ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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◆前話
半竜娘ちゃん御一行、街道を行く。
その道中でロマの集団と邂逅し、かつて辺境の街の歓楽街を餓鬼まみれにした事件の黒幕、ロマの侯爵と呼ばれる踊り子の女性と再びまみえたのだった。


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※AIさん(DALL・E3)に出力してもらった挿絵あり(マス)
 


43/n 『迷宮探検競技』を視察せよ!-2(各地のいろんな迷宮探検競技)☆AI挿絵あり&FAご紹介

 

 はいどーも!

 身体が大きいことは良いことだ、とばかりも言っていられない実況、はーじまーるよー。

 

 前回は流浪の民であるロマが屯する野営地に入って、そこのお頭である『ロマの侯爵』さんと再会したところまででしたね。

 かつての騒動で廃人化していた彼女も、ロマの一団の仲間たちの献身的な介護があってか、日常生活を送れるまでに恢復していたようです。邪神信仰からも足を洗っているようだし、よかった、よかった。

 

 さてそれでは少しその野営地での様子を見てみましょう。

 

「じゃあ私は麒麟竜馬(あのこ)たちの削蹄と蹄鉄の調整に出てくるわね」

「任せたのじゃ!」

「ついでに交易神の信徒同士で情報交換もしとくわよ。ロマの生活は常に旅の空……ちらりと見ただけでも交易神に仕える同志は何人も見かけたもの」

 

 森人探検家は麒麟竜馬の世話と、情報収集を買って出てくれました。

 交易神の信徒は風の導きで四方世界の何処へでも巡っていくことで有名です。

 かつての ≪死の迷宮(ダンジョン・オブ・ザ・デッド)≫ の攻略最前線で冒険者たちを癒したのも、交易神の神殿でした。……まあもちろん適正料金で。金がなければ “ケチな背教者ね!” と言われるオチがついていましたが。単なる慈善事業では事業継続性がありませんからね、仕方ないね。

 

 

「そんじゃあオイラはちょっとおねーさんがたの方に顔を出すかね。命の洗濯~」

「手前は瞑想するかのぅ」

「私はお姉さまの子供たちの様子を見てますね!」

 

 TS圃人斥候はロマの一団の中の娼婦たちのほうへとフラフラと向かい。

 半竜娘ちゃんは馬車の近くで自然の息吹を感じながら瞑想し。

 文庫神官ちゃんは、幼竜娘三姉妹の面倒を見ることにしたようです。

 

 

 

 

 

 

 

 そうやって暫しの休息を取ったら、ロマの侯爵に別れを告げて再出発です。

 

「さらばじゃ!!」

「ええ、また会う日まで、辺境最大の竜姫さん!」

 

 旅路を助ける交易神の奇跡【旅人(トラベラー)】と、風の精霊の【追風(テイルウィンド)】の加護と、そして麒麟竜馬の俊足とそれに耐えられる独立懸架式の頑丈な馬車があれば、普通は野営地から1日はかかる次の街までも、直ぐにたどり着けるはずです。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 半竜娘ちゃんたち御一行は、街から街へと高速で麒麟竜馬に牽かせた独立懸架式突撃機動馬車を走らせ、各地の迷宮探検競技……に近い興行を視察していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 例えば、貴族の城館の庭園迷路を開放した、非常にライトな迷路探索。

 

 冒険者ギルドの職員は国家公務員として貴族の子女が勤めていますから、冒険依頼(クエスト)として視察を斡旋されていることを利用して、運営している貴族にも繋ぎが取れました。

 今はその庭園を管理する貴族家に仕える使用人から説明を受けているところです。

 

「なるほど、見物人が上から見られるようになっておるのじゃな」

「その通りです。物見用の背の高い客席を迷路の側に用意しています。……本人の迷路体験もそうですが、競争競技にする以上は、やはり競い合うその様子を観戦いただかなければ、と」

 

 半竜娘ちゃんの感想に回答する使用人さん。

 複数の入り口から別々に挑戦者たちが入り、中央に辿り着くタイムが早いものが優勝、という競技形態のようです。

「確かに参加者の人数はどうしても限られるからのう。興行として人を集めるなら、観戦者を増やす方が有利、と」 屋台収入だとかを考えると人を多く集められるに越したことはありません。

「純粋に御家族や恋人に活躍を見せたい、という方たちもいらっしゃいますし、それに順位を上げるために迷路を破壊するような不埒者を見つけるためにも、物見用の設備は必要ですね」

「競技監督は必須というわけじゃな」

 

 そうでもしないと、例えば半竜娘ちゃんなら、魔力のオーラを纏っての祖竜術【突撃(チャージング)】で迷路を形作る生垣ごと突破する、なんてこともできちゃいそうですものね。

 あるいはTS圃人斥候であれば、その斥候の技術や、【手仕事】技能、【工作】技能を使って、ちょちょいと生垣に隙間を空けることもできそうです。

 もしくは森人探検家であれば、森人(エルフ)としての種族技能である植物への干渉によって、生垣の植物に退いてもらったり、道を教えてもらったりもできるのかもしれません。

 

