ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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◆前話
・突入だ!
・太歳星君「(なんか調子悪い。変になったところはまとめて捨てていこう……)」 半減。そして倍化再生。
・ → 半竜娘ちゃんの分身由来の【竜胞】が暴走した竜化癌が、闇竜娘ちゃんのもたらした疫病によって彫刻され、擬・怪獣王(エヘナウノル・シャドウ)が爆誕! 
・そうとも知らない一行は、闇竜娘ちゃんが脱出した経路から逆侵入だ!


====
 
※AIさん(DALL・E3)に出力してもらった挿絵あり(マス)
 


フリープレイ そして彼女が竜になるまで ~三年目冬・祖竜の体現者 編~
45/n VS 擬・怪獣王(エヘナウノル・シャドウ) -1(機龍変化(キリュウヘンゲ))☆AI挿絵あり


 

 はいどーも!

 キング(クイーン?)・オブ・モンスターズ……怪獣王に立ち向かう、そんな実況、はーじまーるよー。

 

 前回は太歳星君(ジュピターゴースト)が潜む洞窟に、ガタイがでかい半竜娘ちゃん以外のメンバーが精霊を引き連れて突入していったところまででしたね。

 地上には半竜娘ちゃんと、地下との通信用に【使徒(ファミリア)】の奇跡で文庫神官ちゃんと感覚を共有した白梟使徒が残されました。

 

 

「新式祖竜の設計図……よし。そして虎の子の【分解(ディスインテグレート)】の巻物……」

 

 白梟使徒を肩に載せた半竜娘ちゃんは、お日様の下で、新式祖竜の設計仕様の分厚い束や、魔法の巻物を入念に確認しては、「あれをこうして、こう来たらこうして……」と、来る戦闘のための組み立てを行っているようです。

 

 

 さて、半竜娘の肩に止まる白梟使徒ですが、森人探検家・TS圃人斥候・文庫神官+土精霊(ノーム)風精霊(シルフ)の一行が地下を進む様子を、文庫神官との感覚共有によって実況してくれます。

 

「ご主人たちは、現在順調に洞窟を下っているのです」

 

「ふむ。それは重畳じゃの。しかし何も妨害はないのかや?」

 

 太歳星君ジュピターゴーストは、無限の可能性を持った原形質です。

 その切れ端がまた別の怪物に変異するなど当たり前。

 

 半竜娘ちゃんは、このゴブスレさんが掃討した洞窟のゴブリンもまた、太歳星君の落とし仔だったのではないかと疑っていました。

 であるならば、ゴブリンなどの怪物が再配置されていてもおかしくありません。

 

「今のところは、会敵ナシ、なのです」

 

「ふむ……」

 

「……あ、前言撤回なのです! 何か居るようなのです」

 

「まさかゴブリンかや?」

 

「いいえ、これは……伶刀竜(ヴェロキラプトル)の群れなのです!?」

 

 おおっと?

 意外なことに、現れたのは小型の肉食恐竜であるヴェロキラプトルの群れのようです。

 

 祖竜術【竜爪/竜牙刀(シャープクロー)】の加護竜である伶刀竜(リンタオロン)ですが、体高は只人の股下程度。

 頭から尾先までの全長は只人が頭上に手を伸ばしたくらい(2メートル程度)

 重量は軽く、せいぜいオオカミと同じ程度でしょう。

 

 しかしなぜ恐竜……祖竜がこの洞窟に? 

 

「ふむん。太歳星君が手前(てまえ)の影を喰らったことと何か関係があるのやもしれぬな」

 

「というかきっとそうなのですよ。そもそも極まった術者の影(そんなもの)を喰って、喰った方も影響を受けないわけがないのです」

 

「カカカ、まあそうじゃのう。そうじゃろうともよ」

 

 半竜娘ちゃんが大人しく食われておいてくれるタマかというと……。

 まあ、そんなわけありませんよね。

 

 

 そもそも、彼女の冒険のはじまりは、TAS(ティーアース)さんに導かれて黒き鱗の古龍の砦から脱出したところからです。

 囚われの身からの脱出(ジェイルブレイク)はお手の物、と言えるでしょう。

 

 そして太歳星君側の事情(マスターシーン)を見た皆さまもご存じの通り、実際、半竜娘ちゃんの影は太歳星君から滴り落ちて結実しては、【竜胞(ドラゴンセル)】の術により逆に侵食してやろうと獅子身中の虫と化していったわけです。

 その結果生まれ落ちたのが、かつての蜥蜴人の大英雄の伝承を模した擬・怪獣王(エヘナウノル・シャドウ)なわけですが……。

 

