ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
◆前話
不穏な隣国、砂塵の国にて商売を隠れ蓑に諜報活動をしていた軽銀商会の会頭たる女商人からの依頼を受けた半竜娘たち一党*1は、見事にその任を果たし、砂塵の国の簒奪宰相が発掘していた太古の武装要塞の情報を抜くことに成功した。………その過程で不幸な事故により武装要塞のうちのひとつ、空飛ぶ球形砲台である【
用も済んだので混乱する砂塵の国の都を後にした半竜娘たち一党は、国境の砦まで戻ってきたが、そこは巨大な鎧付き芋虫の群れに襲われており……!?
半竜娘(祖竜信仰を極める武僧系冒険者Lv10)+闇竜娘(術師系の使い魔デーモンLv9)、
森人探検家(
TS圃人斥候(更生した元男なニンジャ系冒険者Lv8)、
文庫神官(タンクに転向した神官系冒険者Lv7)+白梟使徒(知識神の使徒の白梟(獣人形態有)Lv7)。
それに幼竜娘三姉妹(生後1年未満の冒険者
42/n 東部戦線異状なし-1(黒玉の巨大具足虫 ジェット、襲来)☆キャラAI絵あり
はいどーも!
成り行きで蟲退治に加勢する、だけどそんな冒険すらも
さて、遠くかなたに見えるのは、黒光りする鎧のような甲殻に覆われた、家ほどもある巨大な芋虫か具足虫のような怪物の群れ。
そしてそれに襲われる、王国東の国境砦。
戦塵。
刃と物の具の煌めき。
魔術の揺らぎ。
怒号。
絶叫。雄叫び。
蟲の鎧の軋みと、嘶きのような鳴き声の重奏。
「いやあ剣呑剣呑。乱世であるのぅ」
「けんのんー」 「らんせらんせー」 「いくさ? いくさ?」
こら、そこの
……幼竜娘三姉妹と普段一緒に居る時間が少ない半竜娘ちゃんは、蜥蜴人流の英才教育に余念がないようですね。
戦の気配にテンションが上がっている野蛮人が若干名居ますが、それはさておき、どうも砦の方はかなり大変な様子です。
「リーダー。どーする? このままスルーして帰国しても良いと思うけどよー」
TS圃人斥候はリスク回避主義ですので、このまま戦に加勢しかねない
善良な王国民としてはきちんと国境の砦というか税関を通って帰国するべきですが、肝心の砦があんな有様であれば、緊急避難的に別のところから密入国したって許されるでしょう。空飛ぶ絨毯に乗っていますし、密入国くらい余裕です。
「そうね。それに私たちが砂塵の国で得た情報も、早く王国中枢に報告すべきでしょう? ここで足止め喰らうのは得策ではないわ」
森人探検家もそれに同調します。
実際に、半竜娘たちが得た、砂塵の国が発掘し戦力化中の
早めに然るべき筋から報告するべきでしょう。
なおこれはメタ視点の情報ですが、実際のところ………
とはいえそれは、半竜娘ちゃんたちは知らないことです。
それはさておき。
「私は救援するべきだと思います! 同胞の窮地を見捨ててはおけません!」
文庫神官ちゃんは砦に救援に行くのを支持します。
実際のところ、半竜娘ちゃんたち一党は戦力にもなりますし、あるいは神官や魔術師として後方支援に回っても良いでしょう。
さて一党の頭目たる半竜娘ちゃんの判断は……というと。
「ここで加勢しておくべきじゃろうな。推測になるが、あの黒い鎧の大芋虫………恐らくは古代の
「は? リーダー、マジで?」
「そうなの?」
「でも、生き物っぽいですよ?」
半竜娘ちゃんの発言に、しかし一党の三人は半信半疑です。
「然り。黒き
「えっと、じゃああれは、技術再現して、その肥育だか養殖だかされてたものが逃げ出したものなのかしら?」
尋ねる森人探検家に、半竜娘ちゃんは腕組みして首を捻ります。
「………いや、それがそうとも言えんのじゃよなぁ。手前が王宮で石板を解読させられた時点では、黒玉の巨大蟲ジェットの製造設備や卵の発掘もまだこれからじゃったはずじゃし」
どうやら砂塵の国では、あの巨大鎧芋虫あるいは巨大具足虫であるジェットというタイプの武装要塞は、再稼働や量産には漕ぎつけられていなかったはず、とのこと。
半竜娘ちゃんが読んだ石板の知識を基に発掘して量産に動いたのだとしても動きが早すぎますし、空飛ぶ球型の武装要塞『
と、そのとき風向きが不意に大きく変わりました。
遠くに見える戦塵が揺らぎ、こちらに流れ始めます。
黒光りする巨大な芋虫だか具足虫だかの群れに
「お、風向き変わったな。こっちが風下になってる今のうちに移動すれば気づかれる心配も────って、クッセえ!!! 腐ってやがるのか!?」
TS圃人斥候がセリフの途中で鼻を押さえて
「くちゃいー!」 「ぴーーー!!」 「うぐっ、えぐっ、ひーん!?」
幼竜娘三姉妹たちにも大ダメージです。
空飛ぶ絨毯の上で鼻を押さえてジタバタと転げまわっています。哀れ……。