「しかし観戦できるとなれば、上から見たあとに参加する者たちが有利になるのではないかの?」

「迷路の道順は、一部、移動可能なように鉢植えにしている生垣がありますので、それを動かすことで切り替え可能です。選手が控えに居るあいだに、順路の組み換えを行います。……ああ、もちろん正解順路の最短距離はほぼ変わらないように計算していますよ」

 

 他にも謎解き(リドル)に答えることによる近道(ショートカット)なども用意されているとのこと。

 難易度によっては、順路に番犬が放たれていたり、迷路攻略中にすら生垣を動かしたりもするのだとか。

 参加者や観客を飽きさせない工夫があるようです。

 

「……迷路の中に生垣を動かす者を送り込むにはどうしておるのじゃ?」

「実は地下に競技監督者用の通路が張り巡らされているのですよ」

「なんと、かなり大掛かりな仕組みなのじゃな」

「実はこの館は古い遺跡の上に建っておりまして。有事の際に備えて地下の遺跡に慣れておくための使用人たちの訓練、という側面もあるのですよ」

「なるほどのう……大変勉強になったのじゃ!」

 

 領民にとっては毎年の興行でもあり観光資源でもあり、有事に備えた使用人側の訓練という側面もあるようですね。

 何かコトがあれば、地下の遺跡に敵を引き込んで捕殺したり、あるいは逃走路としても使うということなのでしょう。実践的な避難訓練というわけです。

 

 一石二鳥以上の意味を持たせることで、この庭園迷路を利用した迷宮探検競技は長く続いてきたのでしょう。

 

 そうやって運営のコツや、これまでに困ったことやその解決策についてヒアリングすれば、文庫神官ちゃんが綺麗にレポートに纏めてくれるので、それを西方辺境のギルドの受付嬢さん宛てに送ります。お仕事ヨシ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 また例えば、もっと驚かしに特化した地場のお祭りもありました。

 土着の信仰における『死者が戻る日』……いわゆる万聖節前夜(ハロウィーン)に合わせて行われるそれでは、モンスターに扮した兵士が、周辺の村を回って子供たちを追い立て、非常時の避難場所である代官屋敷であったり出城であったりまで子供たちを走らせるのだとか。

 凶事の先触れとして、悪鬼の扮装で混沌のスパイをしていた祖霊が、子孫に危難を伝えるために舞い戻るのだとかなんとか。

 これも云わば、避難訓練の一種ですね。

 

 そして子供たちが追い立てられた先では、怖い思いをさせた詫びというか、無事に避難訓練ができたご褒美に、豪華な料理がお出迎え、というわけです。

 ご飯の準備についても、炊き出しの訓練を兼ねているのでしょう。

 

 驚かされる子供たちの中には、これがトラウマになる子たちも居るみたいですね。

 ……さもあらん。

 

 なお半竜娘ちゃんがお手伝いとして参加し、割とガチ目に強者のオーラを振りまきながら追いかけたため、叱られが発生した模様。

 

「やりすぎですよ、冒険者殿!」

「ぬぅ、しかし本気でやらねばこういうのは意味ないじゃろ……」

「それでも巨大化して蒼い炎を吹いて大声で笑いながら追いかけてくる悪魔の仮装の蜥蜴人なんて、驚かすにしても行き過ぎです! 本気で怖がって逃げ散ってしまって、一時期行方が分からなくなった子まで出たんですよ!?」

 

 そらそうよ。まあ、トラウマになるよね。残当。

 “幸い、そちらの一党の斥候さんがすぐに見つけてくれたから大事にはなりませんでしたが……” と言いつつもこんこんとお説教するこの地の代官さんに、半竜娘ちゃんも流石に反省したのか、できるだけ背を小さく丸めてしゅんとしてしまっています。

 

「はい……反省しておりますのじゃ……」

「まあ今回限りのお手伝いさんということで参加いただきましたが、どうにも貴女はやりすぎる傾向があるご様子。……今後のご自身のためにも! そういったところは直すことをお勧めします!」

「はいなのですじゃ……」

 

 しょぼしょぼする半竜娘ちゃんに対してお叱りをしているお代官様に、一党の仲間たちからも『もっと言ってやってくれ』という感じの視線が突き刺さります。

 そうなんです、半竜娘ちゃんはときどきやり過ぎることがありますからね。一党の皆としても若干思うところがあったようです。

 

 まあ、文庫神官ちゃんなんかは、「そういうところもひっくるめて、お姉さまの魅力なのです!!」 と思っていそうな顔をしていますが。

 それに思い切りが良いのもまた、半竜娘ちゃんの良いところですからね。長所と短所はある意味で表裏一体です。

 

 とりあえず、このお祭りからは仮装のノウハウと、パニックになり過ぎない程度のちょうどよい驚かし作法についてヒントをもらいました。ではレポート送付!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、そうやって幾つもの迷宮探検競技的な興行やお祭りを視察しつつ、半竜娘ちゃんたちはいよいよ本命の催しをやっている街までやってきました。