「出てきた伶刀竜(リンタオロン)もまったく別の由来かもしれぬが、それよりここは手前(てまえ)の影が太歳星君に喰われたせいじゃと思っておいた方がよさそうじゃの」

 

「なのです」

 

「ま! いくら祖竜が相手とはいえ、いまさらこの程度で手前(てまえ)の仲間がやられるわけもないがの!」

 

 そうです、突入組の三人娘もまた、歴戦の冒険者。

 かんらかんらと笑う半竜娘ちゃんの言う通り、これで何とかなることもないはずです。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

さてそれでは、洞窟攻略組へ、ズームイン!

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

『GGGYOOW!!』 『GRREWW!!』 『KUAAA!!』

 

「後ろには通しませんよ! 【盾打ち(シールドバッシュ)】!!」

 

 【護衛】技能を発揮して、味方の方へと行こうとする小型恐竜(ヴェロキラプトル)の群れをすべて【盾打ち】の武技で叩き落すのは、鎧に身を包んだ文庫神官ちゃんです。

 光源である松明は足下に置かれたり、あるいは戦闘開始時にヴェロキラプトルの群れの向こうへと投げたので薄暗いですが、心配ご無用。

 夜に星と石を交互に見ることで鍛えられた【虎眼】の武技を身に着けた彼女には、松明によって影が揺らめくこの洞窟の暗闇も障害にはなりえません。

 

 次々に洞窟の壁を蹴って、あるいは転がった岩の影から飛び掛かるヴェロキラプトルの群れに対して、彼女は一歩も退かず、臆さず、冷静に、盾を使って敵を叩き落していきます。

 

 

 ですが、敵のヴェロキラプトルも、飛び掛かるものばかりではありません。

 

「ったく、足もとを抜けきてる奴らがいるっちゅーの!」

 

『GWAU!?』 『KYAAN!?』

 

 TS圃人斥候 の ヴォーパルストライク!

 そんな風に前衛の足下を抜けてきた小型祖竜の首を小剣(ショートソード)で斬り飛ばしてフォローするのは、中衛で遊撃役のTS圃人斥候です。

 首を斬られたヴェロキラプトルは、まるで首を刎ねられて屠殺された鶏のようにめちゃくちゃに走り回りますが、もはや脅威ではありません。

 

「これだから背の高いやつらはよー、足もとが疎かだからよー」

 

「助かりました! 流石ですね!」

 

「へっ。ま、いいってことよー」

 

 そして前衛と中衛が敵を押しとどめているうちに、後衛から矢が飛びます。

 

「疾ッ!」

 

『GYAOWN!?』 『GWWII!?』

 

 木芽鏃の矢は、もちろん森人探検家が放ったものです。

 それは狭い洞窟の中でも味方を避けるように曲がった軌跡をとり、しかも一度の矢で2匹も3匹も仕留めていきます。

 

「一丁上がり、っと」

 

「さっすがエルフパイセン。リンタオロンの()()()の出来上がりぃー、ってな」

 

 

 その調子で危うげなく戦闘を続けていれば、すぐにヴェロキラプトルの群れは殲滅されました。

 術や武技を節約したので少し時間がかかりましたが、消耗は軽微です。

 

 

「何匹ぐらいやったかしら?」

 

「わかんね」

 

「あら、誰も数えてなかったの?」

 

「いえ、数えた限りだと8頭ほどいたはずですが……。どうも様子が」

 

 文庫神官が投げ飛ばしていた松明を拾ってきて、洞窟の床に横たわるヴェロキラプトルの死骸を照らしますが……。

 

「なにこれ。不定形肉塊(ブロブ)?」

 

「すぐに崩れて()()なってしまって」

 

 文庫神官が照らして示した先には、鱗と骨と牙らしきものが埋まった、肉色の粘土のような、あるいは粘土のように不定形な肉塊がありました。

 

「邪魔にならねーよーに近くにまとめて蹴飛ばしといたのはお互いに混ざっちまってるし、数はもう分かんねーな」

 

「肉の(かさ)から見ると、討ち漏らしはなさそうですが、不気味ですね」

 

「やっぱり太歳星君の眷属……だったのかしら」

 

「これ本当に死んでるんだよな……??」

 

 念のためにとTS圃人斥候がもう一つの足下の方の松明を拾ってきて肉塊に押し付けますが、じゅう、と音がしただけで、肉塊は動きを見せません。

 

「大丈夫そうですね」

 

