ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
◆前話
・
・闇竜娘ちゃんは
・半竜娘ちゃんの分身体を吸収した、あの太歳星君の居場所は割れた。新しく会得した高位祖竜術【
・それはそれとしてゴブスレさん監修の迷宮探検競技は予定通り開催されます。祭りを
はいどーも!
前回はテンペストの娘にして始源の大渦を背負う者たる
ボロボロの闇竜娘ちゃんは何にやられたのかと言うと、まさしく標的にしていた太歳星君にやられたとのことで、これでいよいよ太歳星君の居場所へのルートも割れ、討伐の準備は整いました。
となれば次は何するかというと……わかりますね?
そう、カチコミです。
「点呼!
「
「
「
「全員
「持ち物確認! 冒険者ツール」
「鈎縄、くさびその他諸々、冒険者ツール、ヨシ!」
「水、食料」
「水袋、ヨシ! 保存食、ヨシ! 【
「
「ヒールポーション、スタミナポーション、解毒薬、鎮痛剤、能力向上ポーション各種、【
「
「【
「装備」
「武装、魔法の背嚢、各種装着に不備なし。ヨシ!」
「呪文の使用回数」
「交易神の奇跡【
「その他は消費なし、ヨシ!」
「気合は」
「十分!」
指差し確認は実際大事。ヨシヨシヨシ!
「こ、これが冒険者……!」
冒険者未満の少女、
準備は万端。
さあ
さあ出発の時です。
見送りに出てきたのは、さすがに留守番役の幼竜娘三姉妹。
ゴブスレさん監修の迷宮探検競技も気になっているようですが、本場である牙の街でも参加したことがあるため、未練はありつつも自宅待機です。
戦の前の雰囲気にあてられて少し興奮気味です。
「お母さま、皆さん!」 「リベンジ任せました!」 「ご武運を!!」
三姉妹はこれから潔斎して身を清め、精霊や祖竜を祀った祭壇に向かって必勝の祈願をするという役目もあります。
乙女の祈りがあれば百人力というものです。
「おう、
「交易神さまの
「ま、死なねえ程度にな」 TS圃人斥候ちゃんは少し緊張していますね。
「お姉さまは、私が守ります!」 鎧と盾、そして聖剣を輝かせる文庫神官ちゃんは凛々しいです。
準備万端!
「ではいざ」
「「「 しゅっぱ~つ!! 」」」
… 半竜娘一党移動中 …
▼△▼△▼△▼△▼△▼
というわけでやってきました。
街はずれにある小さな洞窟です。
事前にギルドで得た情報によると、少し前にゴブスレさんたち一党がゴブリンをスレイした洞窟らしいです。
まあゴブスレさんたちが調べたその時に崩落してしまったということでしたが、今は地下から脱出するために闇竜娘ちゃんが使った祖竜術高位呪文【
そうそう、ゴブスレさんたちがこの洞窟で拾った小袋には、小さな宝石たちがたくさん入っていたとか。犠牲になった誰かの遺留品ですかね。未鑑定のスクロールもあったということですから、ゴブリン退治の依頼の戦利品としては上等でしょう。
そして、その宝石たちから着想を得て、本日開催されている辺境の街版の迷宮探検競技の景品かつチェックポイント通過証は、小粒の宝石を使っているとかなんとか。
小粒すぎてそう高価なものではないそうですし、冒険者未満のニュービーたちが持ち帰る記念品としては破格と言っていいかと。
閑話休題。
さて、ぽっかりとクレーターの底に開いた洞窟を覗き込む一党ですが。
「手前は入れそうにないのう」
「やっぱりか。もうリーダー連れて天然洞窟系には入れねえかもな。トロールの住処とかならともかく」
「じゃあ別プランね」
あー、半竜娘ちゃんはその巨体(※身長約3.2m(11尺))が災いして、洞窟内には入れなさそうです。
肩とか外して蛇めいた匍匐移動で無理に入っていくこともできなくはないでしょうが、消耗がひどくなるので却下ですね。
「今回は、いかにあなたを消耗させずに
「露払いはオイラたちに任せとけってわけだな」
「そのために消耗品の魔術媒体も大量に手配していますし」
文庫神官ちゃんが空間拡張カバンの中から、
「
スクロールを見て感慨深げに言うのは森人探検家です。
半竜娘ちゃんが作った魔法の巻物と物々交換で──
時間感覚が長命種基準なエルフたち相手の取引のわりに、スムーズに入手できたのは僥倖でした。
「そんじゃぁ、打ち合わせ通り、オイラが
「はい、私は
TS圃人斥候と文庫神官は【統率】技能持ちですので召喚した精霊たちへと上手に指揮することができます。
ちなみに種族的に精霊術に親しいはずの森人探検家ですが、【統率】技能は持ってないので、今回は単に精霊との仲立ちとご機嫌取りを行うくらいのようです。エルフは
まあ、極論、【統率】技能がなくても精霊召喚の巻物は使えますし、おおざっぱな指示だけしてフリーハンドで攻撃させるだけなら何体呼び出してもいいんですけれどね。配下を自分と同じタイミングで行動させたり、支援効果を発揮させようとすると、さすがに【統率】技能が必要になりますが。
「「 精霊召喚! スクロールオープン! 」」
TS圃人斥候と文庫神官が、それぞれ魔法の巻物を開いて精霊を呼び出し、精霊が好みそうな供物を与えてコミュニケーションをとる傍ら半竜娘はその肩に白梟使徒を止まらせました。
「それでは手前は地上で吉報を待つとするかの」
「太歳星君を見つけたら、【
文庫神官が聖印を掲げ、「蠟燭の番人よ、知恵の守り人よ、どうぞ我が道行きを照らしてください」と聖句を唱えると*2、文庫神官と白梟使徒の間にパスが結ばれました。
「はい、確かにご主人と繋がったのです。洞窟の中の様子はいつでも実況してお知らせできるのですよ」
白梟使徒が文庫神官との精神リンクについて太鼓判を押します。
これで太歳星君を見つけた時に半竜娘に知らせたり、地下から
「ではお姉さま、行ってまいります!」
「また後でなー、リーダー」
「鋭気を養っておきなさいな。それじゃあね」
「うむ、よろしく頼んだのじゃ!」
一方そのころ何処とも知れぬ闇の中
