ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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◆前話
ソルディオス・オービット、浮上!!
 


41/n 時の砂の秘密-6/6(撃墜そして吸収)

 

1.希望の朝(ニューホープ)は翠色ではないはずだ、決して

 

 

 朝。

 いやに明るいと思えば、太陽が二つあった。

 

(ミドリ)の太陽……?」

 

 名目上は未だにこの国の王女であり “姫君(ひめぎみ)” とも呼ばれることのある私は、囚われの窓から見えた光景に、目を疑った。

 朝日とは別に、(ミドリ)に燃える太陽がもうひとつ、街の上に浮かんでいたからだ。

 

 見ているだけで目が痛くなるほどの、毒々しく輝く翠。

 

 きらきらとした破片を溢しながら、翠の太陽が空を飛んでいた。

 

 

 唖然と窓から空を見上げる私の後ろで、この貴賓牢の扉が乱暴に開け放たれた。

 

「やってくれましたな、姫君」

 

「宰相……?」

 

 そこには嚇怒に顔を染めた宰相が立っていた。

 

 簒奪者。

 父の仇。

 独裁者にして圧政者、混沌に与する者。

 

 だが、“やってくれましたな” ……?

 いったい何の話だというのか。

 このように私自身は既に虜囚の身であるし、自分の手の者── 長く仕えた従者の凸凹コンビ── ですら捕らえたと宰相は昨日、自慢げに語っていたではないか。

 あのゴブリンを繁殖させている砦の帰り道の、砂船の上で。

 

 もはや私に残された手などないと言ったのは、宰相であろうに。

 

陽神行路(ソルディオス・オービット)を目覚めさせたのは貴女の手の者でしょう」

 

「……あの(ミドリ)の太陽は、“そるでぃおす・おーびっと” というのですか?」

 

「何を。白々しい。だが、まだ貴女に手札があったとは驚きだ。旧王派の残党か? それとも他国と結んだか? 内憂に外患。貴女の一族はどれだけ(ひと)の足を引っ張れば満足するというのか」

 

 いや本当に知らないのだが。*1

 首をかしげる私に、宰相は苛立たし気に舌打ちをした。

 

 まったく何も状況は分からないが……。

 

 宰相が困り果てているので、私は少しだけ胸のすくような思いがした。

 

 まあ直後に、そのような状況ではないと思い知るのだが。

 

「………ッ!? 正気かっ!? この街中で、都に向けて主砲を撃つ気だというのか??!!」

 

 宰相が焦ったような声とともに窓に取りついた。

 

 “おいバカやめろ この蜂起(レジスタンス)は早くも終了ですね” とか言う副音声が聞こえそうな、送り出した(そのあと捕まったと宰相は言っていたが)圃人の侍女*2の奇妙なジェスチャーが何故か思い起こされた。

 彼女は多くをしゃべらないが、その身振り手振りや表情は非常に雄弁なのだ。

 閑話休題(いや、いまはそれどころではない)

 

 

 私が宰相の肩越しに空を見た先にあったのは、(ミドリ)の光があの太陽のごとき巨大な球体の一点に凝集していく光景だった。

 

 焦る宰相のセリフから、私にもその凝集する翠が、何をもたらすのかは察しがついた。

 

 ──── 死と破壊だ。

 

「宰相。あれは私の指示ではありません」

 

 思わず真顔になって弁明してしまった。

 だが流石に弁明しなくてはならないだろう。

 民を庇護すべき王族として、あれが私の指示だと思われるのは本意ではない。

 

「でしょうな! 姫君に都を吹き飛ばすほどの度胸はないでしょう。まして姫君自身の御身諸共に私ごと王宮を吹き飛ばさせるなど。しかし、だとすればアレは、なぜ動いているというのだ……」

 

 ぶつぶつと何やら考察をする宰相。

 だが、その間にも空に浮かぶ翠の太陽(ソルディオス・オービット)の輝きは強まっている。

 

 アレが解放されればどうなるというのか。

 見当もつかない

 

 宰相の焦りようを見れば、きっとただでは済まないだろうということだけは分かる。

 