「さすがに松明押し付けて身じろぎしねえなら、まー、死んでるか」

 

「後ろからこいつらが合体したのが追いかけてくるなんてぞっとしないものね」

 

 森人探検家の懸念のように、これが死んだふりであれば不味いことになりますからね。

 背後から合体したキングブロブ的な怪物に奇襲されるのは勘弁です。

 

 念入りにヴェロキラプトルの死骸が変化した肉塊(ブロブ)の死亡確認をした三人(+土精霊&風精霊)は、油断せずに洞窟の先へと進みます。

 

 

 

「たぶん、お姉さまの影は、太歳星君そのものとは分かたれたのかも知れませんね」

 

 文庫神官がぼそりと呟きます。

 

「あら、どうしてそう思うの?」 森人探検家がその推測の根拠を尋ねます。

 

「匂い、ですよ」 すん、と鼻を鳴らす文庫神官。

 

「匂いぃ~?」 懐疑的なのは、TS圃人斥候です。感覚が鋭いはずの彼女(彼)の感覚には、別に嗅覚的な異常は感知されていません。

 

「ええ。匂いがします。お姉さまの。尊く、豊潤で、荒々しくも官能的な────」

 

 文庫神官ちゃんによる半竜娘ちゃん賛美が続きますが割愛。

 どうやら、さっきの伶刀竜(リンタオロン)のなれの果てを(あぶ)ったときに嗅いだ匂いが、文庫神官ちゃんの第六感に働きかけて、確信をもたらしたようです……。

 

「へ、へえ。そうなの」 「うへぇ(ドン引き)」

 

 あ、愛の為せる(わざ)ですね!!!

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

一方そのころ、洞窟の奥の奥にて

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 太歳星君(ジュピターゴースト)から分かたれた肉塊が彫刻されて出来上がった黒き鱗の怪獣王。

 ソレは、太歳星君から引き継いだ【影】の権能を使って、この地下空間を、自らにふさわしい場所へと造り変えていました。

 自らの【影】を洞窟の暗闇に同化させ、浸食させ、世界という概念に穴を掘り、その穴の中に異界を広げる……。

 

「GGRRRR───」

 

 すなわち迷宮造営(ダンジョンメイキング)

 災厄の根源である太歳星君の系譜としての、基礎権能でもあります。

 

 死霊術の秘奥とされる【死王(ダンジョンマスター)】の術ですら、この怪物にとっては基礎能力でしかない、というところからも、太歳星君の直系としての格の高さがうかがえます。

 

 もちろんそんな大層な知性があるわけではありませんので、ただ単に、「狭いなあ」 「もっと広げたいなあ」 「全力出すには脆いなあ」というのを考えて、影の投射としての即席の迷宮(インスタンスダンジョン)を作っているだけではあるのですが。

 

 そうして作り上げられた、玉座の間ともいうべき、広大にして強固な最終階層にて静かに微睡(まどろ)擬・怪獣王(エヘナウノル・シャドウ)

 

 そして、この怪物から剥がれ落ちたなりそこないの肉塊たちが、蠢き、成長し、それぞれに牙や鱗を形成して、やがて独立した生命の形となった、祖竜型の迷宮怪物(モブモンスター)

 迷宮(ダンジョン)の法則に従って生み出される怪物たちですが、擬・怪獣王(ダンジョンボス)から剥がれ落ちた肉塊なんていう格好の材料があったので、今回はそれをリソースにして発生したようです。

 

 つまり、さきほど森人探検家・TS圃人斥候・文庫神官(+精霊たち)の先遣隊一行を襲ったのも、この擬・怪獣王(エヘナウノル・シャドウ)から生まれ落ちた怪物たちだったのです。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

そんなこんなで

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

『むむ。どうやらご主人たちが、最奥に到着したみたいなのです』

 

 地上にて、半竜娘ちゃんの肩に止まっていた白梟使徒が囁きます。

 文庫神官から、【使徒(ファミリア)】の奇跡が繋いだパスによって、伝言が届いたのです。

 

「ついに、じゃな。まだ迷宮が続くようなら、いったん戻ってもらって出直させるべきかと思うておったが」

 

『ご主人たちも頑張ったのです。消耗は重いのですが、なんとかたどり着けたのですよ』

 

「それで、そこが最奥なのじゃな?」

 

 のっそりと半竜娘ちゃんが立ち上がります。

 

『ご主人の感覚によれば、『今までで一番濃いお姉さまの匂いが……気配がします』とのことなのです。他の2人も、尋常ではない威圧感があると言っているのです』

 

