ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
◆前話
・半竜娘ちゃん「手前自身がオキシジェンデストロイヤーになることじゃ」
・擬・怪獣王、撃破!
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※AIさん(DALL・E3)に出力してもらった挿絵あり
はいどーも!
竜への階梯をまた一つ登る、そんな実況はーじまーるよー。
前回は半竜娘ちゃんが
海がないなら、自分自身が海になって、そこに破滅の水の力を宿せばいい。大変に冴えたやり方でした。
さすがは蜥蜴人随一の天才少女。よっ、大天才!!
一歩間違えば、自分も破滅の水の分解の力で死んでいた? それはそう。賭けに勝ったところも含めて、半竜娘ちゃんは、
さて、これにて半竜娘ちゃんは、見事に己の 〝影〟 を取り戻したわけですが(1年目秋の収穫祭の奉納演武で捧げて以来2度目ですね)、このあとはどうするつもりなのでしょう。
流動する水霊の身体な機龍と化した半竜娘ちゃんは、なんかまだまだ元気いっぱいって感じですが。
「ふぅぅぅうう。やったのう」 と、半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)は大きくあくびするように顎を広げてから、パチャポチャザブザブとその60mはある巨大な身体を休めます。
そういえば闇竜娘ちゃんが封じられた竜牙の封具は見当たりませんが、たぶん水と化した機龍の身体のどこかに格納されているのでしょう。
「はい、やりましたね、お姉さま!」 文庫神官ちゃんは、なんかもう信仰対象を知識神さまから、半竜娘ちゃんに乗り換えそうな勢いです。目がキラキラしています。
一方で、鎧の肩に止まっている白梟使徒は、なんか遠い目をしていますね。
「お疲れ様だぜ、リーダー」 姿が見えなかったものの、いいところでいぶし銀な活躍を見せたTS圃人斥候がしれっと現れていました。
「本当にね……」 どっと疲れた様子なのは200歳Overの森人探検家。コレたぶん、さっきの
「とりあえずは回復かのう。─── 精霊術【
半竜娘ちゃんは
精霊化した際に合一した
癒しの力を帯びた水が、身震いした半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)から一党の仲間にも慈雨となって降り注ぎ、それによって皆の細かな傷や疲労が癒えていきます。
でもみんなを万全の状態にして、このあとどうするつもりなんでしょうかね?
帰るまでが冒険です、ってことではあるので、帰路を万全にするために、ということでしょうか。
………まあ、次のアクションについては、あとで聞くとして、偉業を達成した半竜娘ちゃん一党にはとりあえずご褒美といきましょう。
具体的には冒険5回分くらいの経験点と成長点の大盤振る舞いですよ!
たーんとおあがり!
いやだって、あんな神代でしか起こりえないような戦いを経験したんですから、そりゃもうドドンと成長しなきゃ嘘ってもんです。擬・怪獣王が権能で作成した恐竜ダンジョンもなにげに初見攻略してますしね。
半竜娘ちゃんに至っては、似姿とはいえ怪獣王を磨り潰して溶かして喰らって糧にしていますから、蜥蜴人の本懐ここに極まれりって感じですし、かなりのボーナスを見込めます。
なお、今回得る経験点としては、1年目の最初に半竜娘ちゃんが黒鱗の古龍を族滅したことそれ単体の評価よりは若干下回るくらいですが、まあそれはソロでLv.1だったあのころと、パーティも充実してLv.Maxな今とでは、相対的な難易度の違いもあるので、って感じですね。妥当なところでしょう。
というわけで、リザルトとそれぞれの成長です。ざっとご覧くださいな!(後段で概要はまとめてるので読み飛ばしてもらっても構いませんよ)
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リザルト!
半竜娘一党は、経験点6000点獲得! 成長点15点獲得!
森人探検家は冒険者レベル8→9に上昇! 技能を伝説級まで習得可能になった! ボーナス成長点を30点追加獲得!
半竜娘は擬・怪獣王を完全消化吸収!
