なお今回は拡大解釈して、魔力的なものも縛っている。

*7
武技【転龍調息】:波紋の呼吸(JOJO)、あるいは、全集中の呼吸(鬼滅)、そして転龍呼吸法(北斗の拳)、スーパーサイヤ人(ドラゴンボール)。消耗によるペナルティの軽減と、五体総身のデーモン・アンデッド特攻付与。反動ダメージあり。

*8
【竜眼・竜鱗・竜顎・竜翼・竜命・閃技・竜胞】:付与系祖竜術オンパレード。詠唱省略。血を与える代わりに【命吸】のパスを通じて血脈(DNA)に眠る因子を覚醒させ、命中率向上、装甲強化、竜顎のヴィジョンによる自由行動での攻撃、空中機動出来る翼、毒と炎への完全耐性、武技ひとつの追加臨時習得、氷と分解以外の呪文ダメージの吸収を付与。全部乗せ状態。

*9
限定未来予知:知識神の奇跡【真灯】ガイダンス。この術が極まると、出目の片方を6に固定できる。つまりもう片方の出目が6ならクリティカルなので、1/6でクリティカルになるという鬼のような効果。卓によってはクリティカルとしては扱わない裁定もあり得ると思います。




 
吸引力の変わらないただ一つの半竜の巫女。見た目は砂漠ということも相まって即身仏の苦行に身を投じた僧みたいな感じになっている。そして一党全員の常時消耗回復&常時損傷回復。つまり、反動が直ぐに回復されるので、実質的に呪文・武技を使い放題!! 呪文の射程や効果もマナを突っ込むことで上限を超越している想定です。呪文使い放題のシチュエーションは、当SSの初心(古竜族滅)に返って、ということでもありますね。
なおコールゴッドが使えれば、もっと話は早かった模様(誰かに緊急的に習得させるか迷ったほど)。
この後は顕現したトゥルースピリットが、堕ちたる精霊を調伏してフィニッシュ。そのあとは清浄化したマナを逆流させて、古代陵墓のすみずみまで浄化します。

他には『全員を死霊術の【骸化(ゾンビーダンス)】でアンデッド化して敵に味方と誤認させてからの潜入急襲』とか、『真言呪文【跳躍(ジョウント)】でピラミッド中枢に空間転移してダイレクトアタック』とか、『いつもの【突撃】コンボで建物破壊』とかも考えましたが、自分の中ではこの『リソース奪取による自動回復、呪文使用無限化』がしっくり来たのでこれになりました。

次回はクエスト結果と、ゴブスレさんたちの方の様子かなと考えています。
 
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