なんと風に乗って戦場の方からやってきたのは、強烈な腐臭だったのです。
「腐臭………! 〈追い風吹かす精霊よ、追加でお願い聞いとくれ。瘴気を寄せぬ渦となれ〉!」
「〈シルフィード。森の子からも重ねてお願いよ〉」
即座に半竜娘ちゃんと森人探検家が、空飛ぶ絨毯に追い風を送ってくれていた風の妖精に働きかけて、腐臭の侵入を防ぐように風を巡らせます。
精霊術【
「あ゛~~~、なるほど……何となく事態が見えてきたわね………」
「おそらくはどこかの死霊術師が、太古の半生体兵器の亡骸ですとか、そのなり損ないの廃棄物ですとかを見つけて蘇らせたのでしょうね………」
「う゛~~、さっきよりマシになったとはいえひどい臭いだぜ………」
遠く離れたここでこれほど臭うのでしたら、国境砦は果たしていったいどれほどの悪臭地獄なのでしょうか。考えを巡らすことすら恐ろしいです。
「おそらくはこれも砂塵の国の『時の砂』を奪った影響の一つじゃろうな」
「そうか、『時の砂』が健在なら、あーいう貴重な古代の遺物が盗み出されたって、時間を戻して対策すれば無かったことに出来るもんな」
「おかげで手前らが無事に逃げ
これまでであれば、砂塵の国の簒奪宰相は、どこぞの馬の骨に発掘した武装要塞を奪われるようなことがあっても、時間を戻して対応することもできましたし、実際にそうしてきたのでしょう。
ですが、その切り札たる時間に関する秘宝は、時空間属性の精霊に零落した
砂塵の国の簒奪宰相の切り札は、失われてしまったのです。
そうでなくば、半竜娘ちゃんたちは、砂塵の国の王宮でことを起こす前まで時間を巻き戻されて、予防拘禁されてしまっていたことでしょう。
あるいは王家の最後の生き残りである姫君の身柄を犠牲にすれば、簒奪宰相は幾らか『時の砂』をまた増やせるかもしれませんが、そうなるといよいよ先が無くなりますから、そうはしないでしょう。
本来であれば、王家の血を飼って、時の砂の安定供給体制を作るのが、宰相の描いた絵図面の一つでした。
窮したからといって、種籾にまで手を付けては、将来が立ち行かなくなりますからね。
「まあ砂塵の国の切り札は『時の砂』や『武装要塞』だけでもないのじゃ。沙漠に眠る数々の魔神や英霊、そしてドラゴンのような魔物……それらを復活させ、従えること。それがあちらの基本路線じゃった。であれば、あの簒奪者の宰相のことじゃ、既にさらなる奥の手くらいは砂の中から手に入れておるのじゃろうさ」
「それにあの腐った黒鎧の大芋虫だって、自分の手駒にできなくても、砂塵の国から出ていってくれる分には問題ねーもんな……」
沙漠は広大で、縦深として十分な面積があります。
厄介な過去の遺物を掘り返し、手駒に出来ればそれで良し。
そうはできなくとも、追い払って他国に押しやるなりすれば上々。
最悪でも、沙漠の広さが被害への対策を練る猶予を持たせてくれるというわけです。
実際、
「まあとりあえず、じゃ。
あの砦を助けることとしようかの。義を見てせざるは勇無きなり。
手前らの得た情報は、砦から早馬でもなんでも出してもらえば良かろ」
「本音は暴れたいだけじゃないの? でも了解よ」
「しゃーねーなー」
「頑張りましょう、お姉さま!」
というわけで、国境の砦を救援しに行くことになりました。
まあ、秩序にして善なる……とまでは言えなくとも、少なくとも善なるパーティではありますからそこは既定路線でしょう。
「でもよー、助太刀するっつったって、砦に入るより先にまず、あのデッケェ芋虫ゾンビの群れをどうにかしなきゃだぞ? 無理じゃね?」
「なぁに、手前に良い考えがあるのじゃ!」
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何千年、あるいは何万年と、砂の中で乾き朽ちゆくだけだった黒玉の甲殻を持った巨大なワーム。
かつてのコードネームを、黒き玉のような機体から『ジェット』と名付けられていたそれらは、とある非常識な力量を持った死霊術師*2の手によって蘇らせられ、王国に騒乱を振りまくための手駒とされていました。
といっても、特に制御がされているわけでもない様子。
アンデッドとしての根本的な飢えに基づいて、近くの生命力が集まっている場所── つまりは砂漠から離れる方向に。そして兵士の集う砦へと── 目がけて機械的に進軍しているに過ぎないのです。
支配し、操作するにも、リソースを使いますからね。
下手人は、とりあえず当面自分の邪魔をさせねばいいと割り切って、秩序勢力を混乱させるために無節操に騒乱を引き起こしています。黒玉の巨大鎧芋虫/具足虫も、その一環です。
黒玉が狙う獲物の優先順位付けは、単純な仕組みです。