派生種族技能【竜の巨体】を現時点の上限まで自動習得。(近接距離・移動妨害可能距離「15m」、筋力系判定+4、強打判定の効力値に+2)
派生種族技能【竜の鎧鱗】を現時点の上限まで自動習得。(装甲点+5)
派生種族技能【竜の豪体】を現時点の上限まで自動習得。(体力点+6)
派生種族技能【竜の活力】を現時点の上限まで自動習得。(1ラウンド(または30秒)ごとに冒険者レベル分=10点の負傷点を回復。または任意の状態異常の効果を1つ取り除く)
死霊術奥義【
真言呪文【
半竜娘は死霊術師Lvを4→6に上昇(経験点6000点消費、成長点12点獲得)
死霊術師Lvが2つ上がったため、死霊術【
派生種族技能【竜の頑命】を習熟→熟練に伸ばし、熱と炎への完全耐性を得た。(成長点-15)
一般技能【長距離移動】を初歩→習熟に伸ばした。移動力+2。(成長点-5)
派生種族技能【竜の顎門】を初歩段階で習得。主行動での牙攻撃が可能になり、その威力に+1。(成長点-1)
派生種族技能【竜の炯眼】を習熟段階で習得。命中判定+2、目眩まし無効、遠視5km、『睨みつける』ことにより対象の行動阻害(-2ペナ付与)(1回/1R)。(成長点-6)
森人探検家は、神官(交易神)Lvを5→6に、戦士Lvを4→5に上昇。(経験点6000点消費、成長点12点獲得)
奇跡(交易神)【
武技【
冒険者技能【武器:弩弓】を達人→伝説に伸ばした。弩弓の命中判定向上。(成長点-40)
冒険者技能【速射】を達人→伝説に伸ばした。1回の主行動で3回の射撃が可能になった。(成長点-40)
冒険者技能【魔法の才】を習熟→熟練に伸ばした。呪文使用可能回数が2→3回に増加。(成長点-15)
TS圃人斥候は、野伏Lvを4→6に上昇。(経験点6000点消費、成長点12点獲得)
武技【擬死】(死んだふりしている間は攻撃対象とならない)、【鳥刺】(負傷後に油断させて痛撃を見舞う)を習得。
冒険者技能【幸運】を熟練→達人に伸ばした。祈念判定などのボーナス向上。(成長点-25)
冒険者技能【戦術移動】を初歩で習得。移動時に位置取りを調整し狙われにくくできるようになった。(成長点-5)
一般技能【騎乗】を初歩→習熟に伸ばした。騎乗時の戦闘で発揮できる職業レベルのキャップがLv3→6になった。(成長点-5)
文庫神官は、戦士Lvを8→9に上昇。(経験点9500点消費、成長点19点獲得)
武技【
冒険者技能【鎧:重鎧】を熟練→達人に伸ばした。装甲点加算。(成長点-25)
冒険者技能【堅牢】を熟練→達人に伸ばした。盾受け成功時に盾受け値ボーナス加算。(成長点-25)
冒険者技能【戦術移動】を初歩で習得。移動時に位置取りを調整し狙われやすくできるようになった。(成長点-5)
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えーと、まあざっくりまとめると。
・半竜娘ちゃんは、ますます身体も大きくなって、肉体特性的にも、とっても祖竜に近づいたよ! っていうかほぼ祖竜だね、これ!?
・森人探検家さんは、弓の腕前がさらに伸びて、妖精弓手さんクラスに手をかけたよ! 3連射は絶死ゾ(【加速】で手番を増やせば6連射)。
・TS圃人斥候ちゃんは、卑劣な死んだふりからのコンボの武技を覚えたよ! 相変わらずの平たい職業レベル族だ。
・文庫神官ちゃんは、ますます堅くなったよ! カッチカチだよ!! カッチカチ!!
