ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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◆前話
規格外な体躯を誇る半竜娘ちゃんは、そのサイズが原因で、牙の街ファングの迷宮探検競技を門前払いされてしまいましたとさ。
半竜娘ちゃん「ぬぅうう、じゃが、この程度では諦めんぞ!!」


====
 
※AIさん(DALL・E3)に出力してもらった挿絵あり(マス)
 


43/n 『迷宮探検競技』を視察せよ!-3(四姉妹です!!!)☆AI挿絵あり

 

 

 

「お、昨日の鮮血竜姫サマ御一行じゃねえか。ご本人の参加が難しいのは街としても残念だが、その分、お仲間さんたちの参加は大歓迎だぜ。………へぇ、そっちの小さい蜥蜴人の嬢ちゃんたちは、鮮血竜姫のお弟子さんかい? まさか娘だったりしてな! はっはっは」

 陽気な口調で言うのは、迷宮探検競技の受付をやっている男です。

 

「まあそんなところじゃ」 「「「 そんなところじゃー 」」」 「………()()()()()()()()()()()()()牙の街の迷宮探検競技を堪能させてもらおうと思っての」

 

「ふーん、分かったぜ。

 えーと、森人/女、圃人/女、只人/女の3人組がひと組と、

 蜥蜴人/女、蜥蜴人/女、蜥蜴人/女、()()()()()()/()()()()()()がひと組。嬢ちゃんたち4人は4ツ仔かい? 全員背格好もそっくりだな!

 さあ、これが参加者の割符だ。失くすなよ? じゃあ頑張ってくれよな」

 

 

 というわけで、結局、迷宮探検競技に参加することにしたのは、半竜娘ちゃんを除く一党の仲間の3人チーム── 森人探検家、TS圃人斥候、文庫神官── と、幼竜娘()姉妹………。

 

 あれ? 四姉妹……??

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

時間は少し遡り……

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 はいどーも!

 無理難題であってもきっと解決できる、何故ならこの四方世界には、奇跡も魔法もあるのだから! な、実況、はーじまーるよー。

 

 前回は各地の様々な迷宮探検競技やそれに似たような催し(イベント)を視察して、それらのレポートを受付嬢さんにお送りし、ついには大本命である牙の街(ファング)までやってきたところですね。

 しかしエントリーしようとした半竜娘ちゃんを待っていたのは、何とも無慈悲な門前払い。

 いえまあ、物理的に通路につっかえる危険があるのであれば、それもまた致し方ないのですが……。

 

「しかしどうにか手前(てまえ)も参加したいのじゃ」

 

「別に中の様子は私たちが見るから貴女(あなた)は他にやれること探した方が良いと思うけど……」

 

 実際断られたのは半竜娘ちゃんだけですし、森人探検家さんの言う通り、他のメンバーは迷宮探検競技には参加可能です。

 ですから迷宮内部の様子は、一党の仲間である森人探検家さんや、TS圃人斥候、文庫神官ちゃんに体験してもらえばそれで足りると思われます。

 半竜娘ちゃんは半竜娘ちゃんで、その巨体とパワーを生かして荷下ろしや荷運びなどの裏方をやったり、あるいは呪文遣い(スペルリンガー)としての腕を生かして臨時の応援に雇われたりしても、または応急手当の腕前や治癒系の【奇跡(そりゅうじゅつ)】の腕を売り込んでも良いでしょう。

 

 挑戦者としての参加と、片や、裏方手伝いとしての参加。

 そういう役割分担をすればいいだけです。

 

「でも絶対に楽しいと思うのじゃよ! 初参加でなければできない新鮮な体験というものがあるはずじゃ!」

 

「そりゃそうでしょうけど」

 

「裏方に回ってしまうと手の内が見えてしまって挑戦するときの楽しみが半減じゃよ!?」

 

「と言っても、そもそも今のままでは貴女は挑戦すらできないんだから、別に良いんじゃない?」

 

 折角だから初回の何も攻略情報が分からない状態で迷宮探検競技に挑戦したいという半竜娘ちゃんに、森人探検家さんが、「あきらめたら?」と窘めます。

 

 

「いーや、諦めぬのじゃ……こう、何かまだ手が……。ああ、慈母龍/良母竜(マイアサウラ)の導きぞあれ……」

 

「リーダーもオイラくらい小さければ入れただろうになー」

 

「ですねえ。お姉さまの子供たちくらいなら、むしろ狭い通路に入るにはちょうどいいくらいですけれど。まさか若返るというわけにも……」

 

 そのとき半竜娘ちゃんに電流走る……!

 

「それじゃ!!」

 

 え、どれです??