「何にせよ、今の疲れ切ったあやつらでは荷が重い、と。つまり、手前の出番じゃな」

 

『ですですなのです。座標も割り出せているのです。土精霊の【隧道(トンネル)】の術を三度で到着できるはずなのです。まあ、深さ的には2度で足りるはずなのですが』

 

「途中から異界化しておったのじゃったな。そこの境界で、術を切り替えねばならんから致し方あるまい。まあ、いずれにしても精霊召喚のスクロールは一枚で足りるはずじゃ」

 

 半竜娘ちゃんが準備していた【使役(コントロールスピリット)】の巻物を広げると、巻物が燃え落ち、馴染みの土の精霊が召喚されました。

 半竜娘ちゃんがそのモグラの精霊(ムグラムチ)へ供物を捧げつつ、「下へ」と指示すれば、自然を味方にした精霊の力が、地下迷宮への道を開きます。

 

「さて、行くとするかの」 『ですです』

 

 さらに手元から真言呪文【落下(スロウダウン)】の巻物(スクロール)を広げた半竜娘ちゃんは、地下へと向かう穴へと身を躍らせました。

 奈落行き、ダンジョンボスまで直通のショートカットです。

 白梟使徒が羽を広げて、ゆっくりと落ちていく半竜娘ちゃんのあとを弧を描いて飛びながら追います。

 

 

 

 

 

 モグラの土精霊(ムグラムチ)が【隧道(トンネル)】の術を使うことさらに二度。

 ついに迷宮の深奥へとたどり着きます。

 

「はぁ~、やっと来たわね……」

 森人探検家がほっと一息、かすかに安堵で緊張を緩め、またすぐに気を引き締めました。

 

「皆の衆、ご苦労なのじゃ」

 半竜娘ちゃんが疲労困憊の仲間たちを(ねぎら)います。

 

「ほんとーに、大変だったぜ。祖竜ばっかりでよー、まるで祖竜のバーゲンセールだったぜ」

 辟易とした様子の、土に汚れたTS圃人斥候。

 

「お姉さま、きっとこの奥がそうです。太歳星君そのものではないかもしれませんが、こう、お姉さまの濃い()()()がしますので……」

 連戦でアドレナリンが出すぎているのか、紅潮した顔で陶然としているのは文庫神官です。

 

「変態的なタンク後輩(こーはい)の言い分はともかく、だ。少なくともいまのオイラたちの手に余るよーな大敵(アーチエネミー)が居るのは確かだぜ」

 

「鱗持つ者特有のにおいがするのも確かね。あなたの匂いかどうかはわからないけれど」

 

「うむ。おそらくじゃが、間違いなかろう。手前の【影】は、そこに(こご)って()るようじゃな。それを(しか)りと感じるのじゃ」

 

 全員が、大きく広がりいく洞窟の先を、確信をもって見据えます。

 奥からは、得体のしれない巨獣の息吹のような、規則的な重低音と風の動きが感じられます。

 

 

「進むのじゃ」

 決然とした半竜娘ちゃんの言葉に、全員が頷きました。

 

 

 

 

 

 

 そうして最奥の間には、身体を丸めてうずくまる、黒き鱗の怪獣の姿がありました。

 あれこそは、災厄の分け身。

 黒き鱗の怪獣王を模したる影。

 すなわち、擬・怪獣王(エヘナウノル・シャドウ)

 

「これは……」

 

 その圧倒的な存在感に、一党は言葉もありません。

 

 

 

 そのとき、擬・怪獣王(エヘナウノル・シャドウ)(にわ)かに目を開けて、小さな侵入者たちを睨みつけました。

 爬虫類特有の縦長に細い瞳孔と、視線がかち合います。

 

「気づかれたぞー!!?」

 

『GGRRRWWWOOOO!!!!!』

 

 咆哮と同時に、尾で周囲を薙ぎ払いながら立ち上がる擬・怪獣王(エヘナウノル・シャドウ)

 寝起きの余波で飛ばされる石礫ですら致命の威力を秘めています!

 ただの咆哮が、祖竜術【竜吼(ドラゴンロアー)】と同等です!