って感じですね。
「じゃー、帰ろーぜ、リーダー」
TS圃人斥候が一仕事した感を丸出しにして、帰る方向に水を向けます。
この娘は本当に、隙あらばサボろうとしますね。
「いいや、まだじゃ」
それに待ったをかけたのは半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)です。
「え~? もう用は済んだじゃねーかよぅ……。帰ろうぜ~」
いやそうなTS圃人斥候。
まあ、さっきみたいな神話の領域の戦いを繰り返していては、命がいくつあっても足りませんからね。
「そうはいかん。〝影〟 は確かに取り戻し、それに従い、
闘志を目に爛々と蒼く燃やす半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)。
「………ああ、そういえば、まだ、
気づきを口にするのは、回復の精霊力がこもった慈雨で消耗を回復し、元気が出てきた森人探検家です。
「確かに。応報していませんね、結局」
腰に佩いた聖剣の柄を撫でる文庫神官は、聖剣の担い手としての使命を想い、この地に蠢く大悪を討伐には乗り気なようです。
「奪われた 〝影〟 は取り戻した。であれば、次は、この件の元凶に、復讐し、応報し、それでもってケリをつけねばなるまいよ」
そうです、地底を蠢く
であれば、きっちりとケジメをつけねば、蜥蜴人の名折れです。
やられたら、やり返す。倍返しだ!!
実際、
半竜娘ちゃんは、祖竜術奥義【
着れる服がない問題が再発するどころか、住める家がない問題が発生しそうな半竜娘ちゃんのことは今はさておき。
術の効果は永続ではなく、しかも祖竜術奥義【
再度準備するにはまた時間がかかりますから、出直してしまえば、太歳星君が近くにいるこの機会を逃すことにもなりかねません。
「あー、マジでやんのかー? これ、ギルドを通じた依頼でもねえから一銭にもならねーっつーのに?」
大赤字だっつーの、などとぐちぐち言いながらも、TS圃人斥候が装具の具合を確かめています。
口ではそう言いつつも、準備するあたりツンデレですね!
「ま、功徳は積めるわよ」
語り継がれる怪物を殺すのもまた、遺跡のロマンに魅せられた森人探検家にとっては本望なのでしょう。
交易神の神官として、貯め込んだ財貨を放出して赤字になることに微かな忌避間を覚えつつも、使うべき時にぱぁーっと使うこともまた交易神の御心に適うことですしね。
「そりゃ信心のあるやつらにとっちゃ、功徳が積めればそれでいーかもしんねーがよぉ」
一党では唯一信仰を持たないTS圃人斥候には同意しがたい価値観です。
「むしろ今しか好機はないのではないでしょうか。──── 先ほどの水属性の破滅の力は、有効でしたし、きっと本体の太歳星君にも通じるのでは?」
もとから太歳星君を仮想敵として想定して準備してきたため、擬・怪獣王との戦いで物資を損耗していますが、このまま進んでも問題ないはずだ、と文庫神官が指摘します。
「タンク後輩はタンク後輩で、思考が
「混沌は叩けるときに、叩いて叩いて潰すべきでは?」
「ほらこれだよ、まったくよー」
ガン決まった信仰者の目をしている文庫神官から視線をずらし、TS圃人斥候が、リーダーである半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)を見上げました。
森人探検家と、文庫神官も同様に、どこか機械的な造形を残す巨大な水の龍となった半竜娘ちゃんを見上げます。
一党の全員の準備が整ったことを見た半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)が、号令をかけます。
「行くのじゃ」
「ええ、行きましょう」 「しかたねー、付き合ってやるよ」 「はい! 参りましょう、お姉さま!」
「では、みな、
半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)の水の身体が蠢き、細長く形を変え、森人探検家・TS圃人斥候・文庫神官(with 白梟使徒)を、空気の泡で優しく包み込んで、内部に取り込みました。
洞窟型ダンジョンの細い通路を進むのに、液状化した身体は便利なものです。
つまり、半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)は、一党の全員を液体化した己の体内に格納して、先へと進むことにしたのです。
「進むといっても、どこへ? ここが最奥だったんじゃないかしら」
体内から泡越しに問われた、森人探検家のもっともな疑問に、半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)が答えます。