 

「過去に将級悪魔(アークデーモン)から吸い上げた、彼奴(きゃつ)らの魔力構成体である化身(アバター)の構造に関する知識。そしてかつての大家の魔女殿とともに研究した*1、己の魂の履歴を参照することによる、真言呪文【分身(アザーセルフ)】の呪文の派生形……! これを使うときが来たというわけじゃな! 必要な触媒は……金縁の鏡!」

 

 早速、術の触媒になる金縁の鏡*2を買いに市場へと向かった半竜娘ちゃん。

 

「ま、待ってください、お姉さま!?」 そしてそれを追いかけて文庫神官ちゃんもこの場から走り去りました。

 

 

 

 

 

「………行っちまった。じゃー、オイラたちは宿に行っとくか、エルフパイセン」

 

「………私はこの街のローグ・ギルドに面通ししとくわ。悪いけど、おチビちゃんたちと馬車をよろしくね。あ、もちろんきちんとした馬房付きの宿じゃないと承知しないわよ?」

 

「はぁ、そうかい。おーらいおーらい、こっちは任せな」

 

「じゃ、頼んだわねー」

 そう言って、ひらひらと手を振りながら街の雑踏へと消える森人探検家さん。

 ローグ・ギルドとの伝手(つて)で情報を得るのは、近づくべきではない街の悪所などを知り、危険を避けるために必要。蛇の道は蛇、というわけですね。

 

「はいはーい、いってらー」

 いっつもこーいう流れだよなあ、と思いつつも、宿屋の亭主をしている圃人(レーア)の同胞は多いことから、適当な役割分担であろうとはTS圃人斥候自身も納得済みです。

 TS圃人斥候は、既にこの間のロマの野営地での圃人(レーア)同士の口コミで良い宿の目星はつけているので、馬車を操る手綱さばきに迷いはありません。流石、斥候職は抜け目ないですね。

 

 

 

 TS圃人斥候は、麒麟竜馬に牽かせた馬車を目当ての宿へと走らせます。

 牙の街は、迷宮探検競技の催しが近いからか、かなりの往来があるようです。まあ、普段の様子が分からないのでなんとなくの感触でしかありませんが。

 これに合わせて市も立っているようでしたしきっと半竜娘ちゃんが探している触媒とやらも見つかることでしょう。

 

 馬車の窓から幼竜娘三姉妹がひょっこりと顔を出しました。

 

「おかーさんはお買い物ー?」 「迷宮探検競技はー?」 「わたしたちもエントリーしたい!!」

 

リーダー(お前らのおかーさん)は、鎧のねーちゃんと一緒に買い物。金縁の鏡がどうとか、魔法の触媒にするとか言ってたな。

 迷宮探検競技のエントリーは保留中。リーダーが道に詰まるからって受付でハねられた。何とかするアテはありそーだったが。

 お前たちの参加はー……できるのかね? 年齢制限があるとは聞いた覚えはねーし、お前らは成長早くて体格がいーから、ギリ、蜥蜴人の成人って言い張れなくもねーかもなー」

 

「「「 わーい! 」」」

 

「せっかくだからお前らも出られるといーなー」

 

 

 

 

 

「………さて、迷宮探検競技の開催期間だし、高くても良いから、いい部屋が空いてると良いんだがねぇー」

 

「お城のドラゴンさんと同じくらいいい宿?」 「わぁ! それだったら良いな!」 「ふかふかの寝床に美味しいごはん!」

 

「んんんーー! 城塞竜(キャッスルドラゴン)城塞の精霊(ハイ・シルキー)のおもてなしを標準にするのは良くねーぞーぉー??」

 

「「「 えーーー!? 」」」

 

 と言っても、こういう時にまで残ってるのはだいたいお高い部屋なので、仮に適当に借りてもそう変な部屋には当たらないでしょう。

 半竜娘ちゃんたちは、在野最高等級の銀等級冒険者ですし、黒竜から分捕った財宝を運用している大金持ちですし、砂塵の国で金字塔(ピラミッド)を浄化したときの報酬もたんまりですから、いい部屋を取ったところで大してお財布へのダメージはありません。

 むしろこういう時に使わないでいつ使う、という感じですね。……というか、麒麟竜馬だの突撃機動馬車だの財宝だのを抱えた一行が、安宿に泊まるのはセキュリティ的に問題がありますし。

 

「まー、飯が美味いのは保証するぜ。なんてったって、圃人(レーア)が亭主をやってる宿だからな!」*3

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 というわけで、高級宿屋の続き部屋(スイートルーム)に投宿した半竜娘ちゃんたち御一行。

 

「無事に金縁の鏡を手に入れたので、これを使って、特別な【分身】を造るのじゃ!」

 

 フンスと鼻息荒く金縁の鏡を掲げる半竜娘ちゃん。

 さすがに豪華な部屋とはいえ、彼女が立ち上がって手を上に伸ばせるほどのスペースはないので、座っての作業になりますが。

 

 そんな彼女に対して『わー、ぱちぱちぱち~。』と拍手するのは、幼竜娘三姉妹と文庫神官ちゃんです。

 

「迷宮に潜れるコンパクトな分身ということですね、お姉さま!」

 

「うむ。それに我が子らも迷宮探検競技に挑戦したいというので、ついでにそのお目付けも兼ねさせるつもりじゃ」

 