 いまにも空の翠の輝きは臨界を迎えようとしているではないか。

 

 

 もはや命運も尽きたか、と思われた私の前に現れたのは……

 

 

 

「【辺境最大】、推参!!」

 

 

 

 ……鴉の濡れ羽色の巨大な、巨大すぎる半蜥蜴人の少女であった。

 

 昨日宰相に歓待されていた冒険者。

 金字塔(ピラミッド)の大悪霊を討滅したという隣国の一党のリーダーだという、見上げんばかりの迫力の美女に酌をさせられたことは記憶に新しい。

 

 その彼女が、王宮の庭で、さらに10倍は巨大に変身して、王宮の背丈すら越えるまで巨大化して、あの翠の太陽(ソルディオス・オービット)に向かって立ちはだかったのだ!

 

 それはまるで衆生を救う光の巨人のような、威風堂々たる立ち姿。

 たなびく黒髪が紫電を纏い、蒼いエネルギーの光が彼女の肌を走り抜ける。

 

 こちらに背を向ける彼女、辺境最大を名乗る冒険者は、ズン、と(スタンス)を広げて空の翠を迎え撃つ。

 凄まじいエネルギーの奔流が、彼女の身体を駆け巡り、蒼いエネルギーの塊となって一点に集中していっているのが感じられた。

 恐らくは彼女の口のあたりへ集められている……。

 

 

 

 だが空の翠は、それを捨て置いたりはしなかった。

 空から、翠の太陽(ソルディオス・オービット)の下す無慈悲な判決の音が響く。

 

 

 

“ ──── 高エネルギー反応を確認.推定:ドラゴン.優先目標に設定します.”

 

“ ──── 主砲ソルディオスキャノン,発射します.”

 

 

 翠の光が弾ける。

 それは太い一条の光の奔流となって、巨大化して王宮に立つ半蜥蜴人の冒険者へと殺到した!

 

 

 

 

 だが目前の巨大な冒険者【辺境最大】は、その天の裁きに実力を以て異議を唱えた。

 

 

「ようし、受けて立つ!! 天地神明(ことごと)く光に消えよ!! 〈核撃・放射(フュージョンブラスト・ブレス)〉!!!」

 

 

 翠の光線と、蒼の熱線が交錯する────!!

 

 

<『1.主砲相殺! 主砲にエネルギーを回している間は自爆用キャパシタの充填速度が低下しているぞ。急いで内部からシステムを掌握するんだ!』 了>

 

 

▲▽▲▽▲

▼△▼△▼

 

 

2.スタコラサッサだぜ!!

 

 

 

 翠の太陽のような武装要塞が浮上したどさくさに紛れて、TS圃人斥候は一党の仲間を連れて、王宮から逃げ出していた。

 

 まあ半竜娘はご覧の通り巨大化して大立ち回り中だが。

 

「笑止! その程度か太古の要塞(ソルディオス・オービット)よ!」

 

 今も祖竜の力をその身に降ろして蒼い熱線を吐き、空飛ぶ丸い要塞の翠光の主砲を打ち消している。

 だがそれもいつまでもは持たないだろう。

 術の使用可能回数と言うのはそう多くはないのだから。

 

 だが武装要塞も修復中のものを無理やり起動したせいでボロボロだし、そもそも多くの乗組員が居て初めて満足に動かせるものを、搭載された人工知能のみで誤魔化し誤魔化し動かしている状態だ。

 そもそも長くは持たないし、長引けば主砲はひっこめて、自爆シークエンスの方を優先するようになるだろう。

 

「で、こっちはこっちで足手まとい連れて、パニックな街中を逃げなきゃならねーのか」

 

 TS圃人斥候が連れているのは、〈分身(アザーセルフ)〉に集中しているために気もそぞろな森人探検家(アーチャー)文庫神官(タンク)

 

「……解呪の奇跡を……」 「……瘴気*3を防いで……」

 