確かにパッと見た感じ、入ってきた方の通路以外には、出入り口はなさそうです。
「おそらくは、元凶たる太歳星君へ繋がる道があるはずじゃ」
半竜娘ちゃんには、確信があるようですね。
なぜそう思ったのか、推理を開陳します。
「手前の契約魔神がもたらした病魔に侵されて腐肉を滴らせながら、そして、一方ではそれに拮抗するように増殖再生しながらここまで来て、最後には、あの黒き鱗の勇者の似姿になった。そして本能に従い、権能で迷宮を形成した。
だとすれば、この玄室に来るときの道は、もっと小さくて良いし、そして、ここへ来るまでに削げ落ちた腐肉で埋まってしまっておって不思議ではない」
なるほど確かに。
その可能性は高そうです。
「じゃから、それを探し出す。と言うても、既に手は打っておるのじゃが」
「ああ、さっきの【
一帯にまき散らされた雨は、半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)ともつながりのある、手足のようなものです。
いわばアクティブソナー。
「そうじゃ。そして見つけたのじゃよ」
半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)が、内部の泡にパーティメンバーを格納した状態で、
それはまるで、激流のように。
洪水のように、鉄砲水のように、土石流のように。
そして水龍のように、いえ、水龍そのものとなって。
高圧の水流を噴き出して、案の定存在した、細い洞窟型の通路に詰まった腐肉を吹き飛ばしながら、半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)はそこを進んで、さらに迷宮の奥へと向かいます。
伏流水ならぬ、伏
取り込まれた森人探検家ちゃんたちからしてみると、超高速ウォータースライダーで行く地底旅行って感じでしょうかね。
やがて、細い通路を抜け、また広い空間の洞窟に出ると、行く先にはモンスター。
おそらくは太歳星君か、あるいは擬・怪獣王から零れ落ちた、混沌の眷属なのでしょう。
それらは、蛇の姿をしていたり、
「JJJJJJ……!!?」
「GOBBOGGOB!?」
「GRRRWWWAA?!」
しかし、濁流のようにやってくる半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)にかかれば鎧袖一触。
洞窟の岩肌を削りながら、その瓦礫をふんだんに含む土石流として先端に纏った半竜娘ちゃんは、行く先に現れたモンスターたちを巻き込んで攪拌しながら殺戮していきます。
鮮血呪紋の効果により、屠った敵の生命力を変換して吸収しながら進むので、燃料補給にもなって一石二鳥です。
特に怪物たちの気配が多い方へ多い方へと向かっていくと、やがて終わりが見えてきます。
赤く脈動する、肉の塊が、洞窟の奥まった一か所を覆っているのです。
赤く、生々しく、生きている肉の壁。おそらくは、みっしりと通路に詰まって壁にしか見えない、それ。
そう、
つまり、このみっしりと詰まった先に、というか、この肉そのものが、おそらくは
見えているのは氷山の一角どころではないでしょう。
これは、何十何百にも地下で枝分かれした肉の根の、その一つの断面、末端に過ぎません。
いったい全体でどれだけの体積があるのか、これを完全に滅ぼすためにはどれほどの労力がかかるのか。
それを思うと気が遠くなりそうですね。
到着した半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)は、巨大蛇のような移動形態を解き、肉食恐竜のような形態になって立ち上がりました。
一党の仲間は、その透明な胴体に格納されたまま、目の前の、生肉が詰まって壁のようになった推定通路を認識しました。
「………うーむ………」
「いや、これ無理じゃね……?」
実際のところ、
指数関数的な、あるいは幾何級数的な破滅をもたらすことができるやり方(たとえば悪辣な病魔のようなもの)でなければ、この無限とも思える霊肉を滅ぼすことはできないような気がします。
闇竜娘ちゃんがとった手段は、爆発的に自己複製して増えていく災禍の病魔を感染させることでしたし、半竜娘ちゃんの幼女化分身体も【竜胞】によって癌化して自己増殖していくことで、太歳星君を蝕みました。ひとつが30に、30が900になるような、そういったサイクルの攻撃をしたわけです。
他に有効な手段と言えば、例えば、吸い込めば吸い込むほどに力を増す、究極の重力穴であったりとか。
あるいは、逆に、隣接するものをすべて薪に変えて燃え広がる、久遠の光炎であったりとか。
たぶん有効なのは、そういった類のものですね。
さてどうしたものか、と流石の半竜娘ちゃんも考え込んでいます。シンキングターイム!