▼△▼△▼△▼△▼△▼
不死身の肉塊、無限の霊肉。
太古より地中を蠢く禍津星。
木星の投射である影、歳星の化身。
あらゆる災いを引き込む
「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」 「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」 「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」
無限の可能性を持つ原形質である、その巨大な肉の塊は、少し前からの不調に悩まされていた。
己の中に生じた、己ならざる浸食細胞。
すべてを喰らう竜の因子を持ったソレが、まるで癌のように己を蝕んでいる。
相克し、相克され。せめぎ合うように喰い食われ合う。しばらくそれが続いている。
血の色をした肉塊の表面に、竜のような鱗や牙、縦長の瞳孔の瞳が形成されては埋没し、それを繰り返す。
最初は小さかった竜化の異変は、相克を繰り返すうちに徐々に徐々に大きくなり、太歳星君の巨大な肉塊のその全体に占める割合を大きくしている。
もう三割ほどは、竜化の癌に侵されているだろうか。
「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」 「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」 「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」
さらには悪いことが重なるもので、太歳星君は、ひどい病にも侵されていた。
竜化癌の不調が起こるようになってしばらくして、どこからか現れた疫病の悪魔によって重い病を
原形質の肉塊を形成する細胞膜がウィルスの爆発的な増殖によって破綻し、細胞の中身だったものが膿汁となって流れ出る。
竜化癌とせめぎ合う一方で、病によって消耗が重なる。
しかもどうやらその病のウィルスは、竜化癌には効き目がないようで*3、弱るのは竜化癌に侵されていない細胞のみ。
「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」 「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」 「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」
太歳星君の盲いた知能が、生存本能と合わさり、この悪状況を打破せんと回りだす。
そして即座に結論を出した。
〝 傷んだ部分はすべて捨てよう 〟、と。
〝 どうせまた殖えればいいのだから 〟、と。
「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」 「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」 「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」
巨大な肉塊の、細胞の流動が加速する。
竜化癌に侵された部分。
そして疫病のウィルスに侵された部分。
それらをすべて一塊にする。
無事な部分と、癌と病に冒された部分とを選り分け、切り離す。
ぶつり、と肉塊は、およそ半分に分かたれた。
「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」
今まで通りに赤い原形質の肉塊となった半分と、
「────GRRRWWWRRGGGGRRAAAAAAAAAHHHHH────」
竜のごとき牙と鱗が現れ、竜ではない部分が膿汁となって
「────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■────」
原形質の方の肉塊、太歳星君が闇の中へと去っていく。
そして見る間に再び元の大きさへと膨張した。
たとえ癌と病に冒された半分を捨てて2分の1になったとて、それはこの太歳星君にとってみれば、たかが細胞分裂1回分。特に惜しくはないのだ。*4
残されたのは、竜の特徴が顕著に表れた方の肉塊のみ。
「────GGRRRRRAAAAAARRRRRRRRR!!」
そして竜化癌と病の塊たるソレは、大きく成長すると同時に、その姿を洗練させていく。
まるで卵からの発生過程で胚が
巨体を支える強靭な下肢と、長大な尻尾。
下肢に比べれば貧弱な前腕は、この怪物竜が直立二足歩行で移動する生態であることを示している。
背から尾の先まで鋭い背びれが生え、攻撃的な印象だ。
その姿は、まさに蜥蜴人が祖竜としてあがめる威容そのものであった。
伝説の中にしか存在しない、理想の祖竜だ。
竜化癌の怪物は、さらにミチミチと育っていく。
膨張する内部に対して脱皮が間に合うことなどあるはずもなく、内から皮膚が裂けて肉が露出してはそこが即座に治癒し、それでもなお腫瘍じみて内側から膨らむ肉によりさらにまた裂けては異常治癒するのを繰り返し、やがてはケロイド状の皮膚によって竜体すべてが覆われていく。
色素の沈着によって皮膚のケロイドは黒く染まり、不規則な発生によって乱れたまま固定化された歯列は恐ろしげに露出している。
地下の闇の中、
──── それを追う冒険者たちとの激突のときは、近い。
ここで一区切りして次回は新章・対 ゴジラ的な悪性新生物ということで。一応、太歳星君に取り込まれていた半竜娘ちゃんの『影』はほぼほぼ、擬・怪獣王の方に偏って排出されましたので撃破すれば半竜娘ちゃんの影は元に戻ります。そして擬・怪獣王には、半竜娘ちゃんの影の意識は残ってないようです。太歳星君の眷属としての文脈が強いため、災厄としての性質が全面に出ています。