 おお、幼竜娘三姉妹たちも、保護者付きならということで、迷宮探検競技に参加できるようです。

 まあ、少々危険ではありますが、蜥蜴人にとって危難に身を投げるのは誉れでもありますし、滅多にできない経験ですからね。

 この機会を逃すのも惜しいということでしょう。

 

「それに辺境の街でギルドが企画しておる『迷宮探検競技』は、新人にもならぬ冒険者志望(ニュービー)たちへのチュートリアルじゃというではないか。それなら対象顧客(ターゲット)としては我が子ら程度の位階(レベル)でちょうど良いというもの。娘らの感想も貴重な情報になろう」

 

 おお。きちんと考えての幼竜娘三姉妹の参加というわけですね。

 

 

「んで、そのお目付け役の本人はどうやって参加する気なんだ、リーダー? でっかくなるのと逆の、小さくなる呪文でも使えるようになったとか?」

 

「当たらずとも遠からずじゃな。分身の構造を弄って、魂が記憶している在りし日の姿をもとに変容させるのじゃ。実戦投入できるほどに習熟しておらんから、こうやって高い触媒も要るし、静かに集中する必要もあるというわけよ」

 

「ほーん。そしたら本体はどっかで観戦でもしてる感じで、迷宮探検競技に挑戦するのは、その、あー、昔日の分身? になるってことか」

 

「然り」

 

 半竜娘ちゃんは、金縁の鏡を自分の前に置きました。

 

「分身が挑戦しておるあいだは、手前はどこかで暇をつぶそうと思うのじゃ。──── どうやら、件の迷宮探検競技には、この牙の街の異名の元となった『牙の塔』なる養成所だか戦術技巧所だかが、遠見の魔導具だとかを提供しておるそうじゃと市場で聞いたのじゃ。あの勇者一行の 〈賢者〉 とも関係があるというし、何か知見が得られないか訪ねてみるつもりじゃよ」*4

 

「さてではお立合い。昔日の己の影を呼び出す我が手妻をご覧あれ。

 ユウェンス(若き)アンブラ(影よ)ザイン(在れ)! 出でよ【 幼 影 (ヤングアザーセルフ)】!!」

 

 

 術の触媒にされて砕けゆく鏡の中から現れたのは、幼竜娘三姉妹と同じ年頃の半竜娘ちゃんの分身体でした。

 

 ということで、今回はここまで。

 このあと冒頭の通りに無事にチーム登録できたので、次はいざ迷宮探検競技! になるはず。ではまた次回!

 

*1
◆化身と分身呪文の研究:過去話『34/n 裏-2(秋から冬の間のあれこれ)』あたりの話です。

*2
◆金縁の鏡(Gold-Backed Mirror):ゲームブック『ソーサリー』に登場する呪文、KINの触媒。金縁の鏡に映した敵手の分身を創り出して戦わせ、オリジナルと分身で同士討ちさせる。おそらくゴブスレのアザーセルフの呪文の元ネタの一つ。消費体力点1で使えていいのか? この呪文。

*3
◆圃人の亭主:圃人(レーア)は一日に5食食べる。つまり、一日に2食や3食の他の人種より、1.6倍~2.5倍、料理の経験値を積む機会があるということ。そして、たくさん食べる機会がある分、美食への探求心も高いというわけだ。食べる機会が多いのに不味い飯だと食ってられないので。レーアの宿にハズレなし。

*4
◆牙の塔:勝手に賢者ちゃんを『牙の塔』なる養成所の出身にしています。元ネタはもちろん魔術師オーフェンの牙の塔。オリ設定なので、ゴブスレ原作にはそのような話は出てきてないはずです。でも賢者ちゃんはあれだけ若くして多彩な術を使えるので、そういう対混沌用の魔術師養成組織のトップエリートとかいう出自があってもおかしくないな、と。なお牙の街ファングと牙の塔でたまたまゴロが合ったのでここにあることにしただけで、両者の関係に深い意味はないです。




 
◆ダイマ!!

原作コミックスがそれぞれ2024/3/25に一斉発売されてます!
以下、各巻のスクエニ公式ページへのリンクです。
・原作コミック 15巻(一番画面映えすると勝手に思っているエルフの森編が黒瀬先生の筆で!? 素晴らしい……) → https://magazine.jp.square-enix.com/top/comics/detail/9784757591172/
・外伝1イヤーワン 12巻(片方ずつ目をつぶって寝る技能をエルフ剣士さんからラーニング) → https://magazine.jp.square-enix.com/top/comics/detail/9784757591189/
・外伝2ダイ・カタナ 7巻(こっちもこっちで迷宮探検競技へつながる話。幼き日の剣聖ちゃんも出るぞ) → https://magazine.jp.square-enix.com/top/comics/detail/9784757591196/
・デイ・イン・ザ・ライフ(原作小説12巻コミカライズ) 2巻(密偵くんたち仕掛人一党が漫画媒体へ初エントリーだ!) → https://magazine.jp.square-enix.com/top/comics/detail/9784757591202/
 
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