もしくはもっと単純に、すべてを破壊できるほどの、惑星級・恒星級の熱量であれば────
「夜明けの一撃ッ! 光にぃ、なぁれぇええええええ!!!」
─── どこか遠くから聞こえたはずなのに、不思議と近くから聞こえたような*2その玲瓏なる声とともに、
思わぬ幻想的な光景に、あっけにとられる半竜娘ちゃん一党。
やがて光の粒子が消え去ったあとには、一片の肉片も残されてはいませんでした。
え? これで決着??
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文字通りに光となって消滅した
それが詰まっていた洞窟から歩いて現れたのは。
やはり、あの当代白金等級、超勇者ちゃんの一行でした。
「ま!
常の具足ではなく、まるで駆け出し冒険者のような緑の装束の勇者ちゃん。*3
その手の聖剣だけが不釣り合いです。
おそらくさっきの『光になれー!』は、1年目秋の収穫祭のヘカトンケイル戦か何かで覚醒した、対巨大敵用の奥義とかだったのでしょうか。
「巨大な敵に有効な奥義に覚醒済みだったから楽に済んでよかった」
桃色の外套に身を包むのは、賢者ちゃんです。*4
耐性をつけていないのが悪い、と言わんばかりで、二番煎じに厳しい言い分ですね。
【分身】の真言呪文が秘める恐ろしさも分からずに濫用して魔物に堕した、かつての魔術師のなれの果てであった太歳星君に対しては、侮蔑に近い感情を持っていらっしゃるようです。まあ、そうでしょうとも。
「楽に済んだのは良かったですが、例え効かなくても、この間の死人の王と違って、あれは生きていたのですから、死ぬまで切り続けていればやがては殺せていたでしょう」
青染めの革鎧を着ているのは、剣聖ちゃんですね。*5
相変わらずの脳筋ぶりというか、死狂いぶりに痺れますネ。そして実際、たぶんそれで殺せていたのでしょう。概念級の斬撃で再生不能を付加したりとかしてきそうな 〝凄み〟 があります。
それぞれ装備がいつもと違っていて、みんないかにも駆け出し冒険者程度のグレードのものしか身に着けていません。
あ、おそらく
ひょっとしたら、普通に地上で行われているゴブスレさん監修の迷宮探検競技を楽しみにやってきていたのかもしれません。
─── オフの日だったでしょうに、こうして世界の危機を解決してるのは、なんというかヒーロー気質というか、一歩間違えば社畜気質というか。ちょっとかわいそうに思わなくもないですが。ヒーローに休日はない? それは、そうなんですが……。
コホン。
そして今回は、さらにもう一人の同行者が居るようです。
「い、生きて帰れた………っ!!」
神官服に身を包むのは、金髪が麗しい王妹殿下。
ゴブスレさん一党の女神官ちゃんにそっくりな彼女は、とある事件を契機に地母神の信仰に目覚め、この度は都の地母神神殿からの視察者として、混沌の陰謀に最近何度も巻き込まれた西方辺境へとやってきていたのです。あ、どこがとは申しませんが、女神官ちゃんよりも、王妹殿下の方が、より豊穣の地母神に仕えるに相応しい感じですことよ。閑話休題。
………そして懸念通りに、太歳星君なんていう
なんというか、ええ、女神官ちゃんも大概ですが、そっくりな顔をしている王妹殿下も、別ベクトルでそういうアレな感じなんでしょうかね。冒険運がないというかなんというか。
で、その勇者一行+1の4名ですが、洞窟を抜けて、比較的大きな地下空間に出ると、ピタリと足を止めました。
「「「「 ……… 」」」」
まあ、広間に出たら、水でできた巨竜が佇んでいたらそうもなります。
しかも中に人を取り込んでいるという。
「カァーッ! まさか勇者殿に先を越されるとはのう!!」
「ど、ど、dd、ドラゴンが、しゃべったぁ!!」
王妹殿下、ナイスリアクションです。
北の迷宮街を炎上させたときに、王妹殿下も、巨大化して街を燃やす半竜娘ちゃんを見ているはずですが、今とは姿が違うので結び付けろというのも酷でしょうしね。
さてまあ王妹殿下こそ慌てていますが、勇者ちゃん・賢者ちゃん・剣聖ちゃんは冷静なものです。
というか、馴染みの同業者に会った程度の雰囲気ですね。
いくら水の竜の姿になっていても、彼女たちは個体識別を間違ったりはしません。*6
「久しぶり!」 と太陽のような笑顔の勇者ちゃん。
「ふむ、
「こんなところで会うとは、意外ですね。確かに地上の迷宮探索競技の運営では見かけませんでしたが」 とか言いつつ、剣聖ちゃんは物理無効の水の身体を斬る方法を探してそうな剣呑な目つきです。
「えっ、知り合いなんですか、みなさん?! このドラゴンと?!」
驚く王妹殿下。
ここで名乗らず、いつ名乗る!