 

 

「な、なんて圧力……!」

「それでも、それでもお姉さまなら、きっと……!」

 さっと適当な岩陰に隠れた森人探検家と文庫神官が囁き合います。

 

『こんなのもはや混沌の大駒なのですよぅ』

 白梟使徒はいつの間にやら文庫神官の胸元に抱えられて震えています。

 

 TS圃人斥候は、すでに隠形を発揮して、武技【視線の罠(LOSトリック)】の術理を駆使して視界から消えています。

 敵前逃亡したわけではないでしょうから、そのいぶし銀な活躍に期待しましょう。

 

 

 

 そして半竜娘ちゃんは、といえば。

 

「は、は、は、は、は。─── ハァッハッハッハ!!」

 

 目をらんらんと輝かせて、高笑いをしていました。

 

「おお、これぞまさしく祖竜よ! 暴威の化身! 黒き鱗の勇者の似姿じゃ!」

 

 そしてスッと笑いを収めて、刃のような視線とともに、斬り捨てるように言葉を飛ばしました。

 

「じゃが、我が【影】を宿し、部族の英雄の姿を借りた怪物よ。理性無き暴力の化身として混沌たる大敵(アーチエネミー)に堕したとあらば、これを討伐するのは、すなわち我が必然よ」

 

 そして半竜娘ちゃんが懐から取り出したのは、何百枚と綴じられた新式祖竜の設計仕様書。

 

「深海に眠る外宇宙の艦艇の蒼いスパークを宿す動力炉心。

 滅びの獄(ドゥーム/DOOM)機械化大悪魔(サイバーデーモン)を解析して得た機械知識。

 砂漠の武装要塞(アームズフォート)である陽神行路(ソルディオス・オービット)を霊体化吸収して得た霊的質量と古代の技術者どもの知識、そして翠の万能粒子。

 さらに最後に、南の楽園にある太古の祖竜再生施設が持つ、祖竜の設計機能と、それに接続できる雷精遣い(テクノマンサー)友人(女商人)の助力で作り上げた、架空の祖竜の設計図を触媒に────」

 

 半竜娘ちゃんが、設計仕様書の束をほどき、宙へとバラまきます。

 

「──── 最新、最強の祖竜で、お相手(つかまつ)る」

 

 宙を舞う書類に包まれるなか、半竜娘ちゃんが合掌。

 祖先たる祖竜と、己の血に流れる二重螺旋、そしてこれまでの冒険の積み重ねのすべてに、祈りを捧げます。

 

「『螺旋の最果て、進化の窮極、虚無の彼方! ご照覧あれ(とくとみよ)! これなるは我が命の蒼翠(あお)(ともしび)なり!!』」

 

 祖竜術、奥義。

 さあ、高らかに叫べ!

 

「チェィイインジ! ドラッゴーン!!」

 

 宙を舞う設計仕様書類の一枚一枚が燃え上がると同時に、それぞれに記されていた情報がホログラムのように投影されていきます。

 同時に虚空から、霊的質量として吸収されていた武装要塞のフレームが、ホログラム投影に沿うように変形しながら実体化。

 半竜娘ちゃんの胸の動力炉心から激しく蒼と翠のスパークがほとばしり、虚空から生じたフレームを纏っていきます。

 

「─── 機龍変化(キリュウヘンゲ)!!」

 

 そして現れたのは、機械の龍。

 

 これこそが、半竜娘ちゃんがこの日のためにと用意した切り札──── 祖竜術奥義【竜装(チェンジドラゴン)機龍変化(キリュウヘンゲ)】です!!

 

 

「相手にとって不足なし、いざ、()(くび) 嚙みちぎってくれようぞ!」

 

『GRRWWOOOONN!!!!!』

 

 

 両者激突!!

 

 というところで今回はここまで。それではまた次回!!

 

 

 




 
◆祖竜術奥義【竜装(チェンジドラゴン)
 術者が知っている祖竜に変身できる術。
 他の肉体強化系の祖竜術が『付与呪文』なのに対して、【竜装】の術カテゴリーは【創造呪文】。そこから見るに、明らかに何もないところから、祖竜の肉体を作り出しているっぽい。字の通りならば竜を装着する術なので間違ってない気もする。
 なお【怪物知識判定】に成功した(=知っている)祖竜に変身できる、ということなのだが、当然、かなりレアなシチュエーションでなければ生きた祖竜には出会えないので、文献でしか知れないはず。つまり文献が間違ってたら詰む……と思いきや、たぶん間違った文献にのっとって再現されうる。個人的解釈だが、この術で現実化される祖竜ってのは術者のイマジネーションが結構影響するのではないかと見ている。
 「ブラキオサウルスとはこういう恐竜だ!」 「太古の昔、プテラノドンはこうやって狩りをしていたんだ!」的なアレ。イグアノドンは鼻の上から角が生えているし、ブラキオサウルスは水の中で暮らしていたし、今後のティラノサウルスは羽毛でフサフサしてるかも知れないのだ。

 
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