 この二人はあの機動要塞陽神行路(ソルディオス・オービット)の内部に置いている分身体を起点に、溢れる瘴気を抑えるという重大任務中だ。

 神の奇跡はこういう時に頼りになる。TS圃人斥候は、柄ではないので信仰に目覚めるつもりはないが。

 そちらの浄化を失敗させるわけにはいかないから、本体の方が夢遊病患者みたいなフラフラした足取りでも仕方ないだろう。要介護状態は甘んじて引き受けざるを得ない。

 

 使い魔/使徒連中は空を飛べるので、適当に先行してもらっている。

 

 

 そして他に引き連れているのは、圃人の自分と同じくらいの背丈の蜥蜴人の幼子が3人。

 

「足手まとい扱いは不服です……ふぁ~あ」 「初陣は済ませてるし……ねぃ」 「朝は弱いのに……むにゃむにゃ

 

 淡い緑の鱗の蜥蜴人の幼女、幼竜娘三姉妹だ。

 まあ蜥蜴人特有の朝の弱さがあるようで、本調子ではなさそうだが。

 え? 蜥蜴人は恒温動物? なら単純に朝に弱いか、慣れない異国での疲れが出てしまっているのだろう。

 

 

 周囲はパニックになった群衆が右往左往しており、とてもまともな状態ではない。

 同時に暴徒化しつつもあるようで、略奪や火事場泥棒も起こっているようだ。

 火事が起こっていないのが奇跡に思えるくらいの混沌だ。

 

 とある角では不良衛兵が日ごろの鬱憤晴らしに晒されてか民衆に袋叩きにされているし、治安維持を放棄して逃げ出す衛兵の姿も見える。

 そもそもこうも治安が悪化し、士気が下がっていたところにコレでは、そうなるのも当然だ。

 もはや治安維持機構は機能していない。崩壊している。

 

「んむむむむ。これじゃー逃げるに逃げられねえな」

「んむむむむー」 「ニンゲンはおろか」 「パニックパニックあわててる~」

 

 TS圃人斥候は状況の悪さに唸る。

 ついでに幼竜娘三姉妹も唸る。

 

「いやまあ、パニックになるのは分かる。だがここは落ち着いて避難してもらわにゃー困るぞ」

「さて」 「どうした」 「ものかー?」

 

 腕組みして唸るTS圃人斥候だが、その間にも足は止めない。

 そんな彼女らを小さい婦女子だと見て麻袋片手に拉致しようと襲い掛かってくる暴徒を、鞘に入れたままの短剣でぶちのめして転がしていく。

 この程度の相手は文字通りの片手間で片が付く。

 

 ちなみにその間にも、巨大化した半竜娘は近くのバザールの屋根を引っぺがして投擲し、陽神行路(ソルディオス・オービット)へとダメージを与えている。

 ……壮麗なバザールのアーケードが見るも無残に飛び道具にされていくのは、もの悲しいものがある。

 

 そしてそのせいでさらに群衆の混乱は加速していく。

 

 

「……仕方ねえ。ガラじゃねーけど避難誘導だ」

「誘導だー!」 「これは善人」 「でもどうやってー?」

 

「まあ、ちょっとした幻覚呪文の応用ってやつだ。ファルサ(偽り)ウンブラ()オリエンス(発生)! 〈幻影(ビジョン)〉──── “大声の衛兵集団”!」

 

 幻影呪文がもたらすのは、視覚への影響だけではない。

 聴覚への影響ももたらすことが可能なのだ。

 

 TS圃人斥候は自分たちには周辺に溶け込むような迷彩をかけて、そこから離れた場所に、衛兵の小隊の幻影を創り出した。

 そして、その幻影の衛兵たちに口々に叫ばせながら、あたかも走っているようにその幻影を動かす。

 

『街門まで逃げよ!!』 『翠の光は毒の光だ! 早く逃げろ!』 『ここから離れろ!! 死にたいのか!!』

 

 幻影の衛兵たちが民衆を追い立てる。

 いきなりのことで何が起きているのか分からなかった民衆たちも、逃げなければいけないことを悟って、街門へと駆ける。

 転んで踏まれる不運な者も居るが、致し方ない。完全に避難誘導できるわけではないので、それは割り切るしかない。

 

 濁流のように逃げ惑う民衆たちの後ろを、幻影による迷彩を被ったTS圃人斥候たちがひた走る。

 ……あまり観光は出来なかったのは残念だが、仕方なし。

 今は、この砂塵の国の都から逃げ延びることが先決だ。

 

 

<『2.TS圃人斥候「軽銀商会のお嬢の方も上手く逃げてくれてるといーんだが……。ま、気にしても仕方ねーか」』 了>

 

 

▲▽▲▽▲

▼△▼△▼

 

 

3.半竜娘 VS.陽神行路(ソルディオス・オービット)

 

 

「カァァアアアッ!!!」

 

 

“ ──── 目標の脅威度を上方修正.”

 

 

 巨大化した半竜娘の放射熱線(フュージョンブラスト・ブレス)と、空飛ぶ武装要塞 陽神行路(ソルディオス・オービット)の主砲ソルディオスキャノンは相殺され──── 僅かに半竜娘の熱線の方が優った。

 空飛ぶ球体(あんなモノ)の方は周辺の破壊を目的に、日干し煉瓦の建物を壊せればいいという程度の出力に絞っていたせいもあるだろう。

 都の上空でぶつかり合った蒼と翠の輝く光条は、蒼が押し切り、翠の砲口へ突き刺さった。

 

 

“ ──── 主砲稼働率低下.充填率を再設定.充填(チャージ).”

 

「チャージなどさせるものか! 奥義! 百歩神拳(バニシングフィスト)!!」

 

 武闘家としての氣の扱いを極めた先にある奥義。

 高めた気を放出して百歩先の敵にまで届かせる秘奥。

 それが百歩神拳(ひゃっぽしんけん)*4

 

 半竜娘の高められた氣は身体を駆け巡る動力炉心(パワーコア)由来の蒼い奔流と混じり合い、彼女の左手を白熱色に輝かせると、直突きの動作とともに猛然と放出された!

 

 膨大な氣の奔流は、砂塵の都に立つ尖塔の一部を掠めて崩壊させつつ、ソルディオス・オービットへと突き刺さる!

 

 

「オォオオオオッ!!!」

 

“ ──── 粒子外殻(プライマルアーマー)全力稼働.”

 

 

 半竜娘の放った氣の奥義── バニシングフィスト── は、陽神行路(ソルディオス・オービット)の翠の粒子による外殻を突破こそできなかったが、相手の機体を大きく吹き飛ばすことに成功する。

 空中に残る蒼い灼熱の拳撃の軌跡。都の外にまでそれは続いていた。

 

 大きく息を吐いて残心する半竜娘。

 全身全霊の氣を放つ奥義による消耗は重い。

 ましてや〈加速〉呪文で常の倍の速度で動いていればなおさらだ。

 

 

「問題ない。我が分身が(くさび)となっているがゆえに」

 

 

 コォ……と半竜娘が大きく息を吸う。

 励起した蒼の光が彼女の体表を迸り、無限の活力をもたらしていく。

 

 ──── そしてそこに、()()()()()

 

 

「分身の方の侵蝕は順調なようじゃな。魔導的なつながりを通じて、敵の炉心からもエネルギーが流れ込んできておるわ!!」

 

 

 分身が消耗すれば本体も消耗する。身体的そして精神的な消耗を共有しているがゆえに。

 であれば逆に、分身が活力を吸い上げれば、本体も回復するのは道理である。

 

 陽神行路(ソルディオス・オービット)が纏っている()()()

 それと同じものが、半竜娘の身体に満ちるエネルギーへと混ざっていく。

 

 あの飛行する要塞内部に侵入している彼女の分身が、動力炉心(パワーコア)による同化作用を後先考えずに全開で発揮して侵蝕しているのだ。

 

 

 その証拠に、都の外にまで吹き飛ばされた陽神行路(ソルディオス・オービット)の形が変わる。

 

 壊れかけの球体から──── まるで翼竜へと変じるように。*5

 支配率が入れ替わっていく。

 

 

“ ──── 不明なユニットが接続されています.深刻なエラーが発生しています.”

 

 

“ ──── 搭乗員は不明なユニットを排除してください.エラー,搭乗員はゼロです.”

 

 

“ ──── 搭乗員は不明なユニットを排joシてくダSaイ.エラー,エラー,エラー.”

 

 

“ ──── 致命的なエラーが発生しています.”

 

 

 

 

 

“ ──── あー,あー.乗っ取り完了したのじゃ!”

 

 

 球形から翼竜型に変形した陽神行路(ソルディオス・オービット)だったモノが、半竜娘の声音でしゃべりだした。

 半竜娘は、意識を同じくする分身から伝わる感覚に会心の笑みを浮かべる。

 

 己の分身の身体が機械の要塞と同化し。

 同化した機械の要塞はボロボロのその身に毒の炉心を抱え。

 今にもはち切れそうなほどの熱量を蓄えている。

 

 要塞内部に残されていた一党の仲間の分身体は既に消滅してしまっただろうか。

 だが無理もない。死力を尽くして翠の毒を浄化し、抗ったのだろう。立派に役目は果たした。

 

 分身体は機械の要塞(ソルディオス・オービット)を侵蝕したが……。

 全力で同化侵蝕したために、その存在は本体とは別個のものとして独立しつつある。

 

 

“ ──── 本体! 今のうちじゃ! 自爆自体はもはや、こちらからは止められぬ!”

 

 

 そして太古の昔に魔術師たちとの戦闘を想定して建造された武装要塞においては、当然備えられている機能がある。

 

 

 魔術師の使う “黒” の権能は、侵蝕が本分である。

 

 ゆえに。

 

 対魔術師兵器であれば、侵蝕された場合の対策は必須でもある。

 

 

 すなわち、自爆。滅却。抹消。

 技術者たちの面目躍如だ。

 それは何よりも優先されて行われる。この期に及んでは、内部からのシステムの介入すら許さずに。

 

 

 

「応とも!! 征くぞッ!!〈竜胞(ドラゴンセル)〉! 〈突撃(チャージング)〉!!」

 

 

 半竜娘本体の巨体が、軽功の武技により軽やかに都の建物の上を駆け、街壁を踏み切って飛び上がる。

 

 祖竜の神威を纏った渾身の突撃。

 両の腕に輝く鮮血呪紋に、蒼い光が混じる。

 

 そしてその身の細胞一つ一つの二重螺旋に眠る竜の力を呼び覚ます。

 全てを喰らい、糧にする、古の黒き鱗の怪獣王の力を。

 

 

 対する翼竜型に変形した武装要塞陽神行路(ソルディオス・オービット)の融合体は、自爆を早めるために、他の一切の機能を放棄した。

 粒子外殻は失せ、主砲に灯る翠の光は消え、天からも失墜し始めた。

 それは本能に等しい基幹設計に刻まれた動作であった。

 

 

“ ──── 侵蝕同化作用最大! 融合体を、能う限り分霊側(アストラルサイド)に寄せる!”

 

 

 陽神行路(ソルディオス・オービット)に融合した分身体は、本来的には魔力で形作られた影である。

 それゆえ、その影が独立して実体化する際には、融合体全体が、魔力とも、物質ともつかぬ、幽冥の境に置かれることになる。

 全体が、魔力で練られた分身であると同時に、巨大な物質である武装要塞でもある。そのように裁定されるのだ。

 

 もちろん要塞の側の膨大な質量により、やがては融合体は物質として確定し、半竜娘の影(ぶんしんたい)とは別個の存在として確定するだろう。

 だが、それは今ではない。

 

 どっちつかずの、どちらでもあり、どちらでもない状態。

 己の影と重なった、翠の太陽。

 下拵え/お膳立ては出来ている。

 

 であるのならば。

 

 

「鮮血呪紋、全力駆動!

 我が胸の動力炉心よ!

 全てを喰らう祖竜の細胞よ!

 翠の太陽を! 翼神竜を喰らい尽くせ!!」

 

 

 激突。

 

 そして。

 

 

<『3.あとには雲一つない青空だけが残った』 了>

 

 

 

 半竜娘ら一党は、砂塵の国の宰相の企みの一部を挫いた!

 陽神行路(ソルディオス・オービット)撃墜により、経験点1250点獲得! 成長点3点獲得!

 

 半竜娘の胸の動力炉心(パワーコア)に翠の光が宿った!

 獣人専用技能【注入毒(猛毒)】(習熟段階)を習得! 素手攻撃に毒属性の追加ダメージが乗るようになった!*6

 冒険者技能【免疫強化】が初歩段階から熟練段階へと2段階成長! 毒や病気などへの体力抵抗判定に+3ボーナス!

 

 

*1
◆旧王派は強大?:濡れ衣。酷い誤解だ。でも宰相視点だと、いくら凄腕とはいえ、ポット出の冒険者一党(半竜娘たち)がその日のうちに秘密古代兵器を起動したというよりも、敵対派閥が工作を仕掛けてきていたという方が筋が通るのだ。なにせ、半竜娘たちには動機がない(宰相視点だと半竜娘はループ時の記憶は持ってないし古代兵器の情報も知らない)はずなので。

*2
◆圃人の侍女:原作小説11巻登場。セリフが描写されることがない侍女。森人の侍女との凸凹コンビで、姫君含めて3人は友人。おそらく圃人の侍女のモチーフの一つはスターウォーズの「R2D2」。その相方の森人の侍女の方は「C3PO」モチーフと思われる。

*3
◆翠の瘴気:コジマ的なサムシング

*4
◆武技(奥義)百歩神拳:射程100mの気による遠当て。魔法の武器による遠隔攻撃扱い。消耗+2。受動側は呪文抵抗判定。抵抗成功で無傷。通れば装甲値半減扱いダメージ。隻手(かたて)で鳴らす拍手に音はするのか──── この禅問答じみた問いに対して、極まった武僧は、氣を高めた先で、その音を聞くことになるでしょう。百歩神拳と書いて “かめはめ波” と呼ばせるか、何と呼ばせるかはPLの裁量で。半竜娘ちゃんの場合はガメラリスペクトでバニシングフィストと呼ばせました。

*5
◆太陽神の変貌:ラーの翼神竜が、スフィアモードからバトルモードに変形するみたいな感じ。羽化。あるいは孵化。

*6
◆【注入毒】技能:素手攻撃に毒属性の追加ダメージを載せることができる技能。習得段階が進むと猛毒(毒ダメージ増加)・麻痺毒(麻痺により達成値デバフ)に派生する。




 
◆TS圃人斥候の苦労
TS圃人斥候「ぬぁー!? 機動要塞が吹っ飛んでリーダーが突撃したは良いが、ちゃんと着地考えてるのか!? 念のため、機体内に残してきた分身に同調……そして真言呪文〈脱出(エスケープ)〉! エゴ()オプティマス(最良)モードゥス(方法)!」

TS圃人斥候「なんとか陽神行路(ソルディオス・オービット)の消滅前に分身は脱出できたが……案の定、リーダーが気を失って墜落しとる!? 残してて良かった呪文使用回数あと1回っ、真言呪文〈浮遊(フロート)〉! ウェントス()セメル(一時)コンキリオ(接続)!」

TS圃人斥候「空中浮遊からのキャッチ! って、()っも!!? なんかまた成長して(でっかくなって)ねーか!?」

TS圃人斥候「ひぃ、はぁ。なんとか無事に地上まで下ろせたぜ……。あとはここで、都を脱出してくる本隊と合流まで待機だな……あー疲れた!!」

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◆ダイマ
 ゴブスレ公式TikTokが開設とのことですわよ! → https://twitter.com/GoblinSlayer_GA/status/1639544164412190720
 そしてTRPGのシナリオ集(既存媒体発行済み3編+原作者書き下ろし1編)付き入門セットも2023/03/28に出ましたことよ! → https://www.4gamer.net/games/436/G043667/20230206029/

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◆追記:
次回は、そのころのゴブスレさん一行(+鉢巻剣士くん一党)の若赤竜との戦いの様子とか、うっかりソルディオス・オービットの名前を口にしてしまった半竜娘ちゃんに疑念を抱いた宰相が追手をかける話とか、その他原作小説12巻に向けての話になるかと。
 
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