豪快に笑いながら名乗る半竜娘ちゃん in 機龍(液体化)の声が、地下空間に響きます。
「フハハハハハ!!
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「わぁ、すっごーい!」*7
「そうじゃろう、そうじゃろう!」
はい、超勇者ちゃん一行+1を水の体内に取り込んで、地上まで高速移動中な半竜娘ちゃんです。
上り坂ですが、掘削工程がないので、さきほどよりも何倍も速いスピードで登っていっています。
王妹殿下も透き通った水越しに高速で流れていく地中の光景という、普段であれば絶対見られない景色に大喜びです。
結構神経が太いですよね、彼女。さすがあの若獅子のごとき国王陛下の妹です。
ちなみに
先に獲物をとられた方が間抜け、というのが蜥蜴人的な価値観ですし、TS圃人斥候を筆頭に、あんな大敵難敵を相手にせずに済んだ安堵の方が大きいからですね。
「ねえ! 金等級じゃなくて銀等級って本当なの? 金等級ってこれだけのことが出来てもなれないものなの!?」
「手前が銀等級になったのはつい最近じゃしなあ。それに………」
「金等級は国との結びつきも強くなる。自由を好む冒険者は、実力があっても銀に留まる場合も多い」
「そういうことじゃな!」
賢者ちゃんの補足を、半竜娘ちゃんも肯定しました。
まあ実際、金等級冒険者ともなれば、冒険者のまとめ役・旗頭になることが期待される人材です。
誰もが認める功績と武威、そして指揮統率能力が求められます。
あとは国の依頼に真摯に答える善性と、忠誠心、法令遵守精神あたりでしょうか。
そうポンポンと任命していいものでもなく、実際、軽々に任命されるものでもありません。
そして任命されれば、それこそ国難のような依頼にばかり駆り出されることになるでしょうし、自分の好き勝手に冒険する、ということも難しくなるかもしれません。休む暇もなくなるかも。
例えば今回、
つまり今のところ、半竜娘ちゃんは金等級に上がるつもりはないということですね。
あとたぶん、大規模会戦の指揮経験とかも足りてないかも………いや、東の国境砦が甲殻蟲型
「今回の件は、冒険者ギルドには報告しないつもりですので。………どこぞの依頼を受けたわけでもありませんし、結構な大駒を倒してますが、実績にはしないつもりです」
丁寧な言葉で補足するのは半竜娘ちゃん一党の渉外担当でもある森人探検家です。
「故郷に送るための武勲詩のネタとして、専属の吟遊詩人には提供しても良いがの!」
首尾よく詩になっても、与太だと思われる可能性もありそうですが。
「まあ、ここで会ったのも何かの縁じゃ! 困ったことがあったら頼るがいいぞ、殿下!!」
地上の光が見えてきたところで、キャラシのコネクションに王妹殿下を加えて、今回はここまで。
それではまた次回!!
半竜娘ちゃんは、迷宮探検競技の喧騒を後目に、街の郊外にある自宅の工房屋敷に戻り、巻きつけられる布を家じゅうから仲間が集めてくれるのを待ったうえで、【竜装】と【相転・水】を解除しました。
解除後に生身に戻った際の身長は、15m。育ちましたね。とっても。でも着る服がないし、寝れる家がないですねえ。
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◆次回以降
・政商としても敏腕な軽銀商会会頭の女商人が、辺境の街にやってきた! まあ、
・え? 依頼も持ってきた?
・女商人「王国の肝いりで、北の山の向こう、暗き夜の地、鋼を奉じる
・女商人「大きく育たれた貴女を見込んでのお願いです!
こんな感じで原作小説14巻の内容に入っていく予定です。