 受付嬢さんからの依頼情報によれば、拠点(ホーム)にしている辺境の街で開催予定の、辺境の街版『迷宮探検競技』の形態に最も近いと目されているのが、この街の催しだとのことです。

 

「ここがその街なのじゃな……!」

 

 牙の街(ファング)と呼ばれることもあるこの街は、迷宮探検競技の本場として有名です。*1

 かつてどこかの土地で、一万枚の金貨と開拓村の永久統治権をエサに開催されたという、生還不能の超絶難易度を誇った『毒牙の迷宮』の踏破を目指す残虐なる『迷宮探検競技』の正当後継者を自称するのが、この通称牙の街(ファング)の迷宮探検競技です。

 まあ()()なので、元祖●●とか、本家●●、みたいなよくある謳い文句だと思っていただければ、そう外れてはいないでしょう。つまり、真相は誰も知らない、というわけです。

 

 

 さあ、すぐ行こう。いま行こう、いざ迷宮探検競技!! と、意気揚々と選手登録(エントリー)に向かった半竜娘ちゃんたち御一行でしたが……。

 

 

 

 

「あー、そりゃ、あの火吹山の闘技場の新人王、かの高名な鮮血竜姫(ブラッディドラキュリーナ)に参加してもらえるなら、うちの街としても光栄だが……」

 

 牙の街の迷宮探検競技の受付を務める男が、言葉を濁します。

 

「……只人(ヒューム)用に通路だなんだの大きさは調整しちまってるからなあ。

 あんたのその身体の大きさじゃあ、途中でつっかえちまうぜ? 悪いことは言わねえから、攻略参加はお仲間に任せて、今回は観戦だけにしときなよ」

 

 ぎゃふん!

 

 というわけで、今回はここまで。

 「なん……じゃと……」 と愕然としている半竜娘ちゃんを背景に、ではまた次回!

 

*1
◆牙の街ファング:独自設定。出典としては、ファイティングファンタジーシリーズで、死のワナの地下迷宮や迷宮探検競技の舞台となった、アランシア大陸のチャンマイ地方にある都市ファングより。そこを統治するサカムヴィット・チャラヴァスク公は、決して生きて出られぬ罠だらけの地下迷宮を造り上げ、高額の懸賞金をエサに挑戦者を募った。原作小説13巻においても、受付嬢さんの迷宮探検競技(辺境の街版)開会の口上で、「この毒牙の迷宮から生還した者には金貨一万枚と~~」という言及がある。なおその死のワナの地下迷宮だが、一度踏破されたあと改修され、パワーアップして復活する。サカムヴィット・チャラヴァスク公の執念の賜物である。




 
引き止められたにもかかわらず、このまま無理に牙の街(ファング)の迷宮探検競技に参加すると、狭い腹這いの順路あたりで尻尾がつっかえてしまって、にっちもさっちもいかなくなっちゃう半竜娘ちゃんの姿が見られることになります。

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◆ファンアートご紹介!
葛轍偲刳様から今度は文庫神官ちゃん(舎弟どもを躾ける鬼軍曹モード)と森人探検家さん(金貨を神殿に奉納するにときの正装的な)のとっても素敵なファンアートいただきました! 許可を得てご紹介させていただきます。ぜひぜひリンク先をご確認ください。葛轍偲刳様、今回もありがとうございます!

【ファンアート】文庫神官
https://www.pixiv.net/artworks/116630115
半竜娘ちゃんが銀等級になって郎党(クラン)を結成して以降、クランの下っ端には鬼軍曹的に認識されている文庫神官ちゃん。平気で手足の一本二本斬り飛ばしてくる上に、ガチタンクなので新人舎弟どもの打点はほぼ通らないという理不尽。下っ端視点の絶望感が感じられてとっても素敵…!

【ファンアート】森人探検家
https://www.pixiv.net/artworks/116657648
金貨に目を輝かせる俗物エルフな森人探検家さん。奉納の際なのでおしゃれ着してらっしゃるようでカワイイですね! あと多分金貨の海で泳いで功徳を積むための交易神殿指定の露出多めの衣装は実際あると思います(リンク先3枚目)。女神官ちゃんも地母神への奉納演舞でスケスケひらひら衣装着てるし、至高神に仕える剣の乙女さんの神官衣装はスリットえぐいし、各神殿にそれぞれそういう系統の衣装がありそうな気がしなくもない。

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◆ダイマ!!

原作コミックスがそれぞれ2024/3/25に一斉発売だ! 本編コミック版15巻に、イヤーワン12巻、ダイ・カタナ7巻、原作小説12巻のコミカライズであるデイ・イン・ザ・ライフ2巻の4冊が出ますぞ!

以下、各巻のフェア情報リンクです。
・原作コミック 15巻 → https://magazine.jp.square-enix.com/top/event/detail/2939/
・外伝1イヤーワン 12巻 → https://magazine.jp.square-enix.com/top/event/detail/2942/
・外伝2ダイ・カタナ 7巻 → https://magazine.jp.square-enix.com/top/event/detail/2940/
・デイ・イン・ザ・ライフ(原作小説12巻コミカライズ) 2巻 → https://magazine.jp.square-enix.com/top/event/detail/2941/
 
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