ですが、それゆえに逸らすことも難しいのです。
これが普通の人間サイズのゾンビであれば、堀でも掘っておけば良いのですが、相手は小さなものでもサイズが家を超えるような化け物たちです。
堀に落とそうにも、そのような大きな堀を作ることはできませんからね。
あの黒玉の死せる大具足虫の群れのシステムとして、より美味そうな餌へと集るのは避けられないのです。
「じゃが、もしも、砦にこもる将兵よりも美味そうな餌があったとしたら?」
そうなれば当然のことながら、そちらを追いかけることになるでしょう。
通常であれば、国境を守る大砦一つ分の生命力を上回る誘因力など期待すべくもないのですが……。
「なぁーにが『手前に良い考えがある』、だよ! リーダー!? 結局いつもの力押しじゃねーか!」
「がっはっは! この手に限るのじゃよ!!」
今、半竜娘たち一党のうち、半竜娘とTS圃人斥候は、空飛ぶ絨毯(2枚目)に乗って、 国境の砦から離れる方向へ向かって沙漠を縦断していました。
胸の
さらに半竜娘は【
ちなみに他のメンバーは、別の空飛ぶ絨毯に乗って、半竜娘とTS圃人斥候が巨大蟲の群れを誘引して砦から引き剥がしているうちに、そちらの砦の方に向かっています。
「太古の
いかにも体に悪そうな蒼い光と翠の粒子を撒き散らして沙漠を疾駆する “空飛ぶ絨毯”。
半竜娘とその分身体が囮……というか餌で、TS圃人斥候は運転手役というわけです。TS圃人斥候は貧乏籤ですね。
「この蒼と翠って、ホントに悪い影響ねーんだろうな?! 一応、毒無効の【
「直ちに影響はないのじゃ」
「それダメっぽくね!?」
「将来的にも影響はないのじゃよ! 我が竜血を溶かした水薬により祖竜の力を賦活させ竜の如き耐性を得たからには、何の心配も要らん!」
「リーダーの言葉を信じるぜ!??」
やいのやいの言う間に、後ろから追ってくる黒玉の巨大具足虫のゾンビの群れは、それまでに負ったダメージや成長段階の差による追跡速度の差により、やがては一直線に並んでいきます。
あとは、アンデッド特攻の【
振り返った半竜娘の【
それにある程度引き離してから半竜娘が胸の
その間に半竜娘たちは空飛ぶ絨毯による機動力を生かして、戻る黒玉の巨大具足虫たちを追い抜いて、国境砦まで飛んで戻ってしまえば良いのです。
「まあ、これを何度か繰り返せば、あれだけの数の群れも何とかばらけさせて各個撃破に持ち込んで漸減できるじゃろ!!」*3
「だといーけどな!!」
遊撃戦に持ち込めれば、機動力の差こそが戦の趨勢を決定づけるまさしく決定的な差になるのです。
このことを四方世界一の戦上手である蜥蜴人はよーく熟知しています。
とはいえ敵は強大で、その数は多い様子。
それなりに長丁場を覚悟しなくてはならないでしょう。
乗り掛かった舟です、西方辺境に戻れるのはしばらく先になりそうですね。
というところで、今回はここまで。それではまた次回!
なお時間が経つと兵器的に強化された再生力で、アンデッドから生身に戻る個体や、光波ブレードなどの兵装を再生する個体も出てくる模様。当SSにおいては、生物的な再生力の活用がコンセプトと想定。……とはいえジェネレーターの出力が追っつかない問題で、兵装まで再現されてもそんなに脅威にはならないですが。むしろ弱体化するまである。逆に言えば万が一でも半竜娘ちゃんが喰われたら、ジェネレーター問題が解決してヤバいことになりますが。
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◆半竜娘ちゃん一党のキャラクターのイメージ
AIさん(DALL・E 3)に頼んで出力してもらいました。活動報告にも載せています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=304593&uid=314174
【挿絵表示】
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◆ダイレクトマーケティング!
ゴブスレアニメ2期配信中! 最新話はabemaTVで1週間公開だー。 → https://abema.tv/video/title/174-10?s=174-10_s2&eg=174-10_eg0
これ2期は4話区切りで6巻(冒険者訓練所)、7巻(上の森人の婚姻)、8巻(ダンジョン・オブ・ザ・デッド)までやる感じっぽいですね! オープニングには、外伝ダイ・カタナの『君』も映ってるし。
当SSだと、7巻のエルフ結婚式編は94話目の「31/n 地獄の門は闇の奥に(The horror! The horror!)-1(遡上)」あたりです。