ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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◆前話
黒玉の武装要塞(アームズフォート:ジェット)のなり損ないを蘇生した巨大ゾンビ甲冑蟲の処理についてはパターンに入ったので先が見えてきた。増援の冒険者たちも到着し*1、後顧の憂いもなくなったところだ。久方ぶりにホームに帰ろうかと算段し始めた半竜娘一党だが、そこに新たな依頼が舞い込んだ。どうやら防衛戦の後もまた暫くは旅の空となりそうだ。

====
 
※AIさん(DALL・E3)に出力してもらった挿絵あり(マス)
 

*1
◆蜥蜴僧侶さんたち到着のタイミング:原作小説12巻では『冬空』と描写されているが、前話はまだ秋の頃と想定している。時期がずれたのは半竜娘ちゃんが沙漠の金字塔(ピラミッド)の大悪霊を調伏したりして、一帯の死者が減り、また半竜娘ちゃんの手により成仏させられた大悪霊を構成していた無数の魂が祖竜の管轄に流れるなどしたため、≪生≫と≪死≫の二柱の手が多少空いて、キャンペーンの進行が早まったせい。




42/n 裏(≪生≫と≪死≫の2柱の神が織りなす叙事詩(GMするキャンペーン))☆AI挿絵あり

 

1.アンデッド相手ならコレに限る

 

 東方辺境の砦を襲う巨大甲冑蟲のアンデッドの群れ。

 だがこれは王国を襲う異常の一部に過ぎなかった。

 

 水の都での麻薬の蔓延と、それを足掛かりにした混沌に与する内通者の暗躍未遂。*1

 

 別の場所では住処を追い出された飛竜が暴走。*2

 

 はたまた、魔神が率いる亡者の軍勢が辺境では砦を攻めるわ。*3

 

 混沌の軍勢によって街が一つ滅ぼされたので、そこに巣食った首魁を討ちに西方辺境の三勇士(ゴブスレさん・槍使いさん・重戦士さん)が投入されたり。*4

 

 それら全てが囮に過ぎなかったり。

 

 

 だがまあ、敵の手管による囮だからといって、それらの脅威への対応を(ないがし)ろにして良いわけもないのだが。

 

 

 

 

 さて、そうだ、東の砦の話だった。

 

 内乱に揺れる東の砂塵の国。

 その砂塵の国の簒奪宰相が砂の中から暴いた神代の遺跡からサルベージされた武装要塞(アームズ・フォート)の残骸。

 蟲型の半生体兵器だったそれの残骸は、すなわち死体であり─── 王国で暗躍していた強大なる死霊術師からしてみれば極上のリソースに他ならなかった。

 

 簒奪宰相が打ち捨てた武装要塞(アームズ・フォート)── 『黒玉(ジェット)』というコードネームが与えられていたようだ── にまで育ち切れなかったのであろう残骸たちの塚に仮初の生命を吹き込んでアンデッドとした死霊術師は、それを王国へと向けた。

 自らが四方世界というこの盤面を傾けて、その頂点(カド)へと至り、盤外を見渡さんと欲したが故に。その邪魔をさせないために。王国の対応能力を飽和させるために。

 

 

 東の砂塵の国から巨大なゾンビ化甲冑蟲の群れが押し寄せてくる。

 

 だがもはや対策は出来上がっていた。

 【辺境最大】の異名をとる冒険者率いる一党の差配により。

 そしてまた、砦を治める優秀で歴戦の女将軍の指揮により。

 

 波乱の要素も、負ける要素も、もはやない。

 

 加えて、初期の襲来を凌いでからは、東の国境を守る砦の陣容は厚くなるばかり。

 ますますもって磐石である。

 

 たとえ王国軍を動かすことが、敵の狙い通りだったとしても、それは構わない。

 敵の首魁のもとへ、最強の(メック)を叩きつけるための手筈は整っている。*5

 王国の都には、後詰として国王陛下の一党(金剛石の騎士のパーティ)も控えている。

 

 憂いなし、だ。

 

 

「あとは消化試合ってわけね。まったく、こんな戦いはさっさと終わらせるに限るわ。

 東の砂塵の国の内乱も、王国を襲う亡者の軍勢も、どちらも交易というお金の流れを滞らせる害悪!

 さっさと消えてなくなりなさい!」

 

 【辺境最大】たる半竜娘率いる一党の金庫番。森人探検家が風車の羽を象った聖印を掲げる。

 彼女は森人(エルフ)には珍しいことに交易神に仕える神官でもあり、お金の価値を良く分かっている。

 それゆえに、このような争いはさっさと終わらせたいのだろう。──── もし東の国が正常化し、交易が活発になれば、どれだけの富が生み出されるか!

 

 彼女が捧げる交易神への祈りに触発されて、輝くような風が集まり、聖印をふわりと支える。

 聖印に神威が降りてきて、風車の意匠を中心にそれを拡大するかのようにプロペラらしき影を作った。交易神の御印だ。風なる神の加護ぞあれ!

 

 森人探検家が朗々と祝詞を奉じる。

 

 

「〈巡り巡りて風なる我が神、彼らの魂魄を故郷へ還せ〉!!」

 

『『 IINNEELLFFOODDAAGGEEAAAA!!!!??? 』』

 

 塵は塵に、灰は灰に。死者もまた死すべし。

 森人探検家による〈解呪(ディスペル)〉の奇跡が、アンデッドである腐った巨大な甲冑蟲を吹き飛ばし、風に混じる砂塵へと還す。

 なり損ないとはいえ家よりも巨大な武装要塞(アームズ・フォート)が塵へ還り、吹き荒ぶ風に浚われていくのは圧巻だ。

 

「す、凄まじいですね……」

 鮫歯木剣(テルビューチェ)の蜥蜴人戦士と付き合っている交易侍祭(アコライト)が戦慄交じりに感嘆した。

 同じ神を信仰する者として、神官として非常に高位に至るほどの(カネ)を積んだ森人探検家への畏怖を覚えたのだ。

 交易侍祭は、己の首に提げた車輪の聖印── 交易神は風車とともに車輪もシンボルとする── を撫でると、森人探検家に尊敬の念を向ける。

 

 解呪(ディスペル)を使えるとはいえ、あのように巨大なアンデッドを一度に塵にするなど、尋常のワザマエではない。

 尊敬の視線に気づいた森人探検家が、交易侍祭に微笑みかけた。

 

「冒険を重ねれば貴女も直ぐにこの程度はできるようになるわ。……死なないこと、そうすれば経験値(スコア)はついてくる。そして風の導きを感じ、世の中にカネとモノを回すこと。それが大事よ」

 

「はいっ!」

 

「いいお返事。………やはり半分蘇りつつあるのがいるわね。解呪(ディスペル)が効かないのがいる」

 

「……ですがあそこは確か」

 

 進軍する比較的小型の甲冑蟲の群れを見て、交易侍祭は思案する。

 確かあそこには……。

 

 

 KABBOOOOMMM!!!

 

 

 そう、その地点は半竜娘一党のTS圃人斥候も加わった工兵隊によって、地雷原と化していたのだ!

 上手く罠にはめることができて上機嫌にガッツポーズするTS圃人斥候の姿が視界の端に見えた。

*6

 地雷の爆発は半生の甲冑蟲の群れを吹き飛ばし、さらに同時に仕込まれていた聖水によって、アンデッドのままの個体を浄化する。

 

「良い感じね。ろくな頭もないから毎度同じ罠に引っ掛かる。楽でいいわ」

 

 森人探検家の言葉の直ぐ後に、砦の壁から大筒が火を噴き、砲弾がさらに敵を削る。

 そしてついに、敵の群れの突進の勢いが止まった。

 

 遠く沙漠の側で兵士と戦士たちが鬨の声を上げ、前線の塹壕から飛び出し、動きが鈍った甲冑蟲の群れへと突撃する。

 取り付き、甲殻の隙間に刃を突き立てる。どこに攻撃すれば致命的かという知見も積み上がっている。甲冑蟲たちは効率的に『処理』されていく。

 交易侍祭の愛する鮫歯木剣(テルビューチェ)の蜥蜴人戦士もそこに混じっているはずだ。

 

 

「どうか無事で……。彼に風の(たす)けがありますように……!」

 

「前線のチャンバラも始まったわね。じゃあ私たちは怪我人が後送されて来るのに備えましょう。奇跡も温存しなきゃね」

 

「はいっ!」

 

 

<『1.物資損耗多大にして、負傷者多数、死者若干名。なれど我ら優勢なり。東部戦線異状なし。』 了>

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

2.出立の日

 

 

 それからさらに数日。

 

 いよいよほぼ完全なスペックに復活した黒玉(ジェット)武装要塞(アームズ・フォート)が、エネルギーブレードを振り回して吶喊してきたりしたが。

 数多の冒険者たちから魔術や奇跡等の支援を受けたスーパーグレート半竜娘がその前に立ちはだかり、怪獣大戦争で最終的にぶっ潰したり。

 

 そういった波乱はあったが、それを最後に大物は片付き、残すは小型のものばかりとなり、それも以前ほどの大群ではなくなった。

 要は残すは掃討戦というわけだ。

 

 

「ではな、将軍殿。また会う日までさらばじゃ」

 

「うむ。貴公も息災でな」

 

「助かったぜ、【辺境最大】!」 「姉ちゃんたちも達者でな~~!」 「また酒を飲もうぜ!!」

 

 半竜娘一党のこの砦での役目もこれにて終了。

 

 次の依頼のため、女将軍や大勢の兵士たちに見送られて砦を去る一党。

 

 麒麟竜馬に引かれて目指すは、収穫祭に合わせて迷宮探検競技をやっているというとある街。

 そこで、冒険者の立場から迷宮探検競技を体験し、視察し、ホームである辺境の街に知見を持ち帰るのが、新たな使命なのだ。

 

 

 

「いざ出発じゃ!!」

 

「はい、お姉さま! ハイヤー!」

 馭者を務める文庫神官が手綱を繰り、麒麟竜馬を進ませる。

 麒麟竜馬のいななきが響いた。

 

 半竜娘ら一党は、ゾンビ化巨大甲冑蟲の群れから東の砦を守り抜いた!

 防衛戦を戦い抜き敵を退けたことにより、経験点1500点獲得! 成長点5点獲得!

 

<『2.いざ、迷宮探検競技!』 了>*7

 

*1
◆水の街の麻薬汚染:剣の乙女の御膝元での異変。“鬼の衛視長” と呼ばれる厳しい人物(モチーフはビーストバインド・トリニティ(TRPG)のサンプルPC『鬼神警官』だろうか?)が取り締まるその最中での出来事に巻き込まれた密偵(パワポケくん)のチームが都市の影を駆ける(シャドウラン)。殺し屋だからって殺し屋らしい恰好をしなければならないなんて決まりはないのだ。

*2
◆飛竜の暴走:道中表でワイバーンを引いた棍棒剣士くんと至高神の聖女ちゃんと白兎猟兵ちゃんの奮闘。冒険の途中だがワイバーンだッ!! ニア コマンド『にげる』

*3
暗黒の軍勢(アーミー・オブ・ダークネス)の砦攻め:HFO三人衆が冒険に出かけたので、女性陣(魔女さん、女騎士さん、妖精弓手さん、女神官ちゃん)で冒険に行く話。商人の護衛で軍の砦に物資を届けたら、飛竜に亡者に魔神にと、暗黒の軍勢に囲まれてしまったので、籠城戦に参加することに。女騎士さんが半身ずらしの奥義を使ったり、女神官ちゃんが魔神の変化を謎解き(リドル)勝負で喝破したりする。 ワイバーン? 銀等級の冒険者にとっては幾ら落とせるかスコアを競う程度の手合いだよ……。

*4
◆廃都の冒険:先行して調査に入った鉢巻剣士一行(鉢巻剣士、女魔法使い、女武闘家、赤毛の少年魔術師、圃人の女剣士)は、忍びの者仕込みの技術で見事に廃都を調べ上げていた。彼らから引き継いで、ゴブスレさんたち只人戦士男(HFO)三人衆が廃都を攻略する。生贄の乙女を助け出し、邪教の儀式を阻止せよ! ……いやなよかんがする(I have a bad feeling about this)

*5
◆最強の駒:東の砦から届けられた転移の巻物は、ワイバーンの巣であった場所に繋がっている。ワイバーンを追い出して拠点を構えていたのは、死霊術師──── いやさ、 “死人の王” 。その本拠地へと直通する転移の巻物は、勇者による首狩り戦術のための切り札となる。地下に満ちる亡者に魔神兵に怪物たちを蹴散らして、四方世界の盤面をひっくり返さんと野望を抱く死人の王が支配する屍肉の魔宮を踏破せよ!

*6
◆地雷原の罠:TS圃人斥候「ッシャオラ!! ざまぁ見さらせ腐れ蟲ども!!」

*7
◆迷宮探検競技の視察:つまり辺境の街でゴブスレさんがダンマス務める迷宮とは別にオリジナル迷宮で風雲!迷宮探検!をさせることもできるし、元ネタのファイティング・ファンタジーのゲームブック『迷宮探検競技』のリプレイを載せることすらも選択可能ということ